満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

松江市のホテルも居酒屋も大当たり!ー山陰グルメの旅②

2019-01-26 13:56:13 | 旅行
松江市の居酒屋で注文したズワイガニ

山陰旅行2日目、ホテルを9時に出発し、ローカル電車で出雲市に向かう。日本海に沿って走る山陰本線は、ローカル電車の旅を満喫するためにあるような風景が続く。荒磯、白浜が交互に現れ、遠くに日本海の水平線…。何度通っても心が和む。友人のkが出雲大社は初めてということで、出雲市駅に降りたのは11時半だった。駅前からバスに乗り、30分後に到着。「さすがに出雲大社は広くて荘厳、感服しました」と、神妙に手を合わせていたが、ここで出雲そばを食べ、生ビールも一杯ずつ飲んだ。出雲市駅に戻り、今夜の宿がある松江市に向かう。松江市着が14時半、「まだホテルは早いな」ということで、駅前通りにある「ボートピア松江」に直行。友人のkは元ボートレーサー、「なんとか、今回の旅の費用が稼げないか?」と、それぞれ3千円の予算で勝負したが、ふたりとも的中なし。「こんなところにおったら、身ぐるみはがされるわ」と、早々に退散した(笑)。

そこから今夜の宿である「しんじこ温泉・ホテル一畑」には徒歩で向かった。宍道湖と中海を結ぶ川の橋から見る宍道湖は絶景、対岸に温泉ホテルが立ち並んでいたが、いずれも大型ホテルばかりである。その中でもホテル一畑の外観は、遠めでも分かるほど、ひときわ目を引いていた。30分後にホテルに着くと早速チェックイン。ハイクラスのホテルだが、今回は季節限定の超特価で、朝食付き、広いツインでひとり7000円。フロントマンが、「本当は裏側のお部屋だったのですが、空きがありましたので、湖の方の部屋に致しました」と。おお、ラッキー、この値段で係の女性に部屋まで案内され、気分は上々。さっそく最上階にある温泉展望風呂に入り、ひたすらビールがうまく飲める体を作った(笑)

2日目の夕食は、食べログを参考にしてホテル近くの、「しじみ会館2F・こ根っこや」という居酒屋を予約した。これがまた大正解だった。「窓際の宍道湖が見える席をご用意しました(3席しかない)」と、店員さんの笑顔。「おお、ラッキー!」と、また声が出た。そしてまずは、「のどぐろの刺身が入った刺身五種盛」を注文。さすがに日本海の海の幸は切れ切れで豊潤。地酒も頼んでメニューを見ると、蒸しズワイガニ一匹とある。やや小ぶりだったが、甲羅に茶色の付着物がついていて、安物に見えない。これが2900円と格安である。「これは旨い、今日は徹底的に飲むぞ~」と、二人のボルテージが上がったのは言うまでもない。

そのせいで、次の日の帰りの松江→岡山間の特急いずもは眠りこけてしまったが、岡山で新幹線に乗り換えるころには二人とも回復。「大阪着が15時くらいやから、梅田で串カツでも食べて帰ろうや」と話は即決。家に帰って体重を計ったら+3キロだった。明日は会社の健康診断があるのに、大丈夫かなと、不安になった(笑)

山陰の荒磯にポツンと一軒家の温泉ホテルー山陰グルメの旅①

2019-01-24 13:42:54 | 旅行

海面と一体の温泉施設。長旅の疲れが吹っ飛んだ

今年も1月の旅は、墓参りメインの山陰巡り。いつもはひとり旅だが、今回は友人のkが同行。前回、北陸の旅で彼と初めて温泉旅をしたのだが、ローカルな旅の良さを知り、「ぜひ!」と頭を下げてきた。「墓参りが絡んでいる」と言っても、「Mさんが育った町は興味があります」と、食い下がってきた。それでは…と旅の予定を組んだ。JR西日本、「おとなび会員(50歳以上)」限定のトクトク切符、大阪から西は博多、東は新潟・上越妙高までの区間、3日間乗り放題切符(2万円)である。初日は新幹線のぞみで新大阪・8時18分発から山口県徳山市まで行き、墓参りを済ませた後、ローカル電車で新山口へ。そこで山口線に乗り換え、特急おきで島根県益田市へ。ここでまた、ローカル電車に乗り換え、そこから二つ目の駅・鎌手に着いたのは15時35分だった。

初日の宿は山陰海岸の岩場にポツンと一軒家のホテル「荒磯温泉・荒磯館」。本当は湯田温泉、玉造温泉など、有名な温泉地に行きたかったのだが、時間の都合上、ここに決めた。何より、じゃらんの口コミが5点満点の4.5と抜群だった。荒磯館のネーミングから発想するのはーー魚の舟盛メインの料理に、吹き付ける潮風と塩分に晒され、館内は朽ち果てた昔ながらの料理旅館で、温泉はおまけみたいなものーー。しかし、それは大きな間違いだった。口コミは100件を超えている。それでいて、4.5の高評価だった。まさに荒磯の上に建てられたホテルはおしゃれで、打ち寄せる波が目の前。どの部屋からも広大な日本海の海原が広がり、「オオッ!」と、思わず声が出た。

温泉も自家源泉で、内風呂、露天風呂から見る景色は海と一体。朝早くから電車に乗りっぱなしだったが、その疲れも吹っ飛んだ。しかし、何より驚いたのは料理のクオリティの高さだった。魚メインの懐石だったが、どれも美しく、芳醇な味わい。友人kが、「これは名のある料理人に違いない」とつぶやいた。彼は、奥さんがグルメの達人で、城崎温泉一の名宿・西村屋(一泊5万円のプランを3泊するらしい)が定宿という恵まれた環境で暮らしており、そこそこ舌が肥えている。「この宿泊費(15000円)で、このクオリティは考えられない」と、偉そうに?言ったが、確かにそうだと自分も思った。しかし、のどぐろがなかったのは残念…もう少し高いプランで出るのだろうと話していたら、朝食にのどぐろの一夜干しが出た。「う~ん、憎い演出だ。朝食にのどぐろが出たのは初めてだ」と、唸ってしまった。今まで2百数十軒の宿に泊まっているが、料理はベスト3に入るかも知れない。もちろん、全体的な評価もそれに値する。

今回は何かいい予感。明日はローカル電車で出雲へ。kさんが言ったことがないというから出雲大社に参って、その後松江の宍道湖温泉に行く。(山陰グルメの旅②に続く)

旅に魅了された人々の恋愛事情

2018-11-17 23:39:52 | 旅行
宇奈月温泉駅前の温泉噴水 ここから7キロ離れた黒薙という黒部峡谷の奥から高温のまま送られてくる

久しぶりの温泉旅。今回は仕事の仲間と二人、観光は黒部トロッコ電車がメインだった。旅の友は初めての黒部峡谷だったらしいが、「京都のトロッコをイメージしていたが、全然違いますね。高さも景色もスケールが違う!」と、驚いていたから、来た価値があったようだ。以前、6名で訪れた時は初夏のころで、V字谷を渡る風が爽快だったが、今回も晩秋の、やや冷たさを感じる澄み切った風が気持ち良かった。個人的には、晩秋のころが一年で一番過ごしやすいのではないかと思う。ただ、駅の人に聞くと、「紅葉には少し遅かったですね(11月15に訪れた)。10日前に比べると、かなり紅葉が散って、色合いがだいぶ落ちています」と教えてくれた。トロッコは11月30日で終了、来年の4月半ばまで運休する。その間、職員は何をするのかと尋ねると、トロッコを全部ばらして組み直したり、運転期間の再整備をするそうである。

この日の宿は、宇奈月温泉の中では中規模の建物だった。ただ、温泉街から少し離れていて、ドイツのライン川の城のように独立しており、全室黒部川の景観が楽しめるということで選んだ。さっそく温泉に入り、湯上りビールを飲んだ後、お楽しみの夕食となった。食事は富山湾の地魚満載のコースだったが、桶に盛られた刺身は優に三人前ぐらいあり、それが一人前と聞かされて、二人とも「食べれるかなあ」と、ほぼ同時に声が出た。

「大丈夫でございます。お好きな日本酒を飲みながら、ゆっくりご賞味ください」という係のお兄さんはにっこり笑ってわれわれにお酌してくれた。その食事処のフロアはテーブル席が12卓ほどで、半分くらい埋まっていたが、もうひとり若い女性もテキパキ動いていた。「やっぱりブリがうまいなあ」なんて話をし、冷酒をグイグイやっていると瓶が空き、「おおーい、日本酒追加!」と言うと、その女性が我々の卓に来た。「お姉さん、地元の出身?え、ちがうの?」と、さっそく友人が声を掛ける。「おい、忙しそうだらやめとけ」と言うと、その女性は、「とりあえずお酒の方をお持ちしますので」と、それでもいい笑顔で去っていった。そして、追加の酒を持ってきて、お酌をしてくれた。「おお、なんと愛想のええおねえちゃんやわ」と、友人は上機嫌である。調子に乗った友人は機関銃のように質問を彼女に浴びせ、話をしていたが、もうひとりの男性は文句も言わず、彼女の分まで動いて業務をこなしていた。

友人、「彼氏はいるの?」、女性、「はい。10歳上の人がいます」、友人、「なんや、おるんかい(笑)。で、結婚は?」、女性、「そうですね。私はしたいのですが…」。その話を聞いていて、ビッと脳がひらめいた。俺、「あそこにいる男があなたの彼氏やね」、女性、「………(苦笑)、どうしてわかったのですか?」、友人はそれを聞いて、ぽかんと口を開けていた。そして、「う、うそやろ~」と、男の方を見る。すると、その男性はちようど手すきになったのか、こちらのテーブルにやってきた。「なにか御用ですか」と笑顔をうかべて…。

その二人の話が興味深かった。彼は鹿児島県出身、そして女性は山形県出身で、ある職場で恋人関係になったが、彼の旅志向が強く、全国を今のような接客業で渡り歩いているという。「この宿はまだ2カ月ですが、ここの前は島根県の隠岐の島プラザホテルで半年いました。島一番の大きなホテルで、いいところですよ。ぜひ、行ってみてください」と言う。「そこは彼女も一緒に?」、「ええ、ずっとこの5年間一緒に旅をしています」、「でもあなた、35歳やろ。そろそろ落ち着かんと、彼女がかわいそうやなあ」と言うと、「そんなことはないですよ。私もけっこう楽しいですし」と、彼女が彼をかばうように言った。

「次はどこへ行くの?」と聞くと、「まだ決まっていません。でも、お客様のおっしゃるように、そろそろ流れ仕事も潮時かも知れませんね。ただ、この仕事が好きなので、一生働けるような、魅力的なホテルを探してみます」と、彼女の方を見て行った。「そのホテルが決まった時は連絡してよ。すぐに行くから」、「はい、必ず!」、彼女はずっと笑顔を絶やさず話を聞いていたが、部屋に戻るとき、すっと寄ってきて、「本当にありがとうございました」と、小さな声で言った。

ある秘湯の宿での微妙(好意?悪意?)なできごと

2018-11-16 17:36:07 | 旅行
う~ん、微妙?いや、これは「微妙」の二文字で片付けるべきではなく、ひとこと言っても良かったかもしれない。昔、シリアスな内容の漫画を読んで、考えさせられたことがある。今回の件は、その漫画の内容に似ている。その漫画の内容とは…。

『いつも通う、食堂の女将さんが病気で倒れ、しばらく店を休んでいた。そこの唐揚げ定食が半端なくうまい。これはその男だけの意見ではなくて、店を訪れるお客の大半がその味を求めて通っていた。皆さんは店の前に立ち、(休業)の札を見てう~んと、ため息をつき、今か今かと再開の日を待っていた。その男も麻薬的なあの唐揚げの味が忘れられず、毎日その店の前を通ってはしょんぼりしていた。それで、近所の人に話を聞くと、風邪をこじらせて肺炎を併発、今は店の奥の部屋でずっと寝ているというのだ。女将さんは一人暮らしなので、その近所の方が時々様子を見に行っているらしい。

歳も歳だし、もう再開は無理かも…という話を聞いたその男は一念発起して、その店の中に入り、女将さんを見舞った。そして、店の再開を待っているお客が何人もいて、何とか頑張って一日でもいいから店を開けてほしいと言った。そう話すと女将は、今は立つことも無理で、貴方にレシピを教えるから、指示通り作り、その方たちを満足させてもらえないかと懇願した。男は目を輝かせ、一日料理人になることを承知し、常連の人々にその話を伝え、次の日曜日の昼に店に集まってもらった。

集まった人は10人、自分を入れて11人だ。奥の部屋で女将は寝ながら男にアドバイスし、見事あの唐揚げ定食の味を再現した。そして、常連客全員が、あの味だ、めちゃくちゃ旨い!と感嘆し、満足の表情を浮かべ帰っていった。お代はひとり600円、しめて6千円を女将に渡した。そして男は台所を片付け、女将に挨拶をして帰ろうかと部屋に入った。そして、ありがとう。僕も凄く満足しました。やっぱりここの唐揚げは世界一だ!と言って席を立つと、女将が言った。

「何だって、あんたも食べたのかい。それじゃあ、600円足らないじゃないか。私は6000円しかもらっちゃいないよ」、男はしばしフリーズしたが、申し訳ありませんと言い、女将に600円を渡して帰った…。

今回の話はそれに近い。ある秘湯の宿をネット予約し、ご希望があれば…と言う欄に、「駅からタクシーで行くつもりだが、帰りのタクシーを朝呼べるのか?」と書いた。すると、次の日の昼過ぎに女将から電話が掛かってきて、「タクシーでくれば片道4000円ぐらいかかる。もったいないので、主人が迎えに行きます」と言った。「本当ですか。わざわざ連絡ありがとうございます」と、感激した自分は一緒に行く友人に、「な、いい宿だろ。こんな温泉宿に泊まってこその通だよ」と、自慢した。そして、手ぶらでは悪いと、1500円くらいのお土産を持参した。

当日、主人はトヨタ・セダンのマイカーで迎えに来ていた。そしていろいろ温泉の話をしたが、「うちは何もないが、温泉だけは自慢できます」と、笑顔で行った。その話の通り、温泉は表面に油を浮かせたような素晴らしい泉質、小ぶりの浴室ながら、掛け流しで我々を満足させてくれた。食事も素朴ながら地産の料理で、1万円以下の宿泊料とは思えないクオリティだった。だが、…。

翌日の朝、宿泊の伝票を見て驚いた。なんか、思ったよりも高めだなと各項目を見て行くと、「主人、送迎料金、送り迎え4000円」と書いてあった。うそ~と思い、声が出かかったが、友人が、「女将、大変いい宿でした。温泉は最高だったし、料理も酒も旨かった」と、女将にハグをしていたので、黙って払った。そして帰りの電車の中でその伝票を見せると、友人は何とも言えない表情をして俺を見た(笑)

新潟、山形県の一人旅…その③、赤湯温泉で女神に遭遇する!

2018-07-18 23:23:58 | 旅行

山形県は素朴で純粋、日本人の郷愁を誘う人々と景色。これで4度目の訪問だが、真から好きになっていた。全国で唯一、どの市町村にも源泉かけ流しの施設があるらしく、温泉通には外せぬ県である。その代表格は蔵王温泉。ここはスキーでも有名だが、真っ白な硫黄泉がドバドバ流れ、豊富な湯量と多数の効能を誇る、全国区の温泉地であることは言うまでもない。他にも今回のメイン扱いした小野川温泉に、昭和レトロの銀山温泉、効能豊かな肘折温泉、豪華な宿が並ぶあつみ温泉、そして、海岸美がすごい湯野浜温泉と、個性的な温泉地が数多くあるが、その中で気になっていたのが、かみのやま温泉と、南陽市の赤湯温泉である。

小野川温泉から米沢市に戻り、そこからローカル電車でかみのやま温泉駅へ向かう。この時驚いたのが、「山形新幹線」である。普通、新幹線は200キロ以上で走る列車の事を言うのだが、山形新幹線は列車のデザインこそ新幹線だが、130キロで走行と言う。しかも、信じられないことに単線で、踏切もあるらしい。途中の駅で待ち合わせ、横を新幹線らしき列車が通り過ぎたのでびっくりした。元の奥羽本線に、「特急」を走らせただけなのである。しかし、このネーミングで、利用率が大幅にアップしたというから、これは素晴らしいプランだった。

かみのやま温泉駅に着き、さっそく市内を歩いたが、温泉街の上にそびえる上山城が工事中で目隠しされ、温泉街もこれと言ったインパクトがなく、「まあ、こんなものかな」という感じで通り過ぎた。なにより、巨大ホテルの廃墟が痛々しかった。線路を挟んで反対側には、日本の旅館100選で常に上位に位置する「古窯」がある葉山温泉の方にも行こうかなと思ったが、珍しく馬力が湧かなかった。それでかみのやま温泉駅に戻り、今夜の宿、南陽市の赤湯温泉に向かう。

実は南陽市は一度訪ねてみたかった。自分が育ったのは山口県の新南陽市(現在は周南市)だが、南陽町から市に格上げされたときに、山形県に南陽市があるということで、「新」がついたのだ。その街中にある赤湯温泉、なんかネーミングで誘われたようなものだが、これは泉質的なものではなく、住所のネーミングだった。南陽市赤湯町…である。赤湯温泉は赤湯駅から4、5キロある。いつの場合もタクシーに乗ることはない。旅番組の「遠くに行きたい」スタイルで、ひたすら目的地まで歩く。そして街の風情を楽しむ。

事前に地図を検索し、国道何号線の何番目の信号を右折、と言う具合にしっかり下調べしていくのだが、この時はどこかで見落としがあり、道に迷った。しかし、これが幸いした。恐る恐る道を尋ねた若い女性が、自分にとっては女神だった。ああ、なんて神々しかったことか!(④に続く)