みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

狩野川能

2012年08月26日 | 能・狂言
 今日は伊豆の国市(旧伊豆長岡町)にある、長岡総合会館アクシスかつらぎというホールで行われた狩野川能を鑑賞しに行きました。この催しのことを知ったのがつい先週の日曜日(笑)ネットをさまよっていて、ふと見つけた「能」の文字。一応チェックしてみたら、萬斎さんの狂言がある。しかも1000円!!!これは!!ということで、すぐに電話。1階は全部売り切れで、2階席でしたが、2階席は・・な・・・なんと入場料が500円!!!!萬斎さん(たち)が500円!!!!ということで、2階席ですが、楽しんで参りました。ちなみに、公演名は能がつきますが、狂言のみです。狂言のみですが、あくまで狂言も「能楽」ですからね、これでもいいと思います!!

手話狂言 『墨塗』
 先日も熱海で拝見した三宅家の『墨塗』ですが、今日は日本ろう者劇団の方たちによる手話狂言です。演じるのは、ろう者劇団の方たちで、手話で狂言の台詞を表現します。そして、三宅右近家の方たちが役者さんの動きに合わせて影で台詞をあてます。この手話狂言は、右近さんが中学生の頃からの舞台を見ていた狂言にも造詣の深い黒柳徹子さん(そうだったんだ!)の発案で企画されました。和泉家の問題で苦労していた右近さんのことを(こちらについては・・・お察し申し上げます・・・・)「人の辛さ、苦しさが分かる人。指導者として、素晴らしい人」ということで、右近さんに協力をお願いし、始まったそうです。1983年からということですので、歴史があるんですね!!私は手話は分かりませんが、表現豊かに演じていらっしゃっていました。もちろん、台詞が合わせてというのもあるかもしれませんけどね。狂言は室町~江戸の口語ですので、当然言葉も古いです。その古い言葉のニュアンスを表現するのに、古い形の手話を使って表現しているらしいです。私は手話は全く分かりませんので、そこのところを楽しむには至りませんでしたが、狂言師さんたちの台詞もちゃんとあるので、耳の不自由な人も健聴の人も楽しめる狂言ですね。

シテ(大名)井崎哲也、アド(太郎冠者)江副悟史、小アド(女)小泉文子
声の出演・三宅右近、三宅右矩、三宅近成


狂言『舟渡聟』
 多分(笑)、初めて見る狂言です。舅に挨拶に行くために、聟が酒と肴を持って渡し舟に乗るが、船頭に酒を脅し半分でねだられ、酒を飲ませるが、実はこの船頭が舅だったという話です。今日は和泉流ですが、大蔵流になると話が違うのですね。こちらも見てみたいです。
 さて、この船頭が脅し半分で酒をねだるところが面白いです。舟が船頭の嫌がらせでものすごい勢いで揺れたり、逆に進まなかったり(笑)セットは何もないけれど、だからこそ狂言は面白いのだと思いました!

シテ(船頭)三宅右近、アド(聟)三宅右矩、小アド(女)高澤祐介


『那須与市語』
 能『屋島』の間語りで、狂言の大曲です。なんでも今回の公演が、近成さんの披きだそうです。なぜに長岡で披きなのかは・・・不明ですが、一生に一度の狂言師のキャリアの節目を拝見できるということで、こちらも楽しみにしていました。そういえば、私は『屋島』は見たことがありますが、小書きがないとこの「那須与市語」はないので、こちらは初めてです。
 有名な屋島の合戦の那須与市の活躍を、義経や与市など3役で一人で語り(もちろん動きはありますが)演じます。なるほど、これは狂言師にとっての関門のひとつだろうなと納得。那須与市の話は、もちろんなじみがありますので、情景が目に浮かびます。そして、立ち位置をかえ、扇などの動きで、いろいろと表現します。あるときは扇が弓、あるときは海面に落ちる扇。この扇の柄が波で、雰囲気がありました。
 他の方(たとえばもっとベテランの方)による与市語を見ていないので、なんともいえませんが、披き公演ということで、緊張感の中にもフレッシュさがあった与市語でした。



狂言『小傘(こがらがさ)』
 久しぶりの萬斎さんの狂言です!しかも今日は息子さんの裕基くんもご出演!!大きくなりましたね!!初舞台のお猿のドキュメントが放送されたのがつい昨日のようです。いや~、気分は「初舞台のころから知ってるわよ~」と話しかける親戚のおばちゃんです(笑)

 で、やっぱり萬斎さんの狂言は面白い!と感じました。萬斎さんはインチキにわか坊主で、新発意(裕基くん演じる見習い坊主)と一緒に、インチキお経で人々から施物を捧げさせ、持ち逃げしようとします。このインチキお経が面白い!!!「~~~よっ!!」という語尾が、今日のツボです!二人でインチキお経を練習しているのも面白かったですが、本番(?)になって、みんながマネしてしまうのも面白いです。まあ、最後はおなじみの「やるまいぞ、やるまいぞ!!」という狂言おなじみの終わり方ですが、これは萬斎さんも面白いですが、陰のMVPは腰をずっと曲げていたおばあちゃん(尼)役の月崎さんですね!最後もおばあちゃんがもっていった感がありました!

シテ(僧)野村萬斎、アド(田舎者)深田博治、小アド(新発意)野村裕基、
立ち衆(参詣人)村井一之、内藤連、岡聡史、小アド(尼)月崎晴夫


 こちらのホールには初めてお邪魔しました。ホール自体は、一般的なふつうのホールでしたが、外には温泉の町らしく足湯があったり(開演前に見つけて、浸かりたかったけど・・場所がいっぱいで入れませんでした)、頼朝挙兵830年を記念したイベントもあり、こんな顔はめパネルがありました。

 

 左は、源氏ボタルよりともくん。このイベントのゆるキャラなんでしょうか?ホタルの一種の源氏蛍と源氏をかけているのでしょうね。なんとなく「おじゃる丸」に出てくる宇宙人一家に似ている(笑)そして、頼朝&政子の顔はめパネル。長岡同様に伊豆の国市になった旧韮山町に頼朝が流され、政子と出会いました。この手のものって好きですが、一人だと、いろいろな意味で顔はめは、できません(笑)
 それから、伊豆の国は、「能のまち」として、子ども創作能などにも力を入れているそうで、先週の頼朝イベントでは小学生による仕舞も行われたそうです。能楽鑑賞講座など、いろいろやっているな~とは思いましたが、こうやって子どもたちの指導などに力を入れている自治体もそうないですよね。こうして能が広がっていくといいな~と思いました。