これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

オーディオ (その1)

2021-03-13 12:03:49 | クラシック音楽
【はじめに】
 『音と騒音』について書いていたら、オーディオについても書きたくなりました。 残念ながら私にはオーディオについての知識が乏しいのです。 オーディオ・ファンはマニアックの典型です。 お金が有ったら、マニアックの世界に参加したいと何時も思っていたので、ジャンボ宝くじを30年以上買い続けて来ましたが、幸福の女神は微笑んでくれませんでした。

 私は子供達に、「趣味を持て! 拘りを持て!」と教えて来ました。子供達・それぞれに、少し高価な(子供には贅沢な)ミニコンポを買ってやりましたが、オーディオ・ファンにはなりませんでした。 一人は洋画の鑑賞が趣味に加わった様です。 私の経験では、”ほどほどの”趣味は人生を豊かにしてくれると思います。

 これからオーディオ機器を買おうと検討される方は、インターネットで『Audioscape Koba』の記事を読まれたら参考になると思います。

【オーディオ試聴ルームのすゝめ】
 大都市には、オーディオ試聴ルームを設けた電気店が今でも有ります。私は若い頃に時々行きました。 自分の聞きたい曲では有りませんでしたが、素晴らしい音を堪能する事が出来ました。 まだ行かれたことの無い方は、是非とも行って見て下さい。 店の方は、歓迎してくれると思いますよ!

 最近は、スマホとイヤホンで音楽を聴く若者が多いいですが、騙されたと思って・オーディオ試聴ルームに出掛けて見て下さい。

 私は、『SACDプレーヤー/ヘッドホンアンプ/ヘッドホン』でクラシック音楽を楽しんでいます。 私のヘッドホンは密閉型で、黒檀のハウジング(カバー)付きです。 低音まで結構・音質は良いですが、年老いて筋肉が低下したので、一時間以上・ヘッドホンを付けていると首が痛くなります。

 以前、居間と自分の部屋で音楽が楽しめる様に、グレードの違う『SACDプレーヤー/ヘッドホンアンプ/ヘッドホン』を2組購入しました。そして、電源ケーブルと、プレーヤーとアンプを接続する少し高価なケーブルも買いました。 組み合わせを変えて、同じSACDで音質の違いをチェックして見たのですが、私の様な凡庸な人間でも、違いがハッキリ分かりました。 音質はソフトだけでは決まりません。

【音の記録機器の歴史】
 エジソンが円筒形蓄音機の特許を取得したので、特許逃れのために円盤形のレコードの特許を出した人がいました。 円筒形よりも円盤形の方が、量産性、収納性、中央にラベルを貼るスペースが設けられるなどの長所が有ったので、円盤形レコードが主流になりました。

 戦後に磁気テープが一般にも発売されて、音楽の録音に使用される様になりました。 クラシック音楽では1950年頃から、磁気テープを用いて収録し始めました。 これが、マスターテープです。 レーベル各社に大切に保管されて来ました。

 ソニーとオランダの企業・フィリップス(PHILIPS)が、音楽ソフトのCDとSACDの規格を作りました。 当時、この2社はオーディオ機器の分野では有力企業でした。 フィリップスはオーディオ機器には力を入れなくなって、2014年にオーディオ部門を売却してしまいました。

 ハイレゾ(High-Resolution Audio)とは、CDよりも解像度(Resolution)が高いと言う意味です。 大雑把な言い方をすると、サンプリング周波数がCDの44.1kHz以上になっていたらハイレゾです。  日本では2014年頃に日本オーディオ協会がハイレゾの基準を定めて、 2018年からハイレゾ機器の基準(サンプリング周波数が96kHz、量子化ビット数が24bit)を規定しています。 SACDは日本オーディオ協会のハイレゾ基準よりも高解像度ですが、協会がDSD(1bit)方式を除外しているので、ハイレゾと呼べません。

★ 1877年 :エジソンが円筒型蓄音機を発明
★ 1887年 :円盤形のレコードを発明
★ 1948年 :LP盤レコードを発売
★ 1951年 :磁気テープ装置が発売される→→音楽の録音にも利用される様になる。
★  1958年  :ステレオレコード発売
★  1970年  :4チャンネルレコード発売(直ぐに、廃れてしまいました。)
★ 1982年 :CDが発売された。
★ 1999年 :SACDが発売された。
★ 2014年 :ハイレゾ基準発表

【デジタルソフトの高音質の目安】
 現在・市販されている音楽のデジタルソフトは、CD、SACD、とハイレゾの3種類です。高音質の目安はサンプリング周波数とダイナミックレンジの値で判断出来ます。 楽器の数が少なく、一定の音量で演奏されるポップスや演歌などでは、CDで十分ではないか?と思います。 逆にオーケストラーが演奏した曲には高音質のソフトが威力を発揮します。

サンプリング周波数 : 録音する周波数の範囲の事です。 人間の可聴周波数は20Hz~20kHzですが、その範囲を超える周波数でも人間は何か?感じる様で、マニヤは「音の奥行きが広がる」と表現します。

ダイナミックレンジ : 収録する音の大きさの事です。 CDのダイナミックレンジは96dBで、SACDは120dB以上ですから、SACDの方が大きな音まで忠実に録音するのです。 旅客機のジェットエンジンの排気口から数メートルの騒音が120dB程です。

★ CD   :サンプリング=44.1kHz、 再生=5Hz~20kHz
★ SACD :サンプリング=2.8224MHz、 再生=0Hz~100kHz
★ ハイレゾ :サンプリング=44.1kHz以上、再生=40kHz以上

【高音質のCD】
 現在、種々のCDが発売されています。 DVD Audio DiscはBlu-ray Discに音楽を入れた物で、現在は発売されていません。中古のDVD Audio Discとそれ用のプレーヤなどが入手可能です。

 MQA-CDはCDプレーヤでも聞けますが、MQA-CD対応と表記されているプレーヤに掛ければハイレゾとして楽しめます。

 XRCD、SHM-CD及びUHQCDは一般のCDプレーヤ用です。 SACDでも反射膜の素材に透明性の高いポリカーボネート樹脂(スーパー・ハイ・マテリアル=SHM)を使用した物が有ります。私の経験では、少し音質が良くなる様に思います。 (グレードの高いプレーヤーではSHMにしても差が出ないかも?)

◎ SACD :専用プレイヤーが必要
◎ DVD Audio Disc :専用プレイヤーが必要・・・現在は生産されていない。
▲ CD :
△ XRCD :CDプレイヤーに対応・・・マスターテープの音をデジタル化する技術等々を改善
△ SHM-CD :CDプレイヤーに対応・・・反射膜の素材の変更
△ UHQCD :CDプレイヤーに対応・・・反射膜の素材の変更
▽ MQA-CD  ;普通のCDプレイヤーでも再生可能、MQA対応機器を用いたらハイレゾとして楽しめます。

【SACD】
 スーパー・オーディオCD(SACD)は、単なるCDの改良技術では有りません。 当時としては、革新的な技術だったと思います。 「SACDは、いずれは消えていく」と言われる方がいますが、私も、「将来はハイレゾの時代になって、SACDは忘れ去られる!」と予想しています。 然し、現在では最高の音質を出せる技術です。

 前述の様に、CDとSACDの規格はソニーとフィリップスが相談して決めました。 CDの直径を決める時、「記録データー容量、即ち・録音時間を何十分にするか?」、2社はベートーヴェンの第9交響曲が入る約70分として、ディスクの直径を120mmに決めました。 12インチ(305mm)のLPは、片面で最大25分が限界です。

  CDは記録層が1層ですが、SACDは2層に出来ます。日本で販売されているのは、次の①と②がほとんどです。

① シングルレイヤ :HD層(SACD層)のみ
② デュアルレイヤー :ハイブリッド盤=HD層+CD層
③ デュアルレイヤー :HD層+HD層

 CDの記録データ容量は780MBですが、HD層(SACD層)は1層当たり(CDの6倍の)4.7GBで、HD層を2層にすると9.4GBになります。

 CDの録音時間は最大74分、SACDのHD層(SACD層)は109分です。 HD層を2層にしたら218分(3.6時間)も録音出来る事になります。 オペラの曲は長いですが、HD・2層のSACDならほとんど2枚に収まります。

 SACDには海賊版を防止する(著作権を保護する)ために、コピーを妨害するプログラムが入っています。 それで、SACDレコーダーは市販されていないのです。

(余談 :ナイチンゲールの鳴き声) レスピ-ギが(私の好きな)ローマ三部作と言う交響詩を残してくれました。 そして、私は小澤征爾がNHK交響楽団(N響)の指揮者だった頃からのファンです。 1977年に小澤征爾がボストン交響楽団を指揮してローマ三部作を録音しました。 ユニバーサル ミュージックが2012年にシングルレイヤのSACDを発売したので、私は直ぐに買いました。

 『ローマの松』にはナイチンゲールの鳴き声が入っているはずなのに、聴き直しても入っていませんでした。 暫くして、「ナイチンゲールの鳴き声を入れ忘れたので、交換します」と連絡が有りました。 マスターテープの音を、単純にデジタル化しているのでは無い事が分かりました。

(余談 :罅割れたSACD) 私はカラヤンの1960年代と70年代の演奏が好きです。 2012年にカラヤン指揮/ドイツ製のSACDハイブリッド・ベートーヴェン交響曲全集(ディスク6枚)を購入しました。 私は、DENON製のグレードの違うSACDプレーヤーを2台持っています。 グレードの低い方のプレーヤーでは、再生が途中で止まる等々、旨く再生出来ませんでした。 (もう1台のプレーヤーでは問題有りませんでした。)

 ディスクを見ると、どのディスクにも小さな罅割れが沢山有りました。ユニバーサル ミュージックに相談すると、「チェックするから、送って下さい」と言うのです。 「少し問題が有ったから、代品を送ります」と言うレター付きで、新品を送ってくれました。 然し、小さな罅割れは沢山有り、ディスクの1枚は演奏が途中で停止しました。

 DENONに相談すると、「本体(ディスク駆動/読み取り部)を取り替えたら、多分問題が解決するでしょう」との事だったので、送りました。 リーズナブルな価格で取り替えてくれました。 問題のディスクも再生出来る様になりました。

 「高価なプレーヤーは、ディスクに小さな罅割れが有ったり、汚れが付着していてもカバーする機能が設けられているのだ」と学ぶ事が出来ました。 問題のディスクはドイツ製でしたが、「ドイツでは多分、グレードの高いプレーヤーが主流の為に、罅割れは問題にならなかったのか?」と想像しました。

(余談 :エソテリックのSACDソフト) ティアックの子会社に、オーディオマニア向けの高級機器を製造販売するエソテリック社が有ります。 2007年頃からハイブリッドSACDソフトを発売をしています。エソテリックのSACDソフトを、HMV、タワーレコードやamazonが取り扱っていなかったので、私は2012年まで気付きませんでした。 どれも、素晴らしい音質のソフトです。 2012年以降に発売された、オペラとジャズ以外のSACDソフトは殆ど購入しています。

 エソテリックのSACDソフトを聴くと、「マスターテープの音をデジタル化してSACDを作るには、マスタリングエンジニアに、音楽に関する憧憬と豊かな感性が要求される!」と痛感します。同じマスターテープを使用しても、マスタリングエンジニアの技量によって、かなり違った音楽になる様に、私には思われます。

 長くエソテリックのマスタリングエンジニアを担当された杉本一家氏は、残念ながら2019年10月に逝去されました。

【ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)】
 ブルーレイは映像の記録/再生で主として使用されています。 一時期、オーディオ・CDとしてソフトとプレーヤなどが発売されていました。

 ブルーレイディスクでは4層まで可能ですが、市販されている映像用のディスクは2層が主流です。 ソニーが4層で128GBのディスクを発売しています。 1層の記録データ容量は25GBも有るのに、音楽用から撤退したのはCD層を付けられ無かったので、SACDの様にハイブリッド盤が作れ無かったための様です。

【NHKの5.1chサラウンド放送】
 近年、NHKは5.1chのサラウンド放送を始めましたが、各チャンネルの音声信号は15kHz以上をカットしているので、ハイレゾとしては楽しめません。 前述の様に、CDの再生周波数は5Hz~20kHzで、ハイレゾは40kHz以上です。 (NHKのステレオ放送は20kHz以上をカットしています。)

 オーディオファンにとっては、NHKの5.1chサラウンド放送の音質は満足出来ないと思われます。 特に、交響曲、協奏曲やオペラの様なオーケストラーが演奏する曲のファンは、「不満だ!」と思います。 NHKが、音声をハイレゾ基準並みにしたら、オペラファンの支持が得られるでしょう!

4Kテレビには『AACデコーダー/アンプ』を搭載したものと、搭載してない物が売られています。 非搭載の場合は『AACデコーダー/アンプ』と、簡易スピーカーの『サラウンドバー』を購入したら、5.1chの音は聞けます。

私とクラシック音楽

2021-01-02 14:34:56 | クラシック音楽
 明けましておめでとうございます。 今回は、私がクラシック音楽のファンになった経緯を書きます。

【はじめに】
 私の趣味の一つはクラシック音楽を聴くことです。

 入社して間がない頃、ガスタービンの仕事をしました。ガスタービンの騒音は脅威的です。 その為に、工場試運転の時も、吸気側と排気側に消音器を取り付けるのが常識ですが、最初の頃は吸気側には消音器を取り付けないで試運転しました。その結果、2,000Hz近辺が難聴になってしまいました。

 2,000Hzは人間にとって重要です。従って、私の聞いている音楽は、クラシック・ファンの方とは大分違っていると思われますが、それでもクラシック音楽は好きです。 クラシック音楽は、私の人生を豊かにしてくれた物の一つです。

【ハイドンのセレナーデ】
 父が大正か昭和初期製の蓄音機を持っていました。落語と浪曲のレコードが主でしたが、少しだけ歌謡曲のレコードも有りました。

 姉が教会の神父さんからハイドンのセレナーデのレコードを貰って来たので、蓄音機で・そのレコードを何回も!何回も聞きました。 時々、ラジオでNHK交響楽団(N響)のクラッシック放送を聞く様になりました。

(余談) 「ハイドンのセレナーデ」と呼ばれている曲は、ハイドンのファンだった修道士が作曲したものです。 今でも何故か?ハイドンの弦楽四重奏曲集には「弦楽四重奏曲第17番 へ長調」として収録されています。 ずっと後まで、セレナーデ以外のハイドンの曲は聞かなかったので、「ハイドンは綺麗な曲を作曲したのだ!」と勘違いしていました。

【安いオーディオ・セット】
 大学1年生の夏休みに、東京に有った「豊島園」でアルバイトして、夢のような大金を手に入れました。その金の一部でLPレコードプレーヤー、アンプ、そして小さなスピーカーのオーディオ・セットを買いました。 私の友人の中で、オーディオ・セットを持っているのはいなかったです。

 最初に買ったLPレコードは、(大好きだった)ブルーノ・ワルター指揮のベートーヴェンの『田園』と『運命』でした。 その直ぐ後にヴィルヘルム・バックハウスのベートーヴェンの『ピアノ協奏曲・第5番・皇帝』を買いました。 3枚のLPを飽きもせず、何回も!何回も!聴きました。

(余談 :ブルーノ・ワルター) ワルターはドイツに住んでいたユダヤ人です。 第二次世界大戦が始まった1939年(ワルター:63歳頃)にアメリカに移住して、活躍しました。 当時の世界三大指揮者の一人です。

 1958年(ワルターは83歳になっていました)、コロンビアレコードからの強い要請で、老骨に鞭打って10曲ほどステレオ録音を残してくれました。私にとっては、宝物の様な存在です。

【友人の下宿】
 私の大学時代は学生運動が盛んで、クラシック音楽の話が出来る学生は非常に少なかったです。友人の一人(FJ君)とだけ、話が通じました。 FJ君が下宿にクラシック音楽を聴きに来いと誘うので、徒歩2kmほど有ったのですが喜んで行きました。

 下宿に着いてビックリ仰天です! 3畳一間で、半畳の押し入れが天井からぶら下っていたので、実質2.5畳しか無く、勿論・オーディオ・セットは無かったのです。隣の部屋から、素晴らしい音質で曲が流れていました。 暫くすると、部屋の間の襖が開いて、隣の住人が「今から出掛けるから、好きにして良い」と言ってくれました。 

 隣の部屋は8畳ほど有って、大きなオーディオ・セットを置いていました。 レコードプレーヤーはダブルアーム(アームが二本)で、FJ君が使って良いアームは限定されていました。 レコードは全てクラシック音楽で、100枚以上有ったと思います。 どのレコードを掛けても良い事になっていました。

 それから、時々・FJ君の下宿でクラシック音楽を楽しむ事が出来ました。私が所有していたレコードも有ったので、聞き比べて見ると、全く違った印象を受けました。 クラッシック・ファンは音質に拘りますが、この時・音質の重要性を実感した次第です。

【入社してから】
 入社2年目に正式に配属された課にクラシック・ファンが、私を含めて4人もいました。休憩時間に3人が集まってお茶を飲みながらクラシック音楽談義をしました。 その内の一人(NN氏)は本格的なクラシック・マニアで、色々と教えて頂きました。

 NN氏が推奨する神戸や大阪の演奏会にも足を運ぶ様になりました。

 入社して独身寮に入ったのですが、6畳・二人部屋で相棒がクラシック音楽が嫌いだったので、休日に彼が出掛けた時しかレコードは聞けませんでした。 トンデモナイ大金持ちの息子(HM君)が相棒の友人で、時々部屋に来ました。

 HM君はクラシック・ファンだったのですが、バロック音楽以外は音楽では無いと主張して、私とは音楽の話は出来ませんでした。 私の知っているバロックの作曲家は、今でも『四季』のヴィヴァルディ、ヘンデル、J.S.バッハだけです。

(余談 :HM君) HM君は私の同期で、金持ちの息子なのに何故か?寮に入っていました。 大学の卒業祝いにフォードのマスタングを買って貰っていました。彼は大阪支社勤務で、マスタングで通勤していました。私は、寮から徒歩30分程の事務所に配属され、バス通勤していました。 HM君は時々寝坊してしまい、そんな時は私の部屋に来て、「車で送ってやる」と言うのです。

 私が勤務していたビルには複数の部署が入っていました。 HM君は朝一から、その内の1部署と打合せをした事にして、寝坊を誤魔化していたのです。 問題です! HM君は就職祝いに何を貰ったでしょうか? ヒント、彼の父親には2号さん、3号さんがいた様です。 答えは最後に書きます。

【モーツァルトの喫茶店】
 神戸本社勤務になった時、近くに若い夫婦が経営する小さな喫茶店が有りました。 定時後にお腹が空くと喫茶店に出掛け、シュガーバタートーストを食べ、美味しいコーヒーを飲んで、又、会社に戻って夜遅くまで仕事をしました。

 この喫茶店には本格的なオーディオ機器があり、何時もモーツァルトの曲が流れていました。 殆ど客がいなかったので、何時も一番良い席に座って、1時間ほどモーツァルトを楽しんで、仕事に戻った分けです。 それまでは、モーツァルトは余り聴きませんでしたが、この喫茶店のお蔭でモーツァルトのファンになってしまいました。

【少し高価なオーディオ・セット】
 私は入社以来、出張が多かったので小遣いが沢山溜まりました。 特に若い頃は、現場社員を数名連れて現地に据付/試運転/引き渡し運転に行きました。 一度出掛けると、安い!安い!旅館に10日ほど滞在しました。 会社からは普通の旅館やホテルに泊まれる出張費が出るので、結構お金が余るのです。現場社員達は、その金でパチンコをやりましたが、私はパチンコが嫌いなので小遣いが溜まった分けです。

 結婚後・2年した時、少し広い社宅に入っていました。 3カ月分くらいの給料に相当する小遣いが溜まっていたので、オーディオ・セットを買いました。 学生時代に買ったオーディオ・セットとは、音質が全く違って夢の世界に入った様な気分になりました。

 妻も子供達もクラシック音楽に興味が無く、子供達の勉強の邪魔をしてはと考えて、ヘッドホンで聞く事が多くなりました。 オーディオテクニカ(audio-technica)社の木製ハウジングのヘッドホンを買ったら、音質が格段に向上しました。

【SACD】
 十年前にリタイヤして直ぐに、前述のオーディオ・セットのアンプが壊れてしまいました。当時はLPレコードが殆ど入手出来なくなっていたので、スーパーオーディオCDプレーヤー(SACD プレーヤー)とヘッドホン・アンプを買いました。

 2,000Hz近辺が難聴の私でも、CDでは満足出来ませんでしたが、SACDだと楽しく聞けます。

(余談 :CDからSACD) 1970年代の後半に、直径300mm(LPレコードと同じサイズ)も有る光ディスクが発売されました。会社では図面や要領書/報告書をマイクロフィルムで保管していましたが、光ディスクにデジタル化/映像化して保管する様になりました。

 ソニーとフィリップスが小径の光ディスクの共同開発を始めました。ベートーヴェンの第9交響曲が1枚の光ディスクに収められるサイズ(直径120mm)の規格を作ったのです。 これがコンパクトディスク(CD)です。 (300mmと比べたら、120mmはコンパクトです。)

 1999年にソニーとフィリップスによりスーパーオーディオ・コンパクトディスク(SACD)が規格化されました。SACDは記録層を2層にする事が出来ます。 1層だけの物をシングルレイヤと呼び、少し音質が良いです。2層の場合は、普通・1層をSACDに、もう1層をCDとしており、ハイブリッド盤と呼ばれています。 高級音響メーカーのエソテリック社が出しているSACDはハイブリッドですが、技術者の腕が高いので音質が良いです。

 日本で発売されるSACDは殆どステレオ(2ch)ですが、欧米ではサラウンド(3ch~5.1ch)が多いい様です。サラウンドのSACDを聴いた人によると、「別世界の様だった」そうです。

(余談 :レコード) エミール・ベルリナーが円盤形のレコードを発明したのは、1887年です。勿論、モノラル録音(1ch)です。 第二次大戦後に磁気テープを用いたステレオ録音(2ch)が始まりましたが、ステレオ・レコードの発売は1958年頃からです。 1970年代にスピーカー4台の4chレコードが発売されましたが、直ぐに生産停止になりました。

 一時期、レコードの販売は廃ってしまいましたが、近年『高音質レコード』と呼ばれる物が発売されています。 高音質レコードの定義/規格は有りません。 団塊の世代の人達がリタイヤして暇が出来て、高音質を求める人が多くなったので、高音質レコード、SACD等が今は売れると思われます。然し、若者達は音質への拘りが薄い様ですから、段々売れなくなる様に私は予想しています。

★★ 問題の解答 :HM君の就職祝い ★★
 HM君の父親が、寮から徒歩10分ほどの所に有ったマンションの1室を買って、若い女性を住まわせて、彼の就職祝いにしたのです。 そのマンションに寮の同期の仲間を数人連れて、月に一、二度飲み食いしていました。 私も誘われましたが、一度も行きませんでした。「この親子は女性をなんだと思っているのか?!」と憤慨していたからです。

 遊びに行っていた連中によると、「不特定多数の女性と関係を持つと、性病になる恐れが有るので、2号さんが与えられた」と言っていました。(HM君は独身でしたから、2号さんはおかしいですね!) 連中の誰も、「彼女は綺麗だ」とは言いませんでした。 「息子が結婚したいと言い出す恐れの無い女性を選んだのだ」と私は勝手に思いました。 HM君の父親は、「愛人との付き合い方を教えたのでは?」と私は思いました。 有り余る金の有る家の息子には、金目当てに寄って来る女性達と「どう上手く対応するか?」が問題なんでしょうね!

 HM君は節度を守っていた様に思います。 寮には、給料を貰ったら女性を買いに行く輩が多かったですが、HM君はそんな仲間には加わりませんでした。 マンションに行く時は、マスタングは使いませんでした。飲酒運転はしなかったのです。マンションに行っても、朝まで過ごす事は無かったようでした。 そして、浪費家では無かったです。 父親との約束を固く守っていた様に思えました。