ご近所の方から野菜をいただく事が増えてきた。
「食べきれないから食べて」と言って持ってきてくれる。ありがたや、ありがたや。
家庭菜園で作った野菜が、そろそろ収穫時期を迎えたようだ。
我が家の庭でもミニトマトがどんどん色づき、今は無農薬の新鮮なミニトマトが毎日食べられるという幸せなのだが、残念なことに他の野菜のできが良くない。
ミニトマトとプランターで育てたリーフレタスはたくさん採れたが、他はダメだった。あとは青じそとパセリがボチボチ。
特に枝豆がダメで何がいけなかったのか、芽が出なかったのが大半で、何とか成長したものもあるが、実入りが良くない。
それからズッキーニも失敗。
これは植える場所が良くなかったのではないかと思っているのだが、カビが発生して、せっかくできた実が次々と腐ってしまった。
そんな訳で自家栽培は期待できないという状況のため、ご近所さんから採れたて野菜を頂くと本当に嬉しい。
今日もご近所のワンさんからゴーヤとトウガラシを頂戴した。
大きなゴーヤとトウガラシ。ぴかぴか光ってきれい。
ところでワンさんと言えば、これまで野菜を育てるのは私と同じく素人だったが、昨年から本格的に野菜作りを始めたそうで「野菜栽培の事を色々勉強している」と語っていた。
頂いた野菜を見てのとおり、勉強の成果は現れている。ゴーヤは食べきれないくらい実ったそうだ。
「ゴーヤ、炒めて食べたですよ。苦味が無くて美味しかったね。トウガラシも一緒に炒めて食べたけど、あまり辛くなかったですから、一緒に炒めてくださーい」とワンさんは教えてくれた。
ワンさんによると、中国では野菜は炒めて食べることが多いのだとか。
どおりでたまにワンさんの家のそばを通りかかると、家の中から炒め物の香ばしくて良い匂いが漂ってくることがある。
ワンさんも普段の料理は、ほとんど炒め物をするそうだが、すこし困った顔で「でも、娘が日本の料理の方が好きと言うね」とおっしゃった。
ワンさんの娘さんは、日本で生まれて日本で育った。
ワンさん同様とても優秀な娘さんで今は大学生なのだが、日本で育ったせいか、家族の中でも決して中国語を話そうとはしないそうだ。
三年前に本州の大学に合格して出発する前日、偶然娘さんと道で会ったことがある。
関西の大きな都市に行くという娘さんに、その街の印象はどうだったかと聞くと、「よかったですよ。でも中国人が多くて・・・」と、とても嫌そうな顔で言ったのにはちょっと驚いた。
「だって〇〇ちゃん(娘さんの名前)の祖国の人たちでしょ?」と言うと、きっぱり「違います」と言った。
「人種は中国人でも、心は日本人ですから。祖国は日本です」と言い切る娘さんに嬉しい気持ちがしたが、少し複雑な気持ちもあった。
彼女は、小さい頃から日本人になり切ろうと努力してきたのではないか。だから決して中国語を話そうとしないし、中華料理より日本料理の方が好きというのではないだろうか。
そう考えると、かわいそうになった。
「今度むすめが帰って来るね。だから日本の料理作らないと」と言ってワンさんは帰って行った。
大丈夫。久しぶりに食べるお母さんの料理は、何を食べても美味しいって思うよ。しかもお母さんの育てた新鮮野菜を使った料理なら尚更・・・そう言ってあげればよかったと後から思っていた。