まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 8月

2018-08-22 15:53:12 | 文庫のページ
①『旅の絵本 Ⅵ』デンマーク編 2004
②『旅の絵本 Ⅶ』中国編 2009
③『旅の絵本 Ⅸ』スイス編 2018  安野光雅 福音館書店
 『旅の絵本 Ⅸ』が出版になりました。シリーズ1巻目の出版が1977年。41年も続くシリーズです。文庫には6巻目と7巻目がなかったので、一緒に購入しました。
 中部ヨーロッパから始まった旅は、イタリア、イギリス、アメリカ、スペイン、デンマーク、中国、日本、スイスと続きます。馬に乗る旅人を主人公に、絵だけで語られる豊かな旅の絵本です。その国の有名な建物、風景、人物、出来事はもちろんのこと、その国の昔話や物語の主人公たちも登場します。時には絵を描いている安野さんの姿もあり、絵からたくさんのメッセージを読み取ることができます。1巻目から、どうぞ楽しんでみてください。
 1926年生まれの安野さんは現在92歳。朝日新聞「語る ―人生の贈りもの―」で、8月6日から14回シリーズで、安野さんがご自身の人生について語っています。『絵のある自伝』(安野光雅 文春文庫 2014)もおすすめです。
④『ながいながい骨の旅』 松田素子/川上和生 講談社 2017
 地球ができた46億年前から物語は始まります。さまざまなミネラルが溶け込んだ海にまず生き物が誕生します。最初に現れた生き物に骨はありません。どうして、どうやって骨を持つ生き物が現れ、私たち人類までたどり着くのか、生き物たちの壮大な命の物語を描いた科学絵本です。
 4枚のひれの中に骨を持つ魚が現れたのは、3億8500万年前のこと。「ユーステノプテロン」という魚です。その骨の構造は、私たちの手足の骨の構造とよく似ているそうです。骨が生き物の体の中でどんな役割を担っているのか、骨ができたことで、生き物の生き方にどんな変化が起きるのか、興味深く語られています。
 著者の松田さんは、まど・みちおさんの画集や『まどさんからの手紙 こどもたちへ』を編集した方です。
⑤『北御門二郎 魂の自由を求めて』 ぶな葉一 銀の鈴社 2014
 トルストイの作品、生き方に共鳴、感動し、戦争中は徴兵を拒否し、熊本の山の中で農業に従事しながら、50歳から本格的にトルストイの作品や著作を翻訳した北御門二郎さんの生き方を感動的に綴った本です。
 1913年、熊本に生まれた北御門さんは、旧制第5高等学校1年の時、トルストイの作品に出会い、大きな影響を受けます。その後、東京大学文学部英文科に進み、1938年(25歳)徴兵検査の通知を受けますが、それを拒否します。2004年、91歳で亡くなるまで、非暴力の思想を生涯貫いて生きました。
 著者の石田昭義さん(ぶな葉一はペンネーム)は、1982年出版社を設立し、北御門さんの翻訳した『文読む月日 上下』(トルストイ)を出版しています。
 子どもの本の翻訳者・編集者のこみやゆうさんは北御門さんのお孫さんです。
⑥『八月の光 失われた声に耳をすませて』 朽木 祥 小学館 2017
 被爆2世の朽木さんは広島の物語を書き続けている作家です。2012年に出版された連作短編集『八月の光』(偕成社)には「雛の顔」「石の記憶」「水の緘黙」3作を収めました。2015年に文庫化されるときに「銀杏のお重」と「三つ目の橋」を書き下ろして加えました。昨年、小学館から出版になった時にはさらに「八重ねえちゃん」と「カンナ」を加えて7作の連作短編集になりました。「失われた声に耳をすませて」と副題がついています。
 「名前だけでしかない人があり、名前すら残らなかった人がある」という言葉は、一瞬にして7万人の命が奪われた、8月6日の広島の原爆の凄まじさを物語っています。ヒロシマの物語を書くこと、読むことは、その失われた人々の声に耳をすますことだと朽木さんは言います。原爆投下から73年。中高生にも大人にも読んでほしい作品です。
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