家の近所にある毛馬桜ノ宮公園。大川(旧淀川)沿いに、毛馬水門から中之島まで、4.2キロのリバーサイド公園である。夏は日本三大祭りの「天神祭」で大賑わいを見せるが、春は両サイドの川沿いに4800本もの桜が咲き乱れる。その一角に、春の風物詩として全国的に有名な、「大阪造幣局の桜の通り抜け」があり、百軒もの屋台が出て、夜遅くまで賑わっている。
しかし、大阪城公園に比べ、こちらは意外と空いていて、平日の昼間などは、ブルーシート敷き放題である。JR桜ノ宮駅から2,3分と絶好の立地であり、大川の流れを見ながら花見ができるのに、いつも空いているのは本当にありがたい。
今年は4月7日の予定だったが、一週間のうち、その日だけが朝からの強風と雨。またまた世界一の雨男ぶりを発揮してしまったが、次の4月8日に会社の後輩と、先輩ご夫婦の4名で決行!前日の嵐で桜は散ったのか?と心配していたが、まだ7分くらい残っていて、天気も良く、存分に花見が楽しめた。
先輩ご夫婦は2時間ぐらいいて帰ったが、後輩とは酒盛りが続く。「桜ノ宮と言えば、ラブホテル街で有名でしたが、最近はあまり聞きませんね」と、酔いも手伝って後輩がネタを振ってきた。「そうやな、俺はこのあたりに住んで15年以上になるけど、いつも初詣は桜ノ宮神社に行っていたんや。大晦日の新年のカウントダウンが終わってから彼女と来ていたんやが、神社の周囲は煌々とラブホテルのネオンが輝いていて、異様な雰囲気があったわ」
「ラブホテル街に囲まれた神社ですか?」と、後輩はニタリ笑う。「それが、面白いことに、1時を過ぎると次々にネオンが消えて行くんや…」と、言うと、「え、どういうことですか?」と、後輩は身を乗り出して来た、「つまり、満室になったという印や。初詣を終えたカップルが、新年早々、愛を確かめると言うことや」、「へえ~」、「2時過ぎにはほとんどのホテルの灯が消えて、ゴーストタウンのようになるんや。そのあと、出遅れたカップルの車が右往左往して、ホテル街を2周ぐらいして帰って行くのもよう見かけたな…」
「でも、今見ると、だいぶ減っているんじゃないですか?」と後輩。「そうやな。全盛期に比べると、半分くらいになったんとちがうか?ほとんどがマンションに変わっているわ。リバーサイドでロケーションはいいし、駅からも近いからすぐに売れるらしいで」、そこで後輩は立ち上がり、建物の方を背伸びして見た。「ええっと、どの辺でしたかね。吉田御殿という有名なラブホがあったでしょう?昔、テレビのCМでも見たことがあるし、古い先輩方がよく~好きな女と吉田御殿に行きたい~と口にしていたあのホテルですよ」
「まだあるで。俺の前のマンションから30秒のところにあったわ。でも今の時代、吉田御殿では客が来なかったらしい」、「え?では倒産したんですか?」、「いや、経営者はそのままで、名前を変えたんや。なんという名前になったと思う?」、そう言うと、後輩は首を傾げ、色々な名前を口にしたが、かすりもしなかった。「ほら、あのマンションの裏にある建物。屋根の上の字が見えるやろ。あれが元の吉田御殿や」
そう言うと、後輩は口に出してそのホテル名を読んだ。「か・ば・の・お・い・しゃ・さ・ん…え~カバのお医者さん!前とは全然違うじゃないか!」、俺はそれを聞いて、今更ながら大きく吹き出した。その名前にしてから客が増えたとて言うから、これも時代の流れである。
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