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期待がなぜ虐待に 声を上げたフランス人女性

2018-01-21 07:00:00 | 報道/ニュース

12月21日 おはよう日本


「父の逸脱:ピアノレッスンという拷問」
本の著者 セリーヌ・ラファエルさん。
子どものときピアノの練習をするなかで父親から虐待を受けた。
(セリーヌ・ラファエルさん)
「小さい頃ピアノが大嫌いだった。
 私にとってすべての悪の原因だった。」
フランス中部の裕福な家庭に生まれたセリーヌさん。
父親は町で有名な企業の幹部だった。
父親のすすめでピアノを始めたのは2歳半のとき。
みるみる上達し数々の国際的なコンクールで優勝。
父親は“一流のピアニストに育てる”と決意した。
しかしその期待はしだいにセリーヌさんを苦しめるようになる。
著書の中でその様子が克明に描かれている。
私は何度もたたかれた。
ピアノのある部屋に閉じ込められた。
練習に集中していないと父が判断すると
トイレにさえ行かせてもらえなかった。
父はオルゴールをわしづかみにすると
思いきり床にたたきつけた。
オルゴールの箱はピエロもろとも床に砕け散った。
それはまるで私自身のようだった。
(セリーヌ・ラファエルさん)
「“次の瞬間に何が起きるのだろう”といつもびくびくしていた。
 私はひとりだった。
 誰も助けてくれる人はいなかった。」
父親の暴力はその後もエスカレート。
セリーヌさんは14歳のとき
決死の思い出警察に通報した。
父親は裁判で有罪判決を受けたが
最後まで自分を正当化し続けたと言う。
“確かに私はセリーヌをたたきました。
 なぜなら娘は難しい年ごろで反抗期だったからです。
 しかし私はいつも十分に手加減していました。
 私の行いは誤って解釈されている。”
(セリーヌ・ラファエルさん)
「ピアノの先生が“私に才能がある”と言ったときから
 父は“娘を完璧にしなくては”と思い込んだ。
 彼にとっては使命となった。
 でもそれは誤った愛の表現だった。」
セリーヌさんの本をきっかけに
フランスでは
親の子どもへの過剰な期待が虐待につながっているのではないかと注目されるようになった。
フランス南西部にある虐待を受けた子どもたちが保護されている施設。
14人の子どもがここで暮らしている。
15歳の少年は
成績優秀であって欲しいという父親の期待に応えられず
繰り返し暴力を受けたと言う。
「僕が良く勉強するようにたたかれた。
 僕はとても悲しかった。」
こうした虐待は発見しづらく対策が難しいと専門家も警鐘を鳴らしている。
(児童精神科医 ダニエル・ルソーさん)
「子どもたちの多くは良い衣服を身につけているので
 虐待の跡は目に見えない。
 学校に通い
 よいものを食べている。
 貧しい家庭で見られるような虐待のサインは
 裕福な糧の子どもには見えない。」
家族と離れ施設で暮らすようになったセリーヌさん。
ピアニストではなく
人を救う医師を目指すようになった。
今はパリの病院で働いている。
患者の中には
子どもだけでなく過去の虐待が原因で
大人になっても慢性的な痛みに苦しむ人が多いと言う。
自分なら苦しみがわかる。
セリーヌさんは虐待を受けた患者とも向き合い治療にあたっている。
自分と同じように苦しむ子どもを減らしたいと各地で講演も行っている。
自らの体験を語ることで
親の世代にも子どもとの接し方を見直してもらいたいと考えているからである。
(セリーヌ・ラファエルさん)
「私が裕福な家庭の子どもだったから
 なかなか虐待に気づいてもらえず見過ごされた。
 最も大事なメッセージは
 虐待はどんな家庭にも起きうるということ。」
(講演会の参加者)
「裕福な家庭だったから幼い彼女に“大丈夫?”と誰も声をかけなかった。
 そのことが何よりショックだった。」
「彼女が打ち明けてくれたことを教訓に
 これ以上の虐待を防がなければ。」
父親からゆがんだ愛情を受け続けてきたというセリーヌさん。
親は子どもが何を求めているのかに耳を傾け後押しをする存在であってほしいと
訴えている。
(セリーヌ・ラファエルさん)
「子どもに必要なのは愛情と安心。
 子どもを成功させるために辱める必要もたたく必要もない。
 後ろからそっと支えて
 子どもが手足をかけよじ登れる木のような存在に親はなるべき。」

フランスは伝統的に子どもを厳しく躾ける国として知られている。
「熱心な教育」と「許されない虐待」に線引きをするのは難しく
行政が統計をとるなど対策をとったりすることはこれまで出来ていなかった。
しかしセリーヌさんの本がきっかけとなって
いま国をあげた対策が始まっている。
フランス政府は去年
医師や心理学者などでつくる委員会を設置して
家庭に埋もれた虐待の実態を把握する取り組みに乗り出している。
子どもが警察の事情兆湯を受ける部屋は
マジックミラーの向こうには医師や心理学者も待機している。
子どもの些細な言動から虐待の実態を見抜き
さまざまな視点から救済していこうというのである。
セリーヌさんの本の日本語訳は昨年9月に発表されたが
インターネット上にはすでに様々な反応が寄せられている。


 


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