これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

パーティー券問題

2023-12-09 10:57:58 | 黒い金
【はじめに】
 今から30年ほど前までは、国政選挙になると巨額の黒い金が飛び交っていました。「もう無くなったのか?」と思っていたら、2019年に河井克行元法相夫妻の買収事件が発生しました。『黒い金』を悪とは思わず、今でも使う議員先生がいるんですね!

 「赤信号みんなで渡れば怖くない!」と、政治パーティーのキャッシュバックを裏金にして→→良からぬ事に使っていたのだと推察します。国民は『黒い金』に対して強い拒否反応を示す時代になっている事に、議員先生達は気付いていなかったのです。

【私と政治家の事務所】
 1972年~84年に、私は官庁(国及び地方公共団体)にも買って貰える機械の設計と営業サポートをしていました。 当時、衆議院は中選挙区制でしたから、選挙に沢山裏金が必要でした。官庁が発注した金の3%~5%が自民党に献金される仕組みになっていました。 大半の献金は裏金として処理されていた様でした。

 国と地方公共団体の予算には『一般会計』と『特別会計』が有ります。1972年~84年頃は、両会計の金が自民党への献金の対象でした。 例えば、50兆円発注されると、1.5~2.5兆円も献金されたのです。

 国会議員は全て東京と地元に事務所を持っていましたが、自民党の有力議員の中には、その他に裏金を扱う秘密の事務所(裏事務所)を持っている方がいました。大きな案件の場合、官庁の担当者に会う為には、裏事務所から電話を掛けて貰う必要が有りました。 そんな分けで、私は数カ所の表事務所と裏事務所に行った事が有ります。

 選挙が近づくと裏選対事務所を作り、そこで現金の受け渡しされるのが一般的でしたが、一部の議員は裏選対事務所を持たないで、表選挙事務所に現金を持って来る様に指示していました。少し気の小さい友人が、(現役の間づっと)業界を代表して数百万円持って行ってましたが、「逮捕されるのでは?」と心配していました。彼が逮捕されたと言う話は聞かなかったので、彼は生涯で10億円を下らない現金を配って回ったと思います。

 政治家の主催するパーティーは、大昔から有ります。パーティーの収入は、『表の金』として使用していたと思います。

 1994年に『政党助成金法』が出来ましたが、その頃から『黒い金』の流れる川の水量が減って来た様に感じました。 然し、今でも族議員が暗躍しているので、川が干しあがった訳では無さそうです!

★ 1948年 :政治資金規正法
★ 1950年 :公職選挙法
★ 1972年~84年 :私が官庁商売に関わっていた期間
★ 1994年  :政党助成金法

(注記 :官庁商売) 私が勤務していた会社では、国、都道府県、市町村向けの商売を『官庁商売』と呼んでいました。

【私の率直な感想】
 1972年~84年に、私が官庁向けの仕事をしていた頃は、巨額の金が裏献金されていました。その金は派閥のボスから→→派閥の議員に渡され→→議員の地元の地方議員に流れ→→一部の金で公職選挙法で禁止されている運動員を雇ったり、稀に買収金として使われました。

 自民党の総裁に選ばれると→→総理大臣になれる時代でした。総裁選挙が近づくと、総裁選挙に立候補する派閥のボスは→→20~30億円ほど裏献金を集め→→他の派閥のボスに渡し→→支持を取り付けるのが一般的だった様です。

 公設秘書制度が始まったのは、1993年です。それまでも、議員は秘書を雇っていました。全て自腹で給与を支払っていたのです。『表の金』で支払っていたのか?『裏金』だったのか?分かりませんが、秘書の給与を捻出する為に議員先生達が苦労している様な話は聞いた事が有りませんでした。

 裏金で先生達は、高級料亭、高級レストラン、高級クラブ、ホテル等に集まって、結束を固めたり、良からぬ密談をしていたと推察します。巨額の裏献金が流れなくなると→→高級料亭、高級レストラン、高級クラブの多くが店仕舞いしました。

 私はドブ川の様な政治の世界を見て来たので、パーティー券問題が報じられる様になって、正直、「日本の政治世界は、驚くほど清純になった!」と喜びました。『裏金の額』は二桁ほど小さくなっている様に思います。

 近年、「衆議院を中選挙区制に戻すべきだ!」と言うコメンテーターがいますが、中選挙区制では同一選挙区で同じ政党の候補者が戦う事になりますから、地方議員を取り込む為に『巨額の黒い金』が飛び交う事になります。2019年に河井克行元法相夫妻が引き起こした買収事件を思い出して下さい。

 派閥の長が→→多額の裏献金を企業に要求する様になり→→子分達に配って→→地方議員が票の取りまとめをする様になります。沢山裏金を獲得した派閥が、与党内で力を発揮する様になります。中選挙区制に戻すのだったら、裏献金が出来なくなる法整備が絶対に必要です。

【パーティー券問題を解決するのは簡単です!】
 金融機関への振り込みでしか、パーティー券の購入が出来ないと政治資金規正法を改正したら→→パーティー券問題は発生しません。

 パーティー券の購入は政治献金の一種です。政治資金規正法の『第22条の6の二』で、政治献金は金融機関への振り込みでしか出来ない事になっています。 そもそも、パーティー券を現金で売る事が可笑しいのです。

 「国会議員達は、キャッシュバックで裏金を作る事を前提にして、法律を作ったのだ!」としか、私には思えません。野党も法案の審議に参加していたので、裏金作りを承知していたはずです。野党は一丸となって、「パーティー券は振り込みで購入しなければならない!」と政治資金規正法を改正する案を提出すべきです。

【政治資金規正法】
 政治家のパーティーを規制する法律は、1948年に成立した『政治資金規正法』の『第22条の8』です。この法律では『政治資金パーティー』と呼んでいます。

 政治資金団体への献金(寄附)は『第22条の6の二』に規制されています。「献金は預貯金口座への振り込み」しか認められていません。 下に、『第22条の8』と『第22条の6の二』を御参考までに転記しておきます。

《政治資金団体に係る寄附の方法の制限》
第22条の6の二  何人も、政治資金団体の預金又は貯金の口座への振込みによることなく、政治資金団体に対して寄附をしてはならない。ただし、その金額が千円以下の寄附及び不動産の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。)による寄附については、この限りでない。

2 政治資金団体は、その寄附を受ける者の預金又は貯金の口座への振込みによることなく、政治活動に関する寄附をしてはならない。前項ただし書の規定は、この場合について準用する。

3 何人も、前二項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。

《政治資金パーティーの対価の支払に関する制限》
第22条の8  政治資金パーティーを開催する者は、一の政治資金パーティーにつき、同一の者から、百五十万円を超えて、当該政治資金パーティーの対価の支払を受けてはならない。

2 政治資金パーティーを開催する者は、当該政治資金パーティーの対価の支払を受けようとするときは、あらかじめ、当該対価の支払をする者に対し、当該対価の支払が政治資金パーティーの対価の支払である旨を書面により告知しなければならない。

3 何人も、政治資金パーティーの対価の支払をする場合において、一の政治資金パーティーにつき、百五十万円を超えて、当該政治資金パーティーの対価の支払をしてはならない。

【政治資金パーティーは商売ですよ!】
 個人、企業、政治家は、有料のパーティーを開く権利が有ります。

① 個人や企業の場合は、無料のパーティーもOKです。有料のパーティーだと、出た利益は課税の対象になります。

② 政治資金パーティーの場合は、無料にしたり、有料でも赤字になると、公職選挙法の『買収罪』に問われる可能性が有ります。

③ 政治資金パーティーは『商売(商い)』の一種ですから、「その利益には課税すべきだ!」と私は思うのですが、皆さんはどう思われますか?

④ 個人や企業の場合は収支を証明する書類(領収書など)を整理して→→保管しておかないと、税務署が許してくれません。政治資金パーティーには税務署はタッチしない様です。この点も可笑しいですね!

【議員達の言い訳】
 国会議員には国から給与が支払われる公設秘書を3人雇用する事が認められています。 「陳情に対応したり、地元の意見/要望を調査するのに私設秘書を数人雇う必要が有るので、政治資金パーティー等々で私設秘書の給与を捻出する必要がある!」と若手の議員達は主張します。

 私は野党議員の地元の事務所に出入りした事が有りますが、公設秘書が一人とパートの女性が一人か二人しかいませんでした。東京の事務所には、公設秘書が二人いると言っていました。 昔から、野党議員に陳情に来る客は少ないので、公設秘書は現状の3人で十分だと思います。

 (私は公明党議員の事務所には行った事が有りませんが、)自民党の有力議員の地元事務所には男性秘書が三、四人いました。

 与党議員が、本当に公設秘書を増やす必要が有るのだったら、国会で「適正な人数は何人か?」議論すべきです。野党議員の多くは、「現在は野党でも、将来は与党になってやる」と日々頑張っているのだと推察しますから、自分の事として取り組むと推察します。 与野党の若手議員達だけで議論したら、良い案が浮かぶ様に思います。

 次の資料に、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの議員秘書に関する規定が整理されています。一長一短ですから、日本独自の制度を真摯に検討/立案する必要が有ります。
★ 参考になる資料 :国立国会図書館 2020年3月5日 『欧米主要国の議員秘書制度【第 3 版】』

【余談 :キックバックの罪】
 キックバック(謝礼金)は罪にはなりません。但し、収支報告書に記載していない場合は、脱税か政治資金規正法違反で罰せられる恐れが有ります。裁判で懲役か禁固の判決が出たら、その政治家は政治生命を絶たれると予想します。

❶ 脱税 :キックバックで貰った金を飲み食いに使ったと主張したら、脱税罪になります。時効は7年で「10年以下の懲役」、「1,000万円以下の罰金」、又は「両方」が課せられます。

❷ 収支報告書不記載 :時効は5年です。刑罰の軽重はケースバイケースで、禁固刑が課せられる可能性が有ります。


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