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一人旅は素晴らしい…和倉温泉②

2016-09-15 22:28:30 | 旅行
幸運にも乗れた、「花嫁のれん」


日曜出発のおかげで思わぬ幸運に遭遇した。金沢から和倉温泉まで、「花嫁のれん」に乗れたのである。「花嫁のれん」は、土、日限定の観光列車で、内装は金沢伝統の金箔が貼ってある豪華絢爛の2両編成の車両。まさに、加賀百万石の栄華を象徴する列車だった。座席は色々あったが、自分の席は、真ん中にテーブルがある4人掛けのボックス型で、すでに3人の年配の女性が座っていた。

聞けば年に一度顔を合わせ、旅行しているそうで、3人とも岩手県平泉の生まれながら、3人とも結婚し、現在は平泉、東京、茅野〈長野県〉に住んでいるらしい。「素晴らしい話ですね」と言うと、「いえいえ、残り少ない人生を楽しく過ごそうと、年寄りがあがいているだけです」と、上品な微笑み。思えば、4人席でひとつ空いたから、自分はこの列車に乗れたのかも知れない。この列車の予約は難しく、だいぶ前に予約したそうだ…おそらく3姉妹の恩恵だと思う。


気分良く和倉温泉駅に降り立った。いろいろな宿から送迎車が来ていたが、自分の基本は歩きである。まだ午後の3時過ぎ、宿に行くには早すぎる。ゆっくり街を歩き、名所や飲食店を確認しながら宿に到着するのが自分のスタイルだ。パソコンで和倉の地図は穴のあくほど見ているから、方向も道順もまず間違いない。バックパックを背負って、目的地に向かって歩くーこの瞬間がたまらなく好きだ。旅の始まりは出発の駅ではなく、目的地の駅に着いてからの第一歩だと思っている。

しばらく歩いて行くと、今夜の食事処(海ごこちーなまこ専門店)に着いた。店は休憩中だったが、雰囲気ある店構えで、さらに夕食が楽しみになった。「ふ、ふ、ふ」と、ひとりごちて2連泊する宿、「美湾荘」に向かう。

和倉温泉はあの「加賀屋」が象徴的だ。一泊6,7万はするという高級宿だが、「加賀屋」は「プロが選ぶ温泉宿ベスト100」でずっと全国1位を堅持している。その加賀屋で家族4人で2連泊したと言う資産家の友人に聞くと、まさに完璧な温泉宿で、食事、温泉、おもてなしと文句のつけようがなく、「高い宿泊料を取って当然だ!いや、安すぎる」という気持ちになったと言う。電車で行った場合、駅のホームまで来て見送ってくれるらしいから、本当に徹底しているなと思った。

自分は貧乏症で、「宝くじに当たっても行かない」と、意地を張っているが、「加賀屋」が和倉のイメージを醸し出しているのは間違いなく、周囲もほとんどがハイクラスの宿である。その中で、今回お世話になったのは、「美湾荘」という和倉では中堅ぐらいの「高級宿」だったが、一人旅プランがあり、朝食付きで9000円ぐらいだった。これは本当にリーズナブルで、助かった。

和倉駅からぶらぶら歩き、途中公園や、海べり、他のホテルを見たりして一時間、「美湾荘」に着いた。4時過ぎで、玄関からフロントまで、出迎えの女将や仲居さんが揃っていた。女将と目が合い、「あれ、お車は?」と聞かれたので、「いや、歩いてきました」と言うと、女将は不機嫌そうに、「御帰りの時は、ぜひ送迎車を使ってください」と言った。そして、フロントをキッと睨んだ。女将としては、「なんで迎えに行く手配をしなかった~」と言うことだろうと思ったので、「いや、勘違いしないでください。自分が歩きたかったので…」と言うと、「そうですか、ではごゆっくり和倉を楽しんでください」と、柔和な顔つきになった。

さすが、和倉温泉だ!と思った。その意識からして、おもてなしの極致である。




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