☆健康福祉部関係
●医療施設の耐震化
◯佐藤委員 医療施設の耐震化について、公立丹南病院などが上がっているが、公立関係もまだ耐震化が終わっていないのかと正直驚いた。病院の耐震化と建てかえについて、改めて聞きたい。県内の公立、民間も含めた病院で、耐震化の終わっていないような危険な病院、つまり今回の大震災のときに機能が果たせなくなるような大きな病院は、どの程度あるのか。
◯地域医療課長 耐震化であるが、災害拠点病院というのがある。災害時に拠点となって活動する、24時間、常に活動している病院が県内に8病院ある。その8病院については、耐震化の事業が終了する平成24年度にはすべて耐震化ができるというのがまず第1点である。
災害拠点病院ではないが、救急患者の対応としては、二次救急、三次救急と分かれている。初期救急は日帰りできる方を受け入れている。入院が必要な重症患者を受け入れる二次救急病院は35施設である。今耐震化がこの事業の終わりまでに完成する施設が27である。耐震化率としては77.1%である。
救急関係であるが、災害拠点病院と二次救急あわせると全部で43病院あって、耐震化が平成24年度までに完了するのが35病院で、耐震化率は81.4%である。
それで、病院全体は72ある。それ以外にもあと二十数施設あるわけであるが、72あって、その中で完全に耐震化が完了済みの病院は51で、耐震化率は70%である。
◯佐藤委員 学校だと文部科学省も力を入れて、もちろん県も力を入れて進めようとやっているが、病院がまだ全体として70%、もちろん拠点病院は来年度には完了するとか、来年度完了でも遅いかと思うぐらいである。そういう計画であるが、耐震化促進計画のようなものを国や県で持っているのか。
◯地域医療課長 耐震化については、国の医療施設耐震化の臨時特例交付金というのがあって、それをもとにして、平成21年と平成22年に耐震化の基金を積み上げ、その基金で事業をしている。基本的には事業主の病院が2分の1で、県が2分の1を負担するというものである。
この基金の交付金が平成23年度の着工までということで、でき上がるのが大体平成24年度ぐらいまでになるが、それまでの期限として二十数億円の基金を積んでいる。それで、今ここに記載された病院では、耐震化が進められているということである。
◯佐藤委員 平成24年度に終わって平成25年度を迎えるときには、全体の何%程度の病院の耐震化工事が終わるのか。
◯地域医療課長 病院全体として、77%の耐震化が進むので、全体の23%程度は残ることになる。
◯佐藤委員 どこの病院であっても災害のときには拠点になると思う。地域の医療機関であるから、基金がなくなった後はどうするのかという問題も出てくると思うが、平成25年度以降についてはどう考えているのか。
◯地域医療課長 今申し上げたのは、臨時特例交付金で二十数億円という話であって、この制度が終わっても医療提供体制施設整備交付金という国の補助金がある。これも同じく補助率が2分の1である。ただ、この交付金であると上限額が低くなってくる。基金の場合であると、例えば基準額が二次救急の病院であると14億円などと非常に高い額であるが、交付金では非常に低くなってくる。でも、上限額自体は低くはなっても、助成自体は別の補助金で続くので、これを利活用いただくことになろうかと思う。
●福祉事業団施設の移譲問題
◯佐藤委員 30億円のお金が県から出せないから譲渡するという部長の答弁は、県民に対して説明ができないと思う。福井県は30億円を出せないから、500人入っている施設を民間へ譲渡してしまうという話である。
◯健康福祉部長 建てられないと申し上げたつもりではない。平成22年2月の陳情としては、これらの福祉施設については、指定管理者制度を絶対条件みたいな形で入れて運営をしてきた。そちらのほうが、まずは継続的にできるということを、まず、考えるというところがメインで、福祉事業団にしようという場合に、公の施設のままでおいておけないというところを勘案して、当然、県側の経費はなるべく安くしたいとの思いがある。二つの条件を勘案したときに、選択肢としては、それだという判断をさせていただいた。それと、やはり金額というのも大事である。試算的な部分も時期的にいつやるかどうかという話で判断するときに、一遍にそういうお金を出すのか、その辺を4分の1にするのかというと、当然、県としてのゴーサインの出し方も変わっていく。それらを二つあわせて、少なくとも、今、公的な施設である限り、指定管理者を続けざるを得ないという点を除くと、今の一番のメインである恒常的な職員によって世話をしてほしいというところが、なかなかかなえられないということである。
◯佐藤委員 もともと、公的な施設であったものを指定管理者制度に移行した。そして、指定管理者制度に移行して、いろいろ幾つかのところから応募があったが、福祉事業団を指定管理者として県が選んでいるということである。今後、その指定管理者制度が続く限り、必ずしも事業団がとれるとは限らないということで、不安定になるということも理由の一つだということである。そうであるなら、逆に、その指定管理者制度の詰めをするのは、県が選定委員会をつくってやるわけである。まさに、駐車場の運営とは違う。駐車場の運営では、相手は人間ではない。駐車場という箱物をA業者がやろうと、B業者がやろうと、ある意味では、県民に迷惑がかかるという問題は出てこないと思う。今回の福祉施設は、500人近い県民の方にサービスを提供している施設であるから、そういう継続性を考えた選考をすればいいのである。
◯健康福祉部長 確かに、委員のおっしゃるとおりだと思う。指定管理を入れるときに、直接選定なりという方法もあったと思う。実際に指定管理を入れて、今の状態で運営できる。ただ、今の施設管理は県であるが、運営自体は県の職員ではない。あくまでも県の資本は入っていても、民間として運営している。だから、そこら辺を勘案してやるときに、本当に今の状態で保証できるかというと、制度的に保証はできないという部分がある。ただ、未来永劫、運営をしてほしいという要望にこたえようとすると、やはり福祉事業団だろうということで、いろいろ勘案し、ほかの施設の方々ともいろいろ話をさせていただいて、今の案に至ったところでもあるので、確かに考え方としてはあると思う。それらも、総合的に判断した結果ということで、説明したところである。
◯佐藤委員 この陳情の詳細は知らないが、主体である事業団やその関係者から出された陳情だろうと思うが、現状だけ考えると、そういう結論になるのかもしれない。国からのいろいろな交付金等の公的制度を借りて、今の税と社会保障の一体改革で、いろいろな社会保障分野も今のままだと切り刻まれていく可能性が強いわけである。だから、市町村合併でもそうだったが、来ると思っていた金が全くあてにならないということがあったように、今の国の制度上とか、いろいろなメニューの上に乗って、未来永劫、安全だろうとはだれも言えない。福井県が責任を持って施設を運営していくといったほうが、まだ、県民500人近くは安心できると思うが、違うか。
◯健康福祉部長 国の制度は確かに変更ということはあり得ると思う。現に政権が変わったからということではない。日本でも世界でも、障害者の方々を保障するという意味で、日本国だけがそういう制度を変えるということではない。全世界の標準にあわせるために検討されている。そのベースの中でやっていくことを信用できないという形では、行政も仕事はできない。その方向の中では、これで十分やっていけると考えている。
◯佐藤委員 結局、医療機関にしても同じことである。厚生労働省は、ころころとメニューを変えてやっている。だから、いろいろな介護施設をつくっても、それが、今までより補助金が減ったり、あるいは、その補助金はなくなるかもしれないなど、いろいろなことが現場ではある。障害者の分野でも、当然、政府の発想がかわらない限りあり得るということは言えると思う。いずれにしても、国では来年3月末に議案が出されるということである。関係者の皆とよく相談し詰めて、もう少しお金を出したらどうかという意見があったが、やはり、もう少しお金を出すだけでいいのかということも含めて、考えていかないといけない。将来に禍根を残すことになると大変申しわけないと思うので、意見として言う。
●学校給食でのセシウム牛肉の未公表問題
◯佐藤委員 牛肉の話が出ていて、いろいろ業者名まで含めて公表されたが、学校関係は公表しなかったのは、なぜなのか。
◯健康福祉部長 業者名を公表したのは最初の3例である。その基準が急に出てきた話であるし、どこまで汚染があるのかわからない。それと流通した過程では、残っている可能性があるだろうということも含めて、消費者の安全と事業者の安全を考慮した結果、最初の数例は出させていただいた。ただ、その後、検査の結果とかそのレベルを見る、あるいは、ほかの県でも調べている結果を見ると、ほとんどが基準を超えていないという状況である。
県でもそういう追跡をした中で、基準を超えていたものについては、後であっても公表させていただいている。だから、先ほどの中に500ベクレルという数字が、正しいかどうかは別にしても、事業者にとってはこれを超えない限り法律違反ではないのである。それを比較考慮したときに、どちらだろうということを何例かやった後に、いろいろ検討した結果、検査をして超えていないことを確認するなり、あるいは、ほかのところでも超えていないだろうと判断できるものについては、もう公表しないことにした。これは、ほかの県などの事例を調べても、基本的には公表しないほうが多かったということである。それで実際上、超えたものについては公表させていただく。そういう判断基準で対応している。
それともう一点は、各スーパーマーケットとか、いろいろな卸のところで、こういうものがあったという情報は県にあったが、少なくとも確定的に福井県に入っているという情報をいただいたものについては、もうそれこそ端まで全部追跡をした。そういう作業ができるところだけをそういう範疇の中でやらせていただいて、そのほかのものについて、どういう形で公表するかというところについてまでは、判断していないというのが現状である。
◯佐藤委員 この基準値を超えたら公表する、超えなければ公表しないというのは一つの判断かとは思うが、学校給食などの場合はそれでいいのかということがあると思う。結局もう子供の腹に入ってしまったのだから、今さら公表しても仕方がない、公表するかどうかは、それぞれの学校とか教育委員会の判断だということだけでは、済まないという問題もあると思うが、どうか。
◯健康福祉部長 非常に微妙な問題だと思うが、この500ベクレルという基準自体が、1キログラム当たり500ベクレル含まれるものを1年間食べ続けて、初めて健康に影響が出るというレベルということで基準がつくられている。それが本当に正しいかどうかは、諸説があるのかもしれないが、その中でもなおかつ、せいぜい食べても数10グラムで、それも1回であれば、もう本当に微々たる影響なので、それは自然界で浴びている放射線とどちらが多いのかということになると、そこの部分は冷静に判断すべきなのではないかということである。当初の県が最初に公表した部分も、そういう部分なしに超える可能性があるということで出させていただいたが、そういうところまで調べていくと、本当に公表したことによって、ほかの影響とバランスを考えたとき、どうなのかということは一つの判断材料としてさせていただいている。
◯佐藤委員 バランスということもあるかもしれないが、やはり今これだけみんな国民全体、住民全体が関心を持って注視をしている。ましてや、子供の口に入る給食の問題は、親御さんにしてみれば一番関心が高い。だから公表して、こういうレベルだから心配ないということを言うのと、公表せずに黙って、そもそもその事実を知らせないでいるのとでは、全く問題の次元が違うと思う。
◯健康福祉部長 少なくとも、県に情報が入ってきたものについては、追跡をしているし、その上で流通していたこと自体については、公表している。店名までは公表していない。幸い、牛肉の場合は個別の識別番号があるので、実際、本当に心配であれば、その個別の識別番号を見て確認していただく。ただ、県がまだ追跡していない部分はその限りではないが、県として情報を得て、追跡したものについては、すべてホームページ上等で公表させていただいて、確認をしていただくことで、基準以下であるという事実は、理解できるような形になっている。
◯佐藤委員 発言の趣旨は、情報を公開し、県民に対して、いろいろな意味で注意も喚起するし、お互いが今後の対応もきちんとするというようにしていったほうが安全・安心につながると思ったので、質問した次第である。
●看護師問題、国保問題
◯佐藤委員 看護師充足対策費等も今回予算に上がっているのだが、福井県内の看護師の不足数は何名くらいか。
◯地域医療課長 看護師については、現在、需給見通しを立てている。現在、実人員で申し上げると200人ほど不足している状況である。
◯佐藤委員 敦賀市の短大を看護系の4年制大学にするという動きがあり、いろいろ敦賀市議会でも議論されていて、年間では、敦賀市として3億円も出しており大変だとかいろいろな意見があると聞いている。一方で、看護師養成の立場からはぜひつくって、今、福井県に全国からもそういう人材を集めることができるのではないかといろいろな議論があると聞いている。これに関しては、県としてどういう姿勢なのか。
◯健康福祉部長 敦賀市で検討されている看護師養成については、今の、敦賀市が養成している数から若干ふえるだけの人数と聞いているけれども、それ自体を敦賀市の判断でやられるかについては、看護師の需給についてはあくまでも敦賀市の意向だと思う。ただ、先ほど、今200人ほど看護師が足らないと言っているけれども、実際は本会議でも答弁させていただいたところであり、新卒で300人以上が就職されていて、なおかつ、やめた方で400人ぐらいが再就職しているが、やめる方がそれ以上に多いという状況である。
特に、先ほど斉藤委員からも話があったように、勤めて3年以内にやめる方というのが非常に多い。これは、県立病院だけでなく、就職したその年内でやめるという方が非常に多いものであるから、各病院とも新人の看護師をいかに離職させないようにするかということで、さまざまな取り組みをやっている。そのためには初任者の研修であるとか、自分だけが急にそれをやれといってもできないので、教えてくれる人がいればやめる率が少なくなるという実績もあるので、各所でそういう取り組みをやっている。
それともう一つは、出産時にやめる方が多いので、そこをどうフォローするかというところであるので、養成も確かに大切だと思うが、実際に勤められた方々に勤め続けていただく、あるいは、一度やめても復職していただけるような対応というのが実質的には効果としても大きいのではないかと思っている。
◯佐藤委員 勤め続けてもらう上では、さっきもいろいろ議論があったように労働条件の改善の問題とかが必要だと思う。以前も議会でも取り上げたことあるが、県立病院の看護師だと、休職については、純粋に病的な方は10名前後と聞いた。切迫流産などは、各部局の中では断トツに多いという数字が以前は出ていたけれども、それだけ過重労働ということであるから、それをどう軽減していくかとか、そういうことを全体として考えていかないと、うまくいかないのではないかと思う。
それともう一点は、国民健康保険の財政安定化支援方針は、所得割を加えるということで、この保険者拠出金でいうと、例えばどこの自治体がふえて、どこの自治体が減るような計算なのか。
◯長寿福祉課長 全17市町のうち、所得割を10%導入したことによって、負担がふえるところが6市町ある。一番ふえるのがあわら市で、1人当たり900円、次が永平寺町であって1人当たり700円、敦賀市が300円、越前市が200円、鯖江市が100円、坂井市が100円といった形で、その他の市町については負担が減ることになる。試算は平成21年度決算ベースで行っている。
◯佐藤委員 あわら市は国保財政の運営が割と厳しいところだと聞いているのだが、あわら市の負担をふやすというのは、どういうことか。
◯長寿福祉課長 あわら市の負担をふやすという観点で入れたのではなく、この再保険事業の拠出金が医療費実績割と均等割の2方式でとっていることに比べ、保険税については所得割と均等割の2方式でとっている中で、特に小浜市の例でいうと、これまで小浜市の場合は、医療費を低く抑えていながらも課税所得が低いために、交付金が2億9,000万円ある中でも拠出金が3億4,200万円というように、拠出超過に陥っている。
こうした拠出超過に陥っている場合に、ほかの市町の医療費を肩がわりしているといったことが指摘されているので、そうしたところに所得割を入れることで、市町間での支え合いによる支援を強化していくことを目的として入れるものである。
◯佐藤委員 保険税の収納率目標も第一、第二目標ということで決めているが、この県の調整交付金についてインセンティブを置くということは、具体的にはどういうことか。
◯長寿福祉課長 資料の本文6ページに、現在の各市町の保険税収納率と、第一目標として太線で書かれているのが保険者規模別の全国平均の率である。あわせて第二目標として細い線で書いているが、例えば福井市で申し上げると、福井市は5万人以上の保険者になるので、この太い線、第一目標をクリアすると300万円を交付するという形になる。さらに、その細い線、第二目標をクリアすると、1,000万円を上乗せして県調整交付金の1号交付金で交付する。さらに、それ以上、第二目標を1%以上超えている場合に、1%超えるごとに加算金として100万円ずつ交付するという形をとっている。これを保険者規模別に金額を設定して、インセンティブを付与している。
◯佐藤委員 本文9ページの収納対策の共同実施にも書いてあるように、これまでも国民健康保険税の滞納世帯がふえてきている。それにはいろいろな要因があるだろうが、それだけ貧困世帯がふえている、要するに、不景気でリストラされて定職がないといった世帯がふえている状況があると思う。そういう貧困世帯がふえて滞納者数がふえている中で、こういう収納率だけのインセンティブをかけるというのは問題ではないのか。
◯長寿福祉課長 保険財政を安定的にしていく観点からすると、収納率を高めていくということは大事なことだと思う。収納率目標をきちんと明示して、市町の取り組みを支援していこうということと、一方で、今回、収納対策の共同実施で滞納整理機構の活用といったことも、これまで平成21年度から県税務課や各市町と共同で行っている取り組みである。主に悪質な滞納者の方々に対してきちんと税を払っていただくということが大事だと思うが、特殊な事情については各被保険者の方々と接触の機会をきちんと持つ形で、その特殊な事情を酌み取って、単純に資格証明書を出していくとかいったことがないような形で進めていきたいと思っている。ここは両立させていく考え方をとるべきではないかと思う。
◯佐藤委員 課長が頑張っていろいろとつくられたかもしれないが、そんなに簡単にはいかないと思う。今言ったように悪質で、もともとお金がある人がどんどん滞納しているのなら成り立つが、もともとお金のない人が滞納して貧困がふえているわけである。民主党政権は増税するのであろう。増税したらまた保険税が上がる。そういうことを繰り返して悪循環になる。それで行政に対しては徴収率を上げたらインセンティブを付与して、さあ取り組むというようなやり方をしていても、県民の暮らしとしては回っていかないと思うが、その辺はどう考えるのか。
◯長寿福祉課長 今後、社会保障と税の一体改革でも低所得者対策という形で、公費2,200億円近くを入れていくということが考えられているが、国保に加入されている被保険者の方の平均所得は、ほかの被保険者に比べれば非常に低いということも事実である。今後、国保でも被保険者に対する医療給付費がどんどんふえていく中でも、国保の被保険者の所得が大きく伸びていくことは余り見込まれないわけであるので、保険料で確保すべき金額がやはり今後余り満たせなくなってくることも想定される。やはり、社会保障と税の一体改革で議論されているような低所得者対策という形での保険料の軽減といったものを今後、国でも議論しているが、そういった中で県としても支援していくところはきちんと議論をして、支援していかなければいけないと思っている。
◯佐藤委員 要するに、県単位の国保とかそういう方向で進むとか、そういうこととは全く別問題であるか。
◯長寿福祉課長 現在、平成30年度に全年齢で都道府県単位化による国保運営をしたいということを全国レベルで議論されている。今回の財政安定化支援方針については、平成22年度改正国民健康保険法の内容で運営の広域化、または財政安定化という2つの目的のためにつくることができるといった中で、財政の安定化を目的としてつくるものであって、県としては現時点で、その広域化といったことは考えていない。
●「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」が不採択に!
◯大久保委員長 それでは、今回付託を受けた請願第3号「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」を議題とする。
本件に対し、各委員より発言を願う。
◯佐藤委員 紹介議員になっているので、採択をお願いしたいと思う。請願書に書いてあるとおりであるが、今の生ワクチンでは、実際にさまざまな障害とかが出ているという報告があるので、一刻も早く不活化ワクチンが必要ということで、政府も来年度からやる方向になっているということもあるので、採択をしていただきたいと思う。
現状では、個人輸入している病院で接種すると、3回で1万8,000円ぐらいかかるとかという高額の負担になっている。実際には、親としてみれば安心を求めて、そういう方向に行くというようなこともあるので、この請願の採択をお願いしたい。
◯仲倉委員 今ほど説明もあったように来年度から導入するということだが、この中で費用負担のあり方について、予防接種制度を維持していくためにも増加する需要に見合った恒久的な財源を確保することも必要である。慎重な議論が必要であるということも考え、現時点では、国の動きとして前向きに来年度取り組む姿勢を示していることから、意見書提出を求めている今回の陳情は、不採択としてお願いしたい。
◯山本(正)委員 今、仲倉委員から話があったが、一応政府としても取り組みをして既に市町村によっても大分進めているという状況である。経費的な面などについて、我が会派で検討した結果、今回の請願に対しては継続審査でお願いしたい。
◯大久保委員長 本件に対する採決に入る。
本件については、採択、不採択、継続審査の3つの意見が出された。本件については、継続審査を求める意見があったので、まず、継続審査についてお諮りをする。
本件を継続審査とすることに賛成の方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯大久保委員長 賛成少数であるので、本件を継続審査とすることは否決された。次に、本件を採択することに賛成の方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯大久保委員長 賛成少数である。よって、本件は不採択と決定された。
以上で、請願・陳情の審査を終了する。
●医療施設の耐震化
◯佐藤委員 医療施設の耐震化について、公立丹南病院などが上がっているが、公立関係もまだ耐震化が終わっていないのかと正直驚いた。病院の耐震化と建てかえについて、改めて聞きたい。県内の公立、民間も含めた病院で、耐震化の終わっていないような危険な病院、つまり今回の大震災のときに機能が果たせなくなるような大きな病院は、どの程度あるのか。
◯地域医療課長 耐震化であるが、災害拠点病院というのがある。災害時に拠点となって活動する、24時間、常に活動している病院が県内に8病院ある。その8病院については、耐震化の事業が終了する平成24年度にはすべて耐震化ができるというのがまず第1点である。
災害拠点病院ではないが、救急患者の対応としては、二次救急、三次救急と分かれている。初期救急は日帰りできる方を受け入れている。入院が必要な重症患者を受け入れる二次救急病院は35施設である。今耐震化がこの事業の終わりまでに完成する施設が27である。耐震化率としては77.1%である。
救急関係であるが、災害拠点病院と二次救急あわせると全部で43病院あって、耐震化が平成24年度までに完了するのが35病院で、耐震化率は81.4%である。
それで、病院全体は72ある。それ以外にもあと二十数施設あるわけであるが、72あって、その中で完全に耐震化が完了済みの病院は51で、耐震化率は70%である。
◯佐藤委員 学校だと文部科学省も力を入れて、もちろん県も力を入れて進めようとやっているが、病院がまだ全体として70%、もちろん拠点病院は来年度には完了するとか、来年度完了でも遅いかと思うぐらいである。そういう計画であるが、耐震化促進計画のようなものを国や県で持っているのか。
◯地域医療課長 耐震化については、国の医療施設耐震化の臨時特例交付金というのがあって、それをもとにして、平成21年と平成22年に耐震化の基金を積み上げ、その基金で事業をしている。基本的には事業主の病院が2分の1で、県が2分の1を負担するというものである。
この基金の交付金が平成23年度の着工までということで、でき上がるのが大体平成24年度ぐらいまでになるが、それまでの期限として二十数億円の基金を積んでいる。それで、今ここに記載された病院では、耐震化が進められているということである。
◯佐藤委員 平成24年度に終わって平成25年度を迎えるときには、全体の何%程度の病院の耐震化工事が終わるのか。
◯地域医療課長 病院全体として、77%の耐震化が進むので、全体の23%程度は残ることになる。
◯佐藤委員 どこの病院であっても災害のときには拠点になると思う。地域の医療機関であるから、基金がなくなった後はどうするのかという問題も出てくると思うが、平成25年度以降についてはどう考えているのか。
◯地域医療課長 今申し上げたのは、臨時特例交付金で二十数億円という話であって、この制度が終わっても医療提供体制施設整備交付金という国の補助金がある。これも同じく補助率が2分の1である。ただ、この交付金であると上限額が低くなってくる。基金の場合であると、例えば基準額が二次救急の病院であると14億円などと非常に高い額であるが、交付金では非常に低くなってくる。でも、上限額自体は低くはなっても、助成自体は別の補助金で続くので、これを利活用いただくことになろうかと思う。
●福祉事業団施設の移譲問題
◯佐藤委員 30億円のお金が県から出せないから譲渡するという部長の答弁は、県民に対して説明ができないと思う。福井県は30億円を出せないから、500人入っている施設を民間へ譲渡してしまうという話である。
◯健康福祉部長 建てられないと申し上げたつもりではない。平成22年2月の陳情としては、これらの福祉施設については、指定管理者制度を絶対条件みたいな形で入れて運営をしてきた。そちらのほうが、まずは継続的にできるということを、まず、考えるというところがメインで、福祉事業団にしようという場合に、公の施設のままでおいておけないというところを勘案して、当然、県側の経費はなるべく安くしたいとの思いがある。二つの条件を勘案したときに、選択肢としては、それだという判断をさせていただいた。それと、やはり金額というのも大事である。試算的な部分も時期的にいつやるかどうかという話で判断するときに、一遍にそういうお金を出すのか、その辺を4分の1にするのかというと、当然、県としてのゴーサインの出し方も変わっていく。それらを二つあわせて、少なくとも、今、公的な施設である限り、指定管理者を続けざるを得ないという点を除くと、今の一番のメインである恒常的な職員によって世話をしてほしいというところが、なかなかかなえられないということである。
◯佐藤委員 もともと、公的な施設であったものを指定管理者制度に移行した。そして、指定管理者制度に移行して、いろいろ幾つかのところから応募があったが、福祉事業団を指定管理者として県が選んでいるということである。今後、その指定管理者制度が続く限り、必ずしも事業団がとれるとは限らないということで、不安定になるということも理由の一つだということである。そうであるなら、逆に、その指定管理者制度の詰めをするのは、県が選定委員会をつくってやるわけである。まさに、駐車場の運営とは違う。駐車場の運営では、相手は人間ではない。駐車場という箱物をA業者がやろうと、B業者がやろうと、ある意味では、県民に迷惑がかかるという問題は出てこないと思う。今回の福祉施設は、500人近い県民の方にサービスを提供している施設であるから、そういう継続性を考えた選考をすればいいのである。
◯健康福祉部長 確かに、委員のおっしゃるとおりだと思う。指定管理を入れるときに、直接選定なりという方法もあったと思う。実際に指定管理を入れて、今の状態で運営できる。ただ、今の施設管理は県であるが、運営自体は県の職員ではない。あくまでも県の資本は入っていても、民間として運営している。だから、そこら辺を勘案してやるときに、本当に今の状態で保証できるかというと、制度的に保証はできないという部分がある。ただ、未来永劫、運営をしてほしいという要望にこたえようとすると、やはり福祉事業団だろうということで、いろいろ勘案し、ほかの施設の方々ともいろいろ話をさせていただいて、今の案に至ったところでもあるので、確かに考え方としてはあると思う。それらも、総合的に判断した結果ということで、説明したところである。
◯佐藤委員 この陳情の詳細は知らないが、主体である事業団やその関係者から出された陳情だろうと思うが、現状だけ考えると、そういう結論になるのかもしれない。国からのいろいろな交付金等の公的制度を借りて、今の税と社会保障の一体改革で、いろいろな社会保障分野も今のままだと切り刻まれていく可能性が強いわけである。だから、市町村合併でもそうだったが、来ると思っていた金が全くあてにならないということがあったように、今の国の制度上とか、いろいろなメニューの上に乗って、未来永劫、安全だろうとはだれも言えない。福井県が責任を持って施設を運営していくといったほうが、まだ、県民500人近くは安心できると思うが、違うか。
◯健康福祉部長 国の制度は確かに変更ということはあり得ると思う。現に政権が変わったからということではない。日本でも世界でも、障害者の方々を保障するという意味で、日本国だけがそういう制度を変えるということではない。全世界の標準にあわせるために検討されている。そのベースの中でやっていくことを信用できないという形では、行政も仕事はできない。その方向の中では、これで十分やっていけると考えている。
◯佐藤委員 結局、医療機関にしても同じことである。厚生労働省は、ころころとメニューを変えてやっている。だから、いろいろな介護施設をつくっても、それが、今までより補助金が減ったり、あるいは、その補助金はなくなるかもしれないなど、いろいろなことが現場ではある。障害者の分野でも、当然、政府の発想がかわらない限りあり得るということは言えると思う。いずれにしても、国では来年3月末に議案が出されるということである。関係者の皆とよく相談し詰めて、もう少しお金を出したらどうかという意見があったが、やはり、もう少しお金を出すだけでいいのかということも含めて、考えていかないといけない。将来に禍根を残すことになると大変申しわけないと思うので、意見として言う。
●学校給食でのセシウム牛肉の未公表問題
◯佐藤委員 牛肉の話が出ていて、いろいろ業者名まで含めて公表されたが、学校関係は公表しなかったのは、なぜなのか。
◯健康福祉部長 業者名を公表したのは最初の3例である。その基準が急に出てきた話であるし、どこまで汚染があるのかわからない。それと流通した過程では、残っている可能性があるだろうということも含めて、消費者の安全と事業者の安全を考慮した結果、最初の数例は出させていただいた。ただ、その後、検査の結果とかそのレベルを見る、あるいは、ほかの県でも調べている結果を見ると、ほとんどが基準を超えていないという状況である。
県でもそういう追跡をした中で、基準を超えていたものについては、後であっても公表させていただいている。だから、先ほどの中に500ベクレルという数字が、正しいかどうかは別にしても、事業者にとってはこれを超えない限り法律違反ではないのである。それを比較考慮したときに、どちらだろうということを何例かやった後に、いろいろ検討した結果、検査をして超えていないことを確認するなり、あるいは、ほかのところでも超えていないだろうと判断できるものについては、もう公表しないことにした。これは、ほかの県などの事例を調べても、基本的には公表しないほうが多かったということである。それで実際上、超えたものについては公表させていただく。そういう判断基準で対応している。
それともう一点は、各スーパーマーケットとか、いろいろな卸のところで、こういうものがあったという情報は県にあったが、少なくとも確定的に福井県に入っているという情報をいただいたものについては、もうそれこそ端まで全部追跡をした。そういう作業ができるところだけをそういう範疇の中でやらせていただいて、そのほかのものについて、どういう形で公表するかというところについてまでは、判断していないというのが現状である。
◯佐藤委員 この基準値を超えたら公表する、超えなければ公表しないというのは一つの判断かとは思うが、学校給食などの場合はそれでいいのかということがあると思う。結局もう子供の腹に入ってしまったのだから、今さら公表しても仕方がない、公表するかどうかは、それぞれの学校とか教育委員会の判断だということだけでは、済まないという問題もあると思うが、どうか。
◯健康福祉部長 非常に微妙な問題だと思うが、この500ベクレルという基準自体が、1キログラム当たり500ベクレル含まれるものを1年間食べ続けて、初めて健康に影響が出るというレベルということで基準がつくられている。それが本当に正しいかどうかは、諸説があるのかもしれないが、その中でもなおかつ、せいぜい食べても数10グラムで、それも1回であれば、もう本当に微々たる影響なので、それは自然界で浴びている放射線とどちらが多いのかということになると、そこの部分は冷静に判断すべきなのではないかということである。当初の県が最初に公表した部分も、そういう部分なしに超える可能性があるということで出させていただいたが、そういうところまで調べていくと、本当に公表したことによって、ほかの影響とバランスを考えたとき、どうなのかということは一つの判断材料としてさせていただいている。
◯佐藤委員 バランスということもあるかもしれないが、やはり今これだけみんな国民全体、住民全体が関心を持って注視をしている。ましてや、子供の口に入る給食の問題は、親御さんにしてみれば一番関心が高い。だから公表して、こういうレベルだから心配ないということを言うのと、公表せずに黙って、そもそもその事実を知らせないでいるのとでは、全く問題の次元が違うと思う。
◯健康福祉部長 少なくとも、県に情報が入ってきたものについては、追跡をしているし、その上で流通していたこと自体については、公表している。店名までは公表していない。幸い、牛肉の場合は個別の識別番号があるので、実際、本当に心配であれば、その個別の識別番号を見て確認していただく。ただ、県がまだ追跡していない部分はその限りではないが、県として情報を得て、追跡したものについては、すべてホームページ上等で公表させていただいて、確認をしていただくことで、基準以下であるという事実は、理解できるような形になっている。
◯佐藤委員 発言の趣旨は、情報を公開し、県民に対して、いろいろな意味で注意も喚起するし、お互いが今後の対応もきちんとするというようにしていったほうが安全・安心につながると思ったので、質問した次第である。
●看護師問題、国保問題
◯佐藤委員 看護師充足対策費等も今回予算に上がっているのだが、福井県内の看護師の不足数は何名くらいか。
◯地域医療課長 看護師については、現在、需給見通しを立てている。現在、実人員で申し上げると200人ほど不足している状況である。
◯佐藤委員 敦賀市の短大を看護系の4年制大学にするという動きがあり、いろいろ敦賀市議会でも議論されていて、年間では、敦賀市として3億円も出しており大変だとかいろいろな意見があると聞いている。一方で、看護師養成の立場からはぜひつくって、今、福井県に全国からもそういう人材を集めることができるのではないかといろいろな議論があると聞いている。これに関しては、県としてどういう姿勢なのか。
◯健康福祉部長 敦賀市で検討されている看護師養成については、今の、敦賀市が養成している数から若干ふえるだけの人数と聞いているけれども、それ自体を敦賀市の判断でやられるかについては、看護師の需給についてはあくまでも敦賀市の意向だと思う。ただ、先ほど、今200人ほど看護師が足らないと言っているけれども、実際は本会議でも答弁させていただいたところであり、新卒で300人以上が就職されていて、なおかつ、やめた方で400人ぐらいが再就職しているが、やめる方がそれ以上に多いという状況である。
特に、先ほど斉藤委員からも話があったように、勤めて3年以内にやめる方というのが非常に多い。これは、県立病院だけでなく、就職したその年内でやめるという方が非常に多いものであるから、各病院とも新人の看護師をいかに離職させないようにするかということで、さまざまな取り組みをやっている。そのためには初任者の研修であるとか、自分だけが急にそれをやれといってもできないので、教えてくれる人がいればやめる率が少なくなるという実績もあるので、各所でそういう取り組みをやっている。
それともう一つは、出産時にやめる方が多いので、そこをどうフォローするかというところであるので、養成も確かに大切だと思うが、実際に勤められた方々に勤め続けていただく、あるいは、一度やめても復職していただけるような対応というのが実質的には効果としても大きいのではないかと思っている。
◯佐藤委員 勤め続けてもらう上では、さっきもいろいろ議論があったように労働条件の改善の問題とかが必要だと思う。以前も議会でも取り上げたことあるが、県立病院の看護師だと、休職については、純粋に病的な方は10名前後と聞いた。切迫流産などは、各部局の中では断トツに多いという数字が以前は出ていたけれども、それだけ過重労働ということであるから、それをどう軽減していくかとか、そういうことを全体として考えていかないと、うまくいかないのではないかと思う。
それともう一点は、国民健康保険の財政安定化支援方針は、所得割を加えるということで、この保険者拠出金でいうと、例えばどこの自治体がふえて、どこの自治体が減るような計算なのか。
◯長寿福祉課長 全17市町のうち、所得割を10%導入したことによって、負担がふえるところが6市町ある。一番ふえるのがあわら市で、1人当たり900円、次が永平寺町であって1人当たり700円、敦賀市が300円、越前市が200円、鯖江市が100円、坂井市が100円といった形で、その他の市町については負担が減ることになる。試算は平成21年度決算ベースで行っている。
◯佐藤委員 あわら市は国保財政の運営が割と厳しいところだと聞いているのだが、あわら市の負担をふやすというのは、どういうことか。
◯長寿福祉課長 あわら市の負担をふやすという観点で入れたのではなく、この再保険事業の拠出金が医療費実績割と均等割の2方式でとっていることに比べ、保険税については所得割と均等割の2方式でとっている中で、特に小浜市の例でいうと、これまで小浜市の場合は、医療費を低く抑えていながらも課税所得が低いために、交付金が2億9,000万円ある中でも拠出金が3億4,200万円というように、拠出超過に陥っている。
こうした拠出超過に陥っている場合に、ほかの市町の医療費を肩がわりしているといったことが指摘されているので、そうしたところに所得割を入れることで、市町間での支え合いによる支援を強化していくことを目的として入れるものである。
◯佐藤委員 保険税の収納率目標も第一、第二目標ということで決めているが、この県の調整交付金についてインセンティブを置くということは、具体的にはどういうことか。
◯長寿福祉課長 資料の本文6ページに、現在の各市町の保険税収納率と、第一目標として太線で書かれているのが保険者規模別の全国平均の率である。あわせて第二目標として細い線で書いているが、例えば福井市で申し上げると、福井市は5万人以上の保険者になるので、この太い線、第一目標をクリアすると300万円を交付するという形になる。さらに、その細い線、第二目標をクリアすると、1,000万円を上乗せして県調整交付金の1号交付金で交付する。さらに、それ以上、第二目標を1%以上超えている場合に、1%超えるごとに加算金として100万円ずつ交付するという形をとっている。これを保険者規模別に金額を設定して、インセンティブを付与している。
◯佐藤委員 本文9ページの収納対策の共同実施にも書いてあるように、これまでも国民健康保険税の滞納世帯がふえてきている。それにはいろいろな要因があるだろうが、それだけ貧困世帯がふえている、要するに、不景気でリストラされて定職がないといった世帯がふえている状況があると思う。そういう貧困世帯がふえて滞納者数がふえている中で、こういう収納率だけのインセンティブをかけるというのは問題ではないのか。
◯長寿福祉課長 保険財政を安定的にしていく観点からすると、収納率を高めていくということは大事なことだと思う。収納率目標をきちんと明示して、市町の取り組みを支援していこうということと、一方で、今回、収納対策の共同実施で滞納整理機構の活用といったことも、これまで平成21年度から県税務課や各市町と共同で行っている取り組みである。主に悪質な滞納者の方々に対してきちんと税を払っていただくということが大事だと思うが、特殊な事情については各被保険者の方々と接触の機会をきちんと持つ形で、その特殊な事情を酌み取って、単純に資格証明書を出していくとかいったことがないような形で進めていきたいと思っている。ここは両立させていく考え方をとるべきではないかと思う。
◯佐藤委員 課長が頑張っていろいろとつくられたかもしれないが、そんなに簡単にはいかないと思う。今言ったように悪質で、もともとお金がある人がどんどん滞納しているのなら成り立つが、もともとお金のない人が滞納して貧困がふえているわけである。民主党政権は増税するのであろう。増税したらまた保険税が上がる。そういうことを繰り返して悪循環になる。それで行政に対しては徴収率を上げたらインセンティブを付与して、さあ取り組むというようなやり方をしていても、県民の暮らしとしては回っていかないと思うが、その辺はどう考えるのか。
◯長寿福祉課長 今後、社会保障と税の一体改革でも低所得者対策という形で、公費2,200億円近くを入れていくということが考えられているが、国保に加入されている被保険者の方の平均所得は、ほかの被保険者に比べれば非常に低いということも事実である。今後、国保でも被保険者に対する医療給付費がどんどんふえていく中でも、国保の被保険者の所得が大きく伸びていくことは余り見込まれないわけであるので、保険料で確保すべき金額がやはり今後余り満たせなくなってくることも想定される。やはり、社会保障と税の一体改革で議論されているような低所得者対策という形での保険料の軽減といったものを今後、国でも議論しているが、そういった中で県としても支援していくところはきちんと議論をして、支援していかなければいけないと思っている。
◯佐藤委員 要するに、県単位の国保とかそういう方向で進むとか、そういうこととは全く別問題であるか。
◯長寿福祉課長 現在、平成30年度に全年齢で都道府県単位化による国保運営をしたいということを全国レベルで議論されている。今回の財政安定化支援方針については、平成22年度改正国民健康保険法の内容で運営の広域化、または財政安定化という2つの目的のためにつくることができるといった中で、財政の安定化を目的としてつくるものであって、県としては現時点で、その広域化といったことは考えていない。
●「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」が不採択に!
◯大久保委員長 それでは、今回付託を受けた請願第3号「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」を議題とする。
本件に対し、各委員より発言を願う。
◯佐藤委員 紹介議員になっているので、採択をお願いしたいと思う。請願書に書いてあるとおりであるが、今の生ワクチンでは、実際にさまざまな障害とかが出ているという報告があるので、一刻も早く不活化ワクチンが必要ということで、政府も来年度からやる方向になっているということもあるので、採択をしていただきたいと思う。
現状では、個人輸入している病院で接種すると、3回で1万8,000円ぐらいかかるとかという高額の負担になっている。実際には、親としてみれば安心を求めて、そういう方向に行くというようなこともあるので、この請願の採択をお願いしたい。
◯仲倉委員 今ほど説明もあったように来年度から導入するということだが、この中で費用負担のあり方について、予防接種制度を維持していくためにも増加する需要に見合った恒久的な財源を確保することも必要である。慎重な議論が必要であるということも考え、現時点では、国の動きとして前向きに来年度取り組む姿勢を示していることから、意見書提出を求めている今回の陳情は、不採択としてお願いしたい。
◯山本(正)委員 今、仲倉委員から話があったが、一応政府としても取り組みをして既に市町村によっても大分進めているという状況である。経費的な面などについて、我が会派で検討した結果、今回の請願に対しては継続審査でお願いしたい。
◯大久保委員長 本件に対する採決に入る。
本件については、採択、不採択、継続審査の3つの意見が出された。本件については、継続審査を求める意見があったので、まず、継続審査についてお諮りをする。
本件を継続審査とすることに賛成の方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯大久保委員長 賛成少数であるので、本件を継続審査とすることは否決された。次に、本件を採択することに賛成の方の挙手を求める。
〔賛成者挙手〕
◯大久保委員長 賛成少数である。よって、本件は不採択と決定された。
以上で、請願・陳情の審査を終了する。