まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

寄贈本・新しく買った本 2月

2015-02-19 14:57:37 | 文庫のページ
寄贈本  ありがとうございます!
福井県あわら市の冨田登貴子さんからいただきました。
①『医師 藤野厳九郎』 土田誠 あわら市日中友好協会
 藤野厳九郎先生の伝記です。魯迅の仙台医学専門学校での恩師が藤野先生です。後に魯迅は『藤野先生』を執筆しているので、名前をご存じの方も多いと思います。
 東北帝国大学を辞めた後、1917年、郷里(現在の福井県あわら市)に戻って、亡くなるまで村医者として活躍した藤野先生の28年間を知ることができます。1945年8月11日、71歳で亡くなりました。
②『知ろうとすること。』 早野龍五・糸井重里 新潮文庫(2014.10)
 物理学者の早野先生とコピーライターの糸井重里さんの出会いは、福島の原発事故について早い時期から発信し続けた早野先生のツイッターを通してでした。早野先生が発信し続けたことは何だったのか、そのことの意味、3年が過ぎて改めてわかること、思うことなど、おふたりが語り合っています。
新しく買った本
①『おはなしのろうそく30』 東京子ども図書館
 「まぬけなトッケビ」「魔法のかさ」「明かりをくれ!」「ネズミの大てがら」「ネコのお客」の5つのお話が入っています。「魔法のかさ」や「ネコのお客」は絵本版もありますが、お話として耳だけで聞いても楽しめます。
②『イースター島 ちいさくて大きな島』 野村哲也 文・写真 
          たくさんのふしぎ2月号 福音館書店
 2014年までに15回もこの島を訪れた著者がイースター島の魅力について語ります。ヨーロッパ人が初めてこの島に来た時が復活祭の時だったので、イースター島と呼ばれるようになったそうです。南米チリの沖合にある小さな島ですが、モアイという巨大な石の像で有名な島です。モアイは1000体もあるそうですが、現在、きちんと立っているのは45体だけ。15体のモアイが海を背にして立っている姿は壮大です。
③『クモと糸』 池田博明 文 荒川暢 絵 たくさんのふしぎ3月号 福音館書店
 日本にはわかっているだけで1600種類のクモがいます。土の中や水の中に住むクモ、花の上で狩りをするクモもいます。それぞれ住む場所も、糸の張り方、獲物の捕まえ方も違うそうです。この本には18種類のクモについて詳しい紹介があります。
④『八月の光』 朽木祥(くつきしょう) 偕成社 2012
 1945年8月6日の広島の原爆を描いた短編連作集です。最初の物語「雛の顔」は13歳の昭子と母の真知子の物語。
 あの朝、昭子は駅で爆風に飛ばされ、倒れた中学生の上に落ちて助かります。しかし勤労奉仕を休んで家にいた母は、3日後、人を探して焼跡の街を歩き、秋の初めに亡くなります。2つ目の物語は「石の記憶」。あの朝早く、銀行に出かけた母が戻らず探し続ける光子の物語。最後の物語「水の緘黙」はあの日の強烈な体験から、すべての記憶を封印しようとする少年の4年後の物語です。
 どの物語からも、一瞬にして街も人も焼き尽くした原爆の凄まじさが迫ってきて、圧倒されます。物語の最初に作者が「生き残った人々のために」という一行を掲げていますが、特に「水の緘黙」では、生き残った者が苦しみを抱えたまま、どう生きていくのか、過去と向き合い、模索する姿が静かな語り口を通して感動的に伝わってきます。
 ぜひ中高生に読んでほしい作品です。
 作者は1957年、広島に生まれ、著者紹介には必ず「被爆2世」と書いています。
⑤『光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島』 朽木祥 講談社 2013
 これも朽木さんの原爆をテーマにした作品です。25回目の灯籠流しの夜、ある老婦人から声をかけられ、母の過去が気になる希未(のぞみ)を主人公に、原爆について知ろうとする中学生たちの物語です。
 中学に入学し、美術部に入った希未は偶然、顧問の吉岡先生が許嫁を原爆で亡くしたことを知ります。美術部の文化祭のテーマも「あのころの廣島とヒロシマ」と決まり、希未たちは身近な人から原爆の話を聞いて、それを作品にしようと考えます。吉岡先生のこと、俊(しゅん)の家の近くに住む須藤さんのこと、耕造のおばさんと女学生のこと、希未の母のことなど、希未たちの聞いた話は、どれも愛する人を戦争や原爆で亡くした人々の悲しみがどんなに深いものであるかを伝えています。吉岡先生が手紙の中で引用していた「加害者になるな。犠牲者になるな。そしてなによりも傍観者になるな」という言葉も心に残ります。
 これも中高生に手渡したい作品です。
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