夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

最近読んだ、ロックな青春の本

2012年09月12日 | 映画(番外編:映画と読み物)
夏の暑い盛りにはやはり夏の話が読みたい。
なんぼ夏より冬が好きな私でも。
積み上げた本の中から次に読む本を選ぶとき、
タイトルに夏を感じさせる語が入っていたり、
装丁が夏っぽかったりするものを手に取ってきました。

越谷オサムの『階段途中のビッグ・ノイズ』のカバーイラストは、
夏雲が浮かぶ青空のもと、シャツの袖をまくりあげた男子高校生が、
エレキギター片手に校舎の前で飛び上がる後ろ姿。
おぉぉぉぉ、青春だ、夏だ、ということでこれにしたのですけれど。

開いてみれば4月で、春の気持ちになれない私はガクッ。
ところが話はそのまま先へ進み、最高潮を迎えるのは9月から10月にかけて。
ドンピシャリのうえに、1970~80年代にデビューして今も活躍中のバンド満載。
『最強のふたり』のアース・ウィンド・アンド・ファイアーに続いて狂喜です。

神山啓人(かみやまけいと)は県立大宮本田高校の2年生になったばかり。
急に校長室に呼び出され、所属する軽音楽部の廃部を言い渡される。
軽音楽部の部員は啓人を含めて実質たったの3名。
そのうちの2名である3年生、つまり啓人の先輩が、
屋上でマリファナを吸って捕まったと言うのだ。
保護者への申し訳として、軽音楽部は廃部にすると言う。

理不尽だと言い返そうにも、あまりに突然すぎて何も言えない。
なかば放心状態でいたところ、九十九伸太郎(つくもしんたろう)から声をかけられる。
2年で同じクラスになった彼は、入学時に軽音楽部へ入ったものの、
その後すぐに来なくなってしまったヤツだ。
軽音楽部とは名ばかり、楽器も弾けない先輩だけの場所は嫌だったらしい。
それでも伸太郎はずっと、たった一人で黙々とギターを練習する啓人のことを気に懸けていたのだ。

いきなり廃部だと聞いた伸太郎は啓人に代わって激怒、校長室へ向かう。
のほほんとした校長は、伸太郎の話に一理ありと認め、
いくつかの条件付きで軽音楽部存続を許可する。

その条件とは、自分たちで顧問の教師を見つけること、
練習には必ず顧問同席、半年以内に何らかの成果を挙げること。
これらのうちひとつでも守れなければ即廃部。

楽勝と思いきや、不祥事を起こした部の面倒をみようという教師はなかなかいない。
それに、活動しようにも部員は啓人と伸太郎だけで……。

啓人の兄は軽音楽部全盛期の同校卒業生。
彼のアドバイスにより、冴えない国語教師、加藤(通称カトセン)に顧問を依頼します。
ほとんどしゃべらない、何を考えているかもわからないカトセンが実に良くて、
中盤に一度泣かされてしまいます。

また、新たに部員に加わるのはギターの達人で中性的美男子の嶋本勇作。
吹奏楽部の打楽器奏者のエースでありながら、スパルタに呆れて辞めてきた岡崎徹。
部員じゃないけど彼らを応援するのが水泳部の可愛い顔して大食漢、大野亜紀。
水泳部の顧問で不祥事を起こした生徒の担任だった森女史と、
個性豊かな面々がぐいぐい話をひっぱって行ってくれます。

文化祭「田高マニア」の模様には胸が熱くなります。
キッスにグリーン・デイ、ラモーンズ、オフスプリング。
野球部が「曲名がわからんけど」とリクエストするのは「どんどんぱんの曲」、
これ、クイーンの“We Will Rock You”です。(^^;
最後まで声を聴かせてもらえなかった『BECK』(2010)よりも、
こっちのほうが声まで聴こえてきそう。

マンガにはなっているようなんですけれど、映画化はしないんですか、これ。
文化祭シーズンにピッタシです。

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