満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

満天の星空を求めて、温泉旅は続く

2017-03-30 18:37:47 | 旅行
周囲は緑の山、日本でも有数の星空が見える露天風呂

ハイペースで温泉旅行をしている。別府、宮崎の旅から帰ってきたのは3月24日
だが、28日から2泊3日で長野県南木曽駅(なぎそ)から送迎マイクロバス20分
の、「ホテル富貴の森」に連泊した。場所的には、中央アルプスの南あたり。中仙
道、妻籠宿から飯田方面に10分の位置で、標高900メートルの高原地帯らしい。

南木曽駅からマイクロバスに乗ると、我々の他はすべて外人さんだった。しかも、
白人の方ばかりである。「へえ~」と思わず声が出た。最近、日本を訪れる観光客が
多いのは大阪の街を見ても分かるが、アジア系の人が多く、白人系の人々は2,3割
程度である。ホテルに着いてさらに驚いた。全12室の温泉ホテルだが、半分以上が
白人観光客だったのである。仲居さんに聞くと、4月の予約はさらに白人系観光客が
占めており、7対3ぐらいの割合いになる日もあるという。

おそらく、ガイドブックなどの影響だと思うが、中仙道の宿場町がそのまま残っている
馬籠、妻籠の時代的町並みが大人気らしい。白人系とアジア系の、日本に求める観光コ
ンテンツが異なるのだと思うが、それにしても、アジア系の観光客一組も見なかった
のは意外だった。

まあ、それはともかく、「ホテル富貴の森」が、いい温泉ホテルなのは間違いない。高級
山小屋ホテルという感じで、部屋にしても、風呂場にしても木曽檜(きそひのき)をふんだ
んに使っていた。温泉は美人系のヌルヌル湯で、場所柄、露天風呂は丘の上に設えており、
見晴らしも最高だった。

しかし、今回の目的は温泉だけではない。このブログの題名である「満天の星空が見たい!」
にしては、星空情報が全くないので、「星空テラス」があるこのホテルを選定したのだ。今、
「日本一の星空 ナイトツアー」で注目されている昼神温泉はここからわずか20キロ、団
体で行くより、個人的に楽しみたいと思い、空気が澄んでいて、高所のにあるこのホテルに
訪れた次第である。

初日は半曇りで、綺麗に星が見えたものの、「満天」ではなかったので2日目に期待した。こ
の日の天気予報は降水確率0%、夕方も雲一つなく、大いに期待した。8時ごろ、星空テラス
に上がると、意外にも自分一人だけだった。900メートルの高地なので気温はマイナス3度、浴
衣の上にセーター、ジャンパーを着てもぶるぶる震えたが、こんなチャンスを逃がしたくないの
で、自動的に照明が消えた後、しっかり夜空を見続けた。

うーん、こんなものか?確かに普段の2、3倍は星が見えるが、インターネットなどに貼ってある
星空の、「星雲」らしきものまでは見えていない。そこで30分、粘りに粘ったが、ついに雲が出
てきて、やむなく部屋に帰った。そのことを朝食の時に若い仲居さんに伝えると、「同じ晴れの夜
でもまったく違う日があるんです。私は地元の人間ですが、ある夜、凄い星空を見て震えたことが
あります。365日夜空を気にしているわけでもないから、一年で何度そんな夜があるのか分から
ないけど、そんな日に出会えたらラッキーですよ」と、微笑んだ。

確かに、そんな簡単に満天の星空を見ることはできない。だからこれからも温泉旅は続くのだ(笑)、
でも、このところお金を使いすぎて「節制」の2文字が頭に浮かんできた。2週間も休んだので、
しばらくは仕事が続くが、次の予定も迫っている。4月19日から2泊3日の奈良・十津川、南紀
勝浦の旅で、5人の友人と出掛ける。自分が幹事なので、JRの切符と、レンタカーの予約をしなけ
ればならない。

人間、次の目標、予定があれぱ、頑張れるものなのである。

やはり別府は温泉の聖地である…

2017-03-27 16:14:19 | 旅行
地獄巡りで一番人気の「海地獄」の青い湯


NHKで「ぶらタモリ」という番組がある。いろいろな街に行き、その地域の歴史
や文化を解き明かすという試行だが、「別府温泉」が2回に渡って放映された。
もちろん、興味を持って視聴したわけだが、ほぼ予測通りというか、自分の推論
も間違っていなかったと思う。別府は、「火山の裾野に乗っている街」というの
が自分の見立てだったが、別府の街の後ろに控える伽藍岳(がらんだけ)、鶴見岳
が別府の泉源である。

別府の街は坂の街である。いわゆる扇状地だが、その地下に両火山からの熱脈が
流れている。ぶらタモリを見て納得したのだが、鉄輪温泉のもうもうと吹き上げる
熱水蒸気は、その熱脈に沿っていて、地図上でも表せるらしい。伽藍岳はそのパワ
ーから、活火山に認定されているが、ここ何千年も噴火の記録はないそうだ。ただ、
相当なパワーをため込んでいる故、活火山の認定である。

まあ、そんなことはいい。今回の九州旅行、本当は鹿児島から入り、宮崎に行く予
定だったが、別府は外せなかった。同行の後輩が温泉旅行2回目で、どうしてもパワ
フルな別府を見せたかったのである。

しかし、彼は別府の街を見てもそんなに驚かなかったし、感激もしなかった。思うに、
経験不足、データ不足である。宿は、「鉄輪温泉 ゆの香」だったが、自分的には大正
ロマンが漂う宿で、美人の湯が掛け流され、食事も十分満足した。後輩は淡々とした表
情で、「明日は宮崎ですか?」という感想だけだった。

実は夕食も、「パソコンのデータ処理が残っているので…」と、後輩は早めに切り上げ、
部屋にかえった。仕方なく、ひとり、ちびりちびりと日本酒を飲んでいると、隣の席に一
人旅の御仁がいた。そこで彼に声を掛けてみると、なんと北海道から来たというではない
か。しかも温泉ブログを立ち上げているらしい!ー「とまチョップの北海道温泉一人旅」
http://tomachopu.jp/ 当然、話が弾んだ。彼は室蘭市から山口県に出張で来て、以
前から気になっていた別府を訪れたという。しかも、2泊3日の滞在だった。

「杉乃井ホテルの棚湯(高台から別府の街と別府湾が見渡せる垂涎の露天風呂)、凄かった
です。満足しています」と、彼は目を輝かせていた。ああ、よかった。別府の凄さが分か
る人と出会えて…。と、思わず、冷酒を追加してしまったが、それからも温泉談議に話が弾
んだ。彼のブログは北海道の温泉を紹介しているらしいが、「Мさんが一番気に入っている
温泉は?」と聞かれたので、「南紀勝浦温泉のホテル浦島です。ここには20回ぐらいは
行っている」と答えた。

彼はスマホでさっそく「ホテル浦島」を検索していたが、「おお!なんです。この洞窟風呂
は?すごいホテルですね。ぜひ行ってみたい」と、身を乗り出してきた。温泉が分かる人は、
この手の感覚、判断力が優れている。ホテル浦島は、「本物の温泉ホテル」と感じたようで
ある。まあ、当然の話だが…。

最後に、別府では感嘆符がなかった後輩だが、3、4日目に連泊した宮崎県小林市の「恵の湯 
神の郷温泉」はすごく気に入ったようで、「あかん、仕事どころではない。温泉の魅力にハマ
ってしまいましたわ」と、照れていた。今度はどこへ連れて行こうか?今年中に温泉重症患者
にするつもりなのである(笑)

宮崎市青島の温泉ホテルで回想…。

2017-03-26 21:26:28 | 人間
青島神社の入り口。横は「鬼の洗濯岩」である。

会社の慰安旅行で大阪から日向(ひゅうが、宮崎県)までフェリーで行き、
宮崎、鹿児島旅行に行った思い出はあるが、ほとんどが鹿児島の観光地を巡った。
だから、自分の中では、宮崎は未踏の地だった。今回、宮崎の温泉巡りをしたが、
思った以上に魅力的な観光地だった。

宮崎…。宮崎と言えば、中学時代のある男を思い出す。自分も九州男児、鹿児島生
まれではあるが、5歳から山口県新南陽市(現・周南市)で高校まで過ごした。だか
ら彼、Yが宮崎から転校してきたときは大いに歓迎した。彼の宮崎弁は耳に心地よ
く、毎日一緒に遊んだ。ともに家は貧乏、食うものも食わず、欲しいものは手に入
らず、それでいて文句も言わず…。男はじっと我慢ーそんな毎日だった。

中学3年の時、ある事件が勃発し、それまで一枚岩の、仲が良かったグループが二
分した。彼がAのトップ、そして自分がBのトップだった。毎日学校で小競り合い
が続き、いよいよ総勢の対決間近だった。それを知らせに来たのは彼だった。昼休
みに彼ひとりが我々(20名ぐらい)の前に来て、「××で、5時に待っている」と告
げ、自分を睨んだ。

その時、自分のグループ(B)の一人が、「お前、ええ根性しているじゃないか」と
言い、いきなり彼の顔にパンチを食らわした。その男は体も大きく、力自慢でYは
吹っ飛んだ。しかし、彼はそれで終わらなかった。Yは数秒倒れていたが、むくりと
立ち上がり、鳩尾(みぞおち)に逆襲のパンチを出した。それが見事に決まり、逆に味
方の男がうずくまってしまった。「じゃあ、待っているから」と、彼は何事もなかっ
たように教室から出て行った。

その騒動を見ていた女生徒が学校に通報し、対決は未遂に終わったが、Yの評判はう
なぎ上りになった。事件は誤解から生じた事が判明し、まだグループは一枚岩になっ
た。自分とYは、元の親友に戻ったのである。しかし、彼は中学卒業後に行方をくら
ました。彼の家族も一家離散、まったく情報が途絶えてしまった。

それから7、8年後、大阪で彼の存在を知ることになった。自分も田舎の生活が嫌にな
り、突発的に大阪に出てきたのだが、彼の名前を聞くことになるとは思ってもみなか
った。それも、大阪ミナミの居酒屋である。友人と飲んでいると、隣の席で喋ってい
たヤーサン二人の会話が衝撃的だった。『宮崎生まれのメチャ喧嘩の強い男、男前で、
組長の娘が惚れて、将来の組長候補」…。

最初は、「まさか!」と思っていたが、Yの本名を聞いて間違いないと思った。その
組は大阪市内ではなく、大阪の地方都市だったが、一般人だった彼が何かの弾みで喧嘩
騒動になり、相当に暴れたらしい。それを見ていた組の幹部がスカウトしたというが、
彼の生活も行き詰っていたのではないかと思う。大都会で徒手空拳でのし上がることな
ど、夢また夢である。

その後は何も知らないし、知りたくもなかった。彼にはゆるぎない根性があった。「や
くざは嫌いだ」と言っていたが、それは将来の自分を予想していたのではないか…と思
う。何十年前のことを、宮崎市青島の温泉ホテルで、しばし回想にふけった。


素晴らしい温泉施設を見つけた!「恵の湯 神の郷温泉」

2017-03-25 13:05:41 | 旅行
宿泊者専用の檜風呂。浴槽からざあざあと温泉があふれていた。


九州へ4泊5日の旅に行ってきた。後輩二人との男旅だったが、最終日に関空に着いた
ところで、「先輩。今回は思い出深い旅になりました」と、感謝された。その後輩は毎
日仕事漬けで、旅に出る余裕がなく、いつも青い顔をしていたが、『たまには休みを取
れよ』と言うと、「この前、那智勝浦温泉に連れて行ってもらって、旅の醍醐味を知り
ました」と、素直に5日間の有休を取った。それでも仕事道具であるパソコンとタブレ
ットを持参していたのは苦笑したが…。

旅程は初日が別府温泉、2日目宮崎・青島温泉、3,4日目小林市・神の郷温泉で、行き
は新幹線(2週間前予約割引)、帰りは宮崎空港(格安のピーチ航空)で、別府から宮崎は
高速バス(ネット予約2500円)、宮崎市から小林市はローカル電車を利用した。

その中で二人が驚嘆したのは連泊した小林市の神の郷温泉である。小林市と言えば、全国
高校駅伝で最多の52回出場、優勝7回(全国2位)を誇る小林高校のイメージが強く、他
の文化、産業は知らなかったが、着いてみると、ごく普通の地方都市だった。しかし、駅
から南側にそびえる霧島連山の景色が素晴らしく、特に左側の高千穂の峰が雄大にそびえ
ていた。

送迎車に揺られて10分後に神の郷温泉に着いた。フロントは日帰り温泉施設の入り口に
あったが、我々が予約した「露天風呂付・離れ宿」は、別の施設になっていた。部屋は15
畳あり、横に小さな庭がついていて、その端に露天風呂が設えてあった。部屋からは洗面所
を通って洗い場があり、その先に露天風呂という間取り図だ。

その露天風呂は一人しか入れないサイズだったが、結構な湯量が掛け流しになっていた。泉
質は高濃度の炭酸泉で、緑がかった色合いと、鉄分の香りが素晴らしいにごり湯だった。こ
れが一分間に2トン湧いていて(全国有数)、敷地内にある風呂はすべて掛け流し。それどこ
ろか、玄関前には無料の温泉が提供されていた。これをペットボトルやミニタンクに詰めて
帰る人が後を絶たなかった。

嬉しかったのは、日帰り温泉の浴槽以外に、宿泊者限定の入浴施設があることだった。そこは
離れから徒歩一分の丘の上にあり、10人以上は入れる檜風呂で、ざあざあと温泉が湯船から
あふれていた。温泉成分の濃さから床面は茶色に変色しており、温泉情緒をより盛り上げてい
た。宿泊者専用ということで、いつ行っても一人か二人の入浴者しかおらず、思う存分温泉を
楽しんだ。

特筆すべきはその宿泊料である。朝晩の食事はバイキングだったが、なんと9、450円の破
格値だった。露天風呂付離れ15畳に二泊して2万円でおつりが来るのである。後輩は、「まさ
か、0がひとつ多いんじゃないでしょうね」と言ったのもうなづけた。この施設の隣がミネラル
ウォーター「恵の水 神の郷」の工場で、どうやら同じ経営者のようだった。霧島連山から提
供された伏流水で温泉とミネラルウォーター、まさに大自然の恩恵である。

女将の話によると新たに掘削した新温泉も近々登場するというが、これほど豊富に温泉が湧いて
いるのに、まだ必要なのだろうかと首をかしげてしまった(笑)。後輩はすっかりこの温泉の虜
になり、「ピーチ航空が安いので、何度でも来たいですね」と、目を輝かせていた。

伊良湖岬の旅の思い出

2017-03-17 23:09:09 | 恋愛

伊良湖岬は爽やかなビューポイント、向こうに見えるのが三島由紀夫の「潮騒」で有名な神島だ。


今も時々思い出す旅がある。あれは15年位前だった。ある女性と付き合い、
月に一度くらいのペースで旅していた。彼女は信心深い人で、各地の有名な
神社仏閣を訪れるのがメインで、その後に温泉宿に泊まるのが恒例になった。
会社の慰安旅行で温泉宿は何度も泊まっていたが、自ら温泉へ行くようになっ
たのはこのころからである。

その時は愛知県の豊川稲荷神社にお参りに行き、飯田線の延長にある湯谷温泉
に泊まった。湯谷温泉は宇連川の景勝地、鳳来峡に佇む小さな温泉宿、「湯の
風 HAZU」が全国的に有名で、この時もその宿に泊まった。名前の通り、モダ
ンな宿で、川のそばに設えた露天風呂や、美しい会席料理は今も記憶に残って
いる。

次の日、時間があったので蒲郡競艇場へ行こうということになった。彼女は姉御
肌で、時々大胆な発言をする。お参りをした後で、普通なら、「なんて無作法な!」
と怒られるかと思ったが、私がいわゆるその道のプロで(当時競艇専門紙の編集長
をしていた)、「じゃあ、私が資金を出すから、お手並み拝見」と、銀行へ行き、
50万円をおろしてきたのである。

「全部なくなっても構わないから、思い切り賭けてみて。資金が足らなかったら、
またすぐ用意するから」と彼女はど~んと胸を叩いた。大阪でスナックや婦人物洋
装店をやっていたものの、普段は慎ましい印象の女性だっただけに、この行動にはびっ
くりした。そう出られると男は弱い。なんとなく、プレッシャーを感じ、細々と勝負
をしていたが、瞬く間に20万円が消えた。

そして最終レースになった。「本当に全部負けても大丈夫だから、もっと賭けて。最後
だから全部使って!」と彼女に発破をかけられた。そうなるとこちらも肝が据わった。
ねらい目の選手がいて、1、2着想定で30万円全部賭けた。レースが始まり、その選手
がスタートから抜け出したときは思わず目をつむった。「そのまま、そのまま、頼む、
そのままでゴールしてくれ」と、初心者のように祈り続けたのを覚えている。

配当は6750円、これを200枚(2万円)取ったのである。しめて135万円の払い戻し
だった。「さすが、ヘンシュウチョー!」と、彼女はたいして興奮もせず配当を受け取り、
そのお金をバッグの中にしまった。そして、「縁起がいいから、もう一泊しようか」とい
うので少し考えて、伊良湖岬の恋路が浜に行くことにした。「名も知らぬ、遠き島より流
れ来る椰子の実ひとつ~」と島崎藤村が詠んだ潮騒の名勝地である。

「面倒だからタクシーで行こう」と、彼女が言うので競艇場の前からタクシーに乗り、2万
円近く払って「伊良湖ビューホテル」に着いた。このホテルは伊良湖岬の高台に建ち、太平
洋を見渡せる景色が最高だった。その素晴らしい景色は今でも鮮明に思い出せる。次の日は
ここからフェリーに乗り伊勢に行った。そして伊勢神宮に参って近鉄電車で大阪に帰った。

その後彼女と10年付き合ったが、あるアクシデントがあり、今は別々に暮らしている。今
でも親しい友人だが、あれから競艇場へ行こうなどと言われたことはなく、ギャンブル関係
は一切手を出していない。見事なものである。