先日の救急車に続いて、その週の金曜日はパトカーが来た。
その日は母の眼科通院の日。弟Yと付き添ったが多少なりとも疲れたせいか、それとも毎日眠たい病のせいか。帰宅してから、窓を全開、ソファーでうとうとしていると。
ベランダ側から超絶ピンポン、玄関ドアをドンドン叩く音がして目が覚めた。今度は何事?どこの家?
「開けろー!開けろー!俺がどんな思いで八王子から出てきたと思ってるんだ、このやろー!」
ベランダに出て音のする方を見ると1階のHさんち。おじいさんが怒鳴っていた。
八王子から来たのか。。。
「おい!開けろと言っているだろー!」
あんなに興奮してる人にドアを開けろと言われて開ける人はいないよ。
Hさんがドアを開けないもんで、隣のOさんちをピンポンし始めた。
「隣のHの父親ですが、息子がドアを開けてくれないんです」と。
「それは息子さんと話し合ってください」
ごもっともだ。
「そんなこと言わないでくださいよ。わたしは84歳なんです、八王子から来たんですよ。じゃあ、大家さんはいますか?大家さんを紹介してください」
「大家さんはいませんよ」
その後おじいさんはかなり粘って交渉を続けたが、Oさんが「ちょっと手が離せないので失礼します」と引っ込んでしまったら。
おじいさん、廊下の消火器でHさんちのドアをゴツゴツやりだした。内側から「ドアが壊れちゃうよ!」と声がする。なんだ、居留守だったのか。すっかり目が覚めた。
うむむ、これは警察に連絡をした方がよいのかな?どうしたもんだろう?と考えていると。わたしと同じように様子を伺っている3階のIさんと目があった。
「警察呼んだ方がいいですかねえ」
「そう思って出てきたんだけど、なんか電話してる声が聞こえるから大丈夫かも」
そうこうしているうちにお巡りさんが4人やってきた。2組に別れて一組はおじいさんを廊下まで連れ出し、もう一組はHさん宅に入って行った。
おじいさんは、ドアを開けないで警察呼んだのかバカヤローと怒鳴っている。お巡りさんが事情を聞いても、俺よりも二回りも三回りも下の野郎に話すことはないんだ!上司呼んでこい!バカ!バカ!と叫んでいる。
お巡りさんは「近所迷惑だから大声ださないでください。これでも36ですよ」なんて言っている。
それじゃあ四回り下だ(笑)
とにかくおじいさんは息子と話をしたいことがあったんだけど、電話をかけても出ない、出てもすぐ切られちゃう、許せなくて今日はやってきた。前回来たのが11年前、場所がわからなくて駅の交番で聞いたけれど住所がわからないと教えられないと言われた。なのに、警察は電話一本で息子宅にやってきて、それも許せない。息子と孫に随分とお金をかけてやったが自分は一銭ももらっていない。これ以上はお前たちの上司じゃないと話さない。早く警察連れて行け、バカヤロー!
と、いうことだった。Hさんちは子供が3人。既に3人とも独立しているけれど、ミルキーと同じ通学班で当時は一緒に小学校へ通っていた子達。おじいさんも3人が小さい頃は沢山可愛がっていたんだと思う。
それが会話を拒否されて消火器でドアを壊してまで入ろうとしていた。きっと他人にはわからない家庭の事情があるんだろうけれど、なんか切ない。そして、おじいさんは連れていかれた。
結局、一部始終をドラマを見るように眺めてしまったわたし。Iさんが「終わりましたね」と言って帰って行った。暇だな、わたしたち。
よく晴れた1日だった。お母さんの通う眼科近くの公園。