まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 6月

2020-06-07 18:22:27 | 文庫のページ
新しく買った本
①『おさびし山のさくらの木』 宮内婦貴子/いせひでこ BL出版 2015
 おさびし山の大きな桜の木と旅人の出会いと再生の物語です。
 ちった花はどこへ行くのか、もう会うことはできないのかと問いかける旅人に、桜の木の答えは深く感動的です。「会えますとも。生命はめぐりめぐるものですから」。やがて桜の木は切られ、風車に生まれ変わり、切られた木のそばに新しい芽が伸び始めます。旅人は風車に生まれ変わった桜の木に再会し、やがて自分も命を終えます。時が過ぎ、里では一人の男の子が誕生します。めぐりめぐる生命の営みについて、美しい絵と言葉で語られているすてきな絵本です。

②『ぼくは本を読んでいる。』 ひこ・田中 講談社 2019.1
 主人公は5年生の男の子のルカ。友だちや両親との会話を通して、また読書を通して、いろいろなことを考え、気づいていくルカの新学期最初の1週間の物語。
 ルカの家にある「本部屋」で偶然、カバーのかけてある5冊の本を見つけ、その1冊を読み始めます。題名通り、この物語の中で「ぼくは本を読んでいる」のです。
 本の主人公の考えに共感し、一緒に悩み喜ぶルカの姿が興味深いです。1冊目は『小公女』、2冊目は『あしながおじさん』、3冊目の『赤毛のアン』を読み始めるところで、この物語は終わります。一方、学校では、3人の友達との楽しい付き合いが始まります。4人のおしゃべりは楽しく、友だちのこと、家族のこと、インターネットのこと、話題はさまざまに広がり、ルカはたくさんの気づきをもらいます。3人の中の一人、本好きのカズサとの出会いは、ルカの読書の楽しさをさらに大きいものにしてくれます。両親との語らいも興味深いです。大人と子どもの見方、考え方の違いにもルカは気づいていきます。
 100年前の本を両親が子どものとき読み、今自分が読み、感動をもらっていること、それを友だちと共有できること、本の持つ不思議さとすばらしさに感動するルカにエールを送りたくなります。高学年の子どもたちにお薦めです。

③『神の島の子どもたち』 中脇初枝 講談社 2019.1
 『神に守られた島』の続編です。1952年、高校2年生になったカミを主人公に、祖国復帰の運動に揺れる沖永良部島の高校生たちの物語。
 祖先を敬い、豊かな自然の中で貧しくも歌と踊りに自分たちの思いを込め、暮してきた人々の、戦後もお国の事情で翻弄される悔しさと悲しさが伝わります。
 1946年2月、日本から切り離され、アメリカの統治になった沖永良部島。今度は北緯27度半以北は日本に返還されるが、永良部と与論島はこれまで通りアメリカの統治になることを知らされます。「奄美群島完全復帰」を掲げて高校生が立ち上がります。10才のとき、幼馴染のマチジョーと2度と騙されないように生きると決意したカミも運動に参加していきます。
 物語の終盤になって、やっとカミは7年前に本土に渡ったマチジョーと再会します。1953年12月、祖国復帰が実現し、カミとマチジョーが自分の夢に向かってさわやかに歩き出す姿は感動的です。
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