満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

恋は盲目、その世界は悲しい!

2016-03-09 23:34:05 | 日記


悲しい後輩がいる。広島に出張した折にキャバクラに行った。そこで意気
投合したホステスがいた。アフターの食事をし、なんとラブホテルまで行
ったという。その女性は、彼の理想の女性である倉木麻衣によく似た美人
だったらしい。でも、そんな美人がなぜ、初対面でそこまで行ったかと言
うと、彼女は失恋したばかりで、やけくそになっていたのだ。

次の日、彼女は我に帰り、軽率な行動を反省して、「もう会うことはない
と思う」と、言った。その時は彼も「恐らくそうだろうな」と思った。い
くらなんでも、彼女がそんな軽い女だとは思えない。しかし、大阪に帰っ
てから、彼の恋心が膨らんだ。その大きさは、風船からアドバルーンくら
いに!

後輩は、休日に広島へ行った。しかし、彼女はもういなかった。執念であ
る。彼女の同僚から、故郷の岡山に帰ったことを知った。そして彼女が働
いているキャパクラを探しだした。それからがいけない。彼女は最初から
後輩のことは何とも思っていない。しかし、後輩はパンパンに膨らんでい
る。その温度差が悲劇を呼んだのだ。

悲劇…世間的には、そう言うほどではないかも知れない。しかし、その話
を聞いた俺は、間違いなく悲劇だと思った。会社はだいたい5時過ぎに終わ
る。それから彼は新幹線に乗り、岡山まで行き、キャパクラが終わるまで
店にいて、どこかで一人で過ごし、朝一の電車で大阪に帰る。

このパターンを月に3日×4回ぐらい繰り返す。それが3年くらい続いた。
まずお金が持たない、そして体が持たない。彼は苦悩した。それはそうだ
ろう。いくら店に通っても、彼女は2度とアフターしなかったという。

でも、彼は言った。「彼女は照れているんです。初めての客とホテルに行
ったから、反省しているんです」と。ということは、君のことは好きでは
ないのでは?と意見すると、「いや、もう少し待ってくれたら、素直にな
れるからと。そこで僕のことを好きになる可能性があると言ってくれまし
た」

でも、君のことが好きだったら、せめて食事ぐらい付き合ってくれるので
は?と言うと、「いや、僕は彼女が本当に好きになってくれるまで待ちま
す」と、嬉しそうに言った。アホかお前は!と言いたいところだったが、
彼のキラキラした目を見ると、それも言えなかった。

あれから10年、彼はいまだ独身である。しかし、岡山には通っていない。
彼女は予告もなく店をやめ、姿を消したという。でも彼は言うのだ。「連
絡があれば全国どこでも行きます。彼女は、絶対僕のことを気にしてま
すよ」と。昔から信じる者こそ救われるーという言葉があるが、これはウ
ソだと思った。

なにより、彼の話で一番泣けたのは、キャパクラでオープンからラストま
でいると、ラスト30分ぐらい前に寿司の盛り合わせが出たと言う話だった。
店長から、「今日もありがとうございました」と、言われ、近所の寿司屋
から出前を取ってくれるらしい。だいたい、7、8万円使って、1000円ぐら
いの盛り合わせである(泣)

恋は盲目だ。一途な心は大事だが、状況判断も必要である。







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