ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

いつもありがとう

2014-06-05 17:26:54 | 介護
もうすぐ87歳になるお姑さんだが身体はいたって元気で、週二回のデイサービスを楽しみにしている。

そのデイサービスを利用して長いせいか、何人か仲良しの友だちもできたとか。

お姑さんが、こんな話をしてくれた。

「最近、よくお友だちから電話がかかってくるの。

その人は息子夫婦と同居なんだけど、お嫁さんとうまくいってないらしくて、いつもお嫁さんの愚痴を話すの。

嫁が毎日食事を作って運んでくれるのだけど、持ってくるおかずが口に合わないんだって」

お姑さんはそう言いながらも、特に電話が来ることを嫌がっている風でもなかった。

私も「ふ~ん、そうなの」とか言いながら聞いていたのだが、お姑さんの言うとおり、どうも電話は頻繁にかかってきているようだった。

たまたまお姑さんの部屋の隣で洗濯物を畳んでいたら、その友だちから電話がかかってきたらしい。

隣の部屋で洗濯物を畳んでいた私のところまでお姑さんの会話する声が聞こえてくる。

「うん、うん」と言いながら友だちの話に耳を傾けているお姑さん。

時々「そうなの」と言う声がする。

相手の方の声はもちろん聞こえないが、お姑さんの会話からやはりお嫁さんの愚痴を聞かされているらしかった。

お嫁さんの愚痴を言うお友だちだが、うちのお姑さんに愚痴の電話をかけてくる前は、他の人にも同じような電話を頻繁にしていたのだとか。

ところがその相手が亡くなってしまったので、次に愚痴の電話をかける相手としてお姑さんが選ばれてしまったようだ。

多分そのような方だから、お嫁さんにもそれが伝わって嫌がられているのだと思う。

だからますます関係が悪くなって、ますます愚痴りたくなるのかもしれない。

ある程度の間、友だちの話を聞いていたお姑さんだったが、突然語りだした。

「私はね、いつもありがとうって言っておくの(私にですが・・・)

だって、生きている時間はもうそんなに長くはないでしょ。

死んでしまったらありがとうも言えないから、今のうちに言っておこうと思って。

だから、あなたもありがとうって言いながら死んでいきましょうよ」

多分そのお友だちもひとしきり話をして気分がすっきりしたのだと思うが、お姑さんの語る言葉で電話の会話は終了となった。

お姑さんの言う言葉通り、お姑さんは毎日必ず私に「ありがとう」と言う。

朝起きて「おはようございます」と挨拶をすると、「おはようございます」の挨拶に付け加えて「お世話になって、いつもありがとう」と言ってくれる。

部屋の掃除をしたり、作った料理を持って行くと「ありがとう」

「おやすみなさい」の挨拶の後にも「お世話になってありがとう」と言ってくれる。

とにかくちょっとしたことにもお礼を言ってくれるので、こちらの方が「いえいえ、私はそんな大そうな事は何もしていないですから」と恐縮してしまう。

でも「ありがとう」を言われて嫌な気持ちはしない。

むしろもっとやってあげようという気持ちになる。

最近、老人介護の仕事に加えて、実の父の介護も加わって、老人と接する機会が多くなったせいもあるが、お年寄りと接しながら自分の老後のシュミレーションをすることがある。

自分はどんな老人になろうかと・・・

やはりありがとう、ありがとうと周囲に感謝できる老人になっていたいなぁと思う。

そして身近で手本になってくれる姑を持ったことは、本当にありがたいことだったと思う。




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