雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

落とし所 ・ 小さな小さな物語 ( 1755 )

2024-04-06 08:01:06 | 小さな小さな物語 第三十部

自民党は、派閥の政治資金パーティーの裏金事件に関して、議員三十九人の処分を決定しました。自民党としては、この問題を早く収束させたいというのが本音でしょうから、決着を急ぎ、処分もおそらく党内の当初の思惑よりは厳しいものになったのではないでしょうか。
この決定に対する各方面からの評価はまだはっきりしていませんが、自民党首脳が期待しているほどすっきりとは行かないことでしょう。
野党などから、早速厳しい意見が出ていますが、これは、自民党がどんな結論を出したところで非難する意見しか出ないはずですから、正確な評価に当たらないと思うのですが、自民党内の意見や、国会議員以外の評価がどう動くのか、まだまだ事件は胸突き八丁といった所ではないでしょうか。

このところ、不愉快な難題が表面化し続けている同党ですが、この裏金事件に関してだけで言えば、不正を行っていた対象者が80数人に上っており、しかも、個人的な意見としては、この種の資金処理は、パーティ券に限らず、多くの議員が行っていることだという気がしています。
今回は、安倍派という大派閥で表面化してしまったため、一網打尽といった形で大勢の不正が表面化してしまいましたが、よく似たような不正な処理でも、たいていは、訂正という形で逃げ切れており、それでは無理な場合でも、会計責任者や秘書の責任ということで議員本人は無傷という事例を嫌というほど見せつけられてきました。
本件の党内処理などは二の次のことであって、政治活動という錦の御旗がまかり通るような資金処理を是正させることこそ重要だと思うのです。

それにしても、今回の党内処理については、二転三転を重ねたようですが、結果に対しても処分を受けた人からも、それ以外の人からも不満が出ているようです。
「離党勧告」という厳しい処分を受けた人が二人出ましたが、英断という見方も出来ますが、それ以下の人との差はそれほど明確なのでしょうか。
また、処分対象者とお構いなしになった人との差は、キックバックを受けた金額が判断基準の大きな要因になったようです。江戸時代には、「十両盗めば首が飛ぶ」という定めがあったそうですが、何だかそれを連想してしまいました。安倍派の議員の場合、キックバックの金額の多寡は、支持者から資金を集める能力にほぼ比例しており、金額が少ないのは、品行方正とは関係なく、資金集めが弱かっただけの話で、乱暴な線引きだったような気がします。
また、政治家として未熟であったり、今回のキックバックが違法との認識が薄かった人などは大目に見られたかのように見えるのですが、議員に関するこの程度の法律も理解していなかったとすれば、その方が恐ろしくなってしまいます。
そうだとしても、どこかに落とし所を見つけならなければならないわけで、今回のものが最善と判断したのでしょう。そして、その判断の中には、総裁には何の罪も無いとの判断も入っていたのでしょうね。

いずれにしても、今回の騒動は、まだまだ後を引くことでしょう。
自民党内の流動性が増し、国会内では国民不在の論争が続くでしょう。どこかで、議員に関わる法律の改正が行われるものと期待していますが、きっと、絶妙の改正が行われるのでしょうねぇ。
国会での論争も、聞くに堪えないような口汚い絶叫がみられ、交通違反や事務員を泣かせているような輩が、正義について語るのかと思うと少々うんざりしますが、考えようによっては、聖人君子などそうそういるわけではありませんから、全身をメッキで固めて振る舞うことも重要なのかもしれません。
わが国の国民を導く立場にある国会議員は、せめてその任期にある間は、例えメッキであってもその輝きを磨き続けてほしいものです。


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