みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

『歴史をかえた誤訳』 鳥飼玖美子

2011年08月16日 | 本・マンガ
 『「英語公用化」は何が問題か』に引き続き、2004年に文庫化されたこの鳥飼さんの著書を読みました。

 『歴史をかえた誤訳』というタイトルから想像すると、なんだか大げさなものを想像してしまいますが(表紙も表紙ですし)重要な外交の場での通訳について、同時通訳の一人者であり現在は異文化コミュニケーション学を大学で教えていらっしゃる鳥飼さんの意見を面白く読むことができました。私も学生時代に異文化コミュニケーション学を少し学んでいましたが、改めて異文化コミュニケーションは面白いものであるけれど、難しいものだと思いました。また、言語を学ぶ上で、あるいは人づきあいする上で(相手が外国人であろうがなかろうが)文化背景がいかに大事なものかということも痛感しました。

 ポツダム宣言に対する日本側の回答「黙殺」をどう訳すか、reject(拒否する)かignore(無視する)か?こういう状況のもしは禁句かもしれませんが、もしも「静観する」などほかの言葉を使っていたら、もしも「黙殺」がgive it the silent treatmentと訳されていたら・・・どうなっていたのでしょうか?(個人的な考えとしては、どちらにせよアメリカはやっていたのではと思いますけど・・・)他にも日本の「倫理」とキリスト教圏の国の「ethic(倫理)」の違い、非言語コミュニケーションである「沈黙」等等、興味深く読むことが出来ました。もちろん言葉や通訳も大事なのでしょうけれど、それ以前に大事なことが外交の場では特に重要になってくるのではないかと思いました。(ここ数年でもいろいろありますよね・・・)

 外交ではなく身近なところですと、映画の字幕に違和感を感じたり、輸入物ミュージカルを見た後に原語版の歌詞を読んでオリジナルの言葉の意味に驚いたり、翻訳ものの小説が読みにくさを感じたり・・・そんなことがたまにあります。しかし、私にその作業ができるかと問われても、できません!!それだけ大変な作業だと思います。この本で取り上げられている例ですと、「オレンジ色の猫」など色に関するものであったり、日本文学の英訳についても興味深く読むことができました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿