これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

私の中学卒業までと勉強

2020-06-27 09:12:22 | 休校
 新型コロナで小中高が2カ月ほど休校になりました。 私には、今年小学校入学と幼稚園入園の孫がいます。 親御さん達が、「休校で勉強が遅れると心配されている」様ですが、私は全く孫達の事を心配していません。 私は大学を卒業するまでに、授業が満足に受けられ無かったことが多々有りました。 本人が努力したら、何とかなります!

 3回に分けて、「私がどんな環境で勉強したか?」について書きます。今回は、中学を卒業するまでの話しです。

【教会の日曜学校】
 私は紀州の山奥で生まれて、中学校を卒業するまで暮らしました。当時・村には、幼稚園は有りませんでした。 戦後、町に出ていた人達が沢山帰っていたので、村の人口は8,000人を超えていたと思います。

 私が小学校に入る前の年(?)に、一番上の・大好きな姉が「カトリックに入信したい」と毎晩の様に両親を説得していました。 「カトリックは素晴らしい宗教だ!」と姉が言うのを毎晩聞いて、「私も入信したい」と考える様になりました。 姉が洗礼を受けに出掛ける朝、家族全員で見送りました。 私は”さりげなく”姉の後ろに付いていって、家が見えなくなる所で「僕も洗礼を受ける!」と大声で叫んで、走って逃げました。 誰も、追っ掛けて来ませんでした。 帰ったら怒られると心配していたのですが、両親は何も言いませんでした。

 入信後、教会の日曜学校に毎週通いました。私にとっては幼稚園の様なものでした。中学生までの年齢が”まちまち”な十人程の子供達が参加していました。賛美歌、祈祷書や聖書を習いました。 当時の聖書や祈祷書は文語体で、白人の神父さんから文語体を教えて頂いたのです。 ルビを振っていたと思いますが、小学1年生の頃には聖書を少し読める様になっていました。

 聖書の教えは、「人は愛の心を持って、どう正しく生きるか!」と言う事だと思います。神父さんから、死後の話しや、天国や地獄についての話しは聞いた事が有りませんでした。 私は段々と、「神は存在しない。その事を承知の上でキリストの教えに従って生きるべきだ」と考える様になりました。 聖書には、「教会を建てよ!」、「教会で祈れ!」とは書いていません。それで、中学生になると、日曜学校にも、ミサにも行かなくなりました。 学生の頃、社会人になっても時々ですが、聖書を読み返しました。今も、本棚に聖書が有ります。

(余談) 父と母は、「私と同じ墓に入りたい」と言って、数年後に入信しました。 そんな分けで、我が家の墓には『十字』が刻んでいて、明石海峡大橋の見える高台に有ります。 父は「私を待ちわびている」と思います。

【小学校入学】
 1953年に小学校に入学しました。 村には小学校が6校?と中学校が4校、高等学校の分校が1校有りました。 私のクラスは22人だったと記憶しています。出入り(転校)が有りましたが、20人は6年間クラスメートでしたから、今でも氏名、子供の頃の顔、性格などを思い出せます。

 昔の山村の子供達は、下校すると毎日1~2時間仕事をして、その後で集落の小さな子供達を含めて皆で遊びました。 私も、蒔き割り、牛に食べさせる草を刈ったり、・・・結構忙しかったです。

【紀州大水害】
 1年生の夏休みが始まる直前に大雨が降って、村の橋の大半が崩壊してしまい、村は孤立してしまいました。(1953年7月18日の紀州大水害) 小学校も浸水して校庭を厚いドロが覆い、一部の教室が被害を受けました。 農地の被害も大きかったのですが、大人達は学校の復旧を優先してくれたので、10月には二学期が始まりました。

(余談) 水害の後・毎日、米軍の飛行機(多分、P-38ライトニングだったと思います)が超低空で飛んできて、時々・落下傘に食糧などを付けて落としてくれました。 水害は、秋の収穫前でしたから、村は食糧難になるのは必定でしたが、米軍は食べ余る食糧を落としてくれました。

 落下傘が落ちて来るのを見ると、何時も”ワクワク”しました。 暫くすると飛行機は飛んできても、落下傘を落としてくれなくなったので、近所の友達と二人で、川原に大きな石を「SOS」と並べて見ました。 信じられないほど沢山の落下傘を落としてくれました。 「大人達が喜んでくれる」と思っていたのですが、全く逆で、二人は”大目玉を食らい”ました。 既に、食べきれ無い量を落としてくれていたのです。

【複式学級】
 言い忘れましたが、私の1年生の時の担任は私の一番上の姉でした。姉は一学期が終わったら退職して、結婚する事になっていました。前述の水害が有って、遅い二学期が始まると、一年生と二年生の複式学級になりました。

 先生は中年の怖い!怖い女の先生でした。一年生は大抵自習でしたが、少しでも騒がしくなると、大声で「静かにしなさい!」と怒鳴りました。 結局、一年生の二学期と三学期は殆ど授業は有りませんでした。 2年生の時もこの先生が担任だったので、大急ぎで一年生の残りも教えてもらいました。

【先生が癌になりました】
 私の小学校では、6年生は教頭先生が担任する事になっていました。一、二年前から教頭先生は体調が悪かったのですが、私達の担任になった時は、学校に来るのが『やっと』と言う状態で、授業は全く出来ませんでした。 先生の人数はクラスの数と校長で、校長先生は絶対に授業されない方だったので、私達は一年間自習する事になりました。 私の記憶では、テストは一回も無かったと思います。

 雨の日は大人しく教室で自習しましたが、晴れた日は、大抵校庭でドッジボール、軟式テニス、・・・種々の遊びをして一年間過ごしました。当時の教科書は薄い本でしたから、何回も!何回も!自習時に読みました。

 教頭先生は癌の末期で、私達が中学に入って直ぐに亡くなりました。

【えりごにべらくけた】
 私が小学生の頃、姉達が中学校と高校に通っていて、図書室から種々の小説を借りてきました。 我が家にはテレビが無く、私は小さい頃から歌謡曲が好きで無かったのでラジオも聞きませんでした。姉達が借りてきた小説を毎晩読みました。同じ本を何日も借りられませんから、急いで読む必要が有りました。

 小学・高学年になった頃、島崎藤村、芥川龍之介、森鷗外、夏目漱石などを読みました。私が中学に入学した年に、姉達は全員家を出ましたので高校の図書室の本は読めなくなってしまいました。

 6年の時にクラスメートの一人が、「『えりごにべらくけた』を買ってくれ」と言うので、言い値で買いました。樋口一葉の『たけくらべ、にごりえ』だったのです。戦前に出版された岩波文庫だったと思います。一葉の文章は綺麗で、情緒が溢れていますね!それで、一葉の大ファンになりました。

(余談) 姉達の借りてきた本の多くは、軽い青春の恋愛小説でしたが、不思議と私は”恋”には晩熟で、初めてデートしたのは二十歳を過ぎていました。いとも簡単にに振られてしまいました。

【中学校入学】
 二つの小学校の生徒が、中学校で一緒になりました。私達の小学校からは20人ほどで、合計40人弱のクラスになりました。 前述のように私達は6年の授業が有りませんでしたが、両校の卒業生に学力の差は無かった様に思います。 (私の故郷は雨が多いので、教室で自習した時間が多かった為でしょうか?!)

(余談) クラスメートが少ないので、名前と子供の頃の顔は今でも記憶しています。 数年に一度、中学校の同窓会の案内が来ます。 皆さん面影が無くなっていると想像するので、私は絶対に同窓会には出ない事にしています。 貴重な思い出が吹っ飛んでしまいそうに思えるからです。

【崖崩れ】
 1959年9月16日の伊勢湾台風の時だったと記憶するのですが、通学路に崖崩れ等々が発生して一か月以上登校出来ませんでした。 (夏休みが3カ月間になった様なものでした。)

 中学校には片道40分くらいの自転車登校で、山を一つ越える必要が有りました。崖崩れで山道の部分が通れ無くなったので、川岸の岩場を歩いて登校しました。往復で3時間ほど掛かりました。重い教科書を持って、岩場を毎日2時間歩くのですから、家で勉強や読書する元気は残っていませんでした。 段々、日が短くなって、寒くなってきました。 二、三か月間岩場を歩いたと思います。

【数学の先生が気が狂いました】
 私の中学2年と3年の時の数学の先生が、頭が少しずつ可笑しくなって来ました。2年の二学期には、授業中に時々異常な言動をする様になりました。3年生になった頃には支離滅裂な事を言い出し、「先生の説明は間違っています」と言うと烈火の如く怒鳴り始めました。 結局、3年生の時は数学の授業は無かった様なものでした。 (私達が卒業した二、三か月後に、この先生は精神病院に入られて、二度と退院されませんでした。)

(余談 :自慢話し) 3年生になると共通模擬試験が月一程度であり、各受験者に群と市で何番の成績だったか通知されました。 校長先生の自慢の娘さんが私と同い年でした。彼女は市の一番大きな中学校に通われていて、何時も十番以内だった様です。教頭先生が「私が、一番か二番だと言う事を校長には絶対に言ってはいけない」と皆に注意しました。

【高校進学について】
 軍人だった父は、戦後・故郷に帰って木材と山林の商売をして可成りの蓄財をしていたのですが、私が小学2年の頃に商売を止めて、その後は軍人恩給で暮していたのです。 色々有って、私が中学生になった頃には、貯金は殆ど無くなっていました。 (中学校を卒業した時、父は61歳でした。当時、サラリーマンの定年は55歳だったと思います。)

 村には日高高校の分校が有りました。(現在は南部高校の分校になっています。)家が貧しくなっていたので、その分校で勉強するつもりでいました。

 中学1年の時に、姉の一人が東京の男性(H義兄)と結婚しました。 H義兄が、「お金の心配はしなくて良いから、東京の高校に入れ!」と言ってくれ、東京の家を増築して私の部屋を作ってくれました。 それで、中学2年の頃から、東京の高校を目指して独学で勉強したのです。 (中学時代は読書は殆どしませんでした。クラスメートの家に住井すゑの本が数冊有ったので、借りて読みました。彼女の代表作『橋のない川』は社会人になって読みました。)

 中学3年の正月頃に、母が「東京には絶対行ってはいけない」と言い出して、家からは遠いい田辺高校を受験しました。 高校を卒業したら、H義兄のお世話になって東京の大学に行くつもりだったのです。

中国の脅威とLNGタンカー

2020-06-20 10:29:37 | 中国
 中国の貯えた豊富な『金(外貨)』、『工業技術/経験』および『理工系の人材』、そして『専制国家』のメリットを本気で動員したら、他国の企業は全くなすすべが有りません。 今回は、その一例として『LNGタンカー』について書きます。

【韓国がLNGタンカーを100隻受注】
 2020年6月にカタールの国営会社(カタール・ペトロリアム)が、韓国の造船3社とLNGタンカー・100隻(約2兆600億円)発注する契約を結びました。

 カタールは2020年4月に中国の滬東中華造船に、LNGタンカー・16隻(オプション分8隻を含む)発注しました。 中国で現在、LNGタンカーが建造出来るのは滬東中華造船・一社だけで、カタールの追加発注分に超安い価格が提示出来なかったと思われます。 中国は、今回の韓国の受注にショックだった様です。

【世界のLNGタンカーのメーカー】
 1980年代には、日本はLNGタンカーの分野では強かったのです。日本はモス式でしたが、韓国はフランスから技術導入してメンブレン方式のLNGタンカーを建造し始めて、1990年代からは韓国が世界を制した状態になりました。 現在の主なLNGタンカーのメーカーを書いておきます。

① 韓国 :現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業
② 中国 :滬東中華造船
③ 日本 :川崎重工業、今治造船と三菱重工のグループ

 韓国は国を挙げて、2004年から韓国式LNGタンカーの開発に取り組み、『KC-1』を開発して、国内から2隻受注しました。問題が発生して、まだ外国に売れる状態にはなっていない様です。

 中国は、滬東中華造船を移設/拡充する計画と、他の造船2社でもLNGタンカーが建造出来る様に検討中の様です。 人材を投入してLNGタンカーの改良設計に取り組む様です。何としても、LNGタンカーの分野における韓国の地位を奪ってやると決断したと思われます。 (中国がLNGタンカーを建造し始めた頃には、GTT社の基本特許は期限切れだったと思われます。GTT社の技術をベースにして、中国はLNGタンカーの設計をしたと思われます。従って、韓国の様にロイヤリティをGTT社に払う必要が有りません。)

 日本は、IHIがSPB(角型タンク)方式を開発し、ジャパン マリンユナイテッド(株)が2013年に国内から2隻受注しました。 川重は、LNGタンカーを国内で建造するのは断念した様で、今後は中国の大連中遠海運川崎船舶工程(DACKS)で建造する計画の様です。

【天然ガスの輸送】
 天然ガス(NG)とは、天然の炭化水素ガスのことで、メタン(CH4)やエタン(C2H6)が主成分です。常温ではガスの状態です。

 天然ガスの世界最大の輸出国であるロシアから、ヨーロッパ、トルコ、中国に太いパイプラインが数ルート開通しており、ガスの状態で輸送されています。(2018年)

 世界第二位の輸出国はカタールで、天然ガスを冷却→液化してLNGタンカーで日本、中国、韓国に運んでいます。 世界一位の輸入国は日本です。(2018年)

 天然ガスを液化して運ぶためには、輸出国は高価な液化設備が、輸入国では気化設備が必要です。 従って、トータル輸送コストはパイプライン方式の方が安価になると思われます。 「新しいパイプラインが多数設置されて、LNGタンカーの需要は減少する」と私は予想しています。

(ご参考) 世界一の生産国はアメリカで、二位はロシア、三位はイラン、四位がカタール、五位は中国です。 アメリカは殆どを自国で消費しており、近年は日本にLNG船で送ってきています。中国は大産出国ですが、国内消費量が多いいので、ロシアやカタールから輸入しています。

【LNGタンカーは難しい】
 種々の船が建造されていますが、LNGタンカーは技術的に非常に難しい船です。主成分がメタンですから、貯蔵タンクの温度をメタンの沸点(-161.5℃)以下に保つ工夫/技術が必要です。

 現在建造されているLNGタンカーは球形タンク方式とメンブレン方式の2種類です。球形タンクのLNGタンカーは、甲板上に球形タンクの一部が突出しているので直ぐに分かります。(私の家から時々見掛けます。) モス(MOSS)式と呼ばています。一時期、新造船の殆どはMOSS式でしたが、タンクに亀裂が発生する事故が有り、それ以来少なくなってきました。 (私の怪しい記憶ですが、「ノールウェーのMOSSと言う造船会社が考案した方式だった?」と思います。)

 韓国の造船会社が採用しているメンブレン方式の技術は、フランスのエンジニアリング会社で有るガストランスポート&テクニガス社(GTT社)から導入しています。販売価格の5%をロイヤリティとして支払う契約の様です。

【LNGタンカーの教訓】
 国民には余り知らされていませんが、日本は種々の国立研究所などを経由して民間企業に、チマチマ開発費の支援を行っています。それが、族議員の活躍の場になり、弊害も出ています。(族議員は絶滅させる必要が有ります。)

 日本の今後の競争相手は専制国家の中国です。 中国が”ある分野”に国を挙げて取り組んだら、世界一の大企業でも一社では対抗出来ません。 日本は工業製品を輸出して、食糧や燃料/原材料を輸入しなければならない国です。 重要な工業を守るためには、開発費の一部を国が支援し、民主主義諸国と協調して中国と向き合う必要が有ります。

 私はgooブログで「現在・既に第四次産業革命が始まっている」と何回も書き/警告しました。 資源の無い日本の政治家には、第四次産業革命の知識が不可欠です。 「日本の政治家が勉強して/目覚めてくれたら、第四次産業革命に乗り遅れる事は無い」と私は思います。

 与野党を問わず、日本の政治家には理工系の知識が不可欠になってきています。 コロナの問題で支援金を配布するのに、日本の政治家と官僚がIT(情報技術)に関する知識を持っていない事が明確になりました。日本の民間企業ではITを取り入れています。然し、中央官庁、地方公共団体のデジタル化は危機的状態ですから(非常に遅れているので)、真剣に、急いで取り組む必要が有ります。

・・・・・≪ 思い出話し ≫・・・・・
【カタール】
 1975年頃に私が務めていた会社が、カタールから製鉄所一式を受注しました。当時、私はガスタービンの仕事をしていたのですが、「製鉄所が受注出来たら『非常用ガスタービン発電装置』を使ってやる」、「但し、製鉄所の見積作業を手伝え」と言われました。 砂漠の真ん中に工場を建設する計画でしたので、種々の新しい工夫が必要だったのです。

 先ず私が取り組んだのは『砂嵐』対策でした。現地に出張した社員に『砂漠の砂』を多量に持って帰ってもらって、砂の分析から始めました。 日本工業規格(JIS)に砂の規格が有ります。 鳥取砂丘の砂からは想像できない、細かな砂で、屋内を正圧(外より高い圧力)にしないと、アルミサッシを閉めても砂が侵入する事が分かりました。

 製鉄所の色々な所で空気が必要です。砂嵐が発生した時に、砂を除去する必要が有りますが、余りにも多量に砂が含まれているので、普通のフィルターでは直ぐに目詰まりしてしまいます。

 私は某社が製造していた『一次フィルター』を改良する事にしました。空気を100取り入れるとします。遠心分離の技術を応用して、空気10に砂の90%以上を含ませて大気に放出する様にしました。 残りの空気90を二次、三次フィルターに送って、砂をほぼ完全に除去しました。 大成功でしたが、実験は大変でした。 細かい砂が多量に舞う実験場で、データを採取したので、大変だったのです。

 屋外に設置する鉄構造物の塗装を検討する様に言われたのですが、これはギブアップしました。どんな塗装をしても、一回の砂嵐で風が当たる面の塗装は剥げてしまいます。 重要な機械の塗装をする前に、表面の錆等々を除去するために砂などを吹き付ける『サンドブラスト』を想像して見て下さい。

 屋外の力の掛からない物は樹脂製にする事になり、私は強力な直射日光に耐えられる樹脂の調査を命じられました。 「ビール瓶ケースに使用されている樹脂が良い」と聞いたので、ケースを山積みにした所に出張して調べました。 ケースに製造年月日が印刷されていたので、経年劣化の状態が確認出来ました。10年くらいでは、殆ど劣化していませんでした。

 「カタールの太陽は想像出来無いほど強烈だ」と言うので、「次の出張時に屋外に鉄板を置いて、卵焼きが出来るか試して」と依頼してみました。 卵焼きが出来たそうです。

 約束の通りガスタービン発電装置を使ってもらいました。私の最初の輸出案件でした。 現地での作業を最小限にする工夫を種々やりました。予算が少なかったので、私が一番信頼していた機械仕上工に電気/制御のポイントを教えて、一人で現地据付/調整/引き渡し検査をしてもらいました。(通常は、機械担当と制御担当の二人派遣していました。) 万一の場合に備えて私はパスポートを取得しました。

 結局問題は発生せず、私はカタールに出張出来無かったのです。 予定より10日ほど早く引き渡しが完了したので、機械仕上工は東南アジアで一週間ほど観光旅行を楽しみました。 「行方不明になった」と会社で大問題になって、私が大目玉を食らいました。 (彼は逆玉の輿だったので、自費で優雅な観光をしたのです。)

・・・・・≪ 豆知識 ≫・・・・・
【燃料ガスの種類】
 私達が燃料として使用しているガスには①都市ガスと②LPガスの二種類が有ります。都市ガスは『天然ガス』で、メタンガスが主成分です。

 家庭で使用されるLPG(LPガス)は、プロパン(C3H8)が主成分で、工業用はブタン(C4H10)が主成分です。 日本語では液化石油ガスで、石油精製で得られる製品の一つです。 LPGボンベの中では液体です。

(余談) 使い捨てライターには液体のプロパンが入っていると思われます。プロパンの沸点は『-40. 09℃』です。沸点とは液体が1気圧(1,013hPa)の時に沸騰する温度のことです。水が1気圧で沸騰する温度を『100℃』と定め、凍る温度(凝固点)を「0℃」と決められました。 液体を密閉容器に入れて加熱すると、内部の圧力が上昇します。使い捨てライターには「50℃以上は避けて下さい」との警告が書かれています。 50℃に加熱すると、ライターの内部の圧量は20kg/cm2(2MPa)程になります。

 国内を走っているタクシーの殆どは、ガソリン税が掛からないLPガスです。 タクシー会社の一部ではLPGのタンクを所有しています。個人タクシーなどはガソリンスタンドで補給しますが、全国でLPGを取り扱っているスタンドは1,900か所ほどしか無い様です。 (昔、姫路の近くから名古屋港まで重い測定機器を持って出張する時、二、三回タクシーを利用した事が有ります。 契約しているスタンド以外で補給すると赤字になると言って、何時も途中で降ろされ、別のタクシーに乗り換えさせられました。)

 メタンガスが主成分の都市ガスは空気より軽いので、ガス漏れすると部屋の上部に溜まります。プロパンもブタンも空気より重いので、LPガスが漏れると部屋の下(床)に溜まります、 ガス感知器はガスが溜まる位置に設ける必要が有ります。

(余談) 昔の都市ガス(6Bガス)は石炭から製造されました。成分は水素(H2:50%)、メタン(CH4:30%)と一酸化炭素(CO:8%)でした。毒性の非常に強い一酸化炭素が多量に含まれていたのです。 (6Bガスでは自殺出来ますが、現在の都市ガスでは出来ません。)

(余談) 豊洲市場は、昔の東京ガスの豊洲工場の跡地に建設されました。 6Bガスを製造する工場だったのです。 1980年頃に、私は機械を買って頂いたので十回ほど出張しました。 その10年前(1970年頃)に東京ガス・袖ヶ浦LNG基地が稼働していましたが、都心部は長く 6Bガスが使用され続きました。

新型コロナと世界の政治&経済 (その2)

2020-06-13 14:01:23 | 新型コロナウイルス
【はじめに】
 前回は、皆さんに思い出して頂きたい「新型コロナの問題が発生する前の世界の状況/問題」について書きました。

 年初以来数か月間、世界の経済と外交は停滞してきましたが、先進国では新型コロナの感染が有る程度抑えられ、経済も外交も再開しようとしています。今回は、「今後・各国と、どう向き合っていくべきか」と言う問題について書きます。

【結 論】
 4月25日に投稿した『日本のコロナ対策(その1)』の冒頭に、「結果オーライの例」を書きました。安倍政権のコロナ対策は支離滅裂でしたが、ゴールデンウイーク明け頃から新規感染者数が100人以下になり、累計死者数は900人ほどで収まっています。 結果はオーライだったと思います。

 安倍内閣は今国会を延長せずに6月17日で閉幕する様です。 まだまだ、アフターコロナとは呼べませんが、「新型コロナは、世界の政治と経済の情勢を大幅に変質させた」と私は見ています。 政治家諸氏が少し休憩して、世界情勢の変化を勉強して、考えを整理することは重要です。 然し、ノンビリしている余裕は有りません。

 次の国会の予算委員会では、黒川氏の定年延長、河井夫妻の公選法違反、等々・・・は取り上げるべきでは有りません。そんな事をしたら、日本の経済は長期間低迷してしまいます。 (これらの問題は、別の委員会で納得が行く迄討議すべきです。)

【今後のアメリカ対策】
 アメリカの相対的な経済力と軍事力は、今後も少しずつ低下して行くでしょう。『世界の警察』の役割を果たす事は、現在・既に出来なくなっています。

 現在の世界の国を分類すると、①民主主義国家、②専制主義国家、③イスラム原理主義国家、④金権独裁主義国家(?)になると私は考えています。 国連の加盟国は、現在193か国ですが、意外と民主主義国家は少ないと思われませんか?

 「日本は今後とも民主主義国家で有って欲しい」と私は思っています。従って、日本の安全保障は民主主義国家との軍事同盟でしか達成出来ません。現在・日本の軍事同盟は『日米安全保障条約』だけです。

 新型コロナの問題が起こる前から、トランプ大統領は中国を牽制していました。11月の大統領選挙でトランプとバイデンのどちらが勝っても、「米中貿易戦争は激化して、今後二、三十年間は米中冷戦時代になる」と私は予想しています。

 米中冷戦時代が続く限り、アメリカと中国は日本に厳しい要求をしてくると予想されます。「君は鳥類なのか?哺乳類なのか?」と詰問されて、「僕は蝙蝠です」と答えて済むと思われますか? 筒井順慶の様に『洞ケ峠を決め込む』と両国の信頼を失ってしまいます。

 日本は今まで中国との経済的な繋がりは深かったので、中国は重要な隣国でした。中国にとって必要/不可欠な工業製品を開発し続けないと、(韓国が経験した様に)日本製品の不買運動を起こされて日中貿易はジリ貧になるでしょう! 日本が冷戦時代を乗り切るためには、『志のある政治家』を選ぶ必要が有ります。

(余談) アメリカでは警官が黒人男性を一人殺害した件で、全国的なデモが発生しています。未だに白人至上主義の国民が多いい事に驚きました。 然し、中国や北朝鮮では警察組織が一人ぐらい自国民を抹殺しても、デモは絶対に起きないでしょう! 天安門事件事件は、中国では無かった事になっているのです。 日本は民主主義を大切に守っていくべきです。 「多少経済的損失が有っても、アメリカを中心にした民主主義諸国との連携を大切にすべきだ」と私は思います。

【今後の中国対策】
 中国は、民主主義国家では採用出来ない”荒っぽい手段”を用いて、新型コロナの感染を短期間に抑え込みました。(中国が公表したデータが正しいとすると、)100万人当たりの中国の死者数は『3.2人』で、日本の44%、アメリカの1%に過ぎませんから、中国は、新型コロナ対策に成功した国の一つだと言えます。 (6月12日現在)

 経済活動を既に再開している様です。然し、中国は輸出依存形経済ですから、他国の経済活動が元に戻る迄、新型コロナ失業者を職場に復帰させられません。

 中国・一国が『世界の工場』だった今までの体制ではリスクが大きすぎる事に、各国/各企業が気付き、中国以外からの調達を模索し始めています。 この流れを何としても阻止する必要が有るので、今までに貯め込んだ”ドル”と”汚い手段”を使って、欧米諸国の切り崩しに奔走すると思われます。私は、「ドイツを最優先のターゲットにしているのでは?」と心配しています。 

 私はドイツの工業に関する知識は乏しいのですが、ドイツ製パソコンを見た事が無く、画期的に自動化した機械も知りません。ドイツは第三次産業革命に乗り遅れ、第四次産業革命には参入出来ない状況に有る様に見受けられます。中国の誇っている「”5G”と電池の技術をチラつかせたら、ドイツは簡単に中国に靡く(なびく)」と習近平は考えている様に思います。

 共産党の一党支配は、「毎年・経済が発展し、国民が豊かになる事で正当性が認められてきたのだ」と思います。 日本の様に経済が殆ど成長しなくなったら、北朝鮮の様な恐怖政治をしないと、共産党は維持出来無くなるでしょう。

 尖閣諸島の領海に侵入し、日本漁船を追い回したり、最近・日本に露骨な圧力を掛けてきています。米中貿易戦争が長期化すると、日本に対する種々の露骨な懐柔政策を取ってくると予想されます。 今後の中国との外交には、臨機応変で、毅然として、行動力の有る指導者(首相)が必要です。

【今後の台湾対策】
 中国は台湾を領土の一部であると主張していますが、清が1683年に侵攻する迄は、中国は台湾を支配していませんでした。日清戦争で敗れた清国は、1895年に台湾を日本に割譲しました。(清国が台湾を支配したのは、約210年間しか有りません。日本の領土だったのは、約50年間です。)

 第二次世界大戦後の1945年10月17日に、蒋介石軍(中華民国軍)の残存兵がアメリカ軍の支援を受けて台湾に上陸し、住民の意向を無視して台湾を支配する様になったのです。 (中華民国は中国本土を支配していたのであって、台湾は日本の領土だったのです。) 蒋介石は一党独裁政治で台湾を統治しましたが、1996年に民主共和制になりました。

 日本が台湾で建設した工場やインフラは、朝鮮半島の様に破壊される事無く、中華民国に引き渡されました。中国は台湾進攻を画策し続けましたが、台湾は中国との経済的な関係を上手に維持したので、工業が発展しました。 蔡英文氏が今年(2020年1月)総統に再選されると、経済的損失を覚悟して中国の影響を排除する政策を打ち出しています。

 WHOは中国を忖度して、台湾排除を進めています。 然し、全ての国際機関が台湾を締め出している分けでは有りません。世界貿易機関(WTO)は、2002年に台湾の加盟を許しました。日本だけでやると中国が制裁を掛けて来ると思われますが、欧米諸国と連携して他の国際機関に台湾を加え様に働き掛けるべきだと思います。 (私の夢ですが、)将来は台湾を国連に加盟さるべきです。 幾ら何でも、国連加盟国に中国は侵攻しないでしょう!

【今後のロシア対策】
 第二次安倍政権発足以来、安倍晋三氏はロシアのプーチン大統領と密接な関係になるために、貴重な時間と金を注ぎ込みました。 プーチン氏は平和条約を締結して日本からの投資を得ようとし、安倍氏は北方領土の返還を期待していました。結局、何の進展も無かったのです。 相手は元KGBですから、役者が一枚も二枚も上です。

 「ロシア国民の多くが覇権主義思想を今でも持っている事を、安倍氏は理解出来ていなかった」と私は思います。 原油と天然ガスの価格が今後も長期間低迷して、ロシアが金に困ったら、1867年にロシア帝国がアラスカをアメリカに売却した様に、北方領土を売ってくれるかも知れません。

 「北方領土を返してくれ!」と言い続ける必要が有りますが、日本にとって極めて有利な投資に限定して、経済協力を進めるべきだと思います。相手は強か(したたか)ですから、頭脳明晰で堂々とした外交官を育てて、気長に交渉すべきです。 歯舞、色丹島を返却しそうな素振りをするかも知れませんが、安易な妥協は禁物です。

【今後の韓国対策】
 フェンスを隔ててA氏とB氏が住んでいたとします。二人の仲が良くなったり、悪くなったりするのは、普通はその直近の二人の言動が原因です。 然し、A氏は執念深い性格で、B氏の祖父がA氏の祖父にした酷い仕打ちを今でも根に持っています。 大昔、二人の祖父が存命中に、B氏の祖父は反省して、A氏の祖父に『所有していた工場や農地だけでなく莫大な示談金』を渡し、A氏の祖父はその金で家を建て替えました。A氏は、その家を相続して住んでいます。

 A氏とB氏の父親の代になると、A氏の父は「B氏の祖父は悪人だった」と言い続けました。 A氏の父は、「喧嘩を続けても得にならない」と気付いて、「仲直りの財団を作るから、10億円出してくれ」と言ったので、B氏の父は渋々『10億円』渡しました。

 その後・代替わりすると、A氏は一方的に財団を潰して、B氏に「君の爺さんのやった事を謝れ」と言い出しました。A氏は今でも彼の子供達に、「B氏の祖父は悪人だった」と教え続けています。

 一ヶ月程前から韓国では慰安婦問題を利用して私腹を肥やしていた事が発覚し大問題になっています。慰安婦問題は当分の間、静かになると予想されます。 然し、徴用工問題は取り返しのつかない事態に発展する可能性が有ります。

 日本製鉄の資産を現金化して原告に金(一人当たり約一千万円)を渡したら、韓国では訴訟ラッシュが発生します。 韓国政府が認定している徴用工数は(故人を含め)22万6千人もいます。故人の遺族にも訴訟権が有る様ですから、賠償金の総額は2兆円を超えます。

 日本製鉄の資産を現金化したら、日本政府は何らかの対抗処置を取らざるを得ません。 その対抗処置が、韓国にとって「痛くも痒くもない」内容だったら、日本の多くの企業が韓国内で所有する資産が没収されるだけで済みます。

 日本の対抗処置が韓国に実害が及ぶ内容であれば、①日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)を破棄し、②日本製品の不買運動、③日本への観光旅行反対運動などを政府/与党主導で進めると予想されます。 「②や③は、国民の自主的な運動で、韓国政府は関与していない」と言い張って、「両国の関係が悪化したのは、全て日本政府の責任で有る」と主張するでしょう。

 この泥沼を避ける唯一の手段は韓国政府が、超法規的措置で裁判所の判決を無効にする事です。 「そんな思い切った事をする」と思われますか? 今年の秋には日韓関係が悪化する恐れが有ります。 日本政府は何通りかのケースを想定して、対策を綿密に検討しておく必要が有ります。

【今後の北朝鮮対策】
 多くのコメンテーターは、「北朝鮮は核とミサイルは絶対に手放さない」と言っていました。私は、「核とミサイルの廃棄と交換に、連合国と平和条約を締結して経済発展を図る」と考えていました。 今となっては、私は「間違いだった」と率直に認めます。

 『日朝国交正常化推進議員連盟』は一度解散して、「核とミサイルを保有する専制国家に、どう対応するか?」を検討する議員連盟を作るべきだと思います。 核弾頭付きミサイルをアメリカ本土に打ち込める事が確認されたら、アメリカは許容しないかも知れません。 そこまで、北朝鮮の技術が進んでもアメリカが動かない可能性も有ります。

 中国が北朝鮮に核の廃棄を強烈に要求したら、北朝鮮は渋々従わざるを得ないと思われます。 然し、今の所、「北朝鮮の核とミサイルは脅威では無い」と中国は考えている様です。 日本は、「北朝鮮が核とミサイルの保有国になった」と言う前提で対北朝鮮外交と日本の安全保障体制を見直す必要が有ります。

 「拉致被害者を二、三人返すから、数百億円よこせ」と言って来ても、毅然と拒否すべきです。 ”何も出来ないし/何もしようとしない”国会議員達には「救う会」のブルーリボンバッジを付ける資格は有りません。 バッジを付けても票は、もう集まりませんよ! 非常に残念ですが、拉致問題は日本の多くの国民が願っている方向には動きません。

【今後の国際協力対策】
 国連と・その関連機関は新型コロナの問題では、殆ど頼りにならない事が明確になりました。 国連の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)のトップは、「中国から賄賂を貰っているのでは?」と思える様な発言を繰り返しました。

 トランプ大統領は「WHOから脱退する」と言い出し、一部のコメンテーターは賛同する様な発言をしています。 国連加盟国は193か国も有り、貧しい国が多く、為政者が賄賂を要求するのが普通になっている国、非人道主義国家等々が加盟しているのです。更に、中国は金の力で問題の有る国を味方に付けています。 国連は、今後ますます非力になっていくと思われます。

 民主主義諸国が国連を脱退して新しい国際組織を作り、現在の国連を中国とロシアが支配したら、世界が混乱するのは間違い有りません。 私は、「国連は問題の有る国や貧しい国を支援する組織だ」、「無いよりはましな存在だ」と割り切って対応すべきだと考えています。日本の首相が国連総会で名スピーチをしても、何の効果も得られません。

 日本は、『G7』や『G20』に注力すべきです。他国を援助するのだったら、国連経由では無く、直接その国に金を渡すべきです。

コロナと世界の政治&経済 (その1)

2020-06-06 11:37:00 | 新型コロナウイルス
 3週間振りに新型コロナウイルスについて投稿します。「新型コロナの問題が片付いたあと、世界の政治/経済は大幅に変質するのでは?」と私は恐れています。今回は、そう考えるベースで有る、産業革命、中国の工業生産量、各国の覇権主義について考えて見ました。

【はじめに】
 日本は新型コロナの第一波を何とか凌ぐ事が出来ました。 少し余裕が出来たので、国民は冷静になって今後の事を考える必要が有ると思います。

 当面の課題は、「医療崩壊が起きない様に配慮しながら経済活動を再開し、新規感染者が増加してきたら経済活動を一時停止すること」です。 然し、本当の課題は、「新型コロナ問題の後に世界の政治/経済が変質する可能性が有り、国家の総力を投入して対応すること」だと思います。

【結 論】
 アメリカではトランプが再選されるか?微妙な情勢になってきましたが、バイデンが大統領になっても、「中国との第四次産業革命の主導権争いは激しくなる」と予想されます。 米中の覇権争いで、日本は”立つ位置”を自分で決める必要が有ります。

先進諸国は新型コロナ対策で国債を多量に発行し、疲れ果てた状態になっています。 世界経済の落ち込みを回復させることの出来る、余力の有る国は無いと見るべきです。

 日本の与野党の政治家は、「新型コロナ対策費に200兆円必要だ!」、「更に100兆円追加すべきだ!」などと言っています。 「新型コロナで世界の政治/経済がどう変化するか?」を見極めて、必要な金額を議論すべきです。日本は、消費税をアップした事により経済は落ち込んでいまから、その分も考慮する必要が有ります。

 日本は幸いにも”デフレ脱却”が課題です。国債を更に発行してもインフレが危険水準になる可能性が低いと思われます。バブル崩壊後の『失われた20年』が再来しない様に、十分な金を投入する政策が必要です。

 韓国では、4月の選挙で左派が圧倒的な勝利を収めました。一部のコメンテーターは、「国民の人気取りが必要で無くなるから、日本との関係改善に向かう」と予想していました。最近の文大統領の言動からは、「新型コロナの問題が起こる前よりも反日の政策を取る」と考えておく必要が有ります。 多分、文大統領は「日本製品の不買運動」を更に進めるでしょう。 コロナの感染が収まっても、「日本へ旅行しない運動」を起こすと思われます。 日韓両国の経済を悪化させます。 この事にも配慮した政策が必要です。

【産業革命】
 日本の政治家やジャーナリスト達は、勉強不足なのか?諦めてしまったのか?分かりませんが、現在進行中の『第四次産業革命』を取り上げません。私は”技術屋の端くれ”として生きてきたので、「国家として第四次産業革命に取り組まないと、今後・日本の経済は停滞してしまう」と考えています。 以下に、産業革命についての私の認識を書いておきます。

第一次産業革命 :1760年~1830年にイギリスで紡績・紡織などの軽工業が発達し、イギリスが大国になりました。技術はフランス、ドイツやアメリカに伝わり、それまでの手工業から機械工業に変わっていったのです。『革命』の速度は、現在から見ると非常に遅かったのです。(当時、後進国を植民地化したのは、原料を確保する為だったと思われます。)

第二次産業革命 :19世紀の後半に化学、電気、石油および鉄鋼の分野の工業技術が飛躍的に発展しました。日本の明治維新は1868年ですから、第二次産業革命の真っただ中でした。 国を挙げて近代化に取り組んだので、日本は列強の仲間に入れました。

第三次産業革命 :20世紀の半ば(第二次世界大戦後)からは原子力発電とコンピュータの分野で技術革新が有りました。特に、コンピュータはハードだけで無く、ソフトが目覚ましく進歩しました。現在は第4世代の通信システム(4G)ですが、「機械に発信装置を付けて納入し、機械メーカの事務所で運転状況をチェックする」ケースも増えています。 私が1990年頃に開発に参加した装置では、各部の温度、圧力、流量等の運転データをパソコンに取り込み、CDに記録して、問題が発生した時は運転データをメールで送ってもらって、操作ミス、過負荷運転の有無、バルブ等の故障の有無・・・故障原因を担当者が現地に行かなくても解明出来る様にしました。

第四次産業革命(4IR) :第三次と第四次の境界線は明確には出来ませんが、第四次産業革命が進むと、世の中は今までとは全く違った世界になるでしょう。 自動車は無人運転になり、私達の身近でロボットが活躍し、・・・⇒「世の中はひっくり返ってしまう」と私は思います。SF映画の様な世界が、もう直ぐ実現されようとしているのです。

(余談) 第四次産業革命が進むと、人間に残される仕事は段々少なくなってくるでしょう! 「人間とは何か?」、「どう生きるべきか?」と悩む人が増えて、「”鬱病”になる人が増加してしまうのでは?」と危惧しています。医療も格段に進歩しますから、100歳以上の人が”うようよ”いる事になってしまいそうです。第四次産業革命は人類にとっては、好ましく無いかも知れません!

【中国は世界の工場になっています】
 鄧小平が始めた中国の工業化は、西側諸国の安易な支援を受けて大成功し、中国は『世界の工場』と呼ばれるまでに発展しました。貿易黒字が続いたので莫大な外貨を蓄積し、優秀な若者を海外(主としてアメリカ)に留学させて、『工学/理学等々の分野の人材国家』になっています。

 21世紀に入って中国の工業化は、トンデモナイ速度で進みました。中国は、第二次産業革命までの人類の英知を活用した世界最大の工業国になったのです。 西側諸国では需要量を加味して生産計画を立てます。専制国家の中国では、一部の分野が赤字でも、国家全体で黒字ならOKなんです。 (以下に示す様に)鉄鋼、セメント及びアルミニウム等の装置産業の分野では、驚異的な量を毎年生産して安い価格で外国に輸出しています。西側諸国では関税を高くしないと、自国の企業が立ち行かなくなってしまいます。

 中国はその余力で、第三次産業革命の技術を吸収し続けて、もう直ぐアメリカの技術レベルに近づく所まで来ました。21世紀になって始まったと言われる『第四次産業革命』の覇者に中国がなる可能性が極めて高くなりました。 これが、『ファーウェイの問題』です。 アメリカが世界No.1の地位を維持する為には、アメリカが第四次産業革命の覇者になる事が不可欠なんです。

★ 鉄鋼生産量 :2019年 ;世界総生産量=187,000万トン
① 中国 :99,600万トン(53.3%)
② インド :11,100万トン(5.9%)
③ 日本  : 9,900万トン(5.3%)
④ アメリカ :8,800万トン(4.7%)

★ セメント生産量 :2016年
① 中国 :241,000万トン
② インド :29,000万トン
③ アメリカ :8,500万トン
⑬ 日本  :5,500万トン・・・2015年

★ アルミニウム生産量 :2018年
① 中国 :3,580万トン
② インド : 368万トン
アメリカは⑨、日本は㊷です。

★ 自動車生産台数 :2019年 ;世界総生産台数=9,179万台 (CBU;完成車ベース)
① 中国  :2,572万台
② アメリカ :1,088万台
③ 日本  : 968万台
④ ドイツ : 466万台

(出典) グローバルノート(株)が有料(690円/月)で各種統計データを公表しています。上記の値は会員で無くても読める範囲のデータを整理したものです。

【覇権主義】
 日本は第二次世界大戦に敗れて、「武力や金で他国を侵略/支配したい」と考える人は殆どいなくなりました。 そして、「他国も同じ考え方だろう」と思っている人が沢山いる様です。

 現在でもアメリカ、中国そしてロシアは覇権主義の国家です。「新型コロナが3国の覇権主義に油を注ぐ事になる恐れが有る」と私は考えています。

➊ アメリカ :「自国の利益を追求する、影響力を拡大する」と言う、文字通りの覇権主義国家はアメリカだと私は思います。第二次世界大戦後、アメリカは世界一の経済大国で有り、世界一の軍事大国を維持して来たので、日本も含め西側の諸国は異議を申し立てる事は出来ませんでした。ソビエトが元気だった頃でも、日本の繊維産業を縮小させたり、日本に航空機産業を発展させなかったり、圧力を掛け続けたのです。

 1978年に鄧小平が改革開放政策を打ち出した時、カーターが大統領でした。その後、レーガン→大ブッシュ→クリントン→小ブッシュ→オバマ大統領と続きました。「中国でアメリカの企業が利益を得て、安い製品を輸入出来た」と言う点では中国の開放はアメリカにメリットが有ったと思います。

 小ブッシュの頃から中国企業が急激に成長しました。オバマ大統領の時代の2012年に習近平が国家主席になると、露骨な覇権主義政策を取り始めました。オバマ大統領は従来の国際ルールに従った(おとなしい)中国への対抗手段を取りました。 中国は”意に介さず”経済を更に発展させ、人民解放軍は近代化/戦力アップを進めました。 2017年にトランプが大統領になると、両国は覇権争いに突入したのです。 これが、『米中貿易戦争』の本質だと思います。

 米ソ冷戦時代・ソビエトの経済は発展しなかったので、「何れは、アメリカが勝てる」と考えたでしょうが、中国の脅威はソビエトの比では有りません。トランプ大統領は本能的に状況を把握して、従来の国際ルールを無視した『中国叩き』を始めたのです。

➋ 中国 :第二次世界大戦後、中国は貧しく軍備も整っていない時期から覇権主義国家でした。1947年に内モンゴールを、49年からはチベットに侵攻し、49年には東トルキスタン共和国を併合して新疆ウイグル自治区としました。

 1969年に中国とソビエト間で国境紛争が勃発しました。「清朝の時代にロシア帝国に奪われた広大な領土を、中国が取り返そうとしたのだ」と私は見ています。1995年に中露国境協定が結ばれて、国境はほぼ確定しました。当時の国家主席は江沢民で、ベトナム、タジキスタンなどとの国境問題も解決しました。 覇権主義者の習近平は、「江沢民は国を売った」と主張している様です。

 新型コロナの世界中への蔓延で世界の需要は減少すると予想されますが、中国は過剰な工業製品を外国に売り続ける必要が有ります。需要に見合う生産量にしたら、国内の失業者が増加して、共産党への不満が大きくなる恐れが有ります。 今の所は外貨を沢山持っているので、「金の力で中国製品を買わせようと露骨な動きをする」と私は予想しています。100%旨く行くとは限りませんから、共産党への不満を抑える為に、「西側諸国の反対は無視して、先ずは、香港の市民運動を抑え込もう」と動き出した様に見えます。

❸ ロシア :共産主義思想を固守したソビエトでは、第三次産業革命の潮流に旨く乗れなかったので、相対的な経済力が低下しました。遂に、1991年にソビエト連邦は崩壊してしまい、ロシア連邦になりました。 ロシアの領土は世界第一位(日本の45倍、アメリカの2倍)です。地下資源が豊富な国です。軍需産業以外の工業は余り発展していません。 「覇権主義を国民の多くが現在でも支持している国だ」と私は見ています。 その証拠は、2014年にウクライに侵攻してクリミア半島を奪った事です。

❹ 日本 :政府開発援助(ODA)のうち二国間援助は、相手国に「日本から物を買ってくれ」、「国際問題が発生したら、日本を支持してくれ」、「国際機関の役員選挙で日本の候補者に投票してくれ」、・・・等々の魂胆が有って行うものだと思います。 広義の覇権主義です。日本はバブル崩壊以降、経済力が低下したので、現在の中国の様に露骨な事が出来ないだけです。

【貿易協定について】
 各国が豊かになるためには、関税を撤廃したり、低く抑えて貿易を活発にする事が必要です。コロナの問題が発生して日本人にとって不可欠なマスクが殆ど中国で製造されていたことが分かりました。 中国製とインドネシア製マスクの価格が非常に安いことも分かりました。(一時期、店頭からマスクは消えましたが、輸入量は減少しなかった様ですから、輸入業者が値上がりを期待してストックしたのか?小母さん達が余分に買いだめしたか?が原因だったのでは?)

 新型コロナは、「目先の利益だけでなく、非常事態の事も考慮した貿易協定を結ぶべきだ」と言う教訓を各国に示したのだと思います。 各企業もサプライチェーンの再検討が必要になりました。

★ 自由貿易協定(FTA) :2ヶ国以上の国及び地域間の協定
★ 二国間自由貿易協定
★ 多国間自由貿易協定

 2006年のAPEC首脳会議でアジア太平洋自由貿易圏構想が提唱され、2008年にオバマ大統領が参加を表明して、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の協議が始まりました。然し、2017年にトランプ大統領が誕生すると、「TPPには参加しない、アメリカは各国と二国間自由貿易協定を進める」と言ったのです。

 アメリカは大国で有るメリットを最大限生かして、弱小国にアメリカが有利になる条約を押し付ける方針に戻ったのです。