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前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

9月県議会厚生常任委員会 医療施設の耐震化、国保、福祉施設の移譲問題など

2011年11月29日 | Weblog
☆健康福祉部関係
●医療施設の耐震化
◯佐藤委員  医療施設の耐震化について、公立丹南病院などが上がっているが、公立関係もまだ耐震化が終わっていないのかと正直驚いた。病院の耐震化と建てかえについて、改めて聞きたい。県内の公立、民間も含めた病院で、耐震化の終わっていないような危険な病院、つまり今回の大震災のときに機能が果たせなくなるような大きな病院は、どの程度あるのか。


◯地域医療課長  耐震化であるが、災害拠点病院というのがある。災害時に拠点となって活動する、24時間、常に活動している病院が県内に8病院ある。その8病院については、耐震化の事業が終了する平成24年度にはすべて耐震化ができるというのがまず第1点である。
 災害拠点病院ではないが、救急患者の対応としては、二次救急、三次救急と分かれている。初期救急は日帰りできる方を受け入れている。入院が必要な重症患者を受け入れる二次救急病院は35施設である。今耐震化がこの事業の終わりまでに完成する施設が27である。耐震化率としては77.1%である。
 救急関係であるが、災害拠点病院と二次救急あわせると全部で43病院あって、耐震化が平成24年度までに完了するのが35病院で、耐震化率は81.4%である。
 それで、病院全体は72ある。それ以外にもあと二十数施設あるわけであるが、72あって、その中で完全に耐震化が完了済みの病院は51で、耐震化率は70%である。


◯佐藤委員  学校だと文部科学省も力を入れて、もちろん県も力を入れて進めようとやっているが、病院がまだ全体として70%、もちろん拠点病院は来年度には完了するとか、来年度完了でも遅いかと思うぐらいである。そういう計画であるが、耐震化促進計画のようなものを国や県で持っているのか。


◯地域医療課長  耐震化については、国の医療施設耐震化の臨時特例交付金というのがあって、それをもとにして、平成21年と平成22年に耐震化の基金を積み上げ、その基金で事業をしている。基本的には事業主の病院が2分の1で、県が2分の1を負担するというものである。
 この基金の交付金が平成23年度の着工までということで、でき上がるのが大体平成24年度ぐらいまでになるが、それまでの期限として二十数億円の基金を積んでいる。それで、今ここに記載された病院では、耐震化が進められているということである。


◯佐藤委員  平成24年度に終わって平成25年度を迎えるときには、全体の何%程度の病院の耐震化工事が終わるのか。


◯地域医療課長  病院全体として、77%の耐震化が進むので、全体の23%程度は残ることになる。


◯佐藤委員  どこの病院であっても災害のときには拠点になると思う。地域の医療機関であるから、基金がなくなった後はどうするのかという問題も出てくると思うが、平成25年度以降についてはどう考えているのか。


◯地域医療課長  今申し上げたのは、臨時特例交付金で二十数億円という話であって、この制度が終わっても医療提供体制施設整備交付金という国の補助金がある。これも同じく補助率が2分の1である。ただ、この交付金であると上限額が低くなってくる。基金の場合であると、例えば基準額が二次救急の病院であると14億円などと非常に高い額であるが、交付金では非常に低くなってくる。でも、上限額自体は低くはなっても、助成自体は別の補助金で続くので、これを利活用いただくことになろうかと思う。


●福祉事業団施設の移譲問題
◯佐藤委員  30億円のお金が県から出せないから譲渡するという部長の答弁は、県民に対して説明ができないと思う。福井県は30億円を出せないから、500人入っている施設を民間へ譲渡してしまうという話である。

◯健康福祉部長  建てられないと申し上げたつもりではない。平成22年2月の陳情としては、これらの福祉施設については、指定管理者制度を絶対条件みたいな形で入れて運営をしてきた。そちらのほうが、まずは継続的にできるということを、まず、考えるというところがメインで、福祉事業団にしようという場合に、公の施設のままでおいておけないというところを勘案して、当然、県側の経費はなるべく安くしたいとの思いがある。二つの条件を勘案したときに、選択肢としては、それだという判断をさせていただいた。それと、やはり金額というのも大事である。試算的な部分も時期的にいつやるかどうかという話で判断するときに、一遍にそういうお金を出すのか、その辺を4分の1にするのかというと、当然、県としてのゴーサインの出し方も変わっていく。それらを二つあわせて、少なくとも、今、公的な施設である限り、指定管理者を続けざるを得ないという点を除くと、今の一番のメインである恒常的な職員によって世話をしてほしいというところが、なかなかかなえられないということである。


◯佐藤委員  もともと、公的な施設であったものを指定管理者制度に移行した。そして、指定管理者制度に移行して、いろいろ幾つかのところから応募があったが、福祉事業団を指定管理者として県が選んでいるということである。今後、その指定管理者制度が続く限り、必ずしも事業団がとれるとは限らないということで、不安定になるということも理由の一つだということである。そうであるなら、逆に、その指定管理者制度の詰めをするのは、県が選定委員会をつくってやるわけである。まさに、駐車場の運営とは違う。駐車場の運営では、相手は人間ではない。駐車場という箱物をA業者がやろうと、B業者がやろうと、ある意味では、県民に迷惑がかかるという問題は出てこないと思う。今回の福祉施設は、500人近い県民の方にサービスを提供している施設であるから、そういう継続性を考えた選考をすればいいのである。


◯健康福祉部長  確かに、委員のおっしゃるとおりだと思う。指定管理を入れるときに、直接選定なりという方法もあったと思う。実際に指定管理を入れて、今の状態で運営できる。ただ、今の施設管理は県であるが、運営自体は県の職員ではない。あくまでも県の資本は入っていても、民間として運営している。だから、そこら辺を勘案してやるときに、本当に今の状態で保証できるかというと、制度的に保証はできないという部分がある。ただ、未来永劫、運営をしてほしいという要望にこたえようとすると、やはり福祉事業団だろうということで、いろいろ勘案し、ほかの施設の方々ともいろいろ話をさせていただいて、今の案に至ったところでもあるので、確かに考え方としてはあると思う。それらも、総合的に判断した結果ということで、説明したところである。


◯佐藤委員  この陳情の詳細は知らないが、主体である事業団やその関係者から出された陳情だろうと思うが、現状だけ考えると、そういう結論になるのかもしれない。国からのいろいろな交付金等の公的制度を借りて、今の税と社会保障の一体改革で、いろいろな社会保障分野も今のままだと切り刻まれていく可能性が強いわけである。だから、市町村合併でもそうだったが、来ると思っていた金が全くあてにならないということがあったように、今の国の制度上とか、いろいろなメニューの上に乗って、未来永劫、安全だろうとはだれも言えない。福井県が責任を持って施設を運営していくといったほうが、まだ、県民500人近くは安心できると思うが、違うか。


◯健康福祉部長  国の制度は確かに変更ということはあり得ると思う。現に政権が変わったからということではない。日本でも世界でも、障害者の方々を保障するという意味で、日本国だけがそういう制度を変えるということではない。全世界の標準にあわせるために検討されている。そのベースの中でやっていくことを信用できないという形では、行政も仕事はできない。その方向の中では、これで十分やっていけると考えている。


◯佐藤委員  結局、医療機関にしても同じことである。厚生労働省は、ころころとメニューを変えてやっている。だから、いろいろな介護施設をつくっても、それが、今までより補助金が減ったり、あるいは、その補助金はなくなるかもしれないなど、いろいろなことが現場ではある。障害者の分野でも、当然、政府の発想がかわらない限りあり得るということは言えると思う。いずれにしても、国では来年3月末に議案が出されるということである。関係者の皆とよく相談し詰めて、もう少しお金を出したらどうかという意見があったが、やはり、もう少しお金を出すだけでいいのかということも含めて、考えていかないといけない。将来に禍根を残すことになると大変申しわけないと思うので、意見として言う。


●学校給食でのセシウム牛肉の未公表問題
◯佐藤委員  牛肉の話が出ていて、いろいろ業者名まで含めて公表されたが、学校関係は公表しなかったのは、なぜなのか。


◯健康福祉部長  業者名を公表したのは最初の3例である。その基準が急に出てきた話であるし、どこまで汚染があるのかわからない。それと流通した過程では、残っている可能性があるだろうということも含めて、消費者の安全と事業者の安全を考慮した結果、最初の数例は出させていただいた。ただ、その後、検査の結果とかそのレベルを見る、あるいは、ほかの県でも調べている結果を見ると、ほとんどが基準を超えていないという状況である。
 県でもそういう追跡をした中で、基準を超えていたものについては、後であっても公表させていただいている。だから、先ほどの中に500ベクレルという数字が、正しいかどうかは別にしても、事業者にとってはこれを超えない限り法律違反ではないのである。それを比較考慮したときに、どちらだろうということを何例かやった後に、いろいろ検討した結果、検査をして超えていないことを確認するなり、あるいは、ほかのところでも超えていないだろうと判断できるものについては、もう公表しないことにした。これは、ほかの県などの事例を調べても、基本的には公表しないほうが多かったということである。それで実際上、超えたものについては公表させていただく。そういう判断基準で対応している。
 それともう一点は、各スーパーマーケットとか、いろいろな卸のところで、こういうものがあったという情報は県にあったが、少なくとも確定的に福井県に入っているという情報をいただいたものについては、もうそれこそ端まで全部追跡をした。そういう作業ができるところだけをそういう範疇の中でやらせていただいて、そのほかのものについて、どういう形で公表するかというところについてまでは、判断していないというのが現状である。


◯佐藤委員  この基準値を超えたら公表する、超えなければ公表しないというのは一つの判断かとは思うが、学校給食などの場合はそれでいいのかということがあると思う。結局もう子供の腹に入ってしまったのだから、今さら公表しても仕方がない、公表するかどうかは、それぞれの学校とか教育委員会の判断だということだけでは、済まないという問題もあると思うが、どうか。


◯健康福祉部長  非常に微妙な問題だと思うが、この500ベクレルという基準自体が、1キログラム当たり500ベクレル含まれるものを1年間食べ続けて、初めて健康に影響が出るというレベルということで基準がつくられている。それが本当に正しいかどうかは、諸説があるのかもしれないが、その中でもなおかつ、せいぜい食べても数10グラムで、それも1回であれば、もう本当に微々たる影響なので、それは自然界で浴びている放射線とどちらが多いのかということになると、そこの部分は冷静に判断すべきなのではないかということである。当初の県が最初に公表した部分も、そういう部分なしに超える可能性があるということで出させていただいたが、そういうところまで調べていくと、本当に公表したことによって、ほかの影響とバランスを考えたとき、どうなのかということは一つの判断材料としてさせていただいている。


◯佐藤委員  バランスということもあるかもしれないが、やはり今これだけみんな国民全体、住民全体が関心を持って注視をしている。ましてや、子供の口に入る給食の問題は、親御さんにしてみれば一番関心が高い。だから公表して、こういうレベルだから心配ないということを言うのと、公表せずに黙って、そもそもその事実を知らせないでいるのとでは、全く問題の次元が違うと思う。


◯健康福祉部長  少なくとも、県に情報が入ってきたものについては、追跡をしているし、その上で流通していたこと自体については、公表している。店名までは公表していない。幸い、牛肉の場合は個別の識別番号があるので、実際、本当に心配であれば、その個別の識別番号を見て確認していただく。ただ、県がまだ追跡していない部分はその限りではないが、県として情報を得て、追跡したものについては、すべてホームページ上等で公表させていただいて、確認をしていただくことで、基準以下であるという事実は、理解できるような形になっている。


◯佐藤委員  発言の趣旨は、情報を公開し、県民に対して、いろいろな意味で注意も喚起するし、お互いが今後の対応もきちんとするというようにしていったほうが安全・安心につながると思ったので、質問した次第である。


●看護師問題、国保問題
◯佐藤委員  看護師充足対策費等も今回予算に上がっているのだが、福井県内の看護師の不足数は何名くらいか。

◯地域医療課長  看護師については、現在、需給見通しを立てている。現在、実人員で申し上げると200人ほど不足している状況である。

◯佐藤委員  敦賀市の短大を看護系の4年制大学にするという動きがあり、いろいろ敦賀市議会でも議論されていて、年間では、敦賀市として3億円も出しており大変だとかいろいろな意見があると聞いている。一方で、看護師養成の立場からはぜひつくって、今、福井県に全国からもそういう人材を集めることができるのではないかといろいろな議論があると聞いている。これに関しては、県としてどういう姿勢なのか。


◯健康福祉部長  敦賀市で検討されている看護師養成については、今の、敦賀市が養成している数から若干ふえるだけの人数と聞いているけれども、それ自体を敦賀市の判断でやられるかについては、看護師の需給についてはあくまでも敦賀市の意向だと思う。ただ、先ほど、今200人ほど看護師が足らないと言っているけれども、実際は本会議でも答弁させていただいたところであり、新卒で300人以上が就職されていて、なおかつ、やめた方で400人ぐらいが再就職しているが、やめる方がそれ以上に多いという状況である。
 特に、先ほど斉藤委員からも話があったように、勤めて3年以内にやめる方というのが非常に多い。これは、県立病院だけでなく、就職したその年内でやめるという方が非常に多いものであるから、各病院とも新人の看護師をいかに離職させないようにするかということで、さまざまな取り組みをやっている。そのためには初任者の研修であるとか、自分だけが急にそれをやれといってもできないので、教えてくれる人がいればやめる率が少なくなるという実績もあるので、各所でそういう取り組みをやっている。
 それともう一つは、出産時にやめる方が多いので、そこをどうフォローするかというところであるので、養成も確かに大切だと思うが、実際に勤められた方々に勤め続けていただく、あるいは、一度やめても復職していただけるような対応というのが実質的には効果としても大きいのではないかと思っている。


◯佐藤委員  勤め続けてもらう上では、さっきもいろいろ議論があったように労働条件の改善の問題とかが必要だと思う。以前も議会でも取り上げたことあるが、県立病院の看護師だと、休職については、純粋に病的な方は10名前後と聞いた。切迫流産などは、各部局の中では断トツに多いという数字が以前は出ていたけれども、それだけ過重労働ということであるから、それをどう軽減していくかとか、そういうことを全体として考えていかないと、うまくいかないのではないかと思う。
 それともう一点は、国民健康保険の財政安定化支援方針は、所得割を加えるということで、この保険者拠出金でいうと、例えばどこの自治体がふえて、どこの自治体が減るような計算なのか。


◯長寿福祉課長  全17市町のうち、所得割を10%導入したことによって、負担がふえるところが6市町ある。一番ふえるのがあわら市で、1人当たり900円、次が永平寺町であって1人当たり700円、敦賀市が300円、越前市が200円、鯖江市が100円、坂井市が100円といった形で、その他の市町については負担が減ることになる。試算は平成21年度決算ベースで行っている。


◯佐藤委員  あわら市は国保財政の運営が割と厳しいところだと聞いているのだが、あわら市の負担をふやすというのは、どういうことか。


◯長寿福祉課長  あわら市の負担をふやすという観点で入れたのではなく、この再保険事業の拠出金が医療費実績割と均等割の2方式でとっていることに比べ、保険税については所得割と均等割の2方式でとっている中で、特に小浜市の例でいうと、これまで小浜市の場合は、医療費を低く抑えていながらも課税所得が低いために、交付金が2億9,000万円ある中でも拠出金が3億4,200万円というように、拠出超過に陥っている。
 こうした拠出超過に陥っている場合に、ほかの市町の医療費を肩がわりしているといったことが指摘されているので、そうしたところに所得割を入れることで、市町間での支え合いによる支援を強化していくことを目的として入れるものである。


◯佐藤委員  保険税の収納率目標も第一、第二目標ということで決めているが、この県の調整交付金についてインセンティブを置くということは、具体的にはどういうことか。


◯長寿福祉課長  資料の本文6ページに、現在の各市町の保険税収納率と、第一目標として太線で書かれているのが保険者規模別の全国平均の率である。あわせて第二目標として細い線で書いているが、例えば福井市で申し上げると、福井市は5万人以上の保険者になるので、この太い線、第一目標をクリアすると300万円を交付するという形になる。さらに、その細い線、第二目標をクリアすると、1,000万円を上乗せして県調整交付金の1号交付金で交付する。さらに、それ以上、第二目標を1%以上超えている場合に、1%超えるごとに加算金として100万円ずつ交付するという形をとっている。これを保険者規模別に金額を設定して、インセンティブを付与している。


◯佐藤委員  本文9ページの収納対策の共同実施にも書いてあるように、これまでも国民健康保険税の滞納世帯がふえてきている。それにはいろいろな要因があるだろうが、それだけ貧困世帯がふえている、要するに、不景気でリストラされて定職がないといった世帯がふえている状況があると思う。そういう貧困世帯がふえて滞納者数がふえている中で、こういう収納率だけのインセンティブをかけるというのは問題ではないのか。


◯長寿福祉課長  保険財政を安定的にしていく観点からすると、収納率を高めていくということは大事なことだと思う。収納率目標をきちんと明示して、市町の取り組みを支援していこうということと、一方で、今回、収納対策の共同実施で滞納整理機構の活用といったことも、これまで平成21年度から県税務課や各市町と共同で行っている取り組みである。主に悪質な滞納者の方々に対してきちんと税を払っていただくということが大事だと思うが、特殊な事情については各被保険者の方々と接触の機会をきちんと持つ形で、その特殊な事情を酌み取って、単純に資格証明書を出していくとかいったことがないような形で進めていきたいと思っている。ここは両立させていく考え方をとるべきではないかと思う。


◯佐藤委員  課長が頑張っていろいろとつくられたかもしれないが、そんなに簡単にはいかないと思う。今言ったように悪質で、もともとお金がある人がどんどん滞納しているのなら成り立つが、もともとお金のない人が滞納して貧困がふえているわけである。民主党政権は増税するのであろう。増税したらまた保険税が上がる。そういうことを繰り返して悪循環になる。それで行政に対しては徴収率を上げたらインセンティブを付与して、さあ取り組むというようなやり方をしていても、県民の暮らしとしては回っていかないと思うが、その辺はどう考えるのか。

◯長寿福祉課長  今後、社会保障と税の一体改革でも低所得者対策という形で、公費2,200億円近くを入れていくということが考えられているが、国保に加入されている被保険者の方の平均所得は、ほかの被保険者に比べれば非常に低いということも事実である。今後、国保でも被保険者に対する医療給付費がどんどんふえていく中でも、国保の被保険者の所得が大きく伸びていくことは余り見込まれないわけであるので、保険料で確保すべき金額がやはり今後余り満たせなくなってくることも想定される。やはり、社会保障と税の一体改革で議論されているような低所得者対策という形での保険料の軽減といったものを今後、国でも議論しているが、そういった中で県としても支援していくところはきちんと議論をして、支援していかなければいけないと思っている。


◯佐藤委員  要するに、県単位の国保とかそういう方向で進むとか、そういうこととは全く別問題であるか。


◯長寿福祉課長  現在、平成30年度に全年齢で都道府県単位化による国保運営をしたいということを全国レベルで議論されている。今回の財政安定化支援方針については、平成22年度改正国民健康保険法の内容で運営の広域化、または財政安定化という2つの目的のためにつくることができるといった中で、財政の安定化を目的としてつくるものであって、県としては現時点で、その広域化といったことは考えていない。


●「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」が不採択に!
◯大久保委員長  それでは、今回付託を受けた請願第3号「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等について意見書提出を求める請願」を議題とする。
 本件に対し、各委員より発言を願う。


◯佐藤委員  紹介議員になっているので、採択をお願いしたいと思う。請願書に書いてあるとおりであるが、今の生ワクチンでは、実際にさまざまな障害とかが出ているという報告があるので、一刻も早く不活化ワクチンが必要ということで、政府も来年度からやる方向になっているということもあるので、採択をしていただきたいと思う。
 現状では、個人輸入している病院で接種すると、3回で1万8,000円ぐらいかかるとかという高額の負担になっている。実際には、親としてみれば安心を求めて、そういう方向に行くというようなこともあるので、この請願の採択をお願いしたい。


◯仲倉委員  今ほど説明もあったように来年度から導入するということだが、この中で費用負担のあり方について、予防接種制度を維持していくためにも増加する需要に見合った恒久的な財源を確保することも必要である。慎重な議論が必要であるということも考え、現時点では、国の動きとして前向きに来年度取り組む姿勢を示していることから、意見書提出を求めている今回の陳情は、不採択としてお願いしたい。


◯山本(正)委員  今、仲倉委員から話があったが、一応政府としても取り組みをして既に市町村によっても大分進めているという状況である。経費的な面などについて、我が会派で検討した結果、今回の請願に対しては継続審査でお願いしたい。


◯大久保委員長  本件に対する採決に入る。
 本件については、採択、不採択、継続審査の3つの意見が出された。本件については、継続審査を求める意見があったので、まず、継続審査についてお諮りをする。
 本件を継続審査とすることに賛成の方の挙手を求める。

      〔賛成者挙手〕


◯大久保委員長  賛成少数であるので、本件を継続審査とすることは否決された。次に、本件を採択することに賛成の方の挙手を求める。

      〔賛成者挙手〕


◯大久保委員長  賛成少数である。よって、本件は不採択と決定された。
 以上で、請願・陳情の審査を終了する。
       

9月厚生常任委員会 原発問題、ストレステスト、防災対策など

2011年11月29日 | Weblog
9月福井県議会厚生常任委員会 安全環境部関係

●大気汚染防止法及び水質汚濁防止法
◯佐藤委員  大気汚染防止法及び水質汚濁防止法等の法律で、規制対象となっているのが県内には何事業所くらいあるのか。そのほかの条例で規制対象となっていない工場等は何事業所くらいあるのか。


◯環境管理審査室長  まず、大気汚染防止法で規制対象となっている事業所は899事業所ある。それから、水質汚濁防止法で対象となっている事業所は524事業所、公害防止条例で対象になっている事業所は80事業所ある。この80事業所のうち、大気汚染防止法、または水質汚濁防止法の施設を有する事業所が74事業所あり、条例のみという事業所は6事業所である。


◯佐藤委員  ほとんど国の法律でカバーしているということになる。行政検査もやるとのことだが、この20年間にあった違反事例は何件か。


◯環境政策課長  排出基準違反の件数という質問であるが、手元資料に数字がないので、後で説明させてもらう。


◯佐藤委員  よく市民からこの手の通報が来る。行政に来る場合もあるし、例えば、私ども県会議員もしくは市会議員に、ばい煙が出てくる、川が汚れているとか、いろいろな通報がきたら、行政に報告する。そういう場合には、基本的にすぐに行政として見にいくというスタイルができているのかどうかを確認したい。
 それと、従来から言われている立ち入り検査、行政検査をする場合に、事前に通告して行くのか。そのときにはもう事業所は何かうまく数値が出るように処理するというようなことになる。なので、予告して行くのでは、何の摘発にもならないということがある。その辺はどうか。


◯環境管理審査室長  県にばい煙、汚水などの苦情が入ったら、最寄りの健康福祉センター職員が現場に行き、現地を調査する。事業所が原因ということであれば、その事業所に立ち入って原因を究明することにしている。
 それから、行政検査を年間計画を立ててやっているが、行政検査については抜き打ちで実施している。


◯佐藤委員  抜き打ちでやって、実際にどうなのかというのはあるが、事業所には、ごみの処分場の事業者や汚水を処理したりする事業所も含まれているのか。


◯環境管理審査室長  廃棄物焼却炉、最終処分場は法の対象施設になっている。


◯佐藤委員  敦賀市の民間最終処分場の場合は、これまでも市民等から汚れた水が出ているということで、再三通報があった。ところが当時の福井県は、木ノ芽川の測定を排出口ではなく、既に希釈された川の中で測定し、基準値以内で大丈夫だという報告を再三県議会にしていた。今回そういう対応を改めるということか。


◯企画幹(環境)  県では、県民の安心・安全を守るために必要と思ったときにはきちんと行政検査を含めて、厳正な検査をやって対処していくスタンスである。


◯佐藤委員  敦賀市の民間最終処分場の場合は、県がきちんとやらなかった。そういう反省を踏まえてきちんとやっていただきたいということを要望しておく。


★安全環境部関係
●放射線モニタリング、防災計画
◯佐藤委員  箇所数については、確か各市町に1カ所設置するという報告があった。今は市町村合併で市町村が減ったからこの数になったのであるが、行政区域で設置するというのは一つの判断だが、例えば、旧来の35市町村で、例えば、旧越廼村の住民はどうなのか、旧美山町の住民はどうなのか、福井市役所だけに1カ所置くだけで、ほかの福井市には置かなくていいのか。


◯原子力安全対策課長  具体的な設置場所は、今は市町村とやりとりをしているので明確には答弁できないが、今福井市では、例えば福井市原目町の環境分析センターには既に国のポストがある。だから、ここに1局置こうとすると別に福井市内ということではなくて、もう少し範囲を広げて設置場所を考慮している。そういう意味では、過去、例えば南越前町であると、既に市町村合併の前の河野、甲楽城、今庄では既に設置済みであったりするので、今回の計画では、嶺北の11市町村には1局ずつは配備される。1局以上配備されるところもあるが、現状としては、どこに置くかを各市町役場の担当者といろいろ相談しながら、場所を選定しているところである。


◯佐藤委員  単純に言うと、箇所数をふやせばふやすほど有効にはなると思う。ただ、今回問題になったSPEEDIシステムとの併用とかいうことになるのかと思うが、国の話を聞いていると、FAZを設けてとにかく何かあったらすぐに避難する。何キロになるかわからない。10キロになるのか、20キロになるのかどうかわからないが、そこはもうすぐに避難してもらう。あとのところは、このモニタリングでカバーするというような感じに聞こえているが、それらを踏まえた福井県の計画なのか。


◯原子力安全対策課長  環境のモニタリングの考え方を説明する。先ほど来、81局は固定ということで、その場所でしかはかることができない、簡単に言うと固定の観測局で、これは、その場所で観測するということである。一方で、県で持っているのは可搬型と言われている、持ち運びができるようなモニタリングのシステムである。現状は5局持っており、うち2局が既に福島県に、事故以降すぐに貸し出しをして、今でも測定をしている。そういう意味で、将来的には可搬型と呼ばれる、どこにでも置けるようなものの数をふやすことなどを国に求めて、広範囲な測定がケースに応じて可能になるような備えができるよう、国にも働きかけている。


◯佐藤委員  今福井県が見直している原子力防災の計画でもそういう可搬型を何機ぐらい準備をして、風向きに応じ風下に可搬型を配置するイメージで考えているのか。


◯危機対策監  委員指摘のように、今防災計画の見直しの中でも、モニタリングポストの配置、可搬型モニタリングシステムの応急時の動かし方も当然、考慮に入れた形での防災計画を考えている。


●津波のシュミレーション
◯佐藤委員  今の事業のケース想定を教えてほしい。


◯危機対策・防災課長  検討委員会の中で5つの波源を選んでいただきたい。今、事務局で考えているのは、秋田沖とかにある日本海東縁部周辺の断層、それから若狭湾にたくさんある断層の中から連動してどう動くかということを委員会の中で選んでもらう。それを基にどこの断層が動いた場合、福井県のどの地点に一番高い津波が来るのかというシミュレーションで予測検証したいと思う。


◯佐藤委員  協力依頼するのは、石川県とだけか。あるいは若狭湾の関係で京都府等とも協力するのか。


◯危機対策・防災課長  石川県と協力するのは、日本海東縁部のところを石川県で策定しているので、石川県の情報もお借りしながらやっていきたいと考えている。
 あと、鳥取県、島根県においても、同じ日本海東縁部を使っているので、その辺も一度情報提供していただけるものがあるなら、データ等をいただきたいと思っている。


◯佐藤委員  石川県が協力というと、石川県が既に調査したデータをお借りしたいという話の協力で、何かこの事業調査を共同でやるという話は全くないのか。


◯危機対策・防災課長  石川県にはデータの提供をいただきたいという趣旨で、同じ東縁部を選ぶのなら、石川県ではどういう検討内容で、どの東縁部を選んだかを福井県の検討委員会の中で提案し、もう一度検討していただきたいと考えている。



      
●原発問題 ストレステストなど
◯佐藤委員  小話がある。スリーマイル島の事故があった時、東京電力の社長が「あそこの原発は加圧水型で、うちは沸騰水型だからあんな事故は起きない」と言った。チェルノブイリの事故があった。「あそこは黒鉛炉で、日本の原発とは全く炉型が違うので、日本の原発は大丈夫だ」先日、関西電力のPR館へ行ったら「東京電力の事故は大変申しわけないが、あそこの原発は沸騰水型でうちの関電は加圧水型である」こういう話だ。こういうことで、いまだに関電がそういうことを言っていることは問題だと思うが、安全神話とか安全宣伝がやられてきたと思っている。
 先日、森社長が官房長官にお会いになって、とにかく8月なんて悠長なことを言わず、もっと前倒しで再稼働を認めてほしいということが新聞報道された。これまで電力事業者というのは、割と地元を重視していろいろな再稼働問題とか、いろいろな問題は地元で合意を得てから動くということだったと思うが、今の部長の話だと地元は全く合意してない。そういうところで、頭ごなしに官房長官にそういう要請をしたということについては、どう考えているか。


◯安全環境部長  新聞では承知しているが、詳しい話については承知していない。関西電力は電力事業者全体の電事連の会長も務めているので、全体の電力、原子力のお話があったのかと思うが、今御指摘の地元のことについては、例えば、プラントの再稼働という話になれば、当然、立地の同意は真っ先に必要になるわけで、その辺のスタンスは変わってない。


◯佐藤委員  以前お聞きしたときはストレステストと県が求めているのは全く別物だと言っていた。関西電力は順次ストレステストをやって、終わったときのまとめは出てくると思うが、県はストレステストの状況と結果について、どういう報告を受けているのか。


◯原子力安全対策課長  ストレステストについては、現在事業者で国へ提出すべく準備中という段階だと認識している。県としては、国に提出された段階で内容を詳細に把握していきたいと考えている。


◯佐藤委員  ストレステストについて、国がこういう項目であると決めたが、前のときに課長は一体どういうものが出てくるか、アウトプットされてくるかよくわからないところもある。よく見ていきたいと言ったがそれは全く手づかずということか、それとも何らかの形で国とか関西電力、日本原電等と中間的な情報提供を受けて、事務レベルではいろいろチェックを掛けているのか。


◯原子力安全対策課長  どういう項目でやるかというのは、国の指示項目となっている。具体的には、例えば地震、津波、全交流電源と言われる喪失、最終のヒートシンクと言われる熱循環がないという、これら4項目の第一次評価をやれということである。その中で、具体的には、例えば耐震だと今までの評価は基準地震動に対して重要な機器が壊れないという評価であったものを、今度は逆に震度を上げていくとどれぐらいでこの機器が壊れるかという評価をくみ上げていく。いわゆる、燃料の損傷に至るような機器が壊れる、それぞれの震度の大きさをシナリオとして組み立てる。そういうものの動かし方についての概略について、国及び事業者から説明を聞いているが、結果としてどういう形のものが出てくるかまではまだ把握していない。


◯佐藤委員  先日、共産党が保安院に行ったときに関電がやると、原電がやると、保安院がチェックして安全委員会がダブルチェックするというようなことである。従来の仕組みと変わらないと批判をしたら、保安院が「そういう批判もあるので、極力透明性に努めたい」と言った。透明性に努めるだけで体制が変わるものかと思ったが、県としてストレスチェックについてどう評価するかというのは、従来の事業者が出したものを保安院と安全委員会がチェックしたものでいいと思っているのか。もう少しどういう形で妥当性を見るべきだと考えているか。


◯原子力安全対策課長  県としてどう考えているかということに対しては、国は国としてのやり方があるし、県は県なりの安全専門委員会、検証委員会等で県民にわかるような形でまず説明してもらうことが大事である。その上で、国の審査が終われば、審査の内容等もきちんと把握していきたいと考えている。今回のストレステストについては、どのタイミングかがわからないが、国ではIEAEの評価が出ているので、そういうものの動きがどうなるかも含めて、注視していきたいと考える。


◯佐藤委員  そこで県の求めている要件との絡みなのだが、そのストレステストと交わるところがあるのかないのか、その辺もう少しわかりやすく説明を求める。


◯原子力安全対策課長  残念ながら、今回の事故で、例えばこれが壊れたという部分と電源は使えなかったという、はっきりしている部分とはっきりしない部分があるので、今回のストレステストの評価結果がどの程度福島の事故を反映できているのか。そういうことも含め、国へ9月15日に申し上げているが、県が今まで求めていたものの回答がそのストレステストの結果の中にあらわれてくるかどうかは、県としても想像できない状況である。


◯佐藤委員  前回、保安院は福井県知事が要請している暫定的な基準というのは、残念ながら示せないと保安院自身は言っているということを伝えた。実際にそういうことになると、福井県とは平行線ということになる。しかし、平行線のままでいくのかは、部長報告で言う本県の立場に変わりはないというのは、従来の国の立場に変わりはないということだろうが、県が求めている要件を国が認めるように国との話は今どうなっているのか。私どもが8月10日に保安院に行った際には、そういうことをやるつもりはないという回答だった。その後の変化はあるのか。


◯原子力安全対策課長  国の立場でどのように言われたか、我々は認識はしてないが、一つには6月21日のIAEAの報告を受けた。国としては、いろいろ県、県議会からいただいた意見に対していろいろな回答はすべきだと国自身としては考えていると県が理解しており、その県が求めている中身については、例えば地震、津波とか、先ほど来言っているような内容についても国に求めているので、そういう意味では国としては、できればそういう中身の回答をしたいということで、いろいろ考えていると理解している。


◯佐藤委員  国自身は、今回の福島事故で先ほど議論があったが、地震の影響はなかった。なかったというのは、非常用のディーゼル発電器は起動した。津波でとまって炉心溶融に至ったという説明を繰り返しているわけである。そういうことでは、さっきもいろいろ議論があったように、県民は全く納得していない。大体、福島原発そのものが何らまだ検証するどころか、事故そのものがまだ収束できてないわけだから、事故検証のとき、ペーパー上の、あるいは数値上のデータだけを見て地震では大丈夫だったと言われても、全く信頼できないというのがこれまでの主張だと思う。県としても国のストレステストとか出てくるが、これまでずっと、そういう体制で失敗してきたわけだ。事業者がやって、保安院が審査して、安全委員会がチェックして、それで失敗したわけだから、同じ体制でチェックするというのはだめだということを含めて、部長から言うべきである。


◯安全環境部長  ストレステストについては、今後どのように進めていくのかを国にも確認をしていきたいと思う。国では透明性を説明されてきているが、今までどおり電力事業者や保安院だけで進めるのではなく、第三者的にチェックする体制が望ましいということで考えている。


◯大久保委員長  ここで休憩し、午後1時から再開する。

                              ~休  憩~


◯大久保委員長  それでは、会議を再開する。
 まず、午前中に佐藤委員から質問のあった、条例改正関係で排出基準違反件数について、環境政策課長から説明する。


◯環境政策課長  午前中即答できなかった条例関係の排出基準違反件数について説明する。過去10年間、具体的に言うと、ことしはまだ集計してないので、平成13年度から平成22年度までの10年間で行った行政立入検査の集計結果では、排出基準の超過が判明したケースで、大気、ばい煙の発生施設については10件、排水の発生施設については105件あった。これらの施設について、見つかった後どうしたかということについては、基準超過が見つかったその時点で事業者に対して、どういった原因でそういったことが起こっていたのかを解明するよう改善指導を行う。改善が完了したと認められた時点で運転を認めるという形をとっていて、午前中立入検査は原則3年という説明をしたが、こうした事業所については翌年必ず行くという対応をしている。


●「もんじゅ」について
◯佐藤委員  斉藤委員の主張には、同感できる点が多い。
 こういう事実にはもっと謙虚になるということが非常に大事である。本当に反省すべきは反省して、福井の原子力行政を見直すべきは見直すということが必要だと思う。
 「もんじゅ」をこの間見学に行ったら、「もんじゅ」は20数メートルの高さのところにあるので、津波等の心配はないというような説明を事業者はしていた。「もんじゅ」で仮に、全電源喪失などの事故が起こった場合は、どういう対応になるのか。


◯原子力安全対策課長  「もんじゅ」についても、今回の事故後、電源車を配備しているので、非常用ディーゼル発電機がだめになった場合を想定しての電源車配備は、既に完了している。


◯佐藤委員  「もんじゅ」の本体は20数メートルかもしれないが、当然、海から取水しているわけであるので、今の話のように、地震によって取水の施設が破壊されたらどうなるのか。


◯原子力安全対策課長  今指摘の取水ポンプは非常用ディーゼル発電機に水をくみ上げて冷却するような設備なので、その取水設備については、現状で津波の高さを考慮して、標高6メートル、1.5メートルぐらいのカバーを今設置しているが、非常用ディーゼル発電機の運転がだめになった場合に備えて、電源車の配備をしているということである。


◯佐藤委員  「もんじゅ」はナトリウムを冷却材に使っているということで、先日の説明では、「もんじゅ」は空冷であるので、仮に、取水がだめになっても空冷だから心配ないという説明をして、一体どの程度でもとに戻るのかといったら、三日間ぐらいというような説明であった。
 高温の原子炉を空冷により本当に三日間でもとへ戻せるのかというのが疑問なのと、あと電源車を配備して、きちんとその電源上の手当を、ナトリウムは逆に温め続けなくてはだめである。普通は水をどんどんかけて冷やせとなるが、「もんじゅ」の場合は冷やすためにナトリウムをかけるわけにもいかないので、配管が壊れないとすれば、ナトリウムを温め続けないといけないということもあると思う。その辺は大丈夫か。


◯原子力安全対策課長  今、委員指摘の問題には、二つのポイントがある。
 100%で運転していて急にとまった後に、その発生している熱を空冷で冷やす。空冷で冷やすに当たっては、三日間程度必要であるとのことである。ある意味で、本来はファンを使って空冷の空気を強制的に扇風機みたいに押し込む場合と、ファンが使えなくて自然に空気が流れる場合の二つがあるので、電源があってファンが使える場合はオートコントロールでもう少し早く下げられると思う。電源がなくても、建物の横手から空気が入って、冷却機の中を空気が自然に上へ上がるのが自然冷却である。ナトリウムは自然循環ということで、温かいものが上に行って、その空冷機の中で冷やされて、下で原子炉に戻る。空冷の自然循環のナトリウム冷却ということで、三日程度で200度ぐらいまでは下げられるというのが運転中の事故が起きた場合のケースである。
 もう一つは、残念ながら原子炉の発熱は非常に小さく、ずっととまったままであるので、そういう意味では、ナトリウムが凍らないようにというような形での電熱ヒーターで大体200度でコントロールしながら、維持している。その電気というのは、非常用ではなく、常用の電源系で現在供給している。
 基本的には、発熱がない状態で電気がとまってしまうような状態も一つ考えられるので、そういうケースにおいて、「もんじゅ」についてどうかということを、県から今回の事故後に、文科省も含めて国へ検討するように申している。今、機構で設置したシビアアクシデント対応等の検討委員会の中でそういうことも含め、議論されていると認識している。


◯佐藤委員  新たに検討すべきことが次々と出てくる。だから、斉藤委員も言ったように、対応し切れなくなったときには、もう「もんじゅ」の場合は手をつけられない。水をかけて冷やすことができない点が問題であり、永久停止すべきだと思う。
 それで、地震との関係で言うと、「もんじゅ」の後背地あたりの風化した岩盤が非常に危ないということを地質学の専門家が指摘をしていて、先日、保安院の安全委員会へ伺ったときにも、「専門家からのそういう指摘は、どうなのか」と聞いたら、そのとおりなので、もう一度そのことも含めた再評価を求めているという答えであった。
 だから、地震対策で、本体はいろいろな対策で何とか大丈夫というような説明を、福井県民とか議会あてにはしている。しかし、実際には、その周りの山が崩れてきて、原子炉あるいは施設に大きな損傷を与える危険性があるということも、これまで、余り誠実に報告されていないように思うが、どうなのか。


◯原子力安全対策課長  「もんじゅ」の原子炉建屋よりも少し北側に位置している、メンテナンス建屋、廃棄物処理建屋の横手が非常に山になっていて、その部分の地震時の影響というのは、先ほど言った耐震バックチェックの議論の中で委員からも指摘があって、原子力研究開発機構としても再評価している。
 だから、そういう意味で、まだ県内発電所すべてで耐震バックチェックの審議は終わっていないが、各発電所において、例えば、敦賀2号機の送電鉄塔の山側のり面の補強であるとか、敦賀1号機の山側の崩落に対するのり面の補強を事業者としてもみずから検討して、山側の崩壊に対しての強化をしているし、耐震バックチェックの審議の中でも、委員からそういう意見が出て、審議されていると思う。


◯佐藤委員  だから、そういう状況で、「もんじゅ」の運転はあり得ないと思う。
 だから、皆が議論しているように、安全だ、安全だということを言っていたが、いろいろ見れば見るほど、ここも不完全だった、こういう問題もあると次々に出てくるではないか。こういうことでは、もう県民は安全にできないということで、原子力行政を国任せではなく、福井県として主体的に見直すべきである。


●敦賀の最終処分場問題
◯佐藤委員  敦賀の民間最終処分場の対策事業について、浄化促進工事について、水や空気を注入する作業を行っているということだが、効果の検証はどうなのか。


◯循環社会推進課長  浄化促進工事については、今年度については、本格的に水注入、空気注入を始めたところである。
 その評価については、専門家にも加わっていただいている浄化促進部会にデータ等を出しながら、この検証をしてもらう作業をしている。
 今のところ、本格施工を始めて間がないので、データ的に劇的変化という評価が今すぐに見られるという状況ではないが、中の方でいろいろな変化が起こっていることは間違いないわけであり、その変化がどうなっていくかを現在見ているところである。


◯佐藤委員  具体的に問題となって、廃棄物が搬入されてからでも10年ぐらいになる。水と空気だから、これまでも、自然にほっておいても、そういう自然浄化が一定促進されたのかと思うが、さらに促進するための対策として、自然に任せるのではなくて、意図的に水や空気をさらに使って浄化していくということだと思うのが、この間の自然浄化の効果はあるのか。


◯循環社会推進課長  今は、抜本対策工事をやっている最中であるが、それまでは処分場の中というのは、山側からの地下水等の流入があって、雨水もあって、水浸しの状態であった。廃棄物と水があり、廃棄物を水が覆っているというか、水の中に廃棄物がつかっているというような状況であったわけである。
 その中には酸素がないので、必ずしも分解がうまくできない部分がある。
 そこで、今の抜本対策工事というのは、その山側からの水とか雨水が入らないように囲い込みをしているのが今の工事である。囲い込みをして、処分場の中に入っている保有水の水位をどんどん下げていくことを今やっているわけである。その中で、空気を注入したり、きれいな水で洗い出しをしたりという作業を現在しているということである。
 そういう意味で、自然のものとしてのデータもないのでわからないが、それほどは進んでいなかったのではないかと思っている。



9月県議会予算特別委員会質疑。介護保険改悪、知事の政治資金、原発防災対策など

2011年11月29日 | Weblog
      「社会福祉行政について」         佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤である。
 介護保険法等の改正が6月15日に国会で成立し、6月22日公布された。来年度からその法律に基づいて事業が行われるが、今回の法律で新たにつくられた介護予防・日常生活支援総合事業というのがある。現在は、要介護認定で要支援の1とか2と認定されても、要介護1から5の方と同じように在宅のサービスを利用できる。ところが、この新事業によると、そういうサービスを利用できるかどうかは自分で決めることができなくなり、結局は市町が判断することになる。利用者から見れば、介護保険料を払っているのに、これまで受けることができたサービスが受けられなくなるという大変な問題だと思う。県として、こういう事業は市町に実施させないようにすることが必要ではないか。


◯健康福祉部長  委員の言われた事業は平成24年度から新たに始まるものであり、これまでの地域支援事業の介護予防事業、配食や見守り等の生活支援、それらのマネジメントの三つを組み合わせ、総合的に運用できるようにした制度となっている。
 これまで、要支援に認定される方と認定されない非該当の方との境界が微妙な、比較的軽度の高齢者が認定のたびに認定の内容が変わり、サービスを見直す必要があるという事態が生じたことに対して、切れ目のない総合的なサービスを提供できるようにする制度である。この制度については9月30日に老健局から各自治体に対して、本事業の利用に当たっては本人の意向を最大限尊重しつつ、利用者の状態に応じて適切なケアマネジメントに基づき判断することという通知があるので、懸念されるようなことはないと考えている。


◯佐藤委員  この事業では、公民館の不定期の通所サービスに車で通った人が切りかえられたりとか、あるいはボランティアも有償ボランティアによる家事サービスに代えられたりする危険があると専門家も指摘している。そういう点から、県の資料を見ると、今は要支援1と要支援2で2割を超えている方が利用している。2割を超えているというのは、約7千数百人が利用されている。こういうサービスが切り捨てられるということについては、きっちりとチェックしてほしい。
 次に、現在の特養では1人の要介護者に対し、1日に17回から28回のサービスを提供していると言われているが、県内の施設での実態を尋ねる。
 また、来年度から予定されている定期巡回・随時対応型サービス事業のモデルの計算では、1日4回から7回、1回当たりの時間は5分から15分となっている。これではまともなサービスにはならず、重度の単身者は非常に困ると思う。
 こういう点について、県はどう考えるか。


◯健康福祉部長  今、県内の施設で1日何回対応しているかと申し上げると、大体介護認定が3から4の方が20回ぐらいで、5の方が若干多い二十七、八回というような実態だと把握している。
 委員から話があった来年度から新たに始まる定期巡回・対応型サービスは、20分以上滞在して介護をしなければならず、利用の回数が多くならないというこれまでの不都合を解消するため、短時間の訪問を複数回可能とするということで、介護度の重い方に対する従来の訪問看護や訪問介護などと組み合わせることにより、より手厚い看護ができるように導入されたものである。従来の介護では、排せつとか身体の向きの変更とか、短時間でできるようなものは対象にできがたい、ほかの介護と組み合わせないとできがたいというところを、何回かやることによって、時間に応じてやれるようするということである。試算をすると、訪問介護であれば大体二、三回、訪問看護であれば大体一、二回、それと先ほど紹介があったように本サービスだと大体4から7回ということで、最大で1日に12回ぐらいであり、自宅に介護されている方がいるところであわせると、特養の中での部分と最大の部分ではかなり近づけるのではないかと思っている。


◯佐藤委員  マックスの話をされても、一般的にはそうはならないと思う。このサービスは看護職員なしの事業所も容認することになっているし、これでは訪問介護と訪問看護の一体的な提供は、看護師がいないわけであり、難しくなる。
 それから夜間も常駐のオペレーターがいなくてもいいということで、その事業所に電話すれば転送で職員の携帯電話にかかって応対すればいいという手抜き事業である。こういうことでは、県民は全く安心できないのではないか。


◯健康福祉部長  実際上、この事業は可能なのかと国会レベルで議論になっている。国では今年度、モデル事業をやっており、福井県においても越前市でモデル事業をやっている。これは対象となる方々のところに通信装置を置いておき、必要なときに対応できるように携帯していて、そのときに行くというような形であるが、国も今やっているモデル事業に応じた、実効性があってやっていける事業者をいかに育てていくかについても今後検討することになっている。この事業自体をこれからいろいろな形で実行できるよう、県としても一緒に考えていきたい。


◯佐藤委員  この事業自体、業者の囲い込みというか、特定の地域は特定の業者だけに任せ、これまで入っていた業者はある意味では排除するというようなことも指摘されているので、非常に大きな問題が出てくる可能性がある。しっかりチェックしてほしい。
 それから、このこういう御時世になってくると、きのうも質問があったが、施設に入れず、在宅で家族に見てもらう方も急増している。NPO法人の介護者サポートネットワークセンターのアンケートによると、全国的には家族など無償の介護者、ケアラーと通称言っているらしいが、介護者がいる世帯が19.4%。だから2割近い世帯にそういう状態が生まれている。2人に1人が介護、4人に1人が看病ということであるが、県内の状況はどうなのか。あわせて、こういう方々が今後ふえ続けることが予想されるが、県としての対応策を尋ねる。


◯健康福祉部長  ケアラーという言葉は最近使われるようになった用語で定義は一定していない。今紹介のあったNPOが調査する際の定義となっているが、かなり広い定義であり、それに対応するような統計はない。ただ、その中でも触れられていたが、要介護の方々、障害の方々の数は、在宅で要介護が大体2万人ちょっと、障害者の方は4万8,000人ぐらいいる。これが大きなウエートを占めると思う。あと難病の方が数千人という状況だと思うが、当然その方々を介護される方がいると思う。
 そういう方々の支援であるが、今の制度の中でも介護される方を支援するという、端的に言うとショートステイとかデイサービスというような制度も少しずつ充実してきているし、今年度、6月にもお願いしたが、支援を要する高齢者の方々がこれから増加することは避けられない状況であり、地域でのつながりの力を生かして、支え合いの体制をつくっていくことも重要である。今年度から地域の人材や各種団体にも参画していただき、地域の実情に応じた地域ごとの支え合い体制を進めるという制度を市町とともに進めているので、いわゆる地域の力、協力を得ながらそういう方々の支援体制を整備していきたいと考えている。


◯佐藤委員  介護問題は、介護保険制度ができたときにも議会でいろいろな議論があったが、当時、県はそういう自宅で家族を介護されている方々に介護支援金制度をつくっていた。介護保険が導入されることで、そういう家族の方の介護は心配ない、これからは社会が責任をとる社会的介護ということで介護支援金制度を廃止したいきさつがある。現実はこういう状況であり、県内の10の市町では引き続き介護支援金という名前、名称はいろいろあるが、そういう制度を継続していると先日聞いた。県としては時代に応じて、実際にこういう方がふえてきているわけであり、介護支援金制度を復活することも検討するべきではないか。


◯健康福祉部長  過去にそういう支援金があったことは承知している。介護保険の制度自体が現物支給の理念に基づく形で制度化されていることから、その際に現金支給をやめた。介護をされる方の支援というものは、やはり実際に現物支援の形で、さまざまな方策を国も検討しているし、市町もそういう形の部分を充実していこうと思っているので、現段階で支援金を復活することは考えていない。


◯佐藤委員  そういう支援金の復活も含めて、ぜひ検討していただきたい。再度、要望しておく。

        「原子力行政について」


◯佐藤委員  次に、原子力行政についてである。
 東京電力、九州電力、北海道電力、東北電力など全国各地で原子力安全・保安院、電力事業者によるやらせ事件が次々と明らかになってきている。国が関与した事件だけでも7件と報告されており、関西電力はその調査対象ではないので入っていないが、今、名前を挙げたような電力会社の主催のシンポジウムで国がやらせをしていたことが明らかになってきている。
 あわせて、政治家に対する献金の問題ということで、九州電力のやらせメール問題などを調査している第三者委員会は、一連の問題というのは九州電力と佐賀県の不透明な関係が原因であり、こういう事件が起こった背景には電力会社と県の関係に問題があることを認定して、古川知事らへの政治献金などをやめるよう求めることを議論したとマスコミでも大きく報道されている。朝日新聞の報道でも、東京電力自身も毎年パーティ券に5,000万円を使って、政治家への働きかけを強めていたということがわかっている。
 このように、国と電力事業者、地方政界が一体となったそういうやらせがあったり、あるいは不透明な金銭の関係があったりということで、原子力行政がゆがんだ形でつくられてきたことが今回一層はっきりしてきたと思う。このことについて、知事はどう受けとめて、今後どのように改善すべきだと考えるか。


◯知  事  報道で承知している限りであるが、原子力行政の国民・県民への信頼を回復するためには、国と電力事業者、その他いろいろな方がいると思うが、それぞれみずからを律し、原子力行政の公正性あるいは透明性を一層高めて物事を進めることが重要だと考える。


◯佐藤委員  透明性を高めるという中に、電力会社と地方の、佐賀県で言えば佐賀県庁との関係に問題があったと指摘されている。あるいは政治家のパーティ券などの購入、そういう関係がゆがめてきたと報道されていることも含め、透明性を確保するという意味か。具体的にどういうことを言っているのか。


◯知  事  九州のことは九州の問題として解決してほしいと思うが、我々はそういう考えを持っているということである。


◯佐藤委員  昨年、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の業務を請け負う企業3社が知事や河瀬市長のパーティ券を購入していたことがマスコミで大きく報道され、原子力機構自身も不適切だったと、謝罪というか、適切ではなかったと述べたと報道されている。
 そこで、知事の政治資金の関係で何点か尋ねるが、福井経済産業政治連盟という政治団体が知事の政治団体に相当の資金を交付している。これはどういう団体なのか。


◯知  事  そういう活動をしている団体である。


◯佐藤委員  どういう活動をしている団体なのか。


◯知  事  私が直接、所管というか、主催をしている団体ではない。承知していない。


◯佐藤委員  前回の知事選挙の前、知事の政治団体である知事の後援会連合会は3,000万円という、ほかのいろいろな企業とはけたの違う資金をこの団体から受け取っている。これを知事は当然認識されているか。


◯知  事  承知している。


◯佐藤委員  この団体は、福井で開いた連盟設立記念の集い、あるいは経済産業活性化フォーラム等で6,000万円以上の資金を集めている。福井市以外では、大阪市で開いており、大阪市で開いている関西連携フォーラムで約1,890万円、約2,000万円近い資金を集めている。以前、私は、関西電力が中心になって関西に知事の応援団がつくられた問題を議会で知事に一般質問したことがある。知事は直接応援してもらう立場であり、正式には言わなかったが、大阪でこういうパーティが開かれ、2,000万円近い収入があるというのは、だれが見ても関西電力の関係者とか、そういう関係者も含めての応援ではないかと見るのは当然ではないか。だから、さっき佐賀県のことは佐賀県だと言ったが、福井県の原子力行政についても、やはりこういうことを見るとどうなのか。


◯知  事  いろいろな経済団体が私に直接、間接というか、支援団体が幅広くさまざまな応援していただくこと自体は、そういう活動であるから認められるべきだと思うし、私がそれをどうするというようなものではないと思う。もちろんそのバランスとか、適切さというのは当然考えながらやっていただくことだと思う。


◯佐藤委員  報道で承知かもしれないが、佐賀県議会ではこういう原子力問題を議論する委員会の委員長が九州電力から個人献金を受け取っており、そういう職に適切でないということで辞任された。だから、そういう電力事業者から資金提供を受けながら原子力行政をどうするか、公平な立場に立つべき政治家が議論するというのは、県民、国民から見てそういう判断は信用できないというか、ゆがめられているのではないか。マスコミの報道を幾つか紹介したが、その点はどうか。


◯知  事  そういうふうな話として議論してもらわないとといけないが、もちろんいろいろな経済主体、事業主体というのが福井県、あるいは関係のところにある。そういう方がそれぞれ経済活動、あるいは政治的な支援というか、それはもちろんあっていいわけであり、そういうバランスというか、そういう中で考えるべきものだと思う。


◯佐藤委員  九州のことは九州のこと、東京電力の東京電力のことと言いたいのだろうが、今、日本の原子力行政全体がゆがんでいるのではないかと問われている。東京電力でも九州電力でもそういう問題が指摘されてきている。
 やはり福井県の行政にとっても、あるいは敦賀市を含めた地方行政にとってもそういう問題がないかということを行政を預かる政治家としては考えるべきだと思う。そのことを強く要望して具体的な質問に入りたい。
 原子力防災計画が再検討されているが、国が考えているPAZ、それからこれまで言われてきたEPZについて、この間の新聞報道を見ると、PAZというのは物すごく狭い範囲、数キロの範囲で計画されている。県の計画に具体的にどのように反映すつもりか。


◯危機対策監  国の原子力安全委員会では、本年7月から原子力防災指針の見直しに着手しており、「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」、いわゆるEPZをどう修正していくか、今月を目途に取りまとめることとしている。
 これまでに、EPZの範囲の拡大とあわせ、緊急時には放射性物質の拡散予測に基づかずに直ちに住民の避難等を実施する「予防的措置範囲」、いわゆるPAZであるが、これについても議論が行われていると承知している。
 このPAZについては、現行の原子力災害対策特別措置法で規定する緊急事態よりも、議論の中ではさらに詳細、どういう基準でPAZを設定するか運用が非常に難しいという課題も指摘されているところであり、まだいろいろ議論している最中である。
 したがって、県は、ことし5月に設置した原子力防災計画検討委員会において、こうした国の状況も見きわめながら、適切な避難対策を検討していきたい。


◯佐藤委員  県も国のPAZという概念を取り入れるということである。そうすると、これまで8キロ、10キロとかというのがあった。今回はそれと同じかそれよりも狭い範囲でPAZが設定されるとなると、いざというときに、ここの町内までは逃げなさい、こっちの町内は逃げなくてもいいと、そういう区切りをつくるということは市民、住民にとってわかりにくいのではないか。


◯危機対策監  まさに今そういった議論がなされているようである。私が詳細な基準、運用が難しいと言ったのも、そういった現実の発動基準であるとか設定の仕方にいろいろ課題があるという意味合いである。


◯佐藤委員  福島の事故の教訓を踏まえるのであれば、30キロにするか、50キロにするか、いろいろな議論があるだろうけれども、そういう範囲で従来のEPZの考え方も適用してやるべきではないか。そのほうが福島の事故を受けて、そうなったということで県民は納得すると思う。ややこしい基準を幾つも新たにつくるよりはわかりやすいと思う。
 それに関連して、安全協定の問題であるが、この間、準立地の自治体からは立地並みの安全協定をという話が出ている。これもやはり福島の事故を受けたからであり、20キロ離れていても15キロ離れていても大変な被害に遭うリスクがあるということからこういう議論になってきていると思う。同じような被害が想定されるわけであり、安全という面で格差をつけてはならないと思う。


◯安全環境部長  安全協定についてはこれまで何回も答弁しているが、安全に格差をつけるという意味ではなく、立地自治体と電力事業者が原子力の安全についてお互いなすべきことを定めてきているものである。
 また、福井県の場合、周辺の自治体においても、これまでの安全協定で、連絡、応答の体制をとってきている。そのように積み上げられてきており、安全に差があるというものではない。


◯佐藤委員  知事に尋ねるが、準立地の皆さんが声を上げているのは安全に格差があると、そういういざというときの安全体制に格差があると、だから平等にしてほしいということで声を上げているという認識はあるのか。


◯知  事  意味がよくわからない。


◯佐藤委員  立地自治体と電力事業者が結んでいる安全協定と現在準立地が結んでいる安全協定に格差というか違いあるから、準立地の皆さんは改定を求めている。安全環境部長は格差はない、安全の上で格差はつけないと言ったが、現実は格差があるから準立地の皆さんが回答を求めているということではないか。


◯安全環境部長  今申し上げたのは、これまでの経過の中で立地と周辺の自治体の安全協定は中身が違っているが、これは安全に差があるというものではない。むしろ立地のほうについては、当然原発事故があると距離によって被害の程度があり、やはり近いところの立地が被害を受けることはある。


◯佐藤委員  距離によるという議論は今後通用しない。原発立地自治体の原発サイトからの距離よりも準立地の自治体の住民の距離のほうが近いところだってある。もうちょっと誠実に県民の要求にこたえてほしい。
 次に、一般質問でも質問したが、今、事業者がいろいろな安全対策を講じているが、使用済み核燃料プールの新たなリラッキング計画、増強計画についてである。知事は知らないと答弁されたが、関西電力あるいは原子力安全・保安院に確認したのか。


◯安全環境部長  新たなリラッキング計画については聞いていないと先に答弁している。原発のリラッキング計画について、「個別、具体の計画内容の国への相談はしていない」と関西電力は回答している。
 また、原子力安全・保安院からは、「事業者からあらかじめ相談を受ける立場ではない」との回答を受けている。


◯佐藤委員  正式にそういうことを言ったということは、私どもの調査に対して原子力安全・保安院はうそを言ったか、あるいは原子力安全・保安院が口をすべらせたが、まだ言うべき事項ではなかったか、どちらかだと思う。ここでこれ以上追及しても新たな展開はないかもしれないが、原子力安全・保安院の担当者は関西電力から相談を受けていると言ったから、そういうことを私どもは懸念する。
 既に県内の原子力発電所では、何カ所もリラッキング工事が完了しているが、きのうも議論になったように、新たなリラッキング工事が今後考えられる。そういう場合には、福島事故でも見られたように、使用済み核燃料プール自身、事故時に冷却機能が失われたときに大変な問題を起こすという代物だということがよくわかったわけだから、そういう工事は認めないということでよいか。


◯安全環境部長  使用済み核燃料プールの問題、さらに最終使用済み燃料の再処理、中間貯蔵などのバックエンドについては、この前からも答弁しているが、これは国家的見地から解決されるべき問題と認識している。今回の事故を受け、国が責任を持ってどのような施策を出してくるかということで考えていきたい。


◯佐藤委員  東京電力の資料によると、1号機は冷却がとまった後、プールの水温が100度に達するまでの時間は約8日間、2号機は3日間、3号機は4.7日間、4号機はわずか1.6日ということで、あっという間に沸騰してしまい、何日かたつと使用済みの燃料体が露出してしまうことが明らかになっている。福井県内の原発で同様に冷却機能が停止した後の燃料棒の露出についてはどういう状況にあるか、五つぐらい例を挙げて教えてほしい。


◯安全環境部長  燃料プールの水がいつなくなるかということであるが、現実の問題としては、その時々の燃料の入れぐあいとかさまざまであり、一律に出せない。ただ、今回の事故を受け、緊急安全対策の中で使用済み燃料プールに水を入れることについて各事業者が検討しており、あり得ないことかもしれないけども、使用済み燃料が満杯の最も過酷な状態で試算したデータがある。これによると、県内の敦賀1号機で5日、2号機で4日である。ただ、関電については、報告書に日にちが書かれていない。今、私どもは、敦賀1号機は5日、敦賀2号機は4日というデータを持ち合わせているところである。


◯佐藤委員  福島原発でも増強工事、リラッキング工事が行われ、1号機は炉心の全装荷量に対しての割合は225%、4号機は290%と相当詰め込んでいた。当然、早く蒸発して大変なことになる。今後、電力事業者から増強の計画があった場合は、これまでのいろいろな津波対策とか、そういうのは安全側の対策であるが、リラッキング工事というのは安全から遠ざかる工事になるから県としては認めることはできないということで、県民の安全の立場に立ってほしいと思う。
 次に、今、議論になっているストレステストについてであるが、部長は厚生常任委員会で「第三者的体制でやるのが望ましい」と答弁された。このテストのチェック体制そのものついて、県として要望を行うということか。


◯安全環境部長  ストレステストについては、電力事業者から国に報告が出ていない。この後、どのようにチェックしていくのかということ自体、まだ承知してない。この前の答弁では、国のほうでどれをやるか判然としないが、結果が出た場合には、県の原子力安全専門委員会に諮るなど、県民の皆様にその計画を明らかにしながら、やっていきたいということを申し上げた。


◯佐藤委員  一般質問でも聞いたが、来年の3月に原子力の推進機関を集めて会議を開くという問題がある。こういうやり方、福島事故1周年でそういう会議を開くのはまずいと思う。やるのであれば、せめて世界の規制機関の代表も入れて開くということぐらいは考えるべきではないか。
 かつて、阪神淡路大震災の後に県民フォーラムを開き、広く県民の意見を募った。今回、実際に、文字どおりそういう大事故が起こってしまった。今こそ、県民のいろいろな意見を聞く県民フォーラムを開いて、県の原子力行政をどうしていくか、県民の知恵を集めることが必要ではないか。2点をお尋ねする。


◯総合政策部長  1点目のFNCAコーディネーター会合についてであるが、アジア12カ国の原子力関係行政機関のトップが一堂に会するアジア原子力協力フォーラム、FNCAコーディネーター会合の主催は内閣府、原子力委員会、文部科学省である。
 原子力平和利用協力を行う枠組みということで、既に福島の事故についても当会合の議題として盛り込むことを検討しており、参加国の要望等を確認しながら会議の企画について内閣府と調整していきたい。


◯安全環境部長  2点目の住民への説明という点であるが、今回の事故は確かに大きいので、今回の事故の知見や検証結果などについて、地元である我々の地域や住民に、国の報告としてしっかりと説明していただく必要があると考えている。これについては大規模なフォーラムというよりは、地区別というか市町別というか、小さい単位で丁寧に説明いただいて、質問時間もしっかりとっていただくことが効果的であり、かつ基本であると思っている。


福井県議会9月一般質問と知事・部長の答弁です。原発マネー、新幹線問題など。

2011年11月29日 | Weblog
福井県議会9月議会 一般質問


◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。福井県は、大きな台風被害はなかったようですけれども、全国各地は大きな被害で、お見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、野田新政権が誕生しましたが、何の新鮮味もありません。米軍基地は沖縄に引き続き押しつける、とまっている原発は福島原発事故の収束と原因解明がされていないのに、再稼働を認める方向であります。国民の生活は苦しいのに、被災地の皆さん含めて大増税の計画です。大看板だった後期高齢者医療制度廃止は、もうだれも言わない。それどころか、医療でいえば、医療費は窓口負担の3割からさらに上乗せする計画、年金は支給開始年齢を68歳ないし70歳にまで引き上げると、とんでもない計画が出始めています。基礎年金についても、500円から600円も減額を検討するなどなど、国民の生活が第一どころか、国民生活をどん底に突き落としかねません。
 政権交代は何だったのか。自民党政治にすっかりUターンしてしまった。行き詰まった自民党政治と同じ中身では、早晩袋小路に陥ります。歌を忘れたカナリヤという詩がありますが、民主党と自民党政権末期のように、繰り返し総理が交代を余儀なくされてもまだ気づかないようであります。日本共産党は、国民生活を忘れた野田政権ときっぱり対決して、国民本位の政治への転換を求めて頑張ります。
 そこでまず、原発問題について質問します。
 作家の大江健三郎さんや澤地久枝さんら著名九氏が呼びかけた、さようなら原発集会が19日、東京明治公園で開催され、6万人が参加しました。福井県からもさまざまな団体や個人が参加されました。福井県内でも網の目のように原発や放射線問題での講演会や学習会が開かれ、もう原発はやめてほしいの声が広がっています。この声にこたえる政治が、国政でも地方政治でも求められていると思います。
 先日、福井大学で日本教師教育学会が開催され、東北の被災地の盛岡大学、東北大学、福島大学から学長や教授が、大学と教育の現状を報告されるというので私も参加いたしました。各県、各大学とも深刻な現状ですが、やはり福島大学からの報告は衝撃でした。公立の小・中校生の県外への転校は8,700人、原発事故で被災した54の学校のうち、23の学校は事実上消滅、原発のある浜通りでは、1,000のクラスがばらばらになったそうです。高校でもやむなくサテライト授業が行われておりますけれども、実業系では実習ができなくて、資格が取れない。結局、就職も決まらない、こういう状況です。まさに、広大な地域を放射能汚染で破壊した原発事故は、小・中・高生や地域住民の人生の破壊を進行させています。現状は、原発事故被害のプロローグにしかすぎないのかもしれません。
 西川知事は、福井では福島のような事故を繰り返さないと述べておりますが、原発がある限り、知事の言葉に物理的保障はないのです。なぜなら、きのうも議論されたように、福井の原発立地地域にも相当の活断層があり、巨大地震や津波が想定されるからです。知事、福島の現状を見てください。あの惨状を福井で再来させないためには、その大もとである原発をなくしていくしかないではありませんか。原発を続ける限り、フランスと違ってこの日本では、巨大な自然災害によって過酷事故の可能性を排除できないのです。福島県の知事を初め、政党や政治家、行政の皆さんは遅過ぎたけれども、原発からの撤退を決断されました。
 そこで、改めて問います。
 半年たっても事故を収束できず、さまざまな被害の拡大を続けている原発事故を教訓にするならば、福井県も期限を定めて原発から撤退する方針を決めるべきではありませんか。そのためには、新たにつくらないことです。世界に例がない活断層の近傍での世界最大級の巨大原発、敦賀3、4号機の増設計画は見直すべきではありませんか。これ以上、福井県に新たな原発はつくらせない決断をすべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 また、電力事業者は、福島原発事故を受けて、非常用の電源車確保や構造の精密化、防潮堤の建設などを計画し、作業をしております。これらは、原発の施設を安全の側に持っていくという目的で行われるものです。
 ところが、原子力安全・保安院と私たち共産党が8月に行った交渉の中で、関西電力が使用済み核燃料プールの増強計画を保安院と相談していることが明らかとなりました。これは重大問題です。といいますのは、福島原発事故でも使用済み核燃料プールの冷却機能も停止し、原子炉本体の危険性とともに、使用済み燃料プールの燃料破損による放射能汚染が起こったからであります。東京大学と日本原子力研究開発機構の分析では、福島原発の4号機建屋の水素爆発は、使用済み核燃料プールから発生した水素が一因となった可能性を指摘しております。
 今、福井でも水を張ったプールの大きさは建設当初と変わらないのに、当初の設計以上の使用済み核燃料を詰め込む、そのためのいわゆるリラッキング工事が新たに計画されようとしております。これはだめです。知事、きっぱりと原発施設の安全性が低下する使用済み燃料プールの増強工事は認めないと御答弁ください。
 さて、滋賀県が関西電力美浜原発で、福島原発のような重大事故が発生したと想定し、放射性ヨウ素の拡散予測を公表しました。その結果、滋賀県内にも琵琶湖上空まで達し、近畿1,400万人の水源が汚染される可能性を含む重大な影響が出ること。福井県内では、避難指示の対象となる500ミリシーベルトを超えると報道されております。
 福井県の原子力防災計画を見直す上でも、当然、福井県こそこのような被害予測の線量地図を作成すべきです。現在の福井県庁のスピーディーシステムは、狭い地域で10数キロまでの放射能の拡散予測しかできないそうです。ですから、福井市がどうなるかとかわからない。しかし、これを広域もちゃんと予測できるシステムとして使って、福井県内全域を対象とした計算結果を原発サイトごと、また季節ごとに陸地に向かって風が吹くさまざまな条件で示すべきです。こうして、放射線被害のハザードマップを県民に明らかにすべきではありませんか。
 ところで、今議会には、アジア原子力協力フォーラム開催の予算、FNCAコーディネーター会合開催支援事業が提案されていますが、これはアジア12カ国の原子力の研究開発を推進、調整する機関のトップ会合です。福島原発事故を受けてなお、世界の原発推進のトップを集めた会合をわざわざ福井県で行うことは、危険な原発推進はやめてほしいという県民感情を逆なでするものです。さすがに、県庁内部でも「KY」だよなと言われているそうであります。
 かつて、阪神大震災後に巨大地震で原発は大丈夫かという県民の不安の高まりにこたえ、県は立場の異なる専門家も招いて、大規模な県民説明会を開催し参加者との討論も行いました。今、現実に巨大地震と津波による原発過酷事故が起こったのです。福井県がやるべきは、原子力の開発を進める世界の会合ではありません。開催予定は来年の3月だそうです。原発集中の福井県が、福島原発事故1周年で開催すべきは、原子力推進の国際会議ではなく、福島原発事故と被害を検証し、県民の疑問と不安にこたえる福井県民向けの説明会ではありませんか、知事の答弁を求めます。
 次に、匿名寄附と原発マネーについてお尋ねします。
 この間、嶺南地域の振興を目的とした匿名の寄附が福井県に寄せられております。平成18年度には3億円、7,000万円、5億円と3回に分けて8億7,000万円、19年度には18年度と全く同じく、3億円、7,000万円、5億円と3回に分けて8億7,000万円、20年度には6,000万円、2億円と2回で2億6,000万円、21年度には1回で2億円、22年度、23年度はないそうでありますが、18年度以降だけでも22億円という巨額の寄附が、嶺南地域の振興目的で行われました。
 そこでお尋ねします。
 匿名というのは、福井県から求めたものなのか、相手企業あるいは個人から求められたものなのか。福井県が求めたのであれば、特定の企業と癒着し寄附の見返りにその企業の活動に便宜を図ったのではないかと、当然疑われ、県民への説明責任を果たせません。企業が求めたのであれば、株主などへの説明責任が果たせない支出だということが想定されます。
 そこでもし、相手が電力事業者であるならば、この間の40年を超す原発の運転延長を認めたことや、「もんじゅ」の運転再開了解など、福井県の原子力行政の判断が原発マネーによって歪められてきた証左ともなります。どこからの寄附ですか。巨額の寄附によって、県政の判断に影響はなかったんですか。真実はどうですか、知事の明確な答弁を求めます。
 さて、今、原発から脱却し、再生可能エネルギーなどをどう進めていくか。全国各地の自治体での議論と取り組みが始まっております。実際にこれまでの資料で原発に頼る町と、再生可能エネルギーで需給を進める町を比較してみましょう。
 2009年の経済センサス基礎調査から、各県の業種別の就業者割合を100として、産業別就業人口割合を見ると、福島原発の地元地域では、第1位が電気・ガス・熱供給の産業で372ということで、県平均の4倍近いということになっているわけです。福井県で見ると、美浜町では同じく、電気・ガス・熱供給が第1位で1,580人、高浜町では1,048人ということで、県平均の15倍とか10倍になっているわけですね。福島の原発立地地域以上に、いびつな就業構造となっていることがわかります。このことが、福島原発を受けてなお、原発依存の声が出てくる要因でしょう。製造業は、美浜では32、高浜では29と県内平均の3割程度と大きく落ち込んでおります。
 一方、再生可能エネルギーに取り組む岩手の葛巻町では、農林漁業が354、電気関係が84、製造業が87。同じく、高知県の梼原町では農林漁業が331、電気関係が79、製造業が175ということで、再生可能エネルギーを軸に、町であっても産業構造のバランスが図られていることがうかがえます。
 今、世界の流れも大きく変わっています。経済産業省の試算でも、新エネルギー分野で現在30兆円の世界の市場規模が、2020年には86兆円に膨らむと発表されました。この世界の流れからせめて外れないためには、福井県としての大方針を立てることが必要です。その点で、この間の県内の取り組みは、風力発電では、あわら市での2万キロワットがことしから稼働し始めたものの、全体としては不十分です。
 かつて福井県は「福井県新エネルギー・省エネルギービジョン」を策定し、知事は「環境負荷の少ないエネルギーとしての新エネルギー導入や省エネルギー推進を図る。県は率先してさまざまな施策に積極的に取り組む」と表明しておりました。
 今日、当時掲げた数値目標に照らして到達はどうか、またどう総括しているかをお尋ねします。
 原発依存から脱却し、再生可能エネルギーで農林業や製造業など、地域産業活性化と雇用を創出していく福井のプランをつくり、市町や民間企業、農林業諸団体とともに強力に推進すべきではありませんか。
 次に、新幹線計画についてお尋ねいたします。
 今、最大の問題は、全国的に見てもすばらしい北陸本線が、新幹線計画によって県単位の第三セクターに切り刻まれてしまうことです。各県にJRなみの管理運営能力は期待できません。行財政的にも大変な負担となるでしょう。鉄道指令も各県ばらばらに配置されることで、JR時代のような機能は期待できません。また、利用者負担もJR運賃よりも40%もの大幅値上げが、石川県などでは想定されております。これでは、県民本位の鉄道ではありません。
 さらに、富山県における枝線についてJR西日本は、経営分離をする考えは持っていないとした上で、輸送量が少なく経営的に苦しい地方交通のあり方を地元自治体と協議したいとの考えを明らかにしております。
 福井県でも越美北線、小浜線の存続が問題となります。県は、枝線は並行在来線ではないと説明します。それは、そのとおりかもしれません。しかし、JRにすれば、本線を地方に任せたのに、何でもうかりもしない枝線だけ面倒見ないとだめなのかとなってくるのは、必定でしょう。既に、金沢までの新幹線開業は決まっていますが、在来線の第三セクターについても、きちんとJRが責任を持つ形で参画することが必要だと考えます。
 そして、金沢以西の北陸線と枝線を切り刻むような新幹線計画は中止し、JRに責任を持たせることが県民益にかなうのではないでしょうか。このような新幹線計画について、朝日新聞の県民世論調査でも、新幹線の県内延伸は必要との回答は35%、必要ないとの回答が56%でした。少子高齢化時代と県民ニーズに合わない、在来線切り捨ての新幹線計画の見直しを強く求めます。
 さて、富山県は、県債の発行に際し、国の許可が必要な起債許可団体に転落しましたが、その要因として、北陸新幹線の建設に伴い、県債発行が増加したことを上げております。新幹線計画や足羽川ダム計画など、少子高齢化時代、人口減少時代とマッチしない大型公共事業計画を進めようとしている福井県のあすの姿に重なるではありませんか。
 このような事態となれば、当然、県民の福祉や教育が切り捨てられる可能性も出てまいります。そうである以上、福井県として県民が今後何を望むのか、しっかりと県民ニーズを把握する大規模な県民意識調査を行い、政策を考えるべきではありませんか。県庁の思い込みで重要政策を進めて、しりぬぐいを県民に求めることは許されません。とりわけ、新幹線計画については、在来線第三セクター化に伴うデメリットも明示して、県民の声を聞くべきではありませんか、お答えください。
 また、金沢開業に伴う影響として、在来線特急の利便性が維持されるのかどうかは、福井県民はもちろん、関西・中京圏へのアクセスを求める鉄道利用者にとって大きな問題です。金沢開業でも現行のサンダーバードやしらさぎなどの在来線特急の運行本数の維持のために、福井県としてどう考え、石川・富山両県やJR西日本とどのような協議を行っているのか明らかに願います。
 次に、農林水産行政でお尋ねします。
 イノシシやシカなどの獣害の増加は、かつての自民党政治の減反政策のもとで耕作放棄地の増加、山村荒廃が進むのと軌を一にしております。民主党政権は、さらにTPPによって壊滅的な打撃を日本農業に与えようとしております。TPPに参加すれば、県の試算でも米の生産減少は307億円と推計され、生産量の減少率は97%です。農業を破壊し、結果として災害に弱い国土に荒廃させかねないTPPには、きっぱり反対すべきです。
 さて、県内でもシカが木の皮や下草を食べることにより、立木の枯損や下草の消失など、生物環境の衰退を招いております。シカによる山林破壊で植生が変わっており、保水能力が大幅に低下している地域がふえ続けています。災害対策の上でも対応を急がなくてはなりません。
 他県の事例では、シカ捕獲の拡大として、市町とともに猟友会のメンバーの協力を得て、常設捕獲班を編成する。新しい雇用が生まれるわけですね。狩猟期間中の捕獲量をふやすために、狩猟者に報償金を支給する、大量捕獲のわなを県が整備して活用するなどを行っているところがあります。
 あわせて、シカ肉の消費拡大で有効活用するためには、シカ肉の普及の促進が必要ですし、学校給食などに活用しようとすれば、安定供給体制も必要です。ただ、このためには放血して短時間で解体処理しなければならないので、捕獲、放血、運搬、解体処理、安定供給のシステムをつくらなければなりません。ただ単に焼却処分とか埋設処分とかするだけではなくて、解体処理場の整備を行い、これとあわせて加工工場をつくれば、雇用創出にもつながります。捕獲量の抜本的拡大と、それを通じた地域おこし、雇用拡大について、県のお考えをお尋ねします。
 次に、教育行政について、県立高校の学校図書費について質問します。
 県立高校の学納金について、学校の冷房費、図書費、施設充実費などをPTA会費として徴収していますが、これらは本来県が負担すべきものです。こうした徴収の仕方は、PTAを迂回させているだけで、事実上の地方財政法第4条の5の寄附の強制に抵触するものであり、直ちに是正すべきものです。特に図書費を見れば、高校によっては140万円とか270万円とか、図書費のほとんどをPTAに頼っているケースも少なくありません。授業料が無償になってももろもろの負担が大きいわけですが、このような教育に不可欠な図書館図書まで、実態として「父母負担」にしているのは、改善が求められます。
 県教委は、「PTAの判断です。発意で保護者の理解を得た上で、学校を支援していると考えております」と答えておりますけれども、校長先生がPTAの役員などをしたりしているわけですから、県教委の説明に説得力はありません。事実上の異常な強制寄附を放置することは重大であり、改善すべきではありませんか、教育長にお尋ねします。
 最後に、地上デジタル放送の問題です。
 NHKの解約申し出は、全国で9万件を超えたと報道されております。私のところにも相談がありますが、少なくない世帯が難視聴世帯となっていると思われます。
 そこでお尋ねします。地上デジタル放送に対応できず、テレビを見ることができなくなった世帯の概況、県内のNHK解約申し出数とか、国の緊急措置での対応数、行政の対応状況についてお尋ねをします。
 最近多発する災害を見ましても、テレビで情報が入らない世帯がふえるということは、防災対策上も重大な問題です。特に、高齢者世帯の場合は、インターネットや携帯端末で情報収集できる世帯も少ないでしょうから、災害情報から隔離されることが被災に直結する危険も生じてまいります。民生委員などを通じた高齢世帯の調査を行い、経済事情でテレビが視聴できなくなっている場合には、機器の提供だけではなくて、設置費用も行政の責任で負担するなどの応急対応が必要だと考えます。今後の県の対応方針をお尋ねして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、原子力についてであります。
 原子力全体について御質問がございましたが、その中で敦賀3、4号機の増設計画などを見直すべきではないか。これ以上、福井県に新しい原発はつくらせない決断をすべきではないかということであります。
 原子力・エネルギー政策につきましては、日本はもとよりでありますが、世界どこの国におきましても、国民生活の安定、あるいは国の発展、あるいは国家の安全保障に関する最重要事項にかかわる事項だと思っております。こうしたことの中で、去る15日に枝野経済産業大臣に対し、今回の福島の事故などを踏まえ、国は現実をしっかり直視していただきながら、冷静かつ透明性のある議論を行った上で、議論の進め方が国民に見通しが立ち、また、立地県にもわかる形で議論が進むようにということで、今後の方向性を早期に示すよう、強く要請をしているところであります。
 敦賀3、4号機につきましては、平成16年に国の安全審査と現場での準備工事が開始しており、現状では海域の埋立工事が完了するなど、着工に向けた準備が進められている現状にあります。
 今後、国が判断するに当たりましては、こうした現地の状況や立地地方公共団体の意見を十分に考慮して判断する必要があると考えております。
 次に、原発施設の安全性が低下する使用済み燃料プールの増設は、認めるべきではないというお考えのもとでの質問ということになります。
 これにつきましては、県は使用済み燃料プールの新しい増設計画の、若干御紹介のようなものがありましたが、そういう話は聞いてございません。使用済み燃料の再処理や中間貯蔵施設などのいわゆるバックエンド対策については、核燃料サイクル政策上の重要な課題として、国家的見地から解決されるべきものと認識しており、国が前面に立ち、着実かつ責任を持って解決すべき事柄であります。
 そのため、これも去る15日、枝野経済産業大臣、また中川文部科学大臣に対し、こうした核燃料サイクル政策については、安全性、あるいは技術的成立性、経済性、海外の動向について慎重に検討し、中長期的にブレない、軸をはっきりした確固たる方向性を示すよう要請しているところであります。
 次に、「福井県の新エネルギー・省エネルギービジョン」の到達状況。また、今後再生可能エネルギーによって、地域産業活性化と雇用を創出していく福井のプランをつくり、市や町、民間企業、あるいは農業団体、いろんな団体と力を合わせて推進すべきではないかという御質問であります。
 平成12年、大分前になりますけれども、に策定した「新エネルギー・省エネルギービジョン」の到達については、太陽光発電が平成22年度目標値3万3,000キロワットに対し、実績1万9,000キロワット、風力発電が目標3,000キロワットに対し、実績2万2,000キロワットということになっております。
 現在、県としては平成20年11月につくりました「環境基本計画」に基づき、住宅用太陽光発電設備の設置促進や、電気自動車の普及拡大を進めております。今回の福島原発事故を受けまして、今後は「エネルギーの多角化」をさらに積極的に推進していくことが重要であります。
 このため、太陽光発電や風力は発電の普及拡大を図ることはもとより、この11月を目途に福井県経済新戦略の行動計画をつくり、新エネ・省エネ関連分野の研究開発や関連産業の立地促進等の政策を強力に推進していく予定であります。
 また、農業用水での小水力発電の整備や山林、林地にあります間伐材などを活用した木質バイオマス燃料の供給拡大に向けた政策についても着実に進めてまいります。
 次に、大きく新幹線の御質問をいただきました。
 新幹線計画については、在来線第三セクター化に伴うデメリットなども明示し、県民の皆さんの声を聞いて、考え方を進めるべきではないかということであります。
 北陸新幹線については、ただ目先の問題ではなくて、また、日常生活レベルだけの議論では、これはおさまらないわけでありまして、本県の将来にとって新幹線がどういう役割を果たすのか。また、我々の後の世代にとって、また産業の発展にとってどのような役割を果たすのかということを考え、対応する必要があると思っております。このプロジェクト自身は、極めて重要な国家プロジェクトであり、日本全体の高速交通体系の国土軸を形成すべき事業だと思っております。
 北陸3県での地域格差の問題でありますとか、沿線まちづくりに大きな影響も及ぼすわけでありまして、早期に整備を進める必要があると考えます。これまでも新幹線の必要に加えまして、在来線や地方負担の問題についてもさまざまなパンフレット、ホームページなどにより、先行している全国の新幹線の事例、その地域の町の実態なども紹介するなど、機会あるごとに幅広く県民に対し説明に努めてきているところあります。
 新幹線の整備促進に当たりましては、県民の御理解が必要不可欠であり、これからも県内延伸に向け、県民に十分説明しながら進めてまいりたいと考えます。
 その他については、関係部長から御答弁いたします。

◯議長(田中敏幸君) 総合政策部長東村君。
    〔総合政策部長東村健治君登壇〕

◯総合政策部長(東村健治君) 私のほうから5点お答え申し上げます。
 まず、福島原発事故1周年で開催すべきは原子力推進の国際会議ではなく、福井県民向けの説明会ではないかという御意見でございます。
 アジア12カ国の原子力関係行政機関のトップが一堂に会するアジア原子力協力フォーラム、FNCAでございますが、このコーディネーター会合は、主催が内閣府、原子力委員会、文部科学省でございます。このFNCAは、医学、農業、工業、人材育成等の分野におけるアジア地域の原子力平和利用協力を行う枠組みでございます。福島の事故後も、引き続きアジア各国の我が国の原子力協力に対する希望があることから、国も本会合の今年度末の開催を予定しております。
 県におきましては、本年4月に「福井県国際原子力人材育成センター」を設置いたしまして、国際的な原子力人材育成の拠点形成を進めるとともに、陽子線がん治療センターの整備など、原子力の平和利用を推進しております。
 当会合において、こうしたエネルギー研究開発拠点化計画の取り組みを参加各国に御紹介するとともに、この国際会議の開催を通じ、アジアの安全技術、人材育成に対し貢献してまいりたいと考えております。
 2点目は、嶺南地域の振興を目的とした匿名の寄附は、どこからの寄附なのか。寄附によって県政の判断に影響はなかったのかというお尋ねでございます。
 平成18年度以降の嶺南地域振興のための寄附につきましては、敦賀までの直流化事業に対して、民間企業から寄附していただいたものでございます。この事業にかかる地元負担額は約68億円であり、県が約23億円、市町が約15億円、民間が30億円を負担していただいております。民間資金につきましては、嶺南地域の商工会議所等で構成する嶺南地域振興推進協議会が中心となって、所要額を確保することとし、経済界に対して寄附を呼びかたものでございます。
 寄附の金額等につきましては、30億円というように事業概要とともに公表しておりますが、寄附者名につきましては、今回寄附者の御意向もあり、公表いたしておりません。御了解いただきたいと思います。
 この寄附につきましては、企業が地域社会の一員として福井県の発展を願って、嶺南地域の振興に貢献するために寄附したものであり、県政の判断には何ら影響を及ぼすものではないと考えております。
 3点目でございますが、新幹線の金沢開業で在来線特急の運行本数の維持を福井県としてどのように考えているのかというお尋ねでございます。
 一日に23往復しております「サンダーバード」と16往復している「しらさぎ」は、福井と関西、中京を結ぶ、福井には欠かせない重要な列車でございます。金沢開業後も利便性が維持されることが必要であると考えております。福井と首都圏の人の流れは、東海道新幹線利用から北陸新幹線利用にシフトすることが予想され、「しらさぎ」の便数に影響が出る懸念もございますが、JRからは今のところ、金沢以西の便数を見直すとは聞いておりません。
 「サンダーバード」「しらさぎ」は、他の特急に比べ乗車率の高い列車でありまして、金沢開業後も便数が確保されるよう、石川、富山とも連携してJRに対し要請してまいりたいと考えております。
 また、議員より御指摘のありました越美北線などの支線につきましては、並行在来線として取り扱わないということをJR西日本と既に合意しておりまして、今後もJR西日本において運営していただけるものと認識していることを申し添えます。
 4点目でございます。地上デジタル問題につきまして、県内のNHK解約申し出数、7月24日以降の国の緊急措置での対応数、行政の対応状況についてのお尋ねでございます。
 総務省北陸総合通信局によりますと、県内世帯の地上デジタル化につきましては、大きな混乱もなく移行できたと聞いております。なお、NHKによりますと、都道府県ごとの解約申し出件数は精査中でありまして、現時点ではわからないとのことでございます。また、国の緊急措置におきます対応としては、7月24日以降のチューナー貸し出し分と、生活保護世帯等に対するチューナー無償支援分を合わせると、約760世帯に対応したと聞いております。
 地上デジタル化につきましては、国策でありまして、総務省がテレビ受信者支援センター、通称デジサポでございますが、これを中心に経済的弱者の方に対する地デジチューナーの無償支援などのさまざまな施策を実施しておりまして、県としては広報誌やホームページ等を通じた周知広報等の協力・支援を行ってきたところでございます。
 同じく、地デジに関しまして、経済事情でテレビが視聴できなくなっている場合等に、設置費用も行政の責任で負担するなどの応急対応が必要だと考えるが、県の対応方針についてのお尋ねでございます。
 総務省デジサポ福井では、従来から各地域への自治会や民生委員などのネットワークを活用し、高齢者への支援、声かけ活動を行ってまいりました。今後は、さらに社会福祉協議会や在宅介護事業者等に対しまして、高齢者への個別の声かけを依頼し、高齢者世帯への対応をしていくこととしております。
 一方、経済的事情でデジタル化が困難な世帯への対応につきましては、NHK受信料免除の約4.500世帯に対しまして、これまでデジタルチューナーの配布、設置工事を無償で行うとともに、住民税の非課税の約1,300世帯に対しましても、無償でデジタル化チューナーを配布する対応を行っております。
 県としては、今後とも国に対し、適切な対応を働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯議長(田中敏幸君) 安全環境部長石塚君。
    〔安全環境部長石塚博英君登壇〕

◯安全環境部長(石塚博英君) 私のほうからは、放射線被害の想定マップを県民に明らかにすべきではないかという問いについてお答え申し上げます。
 福島第一原子力発電所の事故を受けた放射性物質の拡散予測を作成いたしますには、前提となります放射性物質の放出量や放出継続時間、放出核種の組成などのデータが必要でございますけれども、現在、国の複数の機関が異なる放出量の推計値を示しているなど、事故の調査・検証はまだ確定しない状況にございます。
 また、国においては、原子力防災指針の見直しを検討中でございまして、原子力災害の被害設定や避難範囲を想定するに当たりましては、EPZの範囲など、防災指針の見直しについても、その状況を見きわめる必要がございます。
 このため県では、国に対し、EPZなどを含みます防災指針の早期見直しを求めておりまして、今月15日にも改めて強く要請したところでございます。防災指針に基づきました防災対策を講じるための要素でございます事故想定でありますとか放射性物質の拡散予測などにつきましては、国が責任を持って早急に明らかにする必要があると、このように考えております。

◯議長(田中敏幸君) 農林水産部長山田君。
    〔農林水産部長山田義彦君登壇〕

◯農林水産部長(山田義彦君) シカの捕獲量の抜本的拡大と、それを利用した地域おこし、雇用拡大についてお尋ねをいただきました。
 県では、シカやイノシシなどの捕獲を進めますために、すべての市町で有害鳥獣捕獲隊を編成いたしますとともに、捕獲経費に対しまして、1頭当たり最大7,000円の補助を行っているところでございます。この結果、平成22年度はシカを7,209頭、イノシシを4,631頭など、合計で平成21年度より約5,800頭多い1万3,600頭以上を捕獲したところでございます。
 さらに、今年度は本県が独自に開発いたしました、シカを一度に10頭程度捕獲できる大量捕獲器の導入を支援するなど、捕獲の強化を図っているところでもございます。また、獣肉の利活用につきましては、獣の肉でございますが、獣肉を食べる文化が余りない本県におきましては、消費需要を拡大させていくことが、まずは重要ではないかというふうに考えております。
 このため、現在、県内各地での試食会、また獣肉料理提供店の紹介などの啓発を行っておりますが、これに加えまして、今後は一般家庭向けの料理レシピの開発、また料理講習会などを行いまして、獣肉を食に供する文化の普及・定着に努めてまいりたいというふうに考えております。
 なお、平成19年度に県及び福井市の補助によりまして、福井市殿下地区に整備されました食肉加工施設につきましては、「ふくいウエストサイドジビエの会」が順調に運営を続けております。また、今年度、嶺南6市町が共同で整備を進めております焼却施設に併設する形で、若狭町が加工施設の整備を計画いたしております。
 県では、このように地域、また市町が進める加工施設の整備、また特産品化などに対しまして、技術面、運営面での助言・支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

◯議長(田中敏幸君) 教育長広部君。
    〔教育長広部正紘君登壇〕

◯教育長(広部正紘君) 県立学校図書費へのPTAからの寄附についてお答えを申し上げます。
 県立学校の図書の購入につきましては、学校運営費の中で各学校が教育上必要な図書を購入いたしております。そのほか、各学校のPTAにおきまして、総会で保護者の方々の御理解を得た上で、学校によって金額等はさまざまでありますが、図書を購入していただいているとも聞いております。これは、あくまでもPTA、保護者の方々の図書充実のための自発的な支援であると考えておりまして、学校から強制しているわけではございません。
 これまでも各PTAに対しては、学校への支援としての図書の購入やその実績等につきまして、会員である保護者の方々に十分に説明していただくようお願いしております。これからも校長会などを通しまして、さらにこういった旨を周知徹底していきたいと考えております。

◯議長(田中敏幸君) 残り質問時間、約11秒です。簡潔に願います。
 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事にだけ質問します。
 増設計画と核燃料プールの増設計画について、知事は正面からお答えになりませんでしたが、こういう増設計画が今始まっているし、プールの計画は関電が保安院と相談しているんですよ。だから、より危険になることはやめるべきではないかということを求めているんで、その点だけちゃんと正面から御答弁ください。

◯議長(田中敏幸君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 使用済み燃料といいましょうか、核燃料等については、そういう実態は聞いておりません。一方で、核燃料プールの問題については、国に対し、今回の福島事故の知見を踏まえて、安全対策、また将来どうするんだ、そういう方向性を求めております。
 それから、3、4号機につきましては、現在国において新しい原発をどうするか、それから、国の基本的なこれからの原子力発電所及び増設の計画をどうするかという方向の中で、国における方針が出される。我々は、それに対して意見を述べると、こういう構造になっています。

原発再稼働はやめよ、など関西電力本社と交渉しました

2011年11月29日 | Weblog
       昨日は、大阪の関西電力本社に赴き、交渉をおこないました。
福井からは私と嶺南地区委員会の山本雅彦委員長、北信越ブロックの藤野予定候補、山口さん、そして近畿からは吉井衆議院議員や清水予定候補ら20名ちかいメンバーとなりました。
関電側は、大濱稔浩・原子燃料サイクル部長、金谷賢生・土木建築室原子力土木建築グループマネジャーらに応対していただきました。


      具体的なやりとりでは「停止中の原発の再稼働はしないこと」を求めたのに対し、関電側は、「福島事故うけて対応している。新たな知見でてくれば対応する。原子力はベストミックス考えれば重要な電源。現在、ストレステストの審査中。安全確認されれば再稼働していく。地元にはわかりやすい形で説明していく」などと答えました。

私は「昨日のNHKの福島原発事故特集でも東電の元副社長など歴代幹部が登場して対策の甘さをわびていた。しかし、関電からはそういう言葉は聞かれない。津波対策というが、地震でどれだけ壊れたかも明らかになっていない。防潮堤をつくるというが、すぐ近くに集落のあるところでは、それで被害が拡大する危険もある。」などと指摘しました。

吉井議員も「津波だけが問題というのはおかしい。鉄塔までは津波はきていない」と批判しました。


      活断層評価の問題では山本委員長が「大飯でも熊川断層とあわせれば60キロの巨大となり、1260ガル想定では小さい。美浜でも深いところに断層がある。敦賀半島での原発はやめるべき」と主張しました。

関電側は「熊川断層は保安院も調査している。美浜についても安全側に評価している」などと答えました。しかし、山本氏も強調したように、原発の下の地盤で破壊がおこれば「耐震裕度」など吹き飛んでしまうのです。


      また、事故時の操作手順書の問題では、「シビアアクシデントマニュアルがある。電源喪失が長く続いた場合も想定し、運転手順書に反映している。適切だと思っている。日頃の訓練もしている」などと答えました。しかし、東電では長時間の電源喪失などに対応できず、苛酷事故となりました。福島事故をうけて電源車の配備などすすめるのは当然ですが、巨大地震をはじめ複合的なダメージを安全に乗り切れるかどうか、保証はありません。

      このほか、安全協定の拡大については各県から「福井県並みの安全協定を」と要望。関電側は「いろいろ決めていかなければならないことがある。具体的内容については協議中。地元の方に安心していただく」などと答えました。

      福井県などへの匿名寄付は改めるよう求めたのに対しては、「地域との共生の観点から公益の増進に寄付している。相手さんとの関係もある」と答え、改めようとはしません。

      実は関電本社を訪ねたのは今回が初めてでした。節電で1回のエスカレーターが止められていたり、照明が落とされていたり、でした。


      交渉後は福井に戻り、職員給与削減にかんする問題で福井県庁職員組合の田邊書記長からお話をお聞きするなど明日から始まる12月議会の準備作業でした。