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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

自己開示回避の自己提示という道

2014-10-16 16:33:43 | 日記

異性を口説くのにとても積極的な人がいる一方で、うじうじしてなかなかアクションが起こせない人もいる。ぼくは男性なので男性の一般的なケースで話したい。

この2年ほどの間に、2人の男性友人が結婚した。一人は40代、もう一人は20代。2人に共通したことはプロポーズをものすごい演出をして決行したことだ。ある意味で、劇場型と言えるかもしれない。自分の部屋を手間暇かけてアニメの空間に変えて彼女を迎え入れ、そのアニメのキャラが実際にやったように彼女にプロポーズの言葉を贈ったり、年収の一割が飛ぶようなお金を使って、スキー場に隣接する旅館の最高級の部屋に宿泊し、仲居さんにも協力してもらって、トナカイの着ぐるみからタキシードに早変わりして100本のバラを抱えて指輪を持ってプロポーズしたりと、それはそれは熱の入ったものだった。

ぼくは絶対それはできないと思った。でも2年連続してそんなことがあって、2人とも結婚してしまったということか考えると、世間ではそんなプロポーズが「横行」しているのか・・・。2人とも自分で考えたということで、彼らの周囲に同じようなことをした人がいたわけじゃないらしいけど、それほど珍しくないやり方なのかもしれない。ただ特筆すべきは、2人とも、どちらかというと自分に自信がないタイプで、怒ることもほとんどないし、ニコニコしていじられタイプだ。

それに、2人とも父親に対する反発が強い半面、父親には逆らえない性格で、20代のやつは乳児期に母親を亡くして親戚の家で育ち、40代は3人兄弟の真ん中なんだけど農家を継ぎ、出ていった兄弟とは疎遠だ。2人ともとても優しく、誠実で、ある意味で誰からも好かれるタイプなんだけど、ぼくの目からはいつも影が見え隠れする。そして、結果として、2人とも反発心の対象である父親と同じ職業に就いた。つまり、嫌っているのに好かれたい、認められたいという二律背反の感情に苛まれていた感じだ。そして、恋愛の失敗談を聴くと、ほとんど相手のことが見えていないような話しを延々としてきた。傲慢なところはないんだけど、他者視点が取れないという意味で自己中心性はまるで小学生のようだと感じた次第だ。

ぼくはこんなこと絶対できない人だけど、こんなことでもしない限り怖くて、恥ずかしくてプロポーズなんかできないよっていうんだったら、わからないでもない気がする。つまり自己開示ができなくて自分の現実から乖離した自己呈示のなかで現実的な山を乗り越えていくという戦術だ。2人の結婚式に呼ばれて、幸せそうな2人を見て、ふと、自分に自信がないからそうなるのだろう、自信が少しでもある人であれば「普通」にやったんだろうなって思いがよぎった。「そんなことまでしてNOだったら落ち込みだって凄いじゃない。自分に自信がなければできないことだよ」っていう人もいたけど、NOと言われる場もこんな非現実的な「劇場」であれば、日常に戻った時に引きずるものも少しは軽くなるのかもしれない。


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