まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

今月の詩 ’18年4月

2018-04-19 18:10:41 | 文庫のページ
  エフェメラル
             工藤直子

 冬が ゆっくり去っていく
 その足どりを追うように
 林に春が やってくると
 早春の雑木林は まるで 光の遊園地だ

 その光 待ってました! と
 地上にあらわれるものたち
 エフェメラル――春の妖精――と呼ばれる花々がいる

 光が林に射しこむあいだに
 芽を出し 葉をひろげなくちゃ
 新緑が光をさえぎるまでのあいだに
 花を咲かせ 実をむすばなくちゃ と
 エフェメラルの仲間カタクリ
 ただいま いっしょうけんめい 光をあびている

 蜜をもらいにいかなくちゃ と
 蝶や蜂 ひらひら踊り
 タネを運びにいかなくちゃ と
 アリンコも ヒゲをぷるぷる
 林のなかに あらわれる
 一瞬の春の にぎやかにも美しい風景
   (『クヌギおやじの百万年』朝日出版社
         文・工藤直子  写真・今森光彦)

   入園・入学・進級 おめでとう!
 四月はたくさんのおめでとうが交わされる月です。おめでとうをいった人も、言われた人も、思わず笑顔になります。新学期が始まって、新しいクラスで、新しい先生や友だちに囲まれて、新しい1年がスタートして、ちょっぴり不安があるかもしれませんね。でも期待は大きいはず。元気に一歩を踏み出してください。そして文庫にもお友だちを誘って遊びに来てください。高学年の人たちは下校時間が遅くなり、文庫に来るのが難しくなりますが、時間を見つけて遊びに来てください。待っています。昨年の40周年記念講演会で岡田淳さんが言っていた言葉を思い出します。「好きな本はきっとあなたの味方になってくれる」と。あなたの味方になってくれる本をどうぞ見つけてください。
 今月は工藤直子さんの「エフェメラル」という詩を選びました。声に出してみてください。エフェメラル――、響きがいいですね。
 早春から数カ月地上に姿を見せるだけで、あとは次の年の春まで地中で過ごす植物のことを、スプリング・エフェメラル、春の妖精といいます。カタクリやイチゲやニリンソウなど、スプリングエフェメラルといわれる花たちがあっちにもこっちにも姿をあらわし、小さな生き物たちも活動を開始する、そんな早春の雑木林の命の輝きをすてきにうたっています。
 写真もどうぞ楽しんでください。『クヌギおやじの百万年』から選びました。今森光彦さんの美しい四季折々の雑木林の写真に、工藤直子さんが文章を添えて出来上がった、写真と詩を楽しめるすてきな本です。これまでもいくつか「今月の詩」に取りあげてきましたが、今回、また新しい詩を紹介できてうれしいです。
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