徒然なるままに・・アメリカ、そして日本

二度のアメリカ生活。
ボストン・オハイオ州・フィラデルフィア郊外に住み、
2010年夏、日本に帰国しました。

Yo-YO Maと広上淳一氏とコロンバス・シンフォニー

2008年05月24日 | オハイオ・お出かけ
コロンバスシンフォニーのガラコンサートに出かけてきました。
指揮は広上淳一氏。今回迎えたソリストは、なんとYo-YO Ma。世界的に有名なチェリストです。

一曲目は、オーケストラのみの演奏で、Schubert作曲「Overture to Rosamunde, D. 644」。
二曲目は、Haydnの「Concerto in C Major for Cello」。
Yo-Yo Maがステージに入ってきた時には、さすがに大喝采で、曲を始めるのに少々時間が必要だったくらいでした。
この曲は明るい曲で、ニコニコの笑顔で、オーケストラを見回しながら演奏するYo-Yo Maのイメージとはぴったりでした。聞いているこちらまで、気付かない間に笑顔になってしまいます。Yo-Yo Maの演奏は、ソリストとオーケストラが対話しているように感じました。
やはり、ここコロンバスでは、concertoの楽章と楽章の間に観客から拍手がおこってしまいます。それには、Yo-Yo Maも苦笑していました。素晴らしい演奏ではあるのですが・・・・。

休憩時間を挟んで、三曲目はSain-Saensの「Concerto No. 1 in A Minor for Cello」
知ろうとの私の耳にも、さすがのYo-YO Maも外したかな?と思う音はありましたが、さすがに超一流です。それがかえって、生演奏を聴いている事を実感させ、完璧に近い彼も同じ人間だなぁ~と嬉しく感じてしまいました。

この後アンコールで、コロンバスシンフォニーのミュージシャンのカルテットのグループと共演しました。
Yo-Yo Ma自身がマイクを持って、音楽とは情熱だ・・・と言うような事を語り、彼の音楽に対する真摯な態度を感じました。
残念だったのが、このカルテットとの演奏中、ステージ上でバイオリニストがYo-Yo Maの写真を撮っていた事。これは、公私混同、ミュージシャンとしての自覚が足りないような気がしました。

最後の曲はRavelの「Bolero」。
「Bolero」では、スネアドラムがずーーーっと同じリズムを刻みます。普段は一番後ろに位置するパーカッションも、今回は指揮者のすぐ前でした。
アンコールを終えたYo-Yo Maが、「これが私の椅子だね。」と、ズルズルと椅子をチェロパートの最後尾に陣取り、オーケストラに混じって弾いていました。周りのミュージシャンとも、言葉を交わし、楽しそうでした。
映画、「公証人 真下正義」にも出てきましたが、ずーっと同じリズムの繰り返しの、人によっては退屈な曲です。(笑)
実は、Yo-Yo Maの前に座っていたのは、私のチェロの先生。(去年からチェロを始めました。)
彼女いわく、Yo-Yo Maの音が後ろから聞こえてきて、「今までで一番うまく弾けたかも?」だそうです。


Yo-Yo Maは、我が家にもDVDがいくつかあって、よく見ていたので、彼が時々コンチェルトを弾き終えた後、オーケストラに混じって演奏する事がある事も知っていました。
でも、やはり「生」で聞くのとは大違い。今回は、彼の音楽だけでなく、人間性もじかに感じる事が出来たような気がします。

この指揮を最後に広上さんは今期を終え日本に帰国しました。
夏に毎年企画されていた、野外コンサートは今年はキャンセルのままです。
来期のオーケストラの存続も危ぶまれているので、来期、彼の指揮をこの場所で見る事が出来るかは、非常に微妙なところです。

でも、今日のニュースでは、腰の治療のため指揮をキャンセルした小澤征爾氏の代わりに、広上さんが指揮をするという記事がありました。
先に出かけたイベントで、広上氏にお会いした時に、コロンバスシンフォニーの運営に対して、非常に憤慨しましたが、彼にはまだタクトを振る場所があります。たとえ、小澤征爾氏とは値段的に差があっても。
でも、コロンバスシンフォニーが無くなったら・・・・。
ブログにはあげませんでしたが、Yo-Yo-Maのコンサートの前の週末にも出かけたコロンバスシンフォニーのコンサートで、広上氏自身が「無くす事は簡単だけど、また一から作るのは大変なのです。このオーケストラは歴史があるのですよ。」と観客に呼びかけました。

世界的に確固たる地位を築いているYo-Yo Ma。そして、日本人指揮者として小澤征爾氏のように有名になれるか広上氏。そして、コロンバス・シンフォニーは存続出来るか。
そんな三組の共演をとても興味深く思いながら聞いたコンサートでした。

音楽がつなぐ、人の縁

2008年05月06日 | 思った事
一昨年の秋からコーラスグループに入り、この週末に二度目のコンサートを終えました。

子供の頃から歌は好きでしたが、学校の音楽の授業が好きになれず、高い声も出せなかったので、私にとって歌を歌うと言う事は、コンプレックスでした。そんな”ずぶの素人”にさえも満たないの私でも、コーラスグループに入れて下さり、ご指導下さった先生、一緒に歌ってくれた仲間達に、本当に感謝です。

きっかけは、今からちょうど二年前の観客として出かけたコンサート。
アメリカで聞く日本の歌の中にある、日本語の美しさ、情緒深さ、繊細さにとっても感動したのでした。
日本からアメリカにやって来て、苦労して英語を覚え、差別されているように感じた事もあったなぁ~と、そんな事を思いだしながら、聞き入っていました。日本の歌を聞いて、どれだけ慰められた事か。日本人で良かったと心から思えた瞬間だったかもしれません。
コンサートが終わる時には、すでにこのグループに入ってみようと決めていました。
そして、それから、早二年。私も二度のコンサートに出演出来ました。

練習の時には、嬉しい事にベビーシッターさんもいらっしゃいます。
初めての駐在の時に、我が家の末娘はまだ乳児。小さな子供を抱えての慣れないアメリカ生活は、とてもストレスの大きい物でした。
大きい声で歌う事はストレス解消にもなります。その時に、こんなベビーシッターさんのいるコーラスグループがあったら、救われただろうなと思います。

また、コンサートの時には、楽器を弾ける会員の子供達始め、知人の子供達も花を添えてくれます。誰でも音楽を楽しめる、そんなフレンドリーな感覚が嬉しいです。

そして何よりも、一つの物を大人数で作り上げると言う事は、とても素晴らしい事だと思います。それぞれ違ったキャラクターの人同士が、一つの目標に向かって頑張る。それぞれの個性があらゆる場所で発揮され、最終的に一つにまとまる。そんな達成感がありました。素敵な仲間達と出会えて良かったと思います。
人と人とのつながりが希薄ななりがちな昨今、音楽を通して演奏者同士はもちろん、協力してくれた家族、聞きに来て下さった皆さんと、同じ時間を共有出来た事は本当に幸せな時間でした。