夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈た行〉

2021年12月28日 | 映画(た行)
《た》
『タイプライター 崖っぷちの30日間』(原題:Mr. Write)
2016年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
出版社に編集者として勤めるドリは、恋愛小説家マイケルの大ファン。
ところが自社の会議で彼の出版企画が打ち切られそうだと知り、
マイケルの魅力を蕩々と語ったところ、彼の担当者となるよう命じられる。
大好きなマイケルと仕事ができるとはりきるドリだったが、
実物に会ってみると、マイケルは落ちぶれて覇気のない男でガックリ。
マイケルの名誉を挽回する期間として与えられたのは30日間。
その間に彼にやる気を取り戻させて良質の小説を書かせることはできるのか。
毎晩外出して遊び呆けるマイケルに憤り、ドリは彼に張り付くことにするのだが……。
それなりのイケメンと美人が並んでワクワクするはずが、
劇場未公開だったことにうなずいてしまうような薄さ。暇つぶしにはなるかも。
 
《ち》
『血筋』
2019年の日本のドキュメンタリー作品
撮影当時は大学生だった角田龍一監督。中国朝鮮族自治州生まれ。
両親は彼が子どもだった頃に離婚。
母親の再婚に伴って来日した彼は、大学で文学と哲学を学んでいました。
20歳を迎えたのをきっかけに、音信不通だった父親を探すことを決意。
中国・吉林省に住む祖父母と叔父を訪ね、父親の行方を突き止めます。
18年ぶりに再会した父親は、韓国・ソウルに在住。
不法滞在者として日雇い労働をしながら、借金取りに追われる日々を過ごしている模様。
感動の再会とはおよそ呼べるものではありません。
父親のあまりの駄目っぷりに、角田青年は早く父親を忘れて逃げるべしと思いました。
 
《つ》
『月子』
2017年の日本作品。
多くの作品の製作に関わってきた越川道夫が監督。
自死した父親を殺したかのように言われて行き場を失った青年・タイチ(井之脇海)と、
施設を逃げ出してきた知的障害のある少女・月子(三浦透子)が出会う。
連れ戻しにきた施設職員を振り切り、家に帰りたいという彼女と共にタイチは旅を続けるのだが……。
すっかり売れっ子の三浦透子。『ドライブ・マイ・カー』とはまた違うロードムービーです。
拠り所のないふたりの逃避行というのは観ているのがつらい。
海にたどりつき、やがて手を繋いで雑踏の中へと戻ってゆくラストシーンは○。
 
《て》
『テスラ エジソンが恐れた天才』(原題:Tesla)
2020年のアメリカ作品。
何かとトーマス・エジソンと比較される発明家ニコラ・テスラを描いた伝記ドラマ。
憧れのエジソンのもとで働いていた移民のテスラは、
1884年、直流システムを掲げるエジソンに交流システムを主張して対立、辞職する。
実業家のウェスティングハウスと手を組んで、シカゴ万国博覧会で大成功を収めたテスラだったが……。
脚本は40年前に書き上げられて、映画化の話が持ち上がったのに、なぜか頓挫して今日に至るそうです。
『エジソンズ・ゲーム』(2019)のほうが私は面白かったですが、
本作と併せて観れば、エジソン側からとテスラ側から、双方のことがわかって良いですね。
キャストの違いも楽しめます。天才には天才の悩みがあるんだなぁ。
 
《と》
『トゥルーノース』(原題:True North)
2020年の日本/インドネシアのアニメーション作品。
梅雨時にあちこちのシネコンで公開していたのをことごとく観そびれました。
DVDレンタルできるのは来年かと思っていたら、結構早くNetflixにて配信開始。
1960年代、帰還事業で北朝鮮へと渡った在日朝鮮人のパク一家は、
あるとき、父親が政治犯として捕らえられ、家族も政治犯強制収容所に送られる。
収容当時は小学生だったヨハンは収容所で過酷な生活を送り、やがて青年に。
生き延びるために同胞への裏切りともいえる行為にも走るのだが……。
これが初監督作となる清水ハン栄治は在日コリアン
帰還事業で北朝鮮に渡ったまま消息不明の在日の人たちの話を聞いて育ったそうです。
本作は幼い頃に聞いたそんな話がモチーフになっている模様。
今なお北朝鮮に存在するという完全統制区域のことを知りました。
こんなアニメは初めて。心をえぐられます。

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