誤訳シリーズはもう最後だと言いましたが、看過できない物があるのでいきます。同雑誌の、前回と同じ2013年3月号。
Questions 191-195
新入社員向けのオリエンテーションのタイムテーブルの予定が事前に各担当者に配られていて、それを読んだ一人の担当者が、まだ担当者が決まっていないセッションの担当者を早く決めてくれと言っている英文です。面倒なので一部略、改編してます。インデントのズレはご容赦ください。
9:00 Introduction // Jim Myers
10:00 Personnel paperwork/Registration // Michelle Shin
11:30 Salary/Vacations // HR dept. TBA
12:30 Lunch with employees
1:30 Video on Hospital Safety // Jenny Thompson
2:30 Health Code Regulations // Dr. Wilkins
3:30 Break
4:00 Q&A Period // Dr.Cho
5:00 Finish
以下の文章は、4時からのセッションを担当している Choさんが発しているものです。
I know the 11:30 session is going to be conducted by someone in the HR department, but it is listed on the schedule as "to be announced." I'd like to know who is going to be leading that discussion, in case we need to coordinate events, or if questions come up at that event that I will need to address in my 4:00 meeting with the new employees. If you haven't decided who will be leading that yet, let me know when you do.
赤字部分の訳ですが、解説では以下のようになっています。
「催しを調整する必要が生じたときや、私が取り組む必要がある4時からの新人職員との集まりで質問があったときのためにです。」
はっきり言って、ムチャクチャです。ここまで酷いと別に私なんかが解説しなくてもお分かりになる方々も多いと思います。決して難しい英文ではないですし。でも、どうしてだか知りませんが、こんな事になってる。
もし、この英文を正しく訳すことができない方が居るとしたら、厳しいようですが、英文解釈に関する基礎が全く出来ていないと申し上げておきます。デタラメな勉強モドキは今すぐやめて、基本からきちんとやり直しましょう。この英文のポイントは接続詞、指示代名詞、関係代名詞ですが、ごく基本的な使われ方しかされてません。正しい訳を載せておきます。
「イベント間での調整が必要になったとき、すなわち、その11時半からのセッションにおいて、私が担当する4時からの新入社員との会合の中で私が回答しなければいけないような質問が出た場合に備えて」
分かりますよね。接続詞orの解釈、指示代名詞を含む that event が指しているもの、そして、関係代名詞thatの先行詞の解釈。先の訳、これらを見事なくらい全部間違えています。
まず、この接続詞or は”または”ではなく、”すなわち”と訳すべきものだということを見抜けないといけません。Choさんが心配している事柄は二つではなくて、一つです。coordinate events という抽象的な言い方をした後に、それを詳しく説明するために "すなわち” と言い換えているのです。これくらいは見抜けないといけません。カンマの後に orが来た場合は”すなわち”となる場合が多いです(もちろん、必ずそうだというわけではない)。カンマ or を見た時にこういうことが頭を霞めない人は、経験不足。
ここで、or には”または”という意味と、”すなわち”という意味があるのだ、などと学生に教える英語教師は三流です。or はorでしかない。実体まで異なる別の物を並記する場合は”または”ということになるし、実体は同じで表現だけ別のものを並記する場合は”すなわち”と訳すのが適しているというだけです。実体 or 別の実体、となっているのか、あるいは、ある表現 or 別の表現(実体は同じ)となっているのか、ということが本質です。
あと、 that eventが指しているのは当然 11:30 からのeventのことだし、その後ろの関係代名詞 that の先行詞は当然 questions です。この辺はいいでしょう。間違え様がないと思うのですが。
なお、念のために付け加えておきますが、Choさんが言っている”イベント間の調整”って、何のことか分かりますか?一言で言えば”事前の根回し”です。11時半のセッションの中で万が一、4時から自分が回答しないといけない難しい質問が出た場合に、4時までに自分に教えるようにしてほしい(そうすれば事前に色々調べられるから)、そういう根回しをしておきたいから、”早く担当者を決定してくれ”と言っているのです。こういうのも、想像力・連想能力が無い人は、何を言っているのかさっぱり分からないという事になると思います。こういう常識的判断のできない人がいくら英語を詰め込んでも無駄です。
Questions 191-195
新入社員向けのオリエンテーションのタイムテーブルの予定が事前に各担当者に配られていて、それを読んだ一人の担当者が、まだ担当者が決まっていないセッションの担当者を早く決めてくれと言っている英文です。面倒なので一部略、改編してます。インデントのズレはご容赦ください。
9:00 Introduction // Jim Myers
10:00 Personnel paperwork/Registration // Michelle Shin
11:30 Salary/Vacations // HR dept. TBA
12:30 Lunch with employees
1:30 Video on Hospital Safety // Jenny Thompson
2:30 Health Code Regulations // Dr. Wilkins
3:30 Break
4:00 Q&A Period // Dr.Cho
5:00 Finish
以下の文章は、4時からのセッションを担当している Choさんが発しているものです。
I know the 11:30 session is going to be conducted by someone in the HR department, but it is listed on the schedule as "to be announced." I'd like to know who is going to be leading that discussion, in case we need to coordinate events, or if questions come up at that event that I will need to address in my 4:00 meeting with the new employees. If you haven't decided who will be leading that yet, let me know when you do.
赤字部分の訳ですが、解説では以下のようになっています。
「催しを調整する必要が生じたときや、私が取り組む必要がある4時からの新人職員との集まりで質問があったときのためにです。」
はっきり言って、ムチャクチャです。ここまで酷いと別に私なんかが解説しなくてもお分かりになる方々も多いと思います。決して難しい英文ではないですし。でも、どうしてだか知りませんが、こんな事になってる。
もし、この英文を正しく訳すことができない方が居るとしたら、厳しいようですが、英文解釈に関する基礎が全く出来ていないと申し上げておきます。デタラメな勉強モドキは今すぐやめて、基本からきちんとやり直しましょう。この英文のポイントは接続詞、指示代名詞、関係代名詞ですが、ごく基本的な使われ方しかされてません。正しい訳を載せておきます。
「イベント間での調整が必要になったとき、すなわち、その11時半からのセッションにおいて、私が担当する4時からの新入社員との会合の中で私が回答しなければいけないような質問が出た場合に備えて」
分かりますよね。接続詞orの解釈、指示代名詞を含む that event が指しているもの、そして、関係代名詞thatの先行詞の解釈。先の訳、これらを見事なくらい全部間違えています。
まず、この接続詞or は”または”ではなく、”すなわち”と訳すべきものだということを見抜けないといけません。Choさんが心配している事柄は二つではなくて、一つです。coordinate events という抽象的な言い方をした後に、それを詳しく説明するために "すなわち” と言い換えているのです。これくらいは見抜けないといけません。カンマの後に orが来た場合は”すなわち”となる場合が多いです(もちろん、必ずそうだというわけではない)。カンマ or を見た時にこういうことが頭を霞めない人は、経験不足。
ここで、or には”または”という意味と、”すなわち”という意味があるのだ、などと学生に教える英語教師は三流です。or はorでしかない。実体まで異なる別の物を並記する場合は”または”ということになるし、実体は同じで表現だけ別のものを並記する場合は”すなわち”と訳すのが適しているというだけです。実体 or 別の実体、となっているのか、あるいは、ある表現 or 別の表現(実体は同じ)となっているのか、ということが本質です。
あと、 that eventが指しているのは当然 11:30 からのeventのことだし、その後ろの関係代名詞 that の先行詞は当然 questions です。この辺はいいでしょう。間違え様がないと思うのですが。
なお、念のために付け加えておきますが、Choさんが言っている”イベント間の調整”って、何のことか分かりますか?一言で言えば”事前の根回し”です。11時半のセッションの中で万が一、4時から自分が回答しないといけない難しい質問が出た場合に、4時までに自分に教えるようにしてほしい(そうすれば事前に色々調べられるから)、そういう根回しをしておきたいから、”早く担当者を決定してくれ”と言っているのです。こういうのも、想像力・連想能力が無い人は、何を言っているのかさっぱり分からないという事になると思います。こういう常識的判断のできない人がいくら英語を詰め込んでも無駄です。