満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

伊良湖岬の旅の思い出

2017-03-17 23:09:09 | 恋愛

伊良湖岬は爽やかなビューポイント、向こうに見えるのが三島由紀夫の「潮騒」で有名な神島だ。


今も時々思い出す旅がある。あれは15年位前だった。ある女性と付き合い、
月に一度くらいのペースで旅していた。彼女は信心深い人で、各地の有名な
神社仏閣を訪れるのがメインで、その後に温泉宿に泊まるのが恒例になった。
会社の慰安旅行で温泉宿は何度も泊まっていたが、自ら温泉へ行くようになっ
たのはこのころからである。

その時は愛知県の豊川稲荷神社にお参りに行き、飯田線の延長にある湯谷温泉
に泊まった。湯谷温泉は宇連川の景勝地、鳳来峡に佇む小さな温泉宿、「湯の
風 HAZU」が全国的に有名で、この時もその宿に泊まった。名前の通り、モダ
ンな宿で、川のそばに設えた露天風呂や、美しい会席料理は今も記憶に残って
いる。

次の日、時間があったので蒲郡競艇場へ行こうということになった。彼女は姉御
肌で、時々大胆な発言をする。お参りをした後で、普通なら、「なんて無作法な!」
と怒られるかと思ったが、私がいわゆるその道のプロで(当時競艇専門紙の編集長
をしていた)、「じゃあ、私が資金を出すから、お手並み拝見」と、銀行へ行き、
50万円をおろしてきたのである。

「全部なくなっても構わないから、思い切り賭けてみて。資金が足らなかったら、
またすぐ用意するから」と彼女はど~んと胸を叩いた。大阪でスナックや婦人物洋
装店をやっていたものの、普段は慎ましい印象の女性だっただけに、この行動にはびっ
くりした。そう出られると男は弱い。なんとなく、プレッシャーを感じ、細々と勝負
をしていたが、瞬く間に20万円が消えた。

そして最終レースになった。「本当に全部負けても大丈夫だから、もっと賭けて。最後
だから全部使って!」と彼女に発破をかけられた。そうなるとこちらも肝が据わった。
ねらい目の選手がいて、1、2着想定で30万円全部賭けた。レースが始まり、その選手
がスタートから抜け出したときは思わず目をつむった。「そのまま、そのまま、頼む、
そのままでゴールしてくれ」と、初心者のように祈り続けたのを覚えている。

配当は6750円、これを200枚(2万円)取ったのである。しめて135万円の払い戻し
だった。「さすが、ヘンシュウチョー!」と、彼女はたいして興奮もせず配当を受け取り、
そのお金をバッグの中にしまった。そして、「縁起がいいから、もう一泊しようか」とい
うので少し考えて、伊良湖岬の恋路が浜に行くことにした。「名も知らぬ、遠き島より流
れ来る椰子の実ひとつ~」と島崎藤村が詠んだ潮騒の名勝地である。

「面倒だからタクシーで行こう」と、彼女が言うので競艇場の前からタクシーに乗り、2万
円近く払って「伊良湖ビューホテル」に着いた。このホテルは伊良湖岬の高台に建ち、太平
洋を見渡せる景色が最高だった。その素晴らしい景色は今でも鮮明に思い出せる。次の日は
ここからフェリーに乗り伊勢に行った。そして伊勢神宮に参って近鉄電車で大阪に帰った。

その後彼女と10年付き合ったが、あるアクシデントがあり、今は別々に暮らしている。今
でも親しい友人だが、あれから競艇場へ行こうなどと言われたことはなく、ギャンブル関係
は一切手を出していない。見事なものである。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
深いヒューマンドラマですね (とまチョップ)
2017-03-20 20:18:26
別府温泉の食事会場で会った者です。最後の競艇で大逆転勝利とはドラマチックですね。女性との関係も現実的で切なさもあり、深い内容でした。他の内容も少しづつ見させて貰いたいと思います。

http://tomachopu.jp
↑私がやっているとまチョップの北海道温泉一人旅と云う温泉ブログです。このリンクか北海道温泉ブログで検索しても見られますので、暇なときにでも見てください

ホテル浦島は何時か必ず行きたいと思います。素晴らしい温泉宿の情報ありがとうございました。
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