箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「一人ではない」 意味のある他者になる

2021年05月24日 07時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは、以前から中学生に「孤独にはなっても、孤立はするな」と何度か話したことがあります。

これは、中学生は友だちと群れているのも楽しいですが、周りに合わせ自分の意思や考えを出さずにいることもあります。

だから、ときには敢えて一人になって、読書をしたり、じっくりと考え、自分を見つめることが、自分がどう生きるかにつながるので、思春期の中学生には必要である。

ただし、孤立は周りの他者と人間関係が途絶えている状態なので、望ましくない。

およそ、そのような意味で、中学生を啓発してきたのでした。

この考えの基本には、孤独が人を成長させるという経験があります。

しかし、最近では、本人が望まない孤独もあるのではないかと考えます。

多くの人が生きづらさを感じる世の中です。人間関係で悩む人がいます。

まして、ここ2年はコロナ禍で、生活苦や生きる意味を見出しにくいという困難に直面する人もいます。

その人たちに、孤独を勧めるのは、一人で、自分で解決しなさいというメッセージになるかもしれないからです。

本人が望まない孤独であるなら、孤独を勧めることはできません。

また、友だちがいても、何か満たされない。心に穴が空いているという寂しさを感じる子もいます。

孤独はイヤ、孤立もイヤという子もいるでしょう。

そんな時、支えてくれるのは、やはり意味のある他者です。

相談できる関係が、今の時代、何よりも必要になります。

おとなは、「電話相談もあるから、相談してほしい」と言います。

でも、いまの若い子はあまり電話をつかいません。

そのため、わたしはLINE相談など、SNSを活用する相談体制をもっと充実させるべきでないかと考えます。

その際、相談を受ける側は言葉のチカラを意識して、メール文も吟味して、「こう書けば相手はどううけとるか」を常に意識している必要があります。

また、学校の教師は、自分の言葉で子どもを支えることがあるし、落胆させることもあることを心得たいと願います。