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『ノー・エスケープ 自由への国境』

2017年05月13日 | 映画(な行)
『ノー・エスケープ 自由への国境』(原題:Desierto)
監督:ホナス・キュアロン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル,ジェフリー・ディーン・モーガン,
   アロンドラ・イダルゴ,ディエゴ・カターニョ,マルコ・ペレス他

TOHOシネマズなんばにて。

2015年のメキシコ/フランス作品で、
第89回アカデミー賞外国語映画賞メキシコ代表作品がこのたび公開に。
トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を造ると言ったから
このタイミングで公開することにしたのかもしれません。

監督はアルフォンソ・キュアロンの息子、ホナス・キュアロン。
『ゼロ・グラビティ』(2013)では共同脚本を手がけたそうです。
今後が楽しみな監督となりました。
原題の“Desierto”の意味はスペイン語で「砂漠」。

アメリカへ不法入国しようとしているメキシコ人グループ。
仲介業者のトラックの荷台に潜んで入国するはずが、
トラックがオーバーヒートを起こして停まってしまう。
メキシコ人のひとりで整備工のモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)がトラックの修理に借り出されるが、
部品がなければ直せそうにない。

一行を移動させなければならないアメリカ人ロボは、
仕方なく彼らをトラックから降ろすと、
この砂漠地帯にある国境を徒歩で越境する旨を伝える。
もしも人や車の気配を感じたら、すぐさま隠れるようにと指示をして。

真夏の砂漠。しかも史上最高の気温を記録しようかという日。
モイセスら15人のメキシコ人は、ロボを先頭に歩きはじめる。

有刺鉄線の張り巡らされた国境をくぐり、アメリカへと足を踏み入れる一行。
と、銃弾が飛んできて、まずロボが死亡。
彼に続いていた者も次々と撃たれて絶命する。

襲撃者はただひとりのアメリカ人サム(ジェフリー・ディーン・モーガン)。
移民を憎み、違法に国境を越える者を狩っているようだ。
彼の忠実な飼い犬トラッカーを使い、追いかけてくる。
先頭集団から幸いにして遅れを取っていたモイセスら数名が
とりあえずその場から逃げるが、サムはあきらめず……。

ちょっぴり『ドント・ブリーズ』(2016)を観たときと同じような気分。
あれほど怖くはないのですけれども、スリル満点。

『ドント・ブリーズ』は、逃げる若者に共感できず、
だからと言ってジジイがんばれと応援する気にもなれませんでした。
そこがまた面白くもあった。
その点が本作と似ているんです。
移民を殺していいわけはないのですが、モイセスたちを全面的に応援はできない。
サムも寂しい人のようで、彼が殺されるのもなんだか気の毒。
どっちにも肩入れしかねるようにつくられているといいますか、
人柄については言及せずにサスペンスに徹しているというのか。

いちばん可哀想だったのは犬のトラッカー。
こんなの絶対動物愛護団体からクレームが来る。(T_T)

残酷さでは『無限の住人』の上を行くかも。
痛いのが駄目な人はムリです。(^^;

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