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ロンドンから徒然に

ブルーファンク!

2009-08-08 | 音楽
 以前、押尾コータローさんに仕事を依頼したことがあります。大阪のスタジオに半日籠もって1曲仕上げてもらったのですが、いやいやさすがに上手い。あのテクニックを目の前で見ることができて幸せでした。
 オープン・チューニングだとかタッピングだとか、もちろん彼以前にも例えばマイケル・ヘッジス他が使っていた奏法ではあるのですが、日本の若いアマチュア・ギタリストにとっては彼がお手本になっているんでしょうね。

 ところで、ギターのボディを叩くって意味では(全然押尾さんの奏法とは形は違うのですが)15年以上も前に見たこの人が忘れられません。
 キザイア・ジョーンズ。当時『Blufunk is a fact』というアルバムを発表した後の彼のライヴをロンドンの小さなライヴハウスで見たのですが、アコースティック・ギター1本で刻むリズムが、ここまで複雑なグルーヴを生み出せるのかと感心しました。
 Blufunkという耳慣れない言葉が、実はbluesとfunkを重ねた合成語だと気付いた時にはなるほどと納得したものです。

 その上、ギターを逆さまに持ってボディを打楽器のように叩き始めたり、背中に吊したギターを後ろ手に弾いたり(ジミヘン?)控えに置いてあったギターを掴んでさらに早いリズムで刻み始めたと思ったらそれには弦が3本しか張られていなかったり、何だか驚きの連続でした。
 感動して演奏後に握手を求めた時の、繊細で長い指の感触まで覚えています。

 最近はあまり名前を聞かなかったのですが、新作を出して久々にロンドンでライヴをやるというので、昨晩カムデン・タウンのJazz Caféまで聴きに行ってきました。
 もうこの手の場所で9時より早く始まることはないというのには慣れっこになっているので、ゆっくり夕食を取ってから出かけたのですが、そろそろ始まろうかという9時半頃にはフロアは超満員。地下のトイレへの階段の前しかスペースがなく、そこはバーとの通路にも当たるため、ひっきりなしに人が(と言っても無理矢理に人の間をこじ開けて)通るため、何とも落ち着かないポジションになってしまいました。



 ドラムとベース(終盤にはサックスも)を従えた彼の手にあったのは、昔と違って胴の薄いエレアコ。したがって音もむしろエレクトリックに近い音質で、編成も相俟ってどちらかというとエレクトリックのバンドの雰囲気です。
 久々とあってか観客のノリも良かったのですが、時々PAに問題が生じて立ち往生することも。マイクが壊れてヴォーカルが聞こえなくなった時は、どうなることやらとこちらも不安でした。

 “ブルーファンク”は健在なのですが、僕としては昔のギター1本でのカッティングを見せてほしかったな、というのが正直な気持ちです。

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