雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

次世代に残すべきもの ・ 小さな小さな物語 ( 300 )

2011-07-20 13:35:57 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
東日本大地震の復興財源について様々な意見が出ています。
いろいろ知恵を働かしたところで無い袖は振れないわけですから、増税か借金のどちらか、あるいはその併用になるでしょう。
他にも、経費節減とか、埋蔵金からのねん出などといった意見もありますが、そのようなことは緊急を要する復興財源としてではなく、通常の国家財政の運営として行ってほしいものです。


増税論議もにぎやかになってきていますが、この意見の支持者の主張の柱は、「時代に負担を残してはいけない」ということです。実に美しい言葉ですが、国や地方が既に持っている一千兆円に近い借財はどうなるのでしょうか。
復興に必要な二十兆円や三十兆円は、どんな処理をしても大差ないと思うのです。消費税にせよ、直接税にせよ、所詮は将来の財源を先食いするだけのことなのですから。中には、痛みをあまり感じない形の税収を考えたいという意見さえあるそうです。あまりにも国民を馬鹿にした発言ではないでしょうか。そんなものがあるのなら、直ちに百兆円ばかり増税して欲しいものです。


残念ながら、私たちは次世代に多大の借財を残してしまいます。一世代を何年で計算するかによって事情は変わってきますが、社会的な激変がない限り、現在の世代で借財を解消することは無理でしょう。
年金制度も、現制度のままで持つはずがありません。少子高齢化が原因のようですが、子供が減ると持たない年金制度など、ネズミ講に近いものです。早い機会に、この国の将来を本気で心配する指導者に登場してもらいたいものです。


私たちは、次世代にマイナス要因ばかりを引き継いでしまうのでしょうか。
決してそんなことはないと思うのです。
まず、借財を超える個人資産があります。どうも偏在しているらしいのが気に入らないのですが、これらは間違いなく国家の力です。
発展途上国に追い回されているとはいえ、まだまだわが国には先端の技術が多数あります。一番でないといけないのかという冷たい指摘もありますが、わが国の技術力は次世代に引き継がれることでしょう。
そして何より努力しなくてはならないことは、現在大変厳しい状態になっていますが、次世代の人たちが、この国で職を得て生活していける体制を強化することです。
節電節電と騒ぐたびに、工場が一つずつ減っているのではないかと気が気でないのですが、私たちが次世代に残さなくてはならない最も重要なものは、少々の借財は残ったとしても、この国で働き生活できる社会の仕組みを強化することではないでしょうか。

( 2011.07.17 )


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