満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

「火垂るの墓」は、もう見たくない、忘れたい!

2016-04-06 01:11:40 | 日記

休日は必ず映画を見に、映画館に行くという先輩がいる。しかし、本当に映画が好きかどうかは定かではない。3年前に奥さんを亡くされ、休日はやることがないので映画館に行くと言う。家でも色々なチャンネルを契約していて、洋画、時代劇、サスペンスといつでも視聴は可能だが、昼間は陰気くさいので、映画館に行くと言うのだ。

息子さんが三人いるが、いずれも結婚しており、ハワイ、東京、浜松と、遠隔地に住んでいる。盆、正月には帰省することもあるそうだが、年々、その頻度は低くなっている。当然だ、彼らには家庭があり、大阪まで帰ってくるとなると、経費も相当にかさむ。だから、息子と孫に会いたいときは、こちらから出掛ける。ひとりなら、交通費も高が知れている。なるほど、これは真理だ。

ただ、大きな邸宅にひとり住まいは寂しい。それで、休みになると俺に電話が掛かってくる。「久しぶりに、一杯どう?」と聞くと、内情を知っているだけに、むげには断れない。「いいっすよ、すぐに向かいます」、いつも即決で応えることにしている。間が開いたら先輩も考えるだろう。「ひょっとして、彼には用事があったのか?むりやりこっちにきているのではないか?」と。そんな心配をさせたくないのだ。先輩には本当にお世話になっているから~。

そんなある日、先輩宅で一杯やっていたら、たまたまテレビで野坂昭如原作の「火垂るの墓」を放映していた。見るのではなかった。あまりにも悲しい物語だった。ふたりは酒を飲みながら、嗚咽の連続である。先輩は何度も鼻をかみながら、焼酎を飲むペースが速くなっている。俺は耐えきれず、トイレへ行って、大泣きした。

「あの兄弟が近くにいたら、俺が養ってやるのに」、「でも戦争中はだれもがあんな感じで、自分のことで精一杯だったのだろう」と、映画が終わった後もふたりは鼻をすすりながら、テイツシュを片手に酒を飲んだのを覚えている。次の朝、まぶたが腫れて、人相が変わっていた(笑)。

時々ネットで、この話題が出る。外国の人々もこの映画を見て大泣きするという画像がそこら中に出ている。でも、俺はすぐに他のページに変える。「火垂るの墓」には関わりたくないのだ。その題名を見ただけで涙が出てしまう。「節子、せつこ、セツコ~」と叫んでしまうのだ。そうなると、なかなかダーク色が抜けない!

この文を書いている今でさえ、涙ぐむ始末である。なんか、酔いもさめてしまった。ああ、今夜は眠れそうにない…。


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