まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 ’14.12月

2014-12-08 11:16:47 | 文庫のページ
『メリークリスマス ―世界の子どものクリスマス―』
           R.B.ウィルソン文 市川里美画 さくまゆみこ訳 冨山房
 クリスマスが近くなりましたが、外国ではどんなふうにクリスマスをお祝いするのでしょう。市川里美さんのすてきな絵で語られるクリスマスの本です。
 クリスマスのお祝いがどうして始まったのか、まずイエス・キリストの誕生の物語が紹介されています。つぎにドイツやオランダ、イギリス、アメリカなど世界中でどんなふうにクリスマスをお祝いするか、とても興味深く紹介されています。クリスマスの歌やショウガクッキーの作り方、ワラの星やハートの形のかごの作り方なども載っていて、いろいろにクリスマスを楽しめる本です。
『クリスマスのりんご ―クリスマスをめぐる九つのお話』
     ルース・ソーヤー、アリトン・アトリーほか 上條由美子編・訳 福音館書店
 これも、クリスマスの時期に楽しみたいすてきなクリスマスの物語です。表題の「クリスマスのりんご」はルース・ソーヤーの再話で、クリスマスに大聖堂のイエスさまにささげるため、何年もかけてすばらしい時計を作ったにもかかわらず、隣の女の子を助けるため、その時計を手放してしまうおじいさんのお話です。手元には1個のりんごしかなく、おじいさんはそれをイエスさまに持っていきます。湖の中の小さい島に住むおじいさんと少年の話も感動的です。湖が凍り、雪に閉じ込められ、本土から食料も届かず、寒さのため大事にしていた本まで燃やしてしまいますが、クリスマスの日、動物たちがすてきな贈りものを届けてくれます。
 どのお話にもクリスマスに起きる不思議なことがすてきに語られて心に残ります。
『シノダ! 都ギツネの宝』 富安陽子 偕成社
 シリーズ8作目。今回は夜叉丸おじさんとユイたちが京都中を駆け回って、300年前に行方不明になった都ギツネの宝物を探す物語です。
 300年前、決して持ち出してはいけない都ギツネの宝物がなぜ持ち出されたのか、その宝物とは何か、都ギツネの依頼を受けた夜叉丸おじさんは、「風の耳」「時の目」「魂寄せの口」を持つユイとタクミとモエの力を借りて、宝物を探します。いつもはトラブルメーカーのおじさんですが、今回は京都の古い歴史や神社、祭り、地名に詳しく、ユイたちのおじさんを見る目もちょっと変わります。目に見えない怨霊や魑魅魍魎(ちみもうりょう)も登場し、不思議がいっぱいの物語です。
『夏の朝』 本田昌子 木村彩子画 福音館書店
 見事に咲き誇る蓮の花が、半透明のカバーを通して美しく浮かび上がる表紙が印象的な本です。中学2年生の莉子が、祖父の1周忌の法要の後、毎朝、その蓮の花と向き合う中で不思議な体験をしていく物語です。蓮の花のつぼみには「想い」が詰まっていて、蓮の花が開くときにはぽんと音がするという話を聞いた莉子は、朝早く起きて、その音を聞こうとします。そのたびに莉子は不思議な時間に紛れ込んで、亡くなった祖父と出会います。会うたびに祖父は若くなり、最後は子ども時代の祖父に出会います。蓮の花が語ってくれた夏の朝の不思議な物語。
『秘密の王国 評伝石井桃子』 尾崎真理子 新潮社
 2008年4月、101歳で亡くなった石井桃子さんの評伝です。1959年生まれの著者は子ども時代、たくさんの優れた海外の絵本や児童文学に出会い、石井桃子さんによって養われた豊かな言語体験を持つことができたという実感をお持ちの方です。95歳の石井さんに延べ5日間、インタビューし、膨大な手紙をもとに書き上げた力作です。長い時間をかけてよくぞここまで調べぬいたと思うほど丹念に調べて、石井さんの生きた時代もろとも見事に描いた評伝です。
 第1章から第7章まで年代を追って書かれています。石井桃子さんの101年の人生が日本の子どもの本にとってどんなに大きな存在であったか改めて知ることができます。また若き日、菊池寛や太宰治、井伏鱒二など、昭和の文壇の人びととの出会いや、戦争体験、戦後の農業・酪農にかかわった体験など、昭和という時代を生きた石井さんの姿もあらためて印象深く知ることができます。547ページという膨大な内容ですが、ぜひ手にとっていただきたい本です。
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