満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

温泉旅行は、満足できる源泉宿に泊まりたい!

2016-03-01 15:20:32 | ミステリ
駒ヶ岳温泉は一軒宿。蕎麦屋もやっており、夕食の蕎麦がうまい。


温泉旅の番組で、「え~?」と眉をひそめた時がある。それは、温泉番付表などで、
ろくに温泉に行ったことのない芸能人が、自分のカテゴリーを主張して、ランクア
ップさせることだ。たとえば、以前、こういうことがあった。


ゲストの7人のうち、5名は温泉マスターで、一番年少の方でも1000カ所近い温
泉に入浴されていた。しかし、温泉番付表を見ると、明らかに芸能人ひとりの意見が
尊重されている。1位は草津温泉、2位は由布院温泉、そして3位は登別温泉~と言
う具合に、妥当な温泉地が並んでいたが、7位に青森の「青荷温泉」がランクされて
いたのだ。


それを押したのがある男性芸能人である。「いやあ、たまたま友人のお誘いでその宿に
行ったのですが、そこはランプの宿で、テレビはないし、携帯もつながらない。そうな
ると、温泉に入るしかないんです。でもその温泉がいいお湯でね~」と言う具合である。


「青荷温泉」がいい温泉であるのは間違いないし、温泉仲間の間でも評価は高い。しかし、
だ。彼が一度行っただけで、温泉ベスト10の7位にランクされる安易さに呆れてしまった。
これは芸能人よりも、番組構成スタッフに問題があるのではないか?その芸能人は、番組
の打ち合わせで、「こういうところに行ったことがある」と、述べただけだと思う。


「青荷温泉」は一軒家の秘湯の宿である。これに8位の別府温泉が負けているのである。世
界でアメリカのイエローストーンに次ぐ、世界第二位の湧出量を誇るあの別府温泉が(笑)…。
別府市内には、8地区もの温泉地が存在し、何百軒もの温泉宿があるのに!


「青荷温泉」は、別コーナーで「私のお薦め宿」にすれば良かっただけの話だが、番組スタッ
フがあまり温泉に詳しくなかったのではないかと思う。そういう、俺とて、まだくちばしの黄
色いひよこではあるが、温泉名人やら、温泉サイトの情報交換は多々ある。そこで、今回は、
各地区の温泉地ではなく、お薦めの「温泉宿」を挙げてみたい。


☆北海道…上の湯温泉・銀婚湯 大正天皇の銀婚式の日に温泉を掘り当てたとかで「銀婚湯」と
名付けた。内風呂の他、庭園内のつり橋を渡って3つの露天風呂がある。温泉自慢で料理も素晴
らしい。冬の雪見風呂もいいが、爽やかな夏場がお薦め。 


☆東北…秋田県 駒ヶ岳温泉 乳頭温泉郷の入口(田沢湖温泉)にある。ふたつの渓流に囲まれた宿
で、あの「鶴の湯」の姉妹館。夜は宿の車で鶴の湯に連れて行ってくれる。コストパフォーマンス
が素晴らしい。6月には渓流に蛍も乱舞する。


☆関東…群馬県 万座温泉・日進館 標高1800メートルにある万座温泉。日本一の濃さを誇る酸性硫
黄泉が9つの浴場にドパドバと掛け流されている。この宿は湯治プランもあり、温泉好きなら一度は
訪れたい魅力が満載。


以上、東日本のお薦めの宿。どの宿も15000円以内で宿泊できる(詳しくはホームページで)。あくまでも
温泉名人に話を聞き、自分が行ったことがある宿の中でのお薦めで、他にも素晴らしい宿はたくさんあ
りますが…。次の機会に西日本の宿を推奨してみたい。




人生で一番感動した!あの電話

2016-02-23 20:48:07 | ミステリ


ある時、飲み会で若いスタッフが、「Мさんって、今まで何かに感動した
ことがありますか?」という質問があった。「当然あるよ」と、言ったら、
へ~と、疑心暗鬼な顔。「Мさんは話しやすいし、話題も面白いのですが、
どこか深い影がありません?」と、若いスタッフ。うーん、俺のことをよ
く見ている。


それは両親がいなかったという生い立ちから来ているのか、それともDNA
に刷り込まれた性格なのか、自分でも分からない。優しい部分と、ダーク
な部分がある…と昔付き合った彼女に言われた。自分では気づかない部分
だった。


その俺が、今まで一番感動したこと。それは、友人からの電話だった。

その友人は東京、府中市に住むNだった。彼とは仕事の出張で知り合った
が、年間30日ぐらい一緒になった。東京と大阪、水と油だと思うだろうが、
彼がやさしく素直、そして大酒飲み。6歳下だったが、たちまち意気投合
した。


埼玉県の大宮市(今のさいたま市?)に行った時、5時から飲み始め、居酒
屋、スナック、ラウンジと続き、最後に中華屋に入った。その時の彼の注
文は今も忘れない。総勢4名の飲み会だったが、3軒はしごして、全員へろ
へろである。メンバーの一人が、「腹が減った。明日元気に出勤するため
に、飯が食いたい」と言ったので、中華屋に入ったのだ。


「えーと。4人だから、紹興酒4本と、餃子4人前、それから…」と言った
のだ。紹興酒のボトル4本?深夜1時で各人、紹興酒のボトル(720ml)一本?


「お前、俺らアルコール中毒で殺す気か?」と怒鳴ったのを思い出す。
その時、「いや、最後だから、そのくらい飲めると思って…」と、首を
傾げていた。「この男、化けもんや」と、思ったのも当然である。


そのNが、朝のシャワー中に倒れた。くも膜下だったらしい。脳内の血管
が切れたのである。これは70%以上の死亡率だと知った。大阪から仲間と
東京都稲城市の病院に見舞いに行った。その時の状況があまりにも酷過ぎた。


案内してくれた看護婦さんが、悲壮な顔をして、「彼は今も戦っています」
と言った。集中治療室のベッドで、Nは無意識でのたうちまわっていた。
全身を痙攣させ、奇声を発していた。それを見て、俺は涙が流れた。
「N、N!」と彼の名前を呼んだ。でも、看護婦さんは、「……
」と、気の毒そうに俺を見た。


帰りの新幹線がしんどかった。ウィスキーのボトルを買ってぐいぐい飲ん
だ。見舞いに同行した連中も飲んだ。そして、「Nと会うのも今日が最後に
なりそうやね」と、悲しんだ。誰もが彼はもうすぐ亡くなる…と思ってい
たのだ。


それから2ヶ月後、会社に電話が掛かった。「Мさん、電話ですよ」と女性
スタッフ。電話に出た。「お久しぶりです。お元気ですか?」と、相手は
言った。「はあ?」と、俺は誰からの電話なのか、まったく分からなかった。

「Nですよ。もうすぐ、退院します」、「はあ?」、俺はまだ信じられ
なかった。だけど、その声には確かに聞き覚えがあった。「N?本当!本当
にN?」と、俺は聞いた。「そうです、Nですよ。N野です!」、相手は明快
に答えた。


俺はふるえた。全身から汗が噴き出した。「おい、お前は地獄から生還した
のか?」、俺の語気が荒くなった。「そうです、生還しましたよ」と、Nは
答えた。その時ほど感動したことはない。「まさか、あの世から電話して
きたのではないのだろうな」と、冗談が出た。これは、本当の出来事だと、
安堵した証だった。


「大丈夫です。今、病院の待合室から電話しています。看護婦さんから聞き
ました。お見舞いに来てくださったそうですね」と、彼の声は生気に満ちて
いた。「ずっと意識不明だったので、自分としてはあっという間でした。で
も、サッカーのワールドカップが終わっていたので、時間を感じました」と、
明快な答え。


俺はこれを見舞いに行った友人に伝え、その日、乾杯、乾杯で朝まで飲み明
かした。

あれから7年になるが、彼とは大阪、東京を行き来して、今でも一年に2,3回
は飲み会をしている。それが現在の、一番の楽しみである。今年は、彼の生
地である新潟旅行をと考えている。

変質者になるパターンが日常的!

2016-02-16 19:48:55 | ミステリ


マンションを出るのが9時少し前。最寄りの地下鉄駅まで5~6分の距離で、
少し急ぎ足で歩き、9時8分の電車に乗るのは、その電車がこの駅始発だか
ら。8時台の通勤ラッシュも終わって、ゆっくり座って勤め先に行けるの
だ。これは精神的にすごく大きい。


このルートを利用して約1年。駅まで行き交う人、電車に乗る人、自分が
座った席から見て前後左右に座っている人と、だいぶ顔の輪郭がはっきり
してきた。相手もこちらを覚えたのか、はっきりした意思表示はないもの
の、眉を上げたり、口を動かしたり、テレパシー的挨拶である。


その中で騒動が起こった。マンションを出て、信号を渡った後くらいにす
れ違う、45歳くらいの女性。いつもおしゃれで、髪もきちんと整えて、歩
く姿が魅力的だった。土、日以外は毎日すれちがうが、こちら方面には、
彼女が通勤するような会社はないはず。いったい、どこにお勤めなんだろ
う…と、考えたことはあるが、ボ~としていると電車に遅れるので、いつ
も深くは考えない。


それが、1か月前ぐらいから、彼女が笑顔で通り過ぎるようになった。顔
を合わせると、「ニコッ」と、笑ってくれる。だから、こちらも「ニコッ」
と通り過ぎる。


俺は男である。短絡的である。ひょっとして、彼女は俺に気があるのでは…
とふと思った。いや、本当に軽くそう思っただけで、確信ではない。本音を
言えば、彼女はタイプではない。そうなって欲しいという気持ちもなかった。
「男」という本能がそう思わせるのだ。


しかし、彼女から声を掛けられたのである。通り過ぎる時に、「あの…すみ
ません」と。「おお、やはり来たか!」と俺は思った。しかし、それは女性
に言わせることではない。俺が、「あなたのことが気になっていました…」
と言うべきだ。彼女に恥はかかせられない…今思えば、どこからそんな自信
が湧いてきたのか?本当に俺は俗物である。


でも、そんなわけはない。真実は極めて残酷だった。彼女の顔を見ると、恐
怖心さえ浮かんでいた。「わ、私のことをじろじろ見るのはやめてもらえま
せんか?遠くからあなたの目線を感じるんです」と、彼女は言い、まるで殺
人鬼から逃れるように駆けて行った。



あ然とした。おれはただ、いつも通り過ぎるであろう人物を確認していただ
けで、そんな気持ちは一切なかった。でも、果たしてそう言い切れるだろう
か?毎日黙視される彼女にとっては、耐えがたい苦痛だったのかも知れない。
おそらく、職場でも俺の話題が出ているだろう。



「あの人、絶対変質者ですよ。う~、今考えてもサブイボ(鳥肌)が出ます」と。

ここで激怒したらストーカーに、冷静に苦笑できたら普通の人間に。その分水嶺
は案外こんなものなのかも…。


東野圭吾が読書の楽しさを教えてくれた、ベスト3

2016-02-03 20:49:12 | ミステリ


40歳になって、初めて読書の面白さを教えてくれたのは、東野圭吾さん
だった。温泉旅に目覚め、ディスカバリー・ジャパンの旅を続けていた
時に、地方に行き、交通不便の時間をカバーしてくれたのがミステリで、
最初は暇つぶしの手段だった。


北海道の函館で電車を待っている時に、キオスクで見つけた一冊が、東野
さんの「宿命」だった。若いころに、「横溝正史フェア」が大評判になり、
それに感化されてある程度ミステリを読んだが、その後、松本清張を読破
した時点で興味は薄れた。横溝正史(本格ミステリ)、松本清張(社会ミステ
リ)と言えば、ミステリの分野では二大長老である(先駆者の江戸川乱歩は
別格として)。


東野さんの本は、その後、20年ぶりに手に取った一冊。「なんて、面白
いんだろう!」と、素直に思った。横溝正史、松本清張の世界とはまった
くちがう、現代的なミステリ。いや、もっと深い、心理的で、人間の内面
を浮き彫りにしたミステリ。これは凄い…と、感じた。


それから旅の友に、必ず東野さんの本を2,、3冊バックパックに入れた。時
間的に、一冊しか読めないのだけど、「もし読む本がなくなったら…」と
不安に感じて、余裕を持たせた。家でもホテルでも、どんなに酒に酔っても、
寝る前に必ず数ページは読んだ。


東野圭吾の魅力は何だろう…と思う。文章がうまく、機知に富んでいる。殺
人事件などの謎は決して複雑ではないが、その背景にある人間のやるせなさ
に共感を覚える…。どれも快楽殺人ではない。やむにやむえぬ事件である…。
そこに人間の深い闇と抗いがある。


東野さんの本はほとんど読破したが、最近の作ははご無沙汰である。しかし、
東野さんのお陰で読書という娯楽の選択肢が増えた。これは感謝しかない。今
、韓国や、中国などの書店で、一番人気が東野圭吾と言う記事を見ると嬉し
くなる。どんどん、どんどん売れて、東野圭吾の世界を満喫してほしいと思う。


そこで俺の東野圭吾ベスト3!………と、もったいぶっても評価はほとんど他の方と同じである?

①悪意、②容疑者xの献身、③手紙

③の手紙には特に思いれがある。人生で初めて、電車通勤の折に、その結末
を読んで涙したのである。それも朝の通勤帯だったから、となりの女性は当
然、「なに、このおっさん、変態か~」と思ったのではないか?