雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

自然災害と向き合う ・ 小さな小さな物語 ( 316 )

2012-01-25 10:38:56 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
台風12号は、各地に大変な被害をもたらしました。被災地の皆さまにお見舞い申し上げます。


今回の台風は、かなり異例づくめのものだったようです。
まず、移動するスピードがとても遅く、そのため同じ地域に大雨が降り続き大きな被害を発生させました。それも、前線との関係もあったのでしょうが、台風の中心から遠く離れた場所での被害も大きかったことも特徴的でした。
紀伊山地や山間の町や村での降水量は、1,000mmを遥かに超えたというのですから、想像するだけでも恐ろしいほどです。山間を流れる美しい川は、観光目的で何度か見たことがあるのですが、広大な山並みに包まれるようにして流れている風景を思い浮かべますと、あのあたりに降った雨の多くがあの川に流れ込んだのだと考えるだけで恐ろしい気がします。


今回の台風は当地も相当の雨に襲われました。風はこれまで経験している台風より強いものではなかったのですが、隣接する市町村などでも河川の氾濫や人的な被害が報道されています。
私宅のすぐ近くに小さな河川が流れています。江戸時代の地図にも載っている川なのですが、水源にあたる所は山間の幾つかの灌漑用の池になっていたのですが、現在では、池の数も減り、低い山はすべて住宅地となっています。
私の家はその水源に近いあたりにあるのですが、その川でさえ轟音をとどろかせて濁流を流しています。日頃は、小川に毛が生えた程度の川を、コンクリートで固めてしまうことがいいのだうか、などと考えていましたが、今回のような大雨の時には、自然の美しさより水害に強い方が有難く感じてしまいます。


東日本大地震は、千年に一度の災害だともいわれています。阪神淡路大地震の時は、四百年に一度の災害だとも言われました。
ある大都市の首長の方が、大津波が発生した場合、この街を完全に守ることは不可能だ、人命をいかに守るかということに重点を置きたいという発言をされるのを聞いた覚えがあります。
原発事故を人災か自然災害かを論ずることは別の機会にさせていただくとして、直ちにすべての原発を止めよという意見もあるようです。
温暖で豊かな自然に恵まれているわが日本ですが、地震があり、台風があることも事実です。自然災害において、『二度とこのような惨事は起こしません』という言葉を聞くことが時々ありますが、そんなことが実現できると本気で思っている人も少数派でしょう。
私たちは、この国で生きていく限り、自然災害とどう向き合っていくのかを常に考える必要があるのではないでしょうか。

( 2011.09.06 )

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