伊豆の弓ヶ浜、すぐに泳ぎたくなる美しい砂浜だった!
今夜はやけにセンチになっている。実は、7月10日から2泊3日の予定で友人と温泉旅行に行くので、いろいろ候補地を探していたのだが、温泉地の名前を見るたびに、昔の思い出が甦ってくるのだ。
特に3年前に別れたSさんとは、8年ぐらい一緒に暮らし、日本全国、30回ぐらい温泉旅行をした。日帰り温泉を入れると、100か所以上になる。彼女はお酒が大好きだった。特に日本酒には目がなく、知識も豊富だった。旅をすると、いつも地元の蔵元に行き、お薦めの日本酒を試飲をして、蔵元限定の酒を買っていた。帰りの荷物がいつも重かったのを覚えている。
実は、付き合った当時は、彼女はそんなに酒が好きではなかった。俺が、「ウィスキーでも焼酎でも、蒸留酒なら水で割ったら本当の旨みは味わえない。高級酒は、ロックで飲むのが基本だ」と言ったら、彼女はサントリーの山崎12年をロックで飲んだ。すると、すぐにむせて、吐きだしてしまった。ロックはチビチビやるものだが、全部を一気に飲んでしまったのだ。
でも彼女はすぐに2杯目に挑戦し、今度は琥珀色の液体を口に含んで、「あ、ほんと。いい香りがしますね。おいしい」と、うっとりしていた。彼女は、酒飲みの才があった。今は、酒専門の雑誌で副編集長をしている。
もうひとり、切なく思い出したのは男性である。彼はあるスポーツ紙の記者をしていたが、早期退社し、何の趣味もなく、独身で淡々とした毎日を送っていた。それを見かねて、「温泉に行かないか」と誘ったら、「温泉?俺はまだそんな歳ではない」と、拒否反応を示した。
それでも、「毎日家にこもっていても仕方ないだろう。熊野古道でも歩いて、温泉に浸かろう」と、強引に連れて行き、実際に熊野古道を8キロ歩き、和歌山県、日本最古の温泉と言われる湯の峰温泉に宿泊した。でも日ごろの運動不足が堪え、食事もままならない状況。せっかくの温泉も一度入ったきりだった。
それでも彼は旅の面白さに目覚め、「次の旅行はいつ行くんや?」と、催促するようになった。それからは3カ月に一度くらいのスパンで、北海道から鹿児島まで、12度の温泉旅行をしたが、いずれも思い出深い旅になった。
彼は凄いヘビースモーカーで、一日に3箱のたばこを飲んでいた。少し歩くとゼイゼイと息を切らし、かいもくスタミナがなかった。「いい加減、たばこをやめろや」と言ったのは、乗鞍高原温泉でレンタサイクルした時だった。少しの坂も登り切れず、ダウンしていたからである。
「分かった、たばこはやめる。家に帰ったら健康診断にも行く」と約束してくれた。そして、大阪に帰った10日後に彼から電話があった。「やっぱり肺気腫やった。でも、胃も悪くなっているらしい」と、まだ陽気に語っていたが、言葉とは裏腹に、これが最悪の結果になってしまった。
末期の胃癌と診断されたのである。すべて除去したものの、それから肝臓に転移し、帰らぬ人となった。こんな暗い話をブログに書きたくはなかったのだけど、彼の話をして、彼の存在感を示したかった。「今、天井で俺を見ている君、俺は君を忘れてはいないぞ~」と。
楽しい温泉旅だが、人生の悲哀が見え隠れする時もある。真夜中にその悲哀を思い出すと、センチメンタルになり、ぐいぐいと強い酒をあおってしまう。一人暮らしを始めて4年余り、やはり本音は寂しい。でも~!
元彼女のSさんの輝かしい将来に乾杯、そして永眠している彼に楽しい旅の思い出をありがとうの献杯、さらに、現在の自分自身に発破をかけてもう一杯!まだまだ負けへんで~。
今夜はやけにセンチになっている。実は、7月10日から2泊3日の予定で友人と温泉旅行に行くので、いろいろ候補地を探していたのだが、温泉地の名前を見るたびに、昔の思い出が甦ってくるのだ。
特に3年前に別れたSさんとは、8年ぐらい一緒に暮らし、日本全国、30回ぐらい温泉旅行をした。日帰り温泉を入れると、100か所以上になる。彼女はお酒が大好きだった。特に日本酒には目がなく、知識も豊富だった。旅をすると、いつも地元の蔵元に行き、お薦めの日本酒を試飲をして、蔵元限定の酒を買っていた。帰りの荷物がいつも重かったのを覚えている。
実は、付き合った当時は、彼女はそんなに酒が好きではなかった。俺が、「ウィスキーでも焼酎でも、蒸留酒なら水で割ったら本当の旨みは味わえない。高級酒は、ロックで飲むのが基本だ」と言ったら、彼女はサントリーの山崎12年をロックで飲んだ。すると、すぐにむせて、吐きだしてしまった。ロックはチビチビやるものだが、全部を一気に飲んでしまったのだ。
でも彼女はすぐに2杯目に挑戦し、今度は琥珀色の液体を口に含んで、「あ、ほんと。いい香りがしますね。おいしい」と、うっとりしていた。彼女は、酒飲みの才があった。今は、酒専門の雑誌で副編集長をしている。
もうひとり、切なく思い出したのは男性である。彼はあるスポーツ紙の記者をしていたが、早期退社し、何の趣味もなく、独身で淡々とした毎日を送っていた。それを見かねて、「温泉に行かないか」と誘ったら、「温泉?俺はまだそんな歳ではない」と、拒否反応を示した。
それでも、「毎日家にこもっていても仕方ないだろう。熊野古道でも歩いて、温泉に浸かろう」と、強引に連れて行き、実際に熊野古道を8キロ歩き、和歌山県、日本最古の温泉と言われる湯の峰温泉に宿泊した。でも日ごろの運動不足が堪え、食事もままならない状況。せっかくの温泉も一度入ったきりだった。
それでも彼は旅の面白さに目覚め、「次の旅行はいつ行くんや?」と、催促するようになった。それからは3カ月に一度くらいのスパンで、北海道から鹿児島まで、12度の温泉旅行をしたが、いずれも思い出深い旅になった。
彼は凄いヘビースモーカーで、一日に3箱のたばこを飲んでいた。少し歩くとゼイゼイと息を切らし、かいもくスタミナがなかった。「いい加減、たばこをやめろや」と言ったのは、乗鞍高原温泉でレンタサイクルした時だった。少しの坂も登り切れず、ダウンしていたからである。
「分かった、たばこはやめる。家に帰ったら健康診断にも行く」と約束してくれた。そして、大阪に帰った10日後に彼から電話があった。「やっぱり肺気腫やった。でも、胃も悪くなっているらしい」と、まだ陽気に語っていたが、言葉とは裏腹に、これが最悪の結果になってしまった。
末期の胃癌と診断されたのである。すべて除去したものの、それから肝臓に転移し、帰らぬ人となった。こんな暗い話をブログに書きたくはなかったのだけど、彼の話をして、彼の存在感を示したかった。「今、天井で俺を見ている君、俺は君を忘れてはいないぞ~」と。
楽しい温泉旅だが、人生の悲哀が見え隠れする時もある。真夜中にその悲哀を思い出すと、センチメンタルになり、ぐいぐいと強い酒をあおってしまう。一人暮らしを始めて4年余り、やはり本音は寂しい。でも~!
元彼女のSさんの輝かしい将来に乾杯、そして永眠している彼に楽しい旅の思い出をありがとうの献杯、さらに、現在の自分自身に発破をかけてもう一杯!まだまだ負けへんで~。