これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

米中貿易戦争の本質 (その3)

2021-04-24 09:25:26 | 国際問題
【はじめに】
 菅政権はコロナ対策に四苦八苦していますが、コロナ問題より”ずっと!”重大な米中貿易戦争が、既に始まっています。 米中貿易戦争は第三次世界大戦だと考えるべきです。

 文大統領は自分の信念に従って、米中貿易戦争に対応しようと頭を悩ませている様に見えます。 然し、お粗末な日本のコロナ対策から考えると、『下手な考え休むに似たり』、アメリカに協力して戦った方が良いと私は思います。

【ジェノサイド】
 最近、欧米諸国はウイグルやチベットでの弾圧を『ジェノサイド(集団殺害)』だと主張しています。 ヨーロッパの一部の国では、ウイグル産の綿花を使用している製品の不買運動をしている様です。

 私の知る限りでは、他国がその国民を弾圧している事を罰する為に戦争を仕掛けた例を知りません。 過去の戦争は全て領土紛争と経済紛争が原因で、人権弾圧が理由だった事は無いと思います。 ある国がその国民を弾圧しても、国連が「重要な問題である!」と制裁する事は無いでしょう!

 文大統領は、中国と北朝鮮の人権問題には出来るだけ言及しない様に、心掛けています。 日本は、「ウイグルやチベットで弾圧しているので有れば、遺憾である!」程度の表明はすべきだと考えますが、「ジェノサイドだ!」と騒ぐと、欧米諸国から梯子を外されて、中国から酷い仕返しを受ける事になると予想します。

(余談 :ジェノサイド条約) 1948年に国連で『集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)』が制定されました。 国連に加盟している大半の国は批准していますが、日本は批准していません。 (中国も北朝鮮も批准しています。)

 ジェノサイド条約は、「ジェノサイドの定義と、批准国に法律を制定して、ジェノサイドの実行者や指示者を罰しなさい」と言う条約です。 仮にウイグルやチベットでの弾圧を国連が「ジェノサイドだ!」と認定したとしても、中国が「いや違う!」と主張すれば、誰も罰せられません。

(余談 :チャーチル) アカデミー賞を受賞した『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』をご覧になりましたか? ヒットラーの『ホロコースト』を阻止するために、チャーチルが戦った分けでは有りません。 ヒットラーの覇権主義が我慢出来無かったのです。

【大国の興亡】
 イギリス人のポール・ケネディ(1945年~)が1987年に、ベストセラー『大国の興亡』を出版しました。 副題が「1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争」となっていますが、ソビエトの崩壊(1991年)や中国の台頭については触れていません。

 世界一の強国は、16世紀はスペインとポルトガル→17世紀はオランダ→19世紀はイギリスでした。 20世紀にヒットラーが、世界一に挑戦しましたが失敗して、アメリカが世界一になりました。 21世紀になって、習近平が世界一に挑戦し始めました。

 ヒットラーは武力による世界一を目論見ましたが、習近平は経済力(金)と武力と言う、二つの武器を巧妙に使用しています。 ポーランドに侵攻したのは1939年の9月で、45年4月にヒットラーは自殺しました。(6年弱で勝敗が決まりました。) 米中貿易戦争は2018年から始まったと私は見ています。

 地下資源と食糧がほぼ自給できる二つの大国が、武器を使用しない経済戦争をしている分けですから、決着はなかなか付かないと予想されます。

【アメリカと中国の比較】
 グローバルノート(G.N)社の2020年のデータで日米中の経済力を比較してみました。

 アメリカの貿易収支は0.98兆米$(≒106兆円)の赤字で、中国は0.53兆米$(≒57兆円)の黒字です。 日本は、ほぼトントンの優等生です。

● アメリカの貿易赤字は中国だけのせいでは有りません。 米ドルが世界の主軸通貨で有るのを”よいこと”に、収入以上に贅沢をしている事が赤字の原因です。 バイデン大統領は、西側諸国の企業に「アメリカでもっと沢山物作りをしろ」と要求すると予想します。

● イギリスの投資ファンドが東芝を2兆円で買収しようとしました。 2020年の中国の貿易収支は57兆円もの黒字でしたから、東芝クラスの企業を28社買収できる事になります。この状態が10年間続いたら、280社もが中国の傘下に入ってしまいます。

● A社がC社に毎年100万円の品物を売って、C社から150万円の品物を買っていたとします。 両社の仲が悪くなって、C社からは100万円分にして、B社から(少し高いですが)52万円分買う事にしました。 A社とC社は損をして、B社が儲かる事になります。

① GDP  :アメリカ=20.9兆米$、中国=14.7兆米$、日本=5.0兆米$ ・・・2020年G.N
② 貿易依存度 :アメリカ=19.4%、中国=30.7%、日本=27.3% ・・・2020年G.N
③ 輸出額 :アメリカ=1.43兆米$、中国=2.59兆米$、日本=0.64兆米$ ・・・2020年G.N
④ 輸入額 :アメリカ=2.41兆米$、中国=2.06兆米$、日本=0.63兆米$ ・・・2020年G.N
⑤ 金を含む外貨準備高 :アメリカ=0.63兆米$、中国=3.36兆米$、日本=1.39兆米$ ・・・2020年G.N (アメリカは75%を金で保有しています。)
⑥ 人口 :アメリカ=3.3億人、中国=14.3億人、日本=1.3億人 ・・・2019年G.N

★ 貿易依存度=輸出入額/国内総生産(GDP)
★ 輸出入額には貿易外の収入と支出が入っている様です。

【米中貿易戦争とは】
 トランプ氏は、「ハーウェイのスマホや通信装置を使用すると、情報が中国に盗まれる!」と叫んで、米中貿易戦争を始めました。 そして、南沙諸島や台湾問題、ウイグルやチベットでの人権問題、米中の貿易不均衡の問題・・・を理由に挙げる様になって来ました。

 「ヒットラーと講和すべきだ!」との主張が多くなって来た時、チャーチルが「バッキンガム宮殿に鍵十字の旗が掲げられても良いのか?!」と演説した様です。 「貴方の国が、中国や北朝鮮の様に一党独裁国家(専制国家)になって、貴方の自由が奪われても良いのか?!」と、アメリカは最後に主張する様になると私は予想します。

 第二次世界大戦後、地下資源の豊富な国を植民地にする事は出来なくなっています。 一方、大国になる条件は、地下資源と食糧が自国でほぼ確保出来る事です。 この条件を満たす国は、アメリカ、中国そしてロシアの3ヵ国だけだと思います。 ロシアはプーチン氏の政策ミスで、経済発展が難しくなり、覇権競争から脱落しつつ有ります。

 結局、アメリカと中国が世界の覇権を争う時代に突入しました。 近年、兵器の進歩は目覚ましいですが、皮肉な事に「米中貿易戦争では兵器は殆ど使用される事が無い」と私は見ています。

【米中貿易戦争の武器は?】
 「米中貿易戦争は覇権を争う人類最後の戦争になるのでは?」と思いますが、「武力で直接・敵国民を殺さない、新しいタイプの戦争になる」と私は予想します。 今までは考えられ無かった物/体制/制度が武器として活用される戦争です。

① 政治体制 :為政者(大統領や首相)が必要と判断した法律が、短時間に制定出来るか? 野党との調整の為に中途半端な政策にならないか? 中国は共産党一党独裁国家でから、国民の意向を問う必要は有りません。

② 外交政策 :アメリカ一国だけでは米中貿易戦争を戦うことは不可能です。協力国を増やすには、それぞれの国が抱えている問題を考慮した外交が必要です。例えば、イタリアとギリシャは将来の脅威よりも、今・中国の金が欲しい!

③ 対外収支 :西側諸国は協力して、中国の対外収支をトントンか赤字にする事が不可欠です。

④ サイバー攻撃 :米中は種々のサイバー攻撃をすると予想します。(日本は、情けない事に役所のデジタル化が始まった所です。)

⑤ スパイ活動 (産業スパイを含む) :中国は外国に住む中国人に、国家に情報を提供する義務を負わせる法律を制定しています。 西側諸国の企業、研究所、大学にいる中国人はスパイと見なすべきか? 中国の要求を拒否すると、彼らは帰国出来なくなる様です。

⑥ 特許、研究/開発 :中国は益々研究/開発に力を入れると予想します。 (日本政府は研究/開発予算を増やす必要があります。)

⑦ 製造技術と設備 :西側諸国は今後・中国への投資を絞って、製造設備を中国以外に移す必要が有ります。

【アメリカが勝つためには】
 2週間前に、『より長い電報』について書きましたが、「習近平が中国共産党から排除されたら、中国の脅威は無くなる」と言う考え方には賛同出来ません。そんな簡単な問題では無いと思います。

① 貿易で得た莫大な金をフルニに活用して、「中国中心の新しい国際秩序を構築しよう」としている事が中国の脅威です。 中国の海外収支をトントンにするか、赤字にしない限り中国の脅威は無くなりません。 アメリカ一国が中国との貿易不均衡を改善しても、他の西側諸国から中国が金を得たら問題は解決しません。

② アメリカの大統領制、議会制、選挙制度は、日本が江戸時代だった頃から殆ど変わっていません。 銃社会で、10万人当たりの殺人件数は、日本が0.26人に対しアメリカは4.96人も有ります。 人種差別が未だに横行して、健康保険制度はお粗末です。 『アメリカン・ドリーム』は良い事だけでは有りません。超貧しい→貧しい→・・・→金持ち→超金持ちが混在する社会になるのです。 日本は資本主義を大幅に修正して社会福祉を充実させてきました。 アメリカは時代に合う様に社会改革をして、少し社会主義化を進めないと国論を統一する事は難しいと思われます。

 武器を使用する戦争なら中国に勝てるでしょうが、米中貿易戦争は武器が役に立たない全く新しいタイプの戦争です。 多くの国民の協力/努力が必要な戦争ですから、国論がバラバラでは勝てません。

【中国の方が有利です!】
 中国は共産党一党独裁国家です。独裁国家と民主主義国家が経済戦争したら、どちらが有利だと思われますか? ソビエトが崩壊したので、「民主主義国家が勝つ」と予想される方が多いいのでは? 私は逆だと思います。

 中国共産党は、「労働者の為の政党で有る」と主張していますが、実情は党員の為の政党です。 共産主義を固守している分けでは有りません。自分達が都合の良い様に、どうにでも(柔軟に)政策を変えられます。 個人や民間企業の財産を何時でも没収して、国家(=共産党)の為に使用出来ます。

 大学で優秀な成績だと、共産党に入る様に勧誘され、入党すると魅力的な(高給の)職に付ける様です。 (日本の共産党の様に誰でも入れる分けでは有りません。エリート集団なのです。) 中国共産党には頭脳明晰な人間が多いい事を忘れてはいけません。

 中国共産党が、「Aと言う分野(または企業)を重点的に育てよう!」と決定したら、(短時間の間に)金と優秀な人材を集中的に投入出来ます。 従って、A分野(A企業)は急激に発展する事になります。 逆に、アメリカは、国家が企業に介入する事をタブー視して来ました。

 私が社会人になった1970年頃の日本は、旧・通商産業省(通産省)の課長クラスの官僚が、大手企業の部長や重役を集めて国の方針を伝えていました。 そして、企業の研究/開発を促すための『呼び水予算』を準備したのです。 現在は、もう・そんな習慣は無くなているのでは?と思われますが、中国と向き合って生きる為には、(国と企業がもっと連携して)少ない金と人材を有効に活用して行く事が不可欠です。

 中国は、共産党の下に三権(立法権、行政権、司法権)が有り、軍隊も共産党の為に存在しています。 新聞やテレビも共産党の下に有ります。 日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の議員は間接選挙で選ばれ、会期が存在します。 全国人民代表大会常務委員会は常設で、(日本とは大幅に違って)立法権を持っています。 党内に強い反対が無ければ、習近平は何時でも法律を制定して実行出来るのです。 日本を含む欧米諸国は、「今後・長期に亘って・そんな国と経済戦争をするのだ!」と覚悟しなければなりません。

【中国が勝つためには!】
 1930年代の後半に、アメリカを中心に、日本に対して『ABCD包囲網』を構築したと言われています。 米中貿易戦争は近い将来、アメリカを中心とした『対中国貿易包囲網』に変質する可能性が高い様に思われます。

 地下資源に乏しい日本は、『ABCD包囲網』によって『狂犬病』に罹った様になってしまい、戦争に突入してしまいました。 中国は、地下資源も食糧もほぼ自給自足出来る状況で、国内消費も一般に考えられているより多いですから、包囲網が完成しても『狂犬病』になる恐れは無いと予想します。

 中国が、対外収支の黒字を維持する事を最大の課題にして、得られた外貨で日本を含めた欧米諸国の有望企業を買収し続けたら、米中貿易戦争の勝者になると予想します。

 無駄な事は止めて商売に徹したら、中国が勝者になれるのです。 台湾を武力で併合しても、発生する軍費や戦争で失われる若者の命に見合う利得が得られるとは思われません。 日本の様に、「北方4島、竹島、尖閣諸島は、我が国の領土だ!」と主張し続けるだけで十分です。

 悪徳高利貸の様に、貧しい国に金を貸して、軍事基地を設けたり、港湾設備を手に入れても、商売として成り立つでしょうか? 一路一帯構想は経済的に意味が有るでしょうか? 現状でも、貨物の輸送に問題は発生していません。 

 1982年に鄧小平が打ち出した『第一列島線』構想は、尖閣諸島を除いてほぼ達成した様に見えます。 『第二列島線』には、日本や台湾が含まれますから、すんなりと、西欧諸国が認めるとは思われません。 『第二列島線』構想は、商売をする上ではメリットは殆ど有りません。 この主張は引っ込めるべきです。

 中国が、軍事力を背景にした覇権主義を放棄して、現在の国際ルールに準じて『商売に徹した』ら、貿易戦争に勝利して、本当の脅威になると予想します。 そうなったら、西欧諸国は国際ルールを変える必要が有りそうです。

【大胆な私の予想】
 米中貿易戦争は、どんな状態で終戦になるのか?予想して見て下さい。 私には分かりません。 兵器を使った戦争は、兵隊と国民を沢山殺して、生産設備、住居、インフラを破壊して、どちらかがギブアップしたら終結しました。

 米中は地下資源も食料もほぼ自給出来る国です。 中国は北朝鮮と同じ様な専制国家ですから、西側諸国に包囲されても北朝鮮の様に耐え抜くと予想します。

 世界はアメリカ・グループ、中国グループに分かれて共存していく様になると予想します。 二つのグループは少しずつ交流を深めて、100年程したら仲良くなれるでしょう!

 私の予想に反して中国が勝利したら、台湾、朝鮮半島、モンゴールは併合されて、西欧諸国の大企業は中国の傘下になって、その従業員は働きバチになってしまいそうです。

米中貿易戦争の本質 (その2)

2021-04-17 11:39:49 | 国際問題
【はじめに】
 21世紀になって第4次産業革命が始まったと言われています。 一方、中国の経済が飛躍的に発展し、軍備の近代化を進め、露骨に覇権主義を進め出したので、日本を含む欧米諸国にとって中国が脅威になって来ました。

 トランプ氏は、「中国をこのまま放置しては、中国が第4次産業革命の勝者になってしまい、アメリカはジリ貧になる」と気付き、「取り敢えず、ハーウェイをやり玉にして中国を牽制してやろう」と米中貿易戦争を始めた様に私には見えました。

 オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏が大統領になり、「貿易戦争の手を緩めるのでは?」と予想した方がいましたが、(トランプ氏が目をつぶっていた)ウイグルやチベットの人権弾圧を問題視して、より強力な攻撃をしようとしている様に見受けられます。 その考え方の根拠は、最近(4月12日)にアメリカがサムソン電子、TSMCなど十数社を招集した半導体やインフラに関する会議です。

【安全保障とは?!】
 今回の新型コロナの問題で「安全保障」と言う言葉を、もっと広い意味で使用する必要が有る事を日本人は学んだと思います。 日本では今まで、 「安全保障」を他国からの攻撃/侵略に備える視点でのみ考えていた様に私には思えます。 安全保障と危機管理の点では日本は、トンデモナイ後進国だった事を痛感させられました。

 国民の生命と財産を守る事は、国家の最大の使命ですが、生命と財産を侵害するのは敵国だけでは無かったのです。 自然災害、天候不順や新型コロナウイルスも「安全保障」の範疇で検討/対策すべきなのだと学びました。 原油やレアーメタルなどの地下資源は「安全保障」の観点から、日本は備蓄しています。 転んでもただは起きない中国は、マスクやワクチンを外交の武器として活用して、成功している様に見えます。

 日本人は毎年・花粉症に悩まされ、マスクが必要な人が多いですが、マスクを殆ど輸入していた事は知らされていませんでした。 中国が国際ルールに違反して、マスクを日本に輸出する事を禁止したために、大騒ぎになって、アベノマスク騒動が起こったのです。

 工業製品については「安全保障」を忘れていた様に思えます。 例えば、新型コロナワクチンの入手が、先進国と比較すると日本は遅れています。 その原因は、日本にはワクチン接種に反対する人が多いい為、国はワクチンの研究開発に力を入れて来なかった事と、製薬会社がワクチン製造工場を拡大しなかった為です。

 韓国のSKバイオサイエンスが、アメリカ・ノババックス社の新型コロナワクチンを国内で製造して6月から出荷すると発表しています。 あの貧しいキューバが新型コロナワクチンを開発して、既に最終臨床試験(治験)に入っている様です。

 「日本のワクチン接種計画が先進諸国に比べ大幅に遅い事は良い事だ」とテレビで堂々と主張するコメンテイターがいました。「外国で安全性が確認された後に接種する事になるから、安心だ!」と言うのが彼の主張です。 『従順な羊』の発想ですね! 問題が起こってから考えましょう!

【豊かになった国の金は後進国に投資される!】
 「金が金を産む」と言いますが、資本主義社会では金持ちの所には、ドンドン金が集まります。 「三代目は店を潰す」とも言います。 創業者と二代目が努力して蓄財しても、創業者が可愛い孫(三代目)を甘やかすと、あっという間に金が無くなって、貧乏人の仲間になります。

 国家も、豊かになって来ると更に豊かになります。 豊かな国(A国)の資産家や企業は、(自国の産業に投資するよりも、)貧しい国(B国)に投資して、技術を流出させ、B国でより多くの金を得ようとします。 B国は豊かになって行きますが、A国は相対的には貧しくなります。

 家業の発展を継続する為には、息子の教育が重要ですが、国家が継続的に発展する為には、金持ちや企業が後進国に投資したり、技術/ノウハウを流出させるのを制限しなければならないのです。 今までに、先進国が後進国への投資やノウハウの流出に正面切って反対した事は無かった様に思われます。

 16世紀にスペインとポルトガルが豊かになり、17世紀にはオランダが黄金時代迎え、19世紀には産業革命を始めたイギリスが強国になりました。 その後、資源が豊富だったアメリカとロシアが次第に強国になっていったのです。

(余談 :出島とオランダ貿易) 関ヶ原の合戦は1600年です。 当時、世界で最も強国だったのがオランダでした。 オランダの東インド会社はキリスト教の布教に固守しなかった事も有って、徳川幕府は出島に商館を設けることを許したのです。 (その後・直ぐにオランダは衰退し始めましたが、幕府は世界一の強国になった大英帝国には出島を解放しませんでした。)

【中国の海外投資】
 今までの中国の海外投資に関する私見を書いておきます。 貿易で得た巨額の金(年間20兆円とか30兆円)を海外投資してきましたが、近年は減少傾向です。 堪り兼ねたEUは、既に中国による企業買収に対して規制を強化しています。 日本の政治家の多くは、殆ど勉強しませんから、実情を理解しておらず、対策の必要性を考えていない様に見えます。 中国の海外投資の特徴を纏めてみました。

① 中国の海外投資は、国家が行っているのか?民間企業なのか?個人なのか?分かり難い事が最大の問題です。 共産党一党独裁国家ですから、個人が外国に所有している資産でも、何時でも国が没収出来ます。 従って、全て国家が投資していると見るべきです。

② 中国は、他国の地下資源の採掘権や土地(農地や水が得られる土地)を買収しています。 (日本でも、北海道などで、既にかなりの土地を買っている様です。)

③ 中国は他国の企業を買収していますが、他国に工場を建設するのは積極的では無い様に見受けられます。(今の所、中国国内で仕事を作り、雇用を増やすことを優先している様です。)

④ 他国の既存企業を買収して株式の配当利益を期待するだけでは無く、ノウワウを吸い取る事が主目的の様に思えます。

⑤ メディア(報道機関)の買収を目論んでいます。 (日本は、メディア会社の20%以上の株式を外国資本が取得する事を禁じています。) ハリウッドでの映画製作に投資して、観客が意識する事無く、中国の思想/考え方を学習する映画を作ろうとしている様です。

(余談 :中国資本に買収された日本の企業) ➊シャープ、➋東芝の家電部門、❸三洋電機の家電部門、❹パイオニア、❺レナウン、❻池貝(工作機械メーカー)、❼NECと富士通のパソコン部門、❽本間ゴルフ、・・・

【巨額の金での企業買収は脅威です!】
 今までの国際ルールでは、『金』で企業を買収する事は、原則として認められて来ました。 企業合併や吸収を制限するのは、その国の「独占の禁止」と「安全保障」の二つの視点から行われるのが国際ルールだったのです。

 昔は国内企業の国際競争力を高めるために、各国が国内企業間の合併や吸収統合を奨励しました。 20世紀の後半から、合併や吸収統合が他国の企業間で行われる様になり、どこの国の企業なのか?分からない巨大な多国籍企業が沢山誕生しています。

 21世紀になって世界的に金余りの状態になり、兆円単位の金を動かせる西欧諸国の投資ファンドが活躍する様になっています。 最近、イギリスのファンドが東芝を2兆円で買収すると発表しました。 このまま放置すると、国家と企業の関係が根本的に変質してしまう事になります。

 中国の貿易黒字が続いて、また、中国が海外投資を積極的に進める様になったら、(投資ファンドと中国によって、短期間で)日本の有望な企業の多くは多国籍企業の一部門になってしまう恐れが有ります。

 日本の経済政策は、族議員達と経済3団体(日本経団連、経済同友会、日本商工会議所)の長老達でコントロールして来ました。 然し、日本の企業の多くが多国籍企業の一部門になって来たら、世界状勢や技術の進歩を勉強しない族議員達や長老達が今までの様にのさばる事は出来なくなります。

 「米中貿易戦争と同時に外国資本による日本企業の買収攻勢(戦争)に立ち向かう必要が有る」と私は考えています。 コロナ対策でアップアップの菅氏ですが、優秀なブレインを集める事が出来たら、この両面戦争に対応出来るかも知れません!?

【台湾問題の変質】
 トランプ氏は台湾重視の方向に政策転換しました。

 台湾(中華民国)は国連の常任理事国の一つでしたが、1971年に常任理事国の座を中国(中華人民共和国)に奪われたので、国連を脱退しました。 第二次世界大戦後、アメリカと台湾には相互防衛条約が有りました。 1972年に、当時の大統領・ニクソン氏が中国を訪問し、日中正常化をさせて、79年に米華相互防衛条約を破棄しました。 そして、台湾を国家としては取り扱わなくなりましたが、アメリカは79年に(軍事同盟の様な)『台湾関係法』を制定して、中国の侵攻を牽制してきました。

 台湾に、1980年・半導体メーカーの聯華電子股份有限公司(UMC)が、87年には臺灣積體電路製造股份有限公司(TSMC)が設立されました。 UMCとTSMCは急激に発展して、巨大企業になっています。

 中国は「清国の領土を回復する権利が有る」と主張して、第二次世界大戦後ずっと台湾進攻を狙って来ました。 然し、現在、日本を含む欧米諸国にとって、台湾は極めて重要な国になっています。 勿論、中国にとっても台湾の重要度は高まっています。中国が台湾を併合したら、現在進行中の第4次産業革命において極めて重要な半導体を、西側諸国が入手するのが難しくなります。

 「中国が、台湾に侵攻する前に尖閣諸島を占領して軍事基地化する恐れがある」と言う人がいましたが、尖閣諸島は台湾に侵攻する上でも、台湾の防衛にも重要です。 従って、尖閣諸島は日本だけでなく、欧米諸国にとっても重要になっています。欧米諸国の理解と協力を得て、日本は、尖閣諸島への中国の侵入を阻止する体制を固める必要が有ります。

(突拍子の無い提案) 近年の、中国の海軍と空軍の近代化と増強は凄まじいです。 現在・既に、アメリカ一国で台湾を防衛する事は難しくなっています。 アメリカが金を殆ど掛けないで、中国に野望を捨てさせる手段が一つだけ有ります。

 1962年にロシアがキューバに核兵器を持ち込もうとした、キューバ危機を覚えておられますか? 同じ様に、アメリカが核爆弾100発と運搬用ミサイルを同数、密かに台湾に持ち込んで、体制が整った後で公表したら、中国は手出し出来なくなると予想します。 

 核兵器を所有しないドイツやイタリアは、アメリカの核兵器を配備してロシアに対抗しています。 これを『ニュークリア・シェアリング』と呼びます。 中国は台湾との国交断絶をすると予想されるので、台湾は中国に輸出出来なくなります。 然し、欧米諸国とは安定した貿易が可能になり、長い目で見たら台湾に取ってメリットが大きいと思われます。

 「台湾と国交を樹立する国が増えて、10年ほどしたら国連に復帰出来るのでは?」と私は予想します。 そうなったら、東南アジア諸国に対して中国は強引な事は出来なくなります。 日本にとってもメリットは大きいです。

米中貿易戦争の本質 (その1)

2021-04-10 10:45:14 | 国際問題
【はじめに】
 トランプが米中貿易戦争を始めました。バイデン大統領になったので少しは変化が有ると予想されますが、「アメリカの方から米中貿易戦争を止める事は不可能だ」と私は見ています。

 日本は米中の板挟みになって、今後は難しい!難しい!外交を行う必要が有ります。外交の経験が乏しい菅総理には荷が重すぎる様に見えます。

 米中貿易戦争についてのアメリカの主張は種々報道されますが、アメリカの本音は隠されたままです。 私の乏しい知識と経験をフル動員して、アメリカの本音と思われる事を想像して、御参考までに/大胆に書いて見ました。

【トランプの功績】
 私はトランプ氏が嫌いですが、中国の覇権主義に警報を鳴らしたのは功績だと認めます。 逆説的ですが、習近平氏が覇権主義を露骨に出して来たのは、西側諸国にとっては幸いだったとも思います。

 習近平は、2011年に総書記になり、13年にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の提案と一路一帯構想を発表しました。 これらは、「中国は覇権主義を進めるぞ!」と言う宣言だった様に思います。

 21世紀に入って、中国の工業は飛躍的に発展しましたから、習近平が覇権主義を明確にせずにジット我慢して、爪を研ぎ続けていたら、トランプが中国に貿易戦争を仕掛ける事は難しかったと思われます。 そして、2025年になったら、中国は西側諸国が手を出せない様な経済/軍事大国になっていたと想像します。

 私の見立てでは、「習近平は10年程早く西側諸国に宣戦布告してしまった!」のです。 幸いな事に、アメリカの大統領が優柔不断のオバマから、何をするか分からないトランプになっていました。 中国から見たら、無茶苦茶な言いがかりを付けてトランプは逆襲を始めました。

 鄧小平が1978年に改革開放政策を打ち出したので、日本を含む欧米諸国の企業が『近欲』から中国に投資して工場を建設し、工業技術/ノウハウを渡しました。 その上、欧米諸国は人材の育成にまで積極的に協力しました。

 鄧小平は、欧米の企業に中国にとって都合の良い条件を種々呑ませました。 欧米諸国は、「中国が豊かになったら民主化し、世界のルールに従うだろう!」と手前勝手に思い込み、自国企業の進出を応援しました。

 鄧小平は1987年に亡くなりました。 鄧小平も・その後の指導者達も、「将来・民主化する」とは一言も言っていません。 それどころか、1989年に天安門事件が起こり、民主化の要求を軍隊を導入して徹底的に抑え込みました。 それでも、日本を含む欧米諸国は、「いずれ、民主化する!」と呑気に構えて自国企業の投資を制限しませんでした。

 20世紀が終わる頃には、中国は『世界の工場』になり、アメリカの対中国貿易は大幅な赤字になり、中国はドルを多量に貯めこみました。 21世紀になって、『第4次産業革命』が始まっていると言われる様になり、アメリカはこのまま放置すると、中国が第4次産業革命の旗手になると気付いたのです。

【中国は脅威だ!】
 米中貿易戦争におけるアメリカの主張には、本音と建前が有ります。 日本を含む欧米諸国にとって、中国の脅威は以下に示す➊~❿ですが、いずれの問題も「国際ルール違反だ!」とは主張出来ません。 (これらの問題が、米中貿易戦争の本音です。)

 「ハーウェイのスマホを使うと、情報が中国に筒抜けになる」、「ウイグル、チベット、香港の人権弾圧を止めろ!」とか「南沙諸島の埋め立ては不当だ!」と声高に主張して、アメリカは貿易戦争を始めました。 これらは建前の主張です。 他国内の人権問題は、脅威にはなりません。

➊ 研究所、大学、企業に研究開発費を支援して、優秀な人材を投入する。 西側諸国では到底不可能な巨額の支援を中国が行える事は脅威ですが、国際ルール違反では有りません。 そして、研究開発の成果を国家が自由に活用出来る事も脅威です。

➋ 他国に金を貸す。 返却出来無い貧しい国に金を貸しても、国際ルールには違反していません。 国家間の貸し借りの金利を制限する国際ルールは有りません。 金を返せなくなった国の港(港湾施設)などを租借することは、国際ルール違反では有りません。

❸ ダンピング・輸出 :西側諸国では国内企業に不当販売(ダンピング)を禁止しています。 然し、国家間の取引では、ダンピングに対抗する手段は適正な関税を掛けるのが国際ルールです。 国内に製造する企業が無ければ、一番安く売ってくれる国から買うのが当たり前です。

❹ 軍事費の増額や軍備増強/近代化は国際ルール違反では有りません。

❺ 企業が、他国の企業を買い取るのは国際ルール違反では有りません。 中国では、「国有企業だけでなく民間企業も共産党のための企業だ!」と見るべきです。中国が欲しいと考えた他国の企業を、巨額の金を投じて買収しています。 これも、西側諸国にとっては脅威ですが、国際ルール違反では有りません。

❻ 過剰な生産設備 :中国の鉄鋼やセメントの製造設備は、明らかに過剰だと思われますが、国際ルール違反では有りません。

❼ 共産党の独裁・専制国家で、民主的な選挙を実施していない :国家体制に関する国際ルールは存在しません。

❽ 軍隊や産業/企業が共産党の為に有る :西側諸国にとっては脅威ですが、国際ルール違反では有りません。

❾ 中国が第4次産業革命の覇者になる恐れが有る。

❿ 『人民元』が台頭して、米ドルに変わって主要基軸通貨になる恐れが有る。

【長い電報】
 モスクワのアメリカ大使館に勤務していたジョージ・ケナンが、1946年に国務省に送った長文の電報を『長い電報(Long telegram)』(X論文)と呼びます。 冷戦時代の、アメリカの対ソビエト政策に大きな影響を与えました。 (私より高齢で近代史に興味の有る方は、覚えておられると思います。)

 「ケナンの予想とは違った原因でソビエトは瓦解した」と私は見ています。 土地と工業/商業を国有化して、人間の欲望によって発展する経済の芽をソビエトは潰し続けました。 共産主義思想に固守して、問題が顕著になった計画経済を頑固に修正しなかったのです。 例えば、麦の収穫を機械化したのですが、農作従事者達と農業機械部隊を分離して効率化を図りました。 その結果、「麦の収穫時期が来たのに、農業機械部隊がやってこない!」と言った問題が種々発生しました。 ソビエトは自滅したのだと、私は見ています。

 毛沢東はソビエトの様に共産主義思想に拘りましたが、鄧小平以降の中国の指導者達は、自分達の都合の良い様に「共産主義を修正/改良」しています。 この点を考慮して、今後の中国政策を検討する事が肝要です。

【より長い電報】
 アメリカのシンクタンクの一つ・大西洋評議会(Atlantic Council)が、2021年1月28日に『より長い電報(The longer telegram)』と言う論文を発表しました。 インターネットで原文が読めます。 64ページも有るので、私は少しだけしか目を通していません。

 要約の和訳がインターネットで読めます。長谷川幸洋氏は有料で公開しています。末次富美雄氏の文章は、『第2のX論文となるか−米シンクタンクの対中戦略【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】』で検索すると、無料で読めます。

 『より長い電報』の考え方に私は賛同出来ません。 そのために、本稿を書こうと思い立ったのです。

 中国はアメーバの様な存在です。 此方への進出を抑えても、反対側に進出します。 自由自在に変化出来るのです。共産主義に拘ったソビエトの様に簡単には自滅しません。

【和人と漢人についての私見】
 和人(大和民族)と漢人(漢民族)には、少しだけ共通する所が有ります。 『外から入って来た文化/思想/技術を吸収して、自分達に合う様に改良/修正/工夫する習慣』は最大の共通点だと思います。

 20世紀になって、日本にも共産主義思想は入ってきましたが、国民の支持は得られませんでした。 現在、中国は共産主義国家になっていますが、共産党だけが軍隊を持って、一部の国民(共産党党員)が権力と富を支配しているのです。 今でも、国民の多くが共産主義者になっている分けでは無いと私は見ています。

 第二次大戦後に毛沢東は共産主義イデオロギーで国家を統治しようと試みましたが、ソビエトで旨くいかなかった様に、中国でも共産主義イデオロギーでは、工業化して経済を発展させる事は出来ませんでした。

 鄧小平以降の中国の指導者達は、共産主義(労働者主義)と言う言葉を利用しているだけで、彼らはマルクスの考え方を自分達の都合の良い様に改良/修正/工夫して利用しています。

 「共産主義と儒教は相容れない関係だ」と私は思って来ましたが、習近平の発言では時々・孔子を引用します。 要するに、中国の指導者達は、マルクスと孔子はどうでも良いのです。自分達に都合の良い様に(恥じる事無く)切り取る事が出来るのです。

【専制国家】
 人類は、『欲深い動物』です。 動物はお腹が一杯になったら、食べるのを止めます。 人間は「他人より豊かになりたい! 他人を支配したい!」と言う欲望を持っています。 『向上心』は、この欲望の良い面です。 国を一部の人間が、この欲望で支配/統治すると専制国家になります。

 その典型例は北朝鮮の金王朝ですが、中国も専制国家です。 北朝鮮と中国の根本的な違いは、中国が、「専制政治の利点を生かしながら、改革開放政策によって欧米諸国からの投資を呼び込む政策を打ち出した」ことです。

【覇権主義】
 人間の数が増えると、国家が出来ました。 より豊かになると、他国を侵略して土地や富を奪いました。 これが覇権主義です。 地球上の殆どの場所で、武力衝突が続いて来たのです。 日本でも同じでした。 徳川家康も勿論、覇権主義で国を統一した分けですが、外国に侵攻する欲望は捨て、外国の侵略を防止する為に鎖国政策を導入したのだと思います。

 「幕末に、工業技術が格段に進んだ欧米諸国から侵略される恐れが有る」と、島津斉彬などの賢人達が気付き、・・・倒幕して・・・→明治政府を作りました。 明治政府は欧米諸国の技術を短時間に吸収して、富国強兵政策を進めました。 そして、少し豊かになり、軍隊が当時としては近代的な兵器を装備出来ると、覇権主義国家に仲間入りして、1894年から清国と戦争(日清戦争)を始めました。 (清国の兵器は、江戸時代の様な旧式の!旧式の!兵器だったのです。) 日本が覇権主義を放棄したのは第二次世界大戦後です。

 中国とロシアは今でも覇権主義国家です。 中国は軍隊だけでなく、貿易で得られる『豊富な金』を武器に活用して覇権主義を進めています。

【殺人は『悪しきこと』か?!】
 人が人を殺すのは、人類の長い歴史の中で許されて来ました。 江戸時代までは、『親の仇を討つ』のは子供の義務だったでしょう! 欧米諸国の考え方を導入して、日本でも明治以来・敵討ちは禁止され、人を殺すことは『悪だ!』と考える様になりました。 然し、戦争で人を殺す事は、悪とは見なさなかったのです。

 第二次世界大戦に敗れて、日本人の多くは、「戦争で人を殺すことも悪だ!」と考える様になっていますが、残念ながら・国際的な標準思想にはなっていません。 殆どの国は軍隊を持っており、現在でも「戦争で殺すことはやむを得ない」と認めています。 諜報機関の暗殺も「やむを得ない」と認めている国が有ります。

 民主主義国家では、統治者が自分勝手に国民を殺すことは許されませんが、専制国家では程度に差が有りますが、自国民を殺します。 北朝鮮や最近のミャンマーが典型的な例です。

 プーチン大統領でも、政敵を暗殺するのは『悪しきこと』だと認識している様に見えます。 ロシアでは暗殺が多数行われている様ですが、プーチンが直接関わっていない様に見せかけています。

 中国では毛沢東が多数の国民を粛清(殺)しました。 その後も、天安門事件、「ウイグルやチベットでの弾圧」を見ると、「国家が国民を殺す事は悪だ」とは考えていないのでは?

【覇権主義を否定する考え方】
 国民が、国家に戦争を始めたり/行う権限を許容すると、(一歩間違えると)覇権主義国家になります。 ヨーロッパ諸国は、今は覇権主義を放棄している様に見えますが、人道主義をベースにして考え方を変えたとは思えません。 コストパフォーマンス(コスパ)からだと私は見ています。 植民地を維持するコストと植民地から得られる利得がトントンになって来たので、「貿易相手国にした方がメリットが大きい」と考えているだけです。

 アメリカは中国の覇権主義を非難していますが、植民地だったフィリピンは1946年に放棄しましたが、キューバのグァンタナモ基地(116km2)は今でも保持しています。 (グァンタナモ基地は、大田区と世田谷区をたした面積に相当します。)

 中国は、20世紀の終わり頃から、外貨(主に米ドル)を多量に蓄積し、過剰な鉄鋼やセメントの製造設備を抱える様になりました。 2020年時点での中国の外貨準備高は370兆円も有ります。(世界第2位の日本は153兆円です。) 中国の国益は、有り余る外貨と工業製品を活用して、他国を支配する事です。 今のところは、南沙諸島以外では武力による覇権主義は我慢している様に見えます。

 『より長い電報』では習近平が権力を失ったら、中国の覇権主義は治まると見ていますが、「覇権主義は悪だ!」と言う考え方は中国共産党だけでなく、漢民族にも無いと私には思えます。 従って、中国の覇権主義は、習近平とその取り巻きが権力から遠ざかったら解決する問題では無いと私は見ています。

 「習近平がいなくなっても、貿易黒字が続く限り軍備拡張を続け、中国は覇権主義を放棄しない」と私は思います。 アメリカ自身が変わって、対中国貿易を黒字化する努力が肝要なのです。

今必要なコロナ対策

2021-04-03 12:20:44 | 新型コロナウイルス
【はじめに】
 去年の2月以来・コロナに関する投稿をして来て、今回が14稿目になります。 その間に、政権は安倍氏から菅氏に変わりましたが、歯痒いほどトロトロした様な政策しか打ち出しません。 「我が国の政治家達は、小粒になってしまった」と・つくづく実感しました。 衆参供に過半数以上の勢力が有るのに、どうしてノロノロしか出来ないのでしょうか?

 日本は、世界に東京オリンピックの開催を約束していたので、世界一のコロナ対策が要求されていたはずです。 先進国の中で、一二を争う程・お粗末なコロナ対策をやって来た様に思えます。 コロナワクチンの接種が終わるのは、G7の中で日本が最も遅くなりそうな状況です。

(余談 :孫の帰省) 東京に住む長男夫婦が娘(孫)を連れて、正月、ゴールデンウイークとお盆に毎年帰省していました。 次男にも娘がいて、二人の孫は中の良い姉妹の様にしています。 コロナの為に、もう3回も帰省出来ていません。 今年のゴールデンウイークも帰省出来そうに有りません。 多分、お盆も無理でしょう!

【私の率直な感想】
 日本、韓国、台湾及び東南アジア諸国では、新型コロナの感染者数も死者数も、幸いな事に何故か少ないですね! 欧米諸国や南米諸国の様に感染者や死者数が多かったら、日本は医療崩壊状態になって、経済はズタズタになっていたと思われます。 「奇蹟が起こって(神風が吹いて)日本は何とかやっていけてるのだ!」と考えるべきです。 奇蹟は何回も起こりません、今回を反省して、次の新・新型コロナに備える必要が有ります。

 私も忘れかけていましたが、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に帰って来たのは、昨年の2月3日です。 あれから14カ月も経ちますが、日本の政府が今までに実施したコロナ対策は実にお粗末でした。 頭脳明晰な人達が立案した様な対策は、何一つ打ち出せていない様に私には思えます。

 日本の経済損失を考えると、東日本大震災(2011年)や阪神・淡路大震災(1995年)級の危機が襲ってきていると考えるべきです。 残念ながら、与野党の政治家の多くに『危機に対応する能力/器量』が無い様に見受けられます。 お笑いの芸人さんが、「自衛隊の将官にコロナ対策をやってもらえ!」と言っていました。 欧米諸国と同じ程、コロナが猛威を振るっていたら、国民の多くが「自衛隊に指揮を取って貰え!」と声を大にして叫んだかも知れません。

【スキャンダルについて】
 週刊文春が毎週・木曜日になると、スキャンダル記事を公表します。週刊文春が取り上げる問題は、多くの国民が許容しないと政府は考えるべきです。平時だったら、安倍氏がやった様に、のらりくらりと対応しても良いかも知れませんが、現在はコロナと戦争中です。 国民の多くが納得する説明をして、厳しい処置を素早くする事が肝要です。

 今週、厚労省の課長以下・23名が深夜まで送別会をやったと報じられました。課長を直ぐに更迭した様ですが、北朝鮮だったら公開銃殺されたと思われます。 せめて懲戒免職にしたら、厚労省の役人達が目を覚まし、菅内閣の支持率は少し持ち直したと想像します。 (本庁の課長は、大企業の部長職以上の地位です。)

 現在は、新型コロナウイルスと戦っている非常時/戦時ですから、不埒な行動をする政治家や官僚には、平時以上の罰を与えるべきです。 不埒問題には直ぐに決着を付けて、政府と与野党の政治家達は、経済とコロナの問題に全力投球して欲しいものですね!

【PCR検査についての政策は結果オーライだった!?】
 最近・近くの小学校でPCR検査で陽性の子供が出たので、クラスの子供達にPCR検査をした様です。 近所の5年生の子供が帰って来て、「15,000円もする検査を受けた!」と嬉しそうに言ったそうです。 PCR検査は高価なんですね!

 国に金がないので、安倍氏も菅氏も、韓国の様に徹底したPCR検査は出来なかったのでしょうか?! 韓国の様に大金を掛けてPCR検査しても、効果は出なかった様に思えます。 PCR検査で無症状の感染者を洗い出しても、日本は十分な隔離施設を確保出来ませんでしたから、混乱を招くだけだったでしょう! トロトロした政府のやり方は、結果オーライだったと思います。

【緊急事態宣言に効果が有ったのか?】
 20年3月13日に『新型コロナウイルス対策の特別措置法』が制定されて、今まで2回・緊急事態宣言が発令されました。 人と人との接触回数を減らしたら、感染拡大を抑える効果が多少有るのは理解出来ます。 一方、若い人達には感染しても症状が出ないケースが多いい様です。 症状が出なかったら『病人』では有りません。 病人では無い/犯罪者でも無い人間を隔離したり、行動を制限したら憲法違反にならないのでしょうか?

 第1回目の緊急事態宣言を解除して、第2回目を発令するまで7カ月以上有り、その間に色々分かって来ていました。然し、得られた知見を殆ど考慮しないで、第2回目の緊急事態宣言を発令しました。 家族旅行は積極的に推奨すべきです。 カウンター席の店なら深夜営業を禁止する必要は無いのでは? 感染防止対策を工夫した店の状況をチェックして、問題が無いと判断した店には深夜営業を認めるべきだったのでは? 一律に禁止する権利は、政府にも地方公共団体にも有りません。

 3月22日に、和食レストラン「権八」とイタリアン「カフェ ラ・ボエム」などを経営する外食企業が東京都を提訴した。 私は、東京都が負ける様に思います。

第1回目 ;発令=20年4月7日→解除=5月25日
第2回目 :発令=21年1月8日→解除=3月21日

【ワクチン接種が始まりました!】
 2月17日から医療従事者へのワクチン接種が始まりました。 医療従事者40,000人には接種が完了した様に思えますが、残りの医療従事者4,700,000人については計画通りには進んでいない様に見えます。 厚労省が公表しているワクチン接種スケジュールを下に整理しましたが、実に好い加減な物です。

① 2月17日から :医療従事者40,000人
② 3月1日頃から :医療従事者4,700,000人
③ 4月中旬頃~6月末 :65歳以上の高齢者36,000,000人
④ 開始予定時期未決定 :基礎疾患の有る人
⑤ 開始予定時期未決定 :高齢者施設などの従業員
⑥ 開始予定時期未決定 :65歳未満~16歳(?)

 厚労省がファイザー社のワクチンの供給の見通しを公表しています。『新型コロナワクチンの供給の見通し』で検索して見て下さい。 医療従事者用の供給見通しは、次の様になっています。 5月10日の週で完了する計画です。

★ 3月1日の週 :500箱(≒50万回)
★ 3月8日の週 :500箱(≒50万回)
★ 3月22日の週 :700箱(≒70万回)
★ 3月29日の週 :700箱(≒70万回)
★ 4月12日の週 :1,400箱(≒140万回)
★ 4月19日の週 :1,400箱(≒140万回)

 接種開始から45日経過した4月2日時点での医療従事者への総接種回数は、やっと110万回です。 優先的に接種している医療従事者数は474万人(948万回)ですから、45日間で12%弱しか終わっていないのです。 計画より大分遅れている様です。

 高齢者用のワクチンの供給見通しは、次の様になっています。 65歳以上の高齢者・三千六百万人に、6月末までの2.5カ月で接種を完了する計画です。 一人2回、2.5カ月で接種する為には、(土日にも接種するとしても)一日に百万人に打つ必要が有ります。

◎ 4月5日の週 :100箱(≒10万回)
◎ 4月12日の週 :500箱(≒50万回)
◎ 4月19日の週 :500箱(≒50万回)
◎ 4月26日の週 :1741箱(≒174万回)

 インフルエンザ予防接種の様に簡単には出来無い様です。 接種する前に発熱(37.5℃以上)が無いかチェックして、医師が必ず問診して、問題のなさそうな人に接種する。 接種は看護師でも良い様です。 接種後に15分間・会場に留まって、副作用が出ていないかチェックを受ける。 医師4名ほどのチームを組んで対応する事を検討している様です。もしそうなら、インフルエンザ予防接種の様に近くの開業医の所で注射して貰うわけにはいきません。

(余談) 3月の始め頃、韓国の新聞が「日本で全国民に接種が終わるには『120年』かかる!」と揶揄していました。 いくら何でもオーバーな話しですが、河野太郎氏が相当頑張っても『1年』は難しい様に思います。

【世界の感染状況】
 世界の感染状況を以下に示します。 感染が世界に広まって以来、日本には神風が吹き続いている様に見えます。 日本ではPCR検査を積極的には行っていないので、感染者数を比較するのは無意味ですが、日本の死者数は不思議に思える程少ないです。

 10万人当たりの死者数を比べると、日本=7.1人アメリカ=168.7人、イギリス=191.2人、ドイツ=92.8人、フランス=152.9人、イタリア=181.5人です。

★ 日本  :感染者=48万人、 死者=0.9万人、 人口=12,580万人
★ アメリカ :感染者=3,051万人、死者=55.3万人、人口=32,780万人
★ イギリス :感染者=436万人、 死者=12.7万人、 人口=6,640万人
★ ドイツ  :感染者=285万人、 死者=7.7万人、 人口=8,300万人
★ フランス :感染者=476万人、 死者=9.6万人、 人口=6,280万人
★ イタリア :感染者=361万人、 死者=11.0万人、人口=6,060万人

(注記) 感染者数と死者数は2021年4月2日の日経新聞のデータです。 人口はウイキペディアで調べました。

(余談 :日本は北朝鮮並みの国か?!) 医療体制が整っていない北朝鮮は国境を封鎖して新型コロナウイルスの侵入を防止しています。 日本は、重症感染者用のベッド数と集中治療室(ICU)数を増やさないで、緊急事態宣言で感染の拡大を抑えようとしています。 まるで、竹やりでB29に立ち向かっている様に見えます。

 欧米諸国の様に重症感染者用のベッド数とICUを増やして置けば、緊急事態宣言は必要無かったでしょう! 欧米諸国から見たら、「日本は北朝鮮並みの国だ!」と思えるでは?

【最大の課題を忘れていませんか?】
 「医療崩壊を起こさない範囲で、経済活動を続ける!」のが新型コロナ対策の課題だったはずです。

 「重症感染者用のベッド数と集中治療室(ICU)数を増やすのが、緊急の課題だ」と多くのコメンテイターが言い続けて来ましたが、一向に増えません。 その原因についても、種々指摘されています。そして、対策も提案されていますが、政府は具体的には動きません。 予算は確保している様です。

 問題は2点有ると考えます。 ①国公立の病院が少なすぎた。 ②コロナ対策を都道府県に丸投げにした。 私は、国が前面に立って対応すべきだと思います。 大病院組織との交渉/協力要請は国が行うべきです。 例えば、日本赤十字社は89(?)病院、徳集会は73(?)病院も全国で運営しています。 厚労大臣がこれらの本部に出向いて、頭を下げれば協力して貰えるのでは?

(余談 :私の持論) 「防衛医科大学を2校増やして、自衛隊病院を各都道府県に1カ所以上設ける」のが私の持論です。 最近、医師の意見を聞いて見たのですが、「民間病院の経営を圧迫するから、日本医師会は大反対する。医師会の支援を受けている議員の多いい自民党政権では、自衛隊病院や国公立病院を増やすのは非常に難しい」と言いました。

 次の新・新コロナウイルスに備える体制作りが肝要です。公明党と野党議員に頑張って欲しい! 『転んでもただでは起きない!』くらいの気概が必要です。