これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

政治家や官僚と賄賂 (その6)

2020-03-28 11:13:07 | 社会問題
 ”金”に関する不正を減らしましょう! 今回は、不正を減らす対策について書きます。

【結論 :私の提案】
 サラリーマンは税金や社会福祉の掛け金を給料から天引きで、”きっちり”と徴収されますが、中小企業の社長や開業医等は子供に車を買ったり、その車のガソリン代を経費で落としたり出来ます。不公平だと思いませんか?

 私は2月8日から5回に分けて、「政治家、官僚や民間人の金に関する種々の不正や、その黒い金をどんなにして調達して来たか?」について書きました。 種々の不正が横行しているので、「こうすれば、不正はなくなる」と言う妙案は有りません。 少しずつ、減らしていく継続的な努力が必要です。

 私は、以下の①~⑤を同時に進めたら、大口の”金”に纏わる不正を大幅に減らせると思います。

① キャッシュレス化を進める。
② 金を扱う全ての組織に番号を付ける。
③ 金融機関の口座と、マイナンバー及び②の番号を連結させる。
④ 大口の取引の書類は電子化を義務化し、相手の番号(マイナンバー及び②の番号)を記載させる。
⑤ 高額紙幣を廃止する。

【お金に関する不正を減らそう!】
 「お金が欲しい!」と言うのは、誰にでも有る『煩悩(ぼんのう)』の一つです。大抵の人は、「不正の金は欲しくない」と言われますが、「誰もいない所で、目の前に札束を積まれたら欲望を抑える事が出来なくなる」と私は思います。

 お金になる権力を握った人の周りには、金を”そっと”持ってくる悪魔が”うようよ”と集まって来ます。 現在は、超大形のコンピューターが比較的安価で買えますから、政府と政治家達がその気になれば、悪魔が近づけ難くする事は出来ます。

 日本でも(遅ればせながら)個人の識別番号(マイナンバー)と法人番号が導入されました。 私は、お金を扱う全ての団体に識別番号を与え、金融機関の口座に連結させて、さらにキャッシュレス化を進め、2000円以上の高額紙幣を廃止したら、お金に関する不正は激減出来ると思っています。

 将来、キャッシュレス化が進んだ時に、田中角栄氏の様な強力な権力を握った政治家が出てきたとします。闇献金が銀行振込でしか出来なかったら、振込側も、受け取り側も難しくなります。 (これは、今・まさに中国が進めている腐敗防止対策です。)

【識別番号の現状】
 日本に住民票が有る人間には、全て国民識別番号(マイナンバー )が振られます。税金を取るために株式会社などには、国税庁が法人番号を付けています。 然し、税金が免除される組織の場合は全てでは有りません。

 私は、お金を遣り取りする組織/団体には全て番号を振るべきだと考えます。そうすれば、金の流れを把握する事が今よりは簡単に出来ます。特に政治団体には必須です。

 近年、写真付きの身分証明書の提示が要求されるケースが増えて来ています。金の遣り取りのケースでは、マイナンバーカードに限定し、取引の書類にマイナンバーを記入させるべきだと考えます。

① 法人番号 :国税庁
② 国民識別番号(マイナンバー ) :市区町村長が住民基本台帳(住民票)を元に発行
③ 政治団体の識別番号
④ 一般社団法人
⑤ 一般公益財団法人
⑥ 宗教法人 :寺、神社、教会、新興宗教
⑦ 教育機関
⑧ 労働組合
⑨ 各種団体/組合などなど
⑩ 町内会

(余談) マイナンバー制度に、何故か左派系政党が反対して導入が遅れたのです。1980年代前半に、関東地方建設局(関東地建;現在は関東地方整備局)がマイナンバーのためのコンピューター・センターの建設計画を進めていました。私は非常用発電設備の営業活動のために何回も関東地建を訪問しました。計画は順調に進んで何時でも着工出来る状態になっていたと思いますが、社会党の猛反対で実現しなかったのです。

【キャッシュレス化の世界状況】
 「個人情報が全て、国などに把握されてしまう」等を理由にして、キャッシュレス化に反対する方が沢山おられる様ですが、キャッシュレス化は世界的な流れです。 「2007年から2016年で、各国のキャッシュレス化がどの程度進んだか」を以下に整理して見ました。日本とドイツが遅れています。

参考資料 :世界のキャッシュレス比率から日本のキャッシュレス化の現状を解説!
https://www.ebisumart.com/blog/cashless

★ 韓国  :2007年:61.8%→2016年:96.4%
★ イギリス  :37.9%→68.7%
★ オーストラリア:49.2%→59.1%
★ カナダ :49.0%→56.4%
★ アメリカ:33.7%→46.0%
★ フランス:29.1%→40.0%
★ 日本 :13.6%→19.8%
★ ドイツ :2007年:10.4%→2016年:15.6%
● 中国 :2016年には60%程、現在はもっと進んでいると思われます。

【リクルート事件のあと】
 1988年にリクルート事件が発覚しました。リクルート社は、裏金を渡すと言う昔からの方法では無く、値上がりが見込める未公開株を譲渡すると言う『画期的な手法』を考え出したのです! 私は、素人が考え出した『馬鹿な手段だ!』と思いました。 賄賂には”足のつかない金”が鉄則です。株の取引には必ず金融機関が介在するので、検察が調べ始めたら”白を切る”事は不可能です。

 戦後・少しずつですが、国会議員が黒い金を集めなくてもやって行ける様に、改革が進みました。一番効果が有ったのは、リクルート事件後に政党交付金制度を導入し、衆議院を小選挙区比例代表制にした事だったと思います。政党交付金は25年も前に始まりましたが、金額は殆ど増えていません。

① 公設第一秘書 :1947年から
② 公設第二秘書 :1963年から
③ リクルート事件の発覚 :1988年
④ 政策担当秘書 :1994年から
⑤ 政党交付金 :1995年から(約302億円)→2019年≒318億円
⑥ 衆議院を小選挙区比例代表制に :1996年~

【政治家の不正を減らす】
 政治家への闇献金は、1990年までと比較すると、現在は激減している様に思います。最近の政治家は”金”より”票”が欲しいのです。(昔は、金で票を集めたのです。)

 河井克行/案里夫妻がウグイス嬢等に法定額以上の給料を支払った様な問題は、法律を現状に合う様に改定しない限り、今後も発生すると予想します。(自民党から案里議員に1.5億円もの大金が支給されたと報じられましたが、その用途に関する報道は有りません。正常な選挙運動にそんな大金が必要な分けがないので、不正を行ったのでしょう? ウグイス嬢より、そちらの方が問題だと思いませんか?)

 「政治家が不正を繰り返すと、国民の政治への関心が薄れて、投票率は低下していく」と私は恐れています。民主主義の根幹は、選挙で投票することです。 その対策について、長年考えてきた私の提案を次回に投稿する予定です。

【役人と天下り役人の不正を減らす】
 入札情報と引き換えに、企業に金を要求する役人や元役人の不正は、金額が大きいので前述の『私の提案』で減らせると思います。

 2018年4月27日に投稿した、『せこい役人の話し』に書いた様な不正は、数千円~数十万円と少額なので撲滅は難しいと思います。10万人の役人が、一人平均10万円の不正な金を受け取っても、100億円です。役人のモラルを向上させるのは至難の業ですから、この程度の不正には目を瞑るしか方法が無い様に思います。

【個人の不正を減らす】
 オーナー会社の社長が業者に支払った金の一部を現金でフィードバックさせる様な、大口の不正は前述の『私の提案』で減らせると思います。

 業者に品物を要求したり、数万円の金を要求する社員の不正を減らすのは難しいと思いますが、企業が進めているコンプライアンス運動の中に、この手の社員の不正を含めたら激減するかも知れません。日本の企業にとっては信用が大切ですから、役人の不正よりは減らせられると思います。

【相続税の節約】
 高齢の金持ちの関心事は、相続税の節約です。 私は高齢ですが子供に残す金が無いので、相続税を減らす方法を考えた事が有りません。然し、色々工夫している方を知っています。

 私の乏しい知識で考えた相続税の節約方法を下に列記します。いずれも、本人が生きている間は違法では有りません。亡くなった親から貰った③と④の品物を売る時にマンナンバーを記載させるなどによって、不正を減らせるでしょう。(現在は、写真付きの身分証明書の提示が要求されるだけです。)

 ②の現金を残すケースについては、二千円以上の高額紙幣を廃止すれば、ほぼ無くなると思います。 (千円札で一千万円の物を買う為には、銀行の帯封の付いた札束が100必要です。)

 超・超金持ちは、スイスの銀行に預けて脱税する事が可能です。 2010年頃から段々とスイスの銀行も、各国からの圧力で秘密保持が難しくなって来ています。現在・既に建前上では、日本政府が情報開示依頼をスイス政府に出し、スイス政府が銀行に情報開示を指示すると、銀行は従わなければならない様です。

① 外国の銀行に預ける :スイスの銀行など
② 箪笥貯金 :現金を保管
③ 金、白金、宝石、絵画、美術工芸品
④ 記念硬貨 :特に金貨

(余談) 先日、酒の買取店の店員と話していたら、「サントリーの山崎・50年が3,000万円で売れた」と言っていました。 ほんとか?と思ってRakutenで調べたら、なんと!3,880万円円で売っていました。ウイスキーも投機の対象なんですね!

(馬鹿馬鹿しい例) 某中小企業の社長(T社長)は、少しずつ脱税してバブル景気の頃に庭付きの一戸建て住宅を五軒以上買いました。 2000年頃に取引先の大手企業から、定年まじかの優秀な社員を紹介されたのですが、彼の入社条件は社宅の提供でした。その時、私はT社長から相談を受けました。T社長は持ち家の間取り図を数枚出して来て、「どれがよいか?」と聞くのです。 奥さんが大反対されて、話は無かった事になりました。 T社長は、現在90才を超え、息子に社長を継がせていますが、健在で、固定資産税を30年程払い続けています。 築後30年程になりますから、家屋の価値は有りません。地価も暴落していますから、T社長は大損をした事になります。

政治家や官僚と賄賂 (その5)

2020-03-21 09:42:29 | 社会問題
 今回は選挙の話しです。「政治には金が掛かる」とは、「選挙に金が掛かる」と同義語です。 昔の政治家は超高級料亭や高級ホテルで密会していましたが、その費用は選挙の費用と比較したら大した額では無かったと思います。

【ボランティアの選挙運動をやってみませんか!】
 リタイアされた方には、ボランティアでの選挙運動をお勧めします。 足腰が丈夫でしたら仕事は沢山有りますから、参加させてもらえます。特に、車を持っていたら大歓迎されるでしょう。 日本の選挙の問題点だけで無く、政治家の問題についても勉強出来ます。

 私は2009年7月の衆議院選挙で、民主党候補の選挙運動に参加しました。(この選挙で民主党政権が誕生しました。) 私は”手弁当”で参加したいと考えたので、最初に五万円政治献金しました。 (ちゃんと領収書を頂きました。) この時の話しは、本稿の最後に書きます。

 選挙運動に参加して、若い人達に参加してもらえる様な選挙運動にする必要が有ると痛感しました。選挙は、春休み/夏休み/冬休みに行う事にして、インターネットを活用する等したら、選挙が盛り上がり、投票率が高くなると思います。

【選挙と法律】
 公職の選挙については、1948年(昭和23年)に制定されたと政治資金規正法・1950年の『公職選挙法』に従って行わなければなりません。選挙で、やってはいけない事が細かく規定されたいる、先進国では珍しい法律の様です。 この法律は総務省の所轄だと思いますが、衆議院のホームページで『公職選挙法』で検索すると全文が読めます 選挙運動の規定の解説は『総務省❘現行の選挙運動の規制』で検索して下さい。

 公職選挙法の精神は「金を掛けない選挙をしなさい!運動は原則として無償のボランティアを集めてやって下さい。ウグイス嬢、手話通訳者や事務員には規定の給料を払って良いが、届が必要だ!」 法律に従った選挙をしたら、昔から(1950年から)そんなにお金は掛かりません。然し、現実には違法な事が半ば公然と行われてきたので、昔はトンデモナイ金が必要だったのです。

 時々問題になるウグイス嬢の給料は公職選挙法施行令の第129条「実費弁償及び報酬の額の基準等」に規定されています。 衆議院選挙の場合は、ウグイス嬢は連続12日間、朝8時から夜8時(12時間)働いて、最大で18万円しか貰えません。声が綺麗で、まあまあの美貌で若い女性を、こんな金額で雇えと言う法律が間違っています。 いっそのこと、「シルバーセンターに依頼しなければならない」と施行令に書くべきです。

① 公職選挙法&公職選挙法施行令
② 政治資金規正法&政治資金規正法施行令

【政治家への国からの補助】
 国会議員の受ける恩恵を以下に整理して見ました。落選して次の選挙を目指している政治家と比べると、国は現職議員に沢山お金を与えています。然し、野党議員でも地元に事務所を持っており、公設秘書以外の事務員を抱えているので、政治献金が必要です。政治力の無い議員は、自分の歳費を回す必要があります。

 私の独断と偏見ですが、有力議員の秘書は多忙で、秘書は三人では足りない様ですが、陳情者が殆ど来ない議員に三人も公設秘書が必要か?疑問に思います。

 国会議員の年金は2006年に、地方議会議員の年金は2011年に廃止されました。従って、現在・議員は国民年金に入る事になります。 老後を考えると、議員のうちに蓄財する必要が有ります。(地方議員の中で御用組合出身者は、会社の社員として厚生年金に加盟している人もいる様です?)

① 東京事務所 :衆・参議員会館 ;100m2 無料
② 地元事務所 :議員の自己負担
③ 東京の宿舎 :格安マンション ;3LDK(82m2)で8.4万円
④ 秘書 :国費で三人の秘書が雇える(政策担当秘書、第一秘書、第二秘書)
⑤ 旅費 :JRと飛行機の切符が国から貰える。
⑥ 文書通信交通滞在費 :100万円/月

【選挙の仕事】
 選挙には多種雑多な仕事が有ります。給料を払って良い仕事と、無給(ボランティア)の仕事が有ります。費用対効果の観点で法律を見直す時期ではないかと思います。例えば、ハガキやポスティングの廃止。 関西大学の三浦麻子教授は、「選挙カーは効果が有る」と報告していますが、顔と名前で投票するのは止めませんか!

❶ 出納責任者
❷ 選挙事務所の責任者 :仕事の分担、演説場所の決定
① ウグイス嬢 :有給
② 選挙カーの運転手 :有給
③ 手話通訳者 :有給
④ 事務員 :有給
⑤ 応援演説者
⑥ 電話掛け
⑦ ビラ配り
⑧ ハガキの宛名書き :衆議院選挙では35,000枚以下
⑨ ポスター貼り :有給
⑩ ポスティング
⑪ 街頭演説の準備/場所取り
⑫ 個人演説会の会場設定 :椅子を並べるなど
⑬ 昼食や飲み物の手配

【党員とボランティア運動員】
 前述の様に、選挙には色々な仕事が有るので、運動員が沢山必要です。然し、法律では一部の仕事を除いて無給(ボランティア)でやる事になっています。「候補者の後援会員と党員を動員して選挙しなさい」と言うのが法律の建前です。

 ウイキペディアで調べた近年の党員数を下に整理しました。公明党と共産党は全国で戦える党員数です。自由民主党の党員数は、ずば抜けて多いいですが、「汗水たらして選挙運動をする党員は極めて少ないのでは?」と推察します。「金持ちは喧嘩も、選挙運動もしない」のでしょう?!

 立憲民主党と国民民主党は党員数が少ないので、連合の支援が得られ無ければ選挙運動は難しいと思います。同じ選挙区に立憲民主党と国民民主党が、それぞれ候補者を立てたらどうなるか?連合がどちらを支援するか?興味深いです。

 日本維新の会は、歴史が浅く、党員も少なく、労働組合と財界(企業)の支援が殆ど無いと思われるのに、国政選挙を戦っている事に感服します。多分、党員で無い支持者達が選挙運動に参加しているのでしょう!

★ 自由民主党 :約107万人
★ 公明党   :約47万人
★ 日本共産党 :約28万人
★ 立憲民主党 :約6万人
★ 国民民主党 :約8万人
★ 社会民主党 :約1.5万人
★ 日本維新の会 :約2万人 ;衆議院=10名、参議院=16名

(余談 :自由民主党と選挙の方法) 私が見聞きした範囲から判断すると、自民党議員の選挙運動を熱心にやるのは、公明党の中年の婦人達の様です。自民党は党員を増やす運動をしていますが、”しんどい”選挙運動に参加して貰えない党員の数を増やしても問題は解決しません。大昔は手弁当で応援する旦那衆達が沢山いましたが、すでに絶滅しています。

 自民党は、党員組織の弱点/力を分析して、従来の人手の掛かる/騒々しい選挙方法を変えないと、法律違反で逮捕される議員は今後ますます増加する様に思われます。自民党にとっては、欧米先進国の選挙を参考にした、公職選挙法の改定が不可欠です。最近話題になっている河井夫妻は、「金で運動員を集める」と言う初歩的な法律違反をやった様です。党本部は、「地盤・看板・鞄」の無い候補者にどう戦えと指導しているのでしょか?

【昔の田舎の選挙運動】
 私は山奥の村で育ちました。戦前に水力発電所が3か所建設されていましたが、電気は町に送っていて、村の個人の家に電気が引かれたのは、私が小学校に入学した1952年頃です。殆どの家は電力計無しの一灯契約(?)でした。居間に電灯用のコンセントを一つだけ設ける、定額料金制の契約です。ラジオを含め、家庭電気製品は何も無かったのです。

 新聞を取っている家も殆ど有りませんでしたので、村の人達は「世の中のニュース」には疎(うと)かったのです。衆・参、知事と県会の選挙の時は、集落の人達が集まって、誰を応援するか? どの先生に集落の票を何票分けるか?等を相談して決めていました。

 2月8日に書いた様に、当時・『買収請負人』が活躍しましたので、集落の決定通りにはなりませんでしたが、それで咎められる事は無かったです。 父は何時も開票立会人を務めていました。「誰が集落の決定に従わなかったか?分かる」と言っていましたが、「どうして分かるのか?」は教えてくれませんでした。

(余談) 家で寝込んでいた病人は、青年達が担架かリヤカーで運んで投票させました。 病人は久しぶりに、外の景色を楽しめて良かったのかも知れません。

【昔の故郷の村長選挙】
 1965年頃、村に山林地主が二軒の残っていて、一軒は白浜の別荘で生活されていましたが、一軒(K氏)は村に住んでおられました。 村長選挙が近づくと、候補者達がK氏に支援をお願いしました。K氏は、自分の選んだ候補者に”ポント”選挙資金を提供したそうです。 私の父は、「K氏は金は出すが、口は出さない!」立派な方だと言っていました。

 選挙運動は、村に残っていた青年達が中心になって、お祭り騒ぎの様にして(ボランティアで)やっていました。 公職選挙法で(既に)酒宴を設けるのは禁止されていましたが、選挙期間中は、何処かの家に集まって、毎晩の様に”どんちゃん騒ぎ”をしていました。当時、村には居酒屋は無かったと思います。

 選挙が終わると、警察は落選した候補者と運動員を出頭させて、取り調べをしました。刑務所に入った人はいなかったと思います。安酒と裂きイカ程度では、”目くじらを立てる”程の金では無かったのです。 今から考えると、娯楽の少ない村の青年達にとっては、秋祭と同じほど楽しみな事だったと思います。 落選した人には痛手だったでしょうが、青年達が(自分達の楽しみの為に)、「野心の有る/裕福な人を煽てて立候補させたのは、民主主義を広める点で意味の有る事だった」と私は思います。 そうしなかったら、無投票当選になったでしょうから。

(余談) その後、国からの補助金で、各種道路(国道、県道、村道、農道、林道)の改修工事、簡易水道と簡易下水工事、学校の建替えなどが毎年の様に行われ、村長には『金の悪魔』が頻りに手を差し伸べて来るようになりました。村には、青年が少なくなってきた事も有って、お祭り騒ぎの様な村長選挙は無くなりました。

【明治生まれの人達が元気だった頃】
 私の父は衆・参と知事選挙の時は、家に帰って来ませんでした。特に知事選挙の時は一か月ほど留守にしました。何処で何をしていたかは一切話しませんでしたが、選挙運動をしていたのは確かです。義理の父も、元気な頃は家業をホッタラカシテ選挙で走り回っていたそうです。旦那衆達は『損得抜き/魂胆無し』のボランティアでやったのです。

 旦那衆達の活躍は段々と無くなりました。 逆に、日本は豊になって、土木工事が全国的に行われる様になりました。(土木工事が地方の重要な産業と言われる様になったのです。) 中小の土建会社が雨後の筍の様に設立されて、選挙運動に社員を派遣する様になりました。 私の従弟も土建会社を設立して、選挙に社員を出していました。勿論、土建会社は魂胆が有って、与党を応援したのです。 (企業が社命で従業員を選挙運動に参加させるのは、”違法”です。)

 全国的に土木工事の予算が増えなくなり、衆議院が小選挙区制になった事も有って、土建会社が社員を選挙運動に派遣する悪習は少なくなってきたと思います。 (現在は無いと信じています。)

(余談) 先見の明の有る暴力団の親分達も、土建会社を設立する様になりました。親分は息の掛かった人間を市や町の議員にまでしました。そして、継続的に土建の仕事を獲得する様になりました。現在は大分少なくなって来た様ですが、私の知っている暴力団の会社は今でも存在しています。

【連合が支援する選挙】
 初めに書いた様に、2009年の衆議院選挙で民主党候補者(D氏)の選挙運動に参加しました。その時に知った、差しさわりの無い話を書きます。

 D氏は、国会議員で有る他にキリスト教の牧師で有り、福祉団体の理事でした。国会が休みの日曜日には地元に必ず帰って来られて、牧師を務められていました。地元事務所には女性秘書が一人勤務していて、パートの女性一人と、時々ですがパートの若い男性が一人いました。 私は、与党議員の事務所を少し知っていましたが、公示されるまではD氏の事務所に出入りする人は無く、全く違う静寂の世界でした。

 私は、子供の頃は敬虔なカトリック教徒でしたので、牧師のD氏と宗教の話をしたかったのですが、水を向けても応じて貰えませんでした。 (本当に神を信じていたのか?少し疑問に思いました。)

 D氏は市民運動家の様な方で、既に6回当選していましたが、経済、産業、教育、防衛・・・には興味が無かった様に見えました。政治のドロドロした面にも興味が無かったと思います。 市会議員が、「市役所職員の天下り問題を、こんなに改善した」と言う話をしても、全く聞いていなかったです。

 D氏の後援会名簿を見せてもらいましたが、ビックリするほど会員が少なかったです。公示の少し前から、女性の会員(小母さん達)が、十人ほど事務所に出入りする様になりました。県会議員と市会議員から、後援会名簿が届けられました。 私は、やっと腕が振るえると思ったのですが、彼女達は躊躇い(ためらい)も無く、選挙ハガキの宛名書きを始めました。 法律で衆議院候補者の選挙ハガキは35,000枚以下と定められています。 私は、エクセルで名簿を作成して、『フィルター』機能を使って重複しない様にするつもりでした。 法定数を遥かに超える枚数の宛名書きが完了したら、真夜中に日本郵便の郵便区分機で町内毎に仕分けして、重複しているハガキを破棄しました。

 公示直前に東京事務所の秘書・二人がやって来ました。 二人とも「選挙は自分の仕事では無い」と言う態度で、傲慢/無礼で、選挙は素人だと直ぐ分かりました。公示日から連合が選挙事務所に沢山の運動員を連日送り込んで来ました。連合の責任者が、運動員の仕事の分担を決めていました。 私は、12日間の選挙期間中に、朝から晩まで外を走り回っていて、事務所には朝と昼食時間にしか行きませんでしたが、連合の責任者が東京の秘書に「東京に帰れ!」と怒鳴っている所に遭遇しました。 そこにいた人達は、「よくぞ言ってくれた」と言う顔付でした。

(トラブル ①) 公営の選挙ポスター掲示板の見回りが必要でした。私がチェックしていた範囲でも、投票所の近くの掲示板でD氏のポスターだけが3枚剥がされていました。

(トラブル ②) 私は二人一組で、市会議員達が了解を取ってくれていた家のヘンス等にポスターを貼って回りました。 奥さんが、「主人から、ポスターを貼りに来ると聞いているのですが、町内に○○会の方がおられて、嫌がらせをされるので勘弁して下さい」と、何軒も断られました。

(感想) 連合が全面的にバックアップしてくれる候補者の場合は、現行法の枠内で選挙運動をする事は出来ると思います。但し、連合の集票力は衰えている様に見えます。

(余談) 公示日と翌日くらいは、マニフェストやチラシを強引に渡す状態でしたが、欲しい人が段々増えてきて、在庫が少なくなって来ました。欲しい人にだけに渡す事になりましたが、「もう・これだけしか残ってない! 明日からどうしようか?」と言っていたら、党本部から追加が届く様になりました。 一週間程して、週刊誌が「民主党が勝利する」と報じ、私も選挙事務所で「民主党の勝利は間違いない」と言いたのですが、周りの人達は半信半疑でした。 (D氏は7回目の当選を果たされました。)

新型コロナウイルスと東京オリンピック

2020-03-14 12:54:26 | 国際問題
 今回は予定を変更して、「東京オリンピックの中止を至急決定して、公表すべきだ!」と言う私の考えを投稿する事にしました。新型コロナウイルスについては、2月15日と27日にも投稿しています。

【私見 :結論を早急に出すべき!】
 現在の世界的感染拡大の状況を見て、「東京オリンピックを予定通りに開催する」と言う人は、よっぽどの”ノー天気”な方です。 腰の重かったWHOさえ、3月11日にパンデミック(世界流行)だと言いました。

 アメリカは、日本以上に検査体制に問題が有るようで、現在・公表している感染者数は少ないですが、検査体制が充実するに連れて感染者数が増加すると、私は予想します。トランプ大統領は、13日に非常事態宣言をし、新型コロナウイルス対策に5.4兆円投入すると今頃になって言い出しました。 トランプ大統領は、「東京オリンピックは一年延期した方が良い」とも言っています。

 私は、出来るだけ早い段階で、日本政府は「中止」を決定して、中止する事による経済損失を検討して、対策を取るべきだと考えます。

【安倍政権は真逆の政策を進めています!】
 安倍政権は、「何とかして東京オリンピックを開催する」と言う目標を目指して新型コロナウイルス対策を進めてきたとは到底思えません。 その時の思い付きで、学校などを休みにしたり、バラバラな政策を進めている様に思えます。 「何かやっている」と言う”アリバイ工作”をしているだけに思えます。

 今頃(3月13日)になって、総理大臣が「緊急事態宣言」を発することの出来る「新型コロナウイルス対策の特別措置法」を成立させました。然し一方では、東京オリンピックの中止や延期は有り得ないとも、政府は言っています。

 穿った見方かも知れませんが、「波風を立てない対策を適当にやっていたら、国内世論もオリンピックの中止の方向になり、多くの外国政府が”中止要望”を出してくるだろう。 そんな状況になって中止を決断した方が、政府の責任は追及されないだろう!」、「もしかしたら、アメリカのテレビ局からの圧力で、国際オリンピック委員会(IOC)が一年延期を決定してくれるかも知れない」と考えている様に思えます。

 安倍政権のスタッフ達は阿呆/馬鹿では有りませんから、かなり前にオリンピックは予定通りには開催出来ないと判断したと私は推察します。 然し、中止や延期の決断を”今”出したら、ホテル業界などから、損害賠償の訴訟が出る恐れがあるから、様子を探ろう! 多分・最近は、「バッハ会長が、中止か延期を決断してくれるだろう!」と決め込んでいるのでしょう。

【日本と韓国の検査体制】
 韓国は、検査を希望する人が出来るだけ沢山検査を受けられる様に工夫/努力してきました。その代表的な対策が、『ドライブスルー検査』です。 韓国のPCR検査能力は一日5,000件と言われています。

 安倍政権は、保険所経由で国立感染症研究所(国立感染研 ;NIID)に依頼して陽性/陰性の判定をする事に固守してきました。国立感染研には能力に限界があり、医者が検査が必要と判断しても、PCR検査が受けられない様な事態になったのです。 民間の検査会社に依頼出来無くしたために、日本のPCR検査能力は(増加してやっと)一日1,000件程度の様です。

★ 日本 :検査能力=1,000件/日 (人口=12,620万人)
★ 韓国 :検査能力=5,000件/日 (人口= 5,180万人)

 PCR検査を国立感染研に限定する為には、検査件数を抑える必要があります。 そのために、37.5℃以上の熱が4日以上続いた患者にだけ、PCR検査を実施する事にしたのだと思われます。

 「感染しても発病しない人が多く、発病しても重症化しないで自分の体力で治る人も多いいから、医療崩壊を防ぐために日本の方式の方が良い」と言う医者がいます。 然し、「東京オリンピックを予定通りに開催する」との視点で考えると、安倍政権の対策は明らかに”誤り”です。 急激な感染増加は抑えられるかも知れませんが、「オリンピックまでに感染を抑え込む」と言う大目標には真逆の対策を進めている様に思います。

【参加出来そうにない国と地域】
 奇蹟が起こって4月末までに日本で新型コロナウイルスの感染が抑え込めたとしても、他国の感染が収まらない限り、日本は入国制限を解除出来ません。この点から考えても、予定通りに東京オリンピックを開催するのは不可能です。 (オリンピック期間中だけ、感染が拡大している国からの入国を許可する事が出来ると思われますか?)

 世界には医療体制が整っていない国が沢山有ります。日本が安全になっても、そんな国から選手・役員・観客が来ると思いますか? 北朝鮮からは絶対に来ないと、私は思います。

 現時点でオリンピックへの参加が難しそうな国を、下に列記しておきます。こんな状況下で開催しても、海外からの観光客は予定を遥かに下回ってしまうと思います。アメリカが選手を送り込んで来なかったら、アメリカ人はテレビを殆ど見ないと思いますから、放映権を得るために沢山金を出しているアメリカのテレビ局は「一年延期の圧力」を国際オリンピック委員会(IOC)に掛けてくると私は予想します。→→バッハ会長が一年延期の方向に根回しを始めるでしょう!

① イタリア :3月13日の感染者数=15,112人
② イラン
③ 韓国
④ 北朝鮮
⑤ 中国
⑥ アフリカの国々 :医療体制が不備ですから、選手や観客が東京で感染したら大混乱になりそうです。
⑦ その他の貧しい国々
△ ドイツ :3月11日(感染者数=1,567人)→12日(2,369人)
△ フランス
△ アメリカ :3月13日非常事態宣言
★ ロシア :ドーピング問題で、もともと参加出来ません。

【私だったら】
 私が総理大臣だったら、①オリンピックには極力言及しない様にします。②新型コロナウイルス対策は長期戦になると覚悟して、対策を練り直します。 ③大臣を一名増やす特例法を制定して、創意工夫の点で優れた人を担当の大臣に任命します。

 経済連などにお願いして超優秀な/実行力の有る人材を民間企業から派遣してもらって、担当大臣の下で働いてもらいます。(各省庁からの派遣スタッフは最低限の人数にします。) 財政法第5条の規定による日銀の国債直接購入を、今国会で議決してもらいます。その金で、担当大臣とスタッフで思い切った政策を実行してもらいます。

 私が2月27日に投稿した『新型コロナウイルスと政治 (その2)』で提案した、将来の脅威に対する対策も実施します。

 コロナウイルスの問題は自然との闘いです。私が長年携わった研究・開発と同じです。従来の慣例/慣習に固守する、口だけ達者な人間は自然と闘う事はできません。自分の勝手な見方で自然に立ち向かっても、自然とは太刀打ち出来ません。「うまくいかない」時は、自分の考え方が間違っていると反省して、方向を変えられる人材を担当大臣に選ぶ必要が有ります。

政治家や官僚と賄賂 (その4)

2020-03-07 09:33:29 | 社会問題
 今回は、「どんなにして裏金を作ったのか?」と言う話しです。「金が欲しい」と言う欲望は無くなっていませんから、今でも裏金造りは、何処かで毎日行われていると思います。

【チケットショップが開店しました!】
 1980年前半の話ですが、当時・私は東京勤務でした。新聞に小さく、「御徒町にデパートの商品券を売る店が出来た」と言う新聞記事を読んで、興味を惹かれたので”半ドン”の土曜日に行ってみました。駅から直ぐの所に小さな店が有り、私は探偵の様に電柱の陰から様子を伺いました。風呂敷包にデパートの商品券を沢山入れた男性が入って、数百万円受け取って帰りました。十数分すると、アタッシュケースを持ったパリッとした身なりの男性が来て、さっきの商品券を買い取っていきました。 (買い取った男性は、多分デパートの社員だと思いました。) 多分、この店は「デパートに商品券が入った」と電話したのでしょう。

 店に入ってみると、商品券は『5%引き』で売っていました。「実に旨い商売を考え付いたものだ」と感心しました。 さっきの取引が二百万円だとすると、30分もしない間に十万円も儲けた事になります。

 「何が行われていたのか?」、皆さん分かりますか? 合法的に”裏金”を作っていたのです。 A社がデパートから百万円分の商品券を買ったとします。A社は百万円分の領収書が貰えます。A社がCチケットショップに90万円で売ると、損した様に見えますが、実はA社は大儲けしているのです。

 90万円の使途不明金が出ると、A社は税務署に90万円納めなければならないのです。A社が90万円の賄賂を渡すためには、180万円の出費になります。 商品券方式だと100万円ですむ事になるのです。 (A社がデパートの商品券ばかり、多量に購入すると税務署が疑い出すので、他の手も考える必要が有ります。)

(余談) 当時・デパートの店舗数は多く、どこも結構繁盛していました。安い商品券が多量に出回るのは好ましく無かったと思われます。デパートは100円で売った商品券を95円で買い戻し、また100円で売ったら少し儲かります。現在は逆に、デパートは顧客数の減少が問題ですから、誰かが金を出して商品券を安く売ってくれたら、客が増えるので”大歓迎!”だと思います。

【神保町の古書店】
 東京勤務の頃は、週に二、三回遠方に出張していました。車内や機内で読書していたので、週に数冊読んでいました。半ドンの土曜日に、神保町の古書店で纏め買いしていたのですが、新刊が出た数日後に”真新しい本”がドサッと店頭に積んだ所が有りました。(ベストセラーの本は、ビックリするほど沢山積んでいました。) 確か?10%引き程になっていました。私は、高価な機械工学便覧を買いましたが、私にとっては機械工学便覧は非常に大切な存在だったので、買いながら「こんな貴重な本で裏金を作ってはいけない!」と思いました。

 当時は、政治に巨額の金が必要でしたから、裏金作りに精を出す社員が沢山いて、”あの手この手”知恵を絞っていたのだと思います。

【裏金を作る商社】
 某大手企業に機械設備を買って貰える事になったのですが、「数百万円上乗せするから、その分はフィードバック(領収書無しで、現金を返却)して欲しい」と、急に言われました。 仕方なく、顧客の地元の小さな『裏金作りの商社』経由にする事になりました。

 建前は、『顧客(A社)が→商社(B社)に発注する→メーカー(C社)に発注』です。 A社がB社の口座に『D円=D1円+D2円+D3円』を振り込むと、D1円を現金でA社に返し、B社の取り分(D2円)を残して、「A社とC社で決めた金(D3円)」をB社がC社の口座に振り込む。 通常の商社経由の案件では、製作打合せや引取り検査に商社は立ち会いますが、この手の取引では、商社の仕事は金の遣り取りだけします。

 当時の営業部長は、入社以来・工場の製造畑で活躍された方で、商売についての知識/経験は殆ど有りませんでした。部長は商社経由にする事は認めたのですが、「銀行保証を付けろ」と言って、一歩も引かないのです。

 銀行保証を付けた事は、銀行は商社には秘密にしてくれるのがルールですが、この時は商社にばれてしまいました。 この手の商社は『信用が命』なので、「本件には関わらない」と強い口調で営業担当者に言ってきました。 顧客の担当者、営業担当者が商社の重役を説得する場に、私は立ち会いました。 私の役割は、「営業部長が技術屋出身で、世間知らずで、商売のルールを知らない頑固もんだ!」と言う様な話をする事でした。 何とか説得して事なきを得ました。

 私は技術屋ですから、裏金を受け渡す現場は見た事が有りません。 殆どのケースは数百万円でしたが、一億円と七千万円が動いたと思われる案件を知っています。 こんな大金を税務署に見つからない様に動かすには『裏金作りの商社』の手助け無しでは不可能だったと思いました。 全国で年に一兆円とか二兆円の裏金が動いていたのです。私は裏金造りの方法に非常に興味が有ったのですが、関係者全員が口が堅くて聞き出せ無かったです。

(余談) 私は、この営業部長を技術屋としては尊敬していました。彼は高卒でしたが、難しい機械加工技術を開発したり、欧米から最先端の測定装置や工作機械を導入しました。当時、部長以上はほとんど派閥人事でしたが、彼はどの派閥にも入らず、実力で若くして工場の製造部長になり、50歳を過ぎて営業部長になられたのです。営業部長になってからは、世の中のルールを無視されるので私は何回も酷い目にあわされました。

 営業部長は東京勤務でした。私達がフォローしていた九州の案件が受注直前まで進んで、「顧客の重役に挨拶に行って頂きたい」とお願いすると、「僕は忙しい、一億円程度の案件では行けない」と言い張られました。入社した頃の上司が他事業部の専務になっておられたので、お願いすると、気軽に引き受けて頂いたので事なきを得ました。他にも何回も、何回も同様の被害に遭いました。

【裏金が作れる設計事務所】
 2000年頃に小さな会社に出向していた時に、ベトナムから受注しました。商社から顧客を接待する金を用意する様に指示が有りました。「接待は商社でするが、その費用は君の会社持ちで、領収書は出さない」と言うのです。300万円ほどでしたが、小さな会社でしたから、そんな大きな使途不明金を出したら税務署に睨まれるのは必定です。社長と二人で悩みました!

 その会社に出入りしていた小さな設計事務所の社長が、表敬訪問に来ました。社長が「裏金300万円作るのに困っている」と愚痴を言うと、設計事務所の社長が「お力になりましょうか?」と言ってくれました。 この設計事務所の仕事の大半は、地方公共団体から頂いていたので、裏金造りは得意中の得意だったのです。

(余談) ご存知の通り、ベトナムは共産国です。機械の受け取り検査に来た方達は、国営企業のトップクラスの人達でした。滞在したのは一週間ほどでしたが、機械を見たのは二、三時間で、後は温泉地巡りの豪遊をされて、大満足で帰られました。 (どこの国の人間でも同じですね!)

【空出張】
 全国で営業マンと設計が十数人ほどの小規模な部隊の話しです。官庁向けの仕事は少なく、裏金も余り沢山は必要では無かったのですが、年間二百万円ほどは要った様でした。

 出張届にハンコを押してもらうと、領収書無しで旅費、宿泊費、日当などが現金で支給されていました。営業担当者達と顧客回りの設計担当者達が、カラ出張してチビチビと裏金を作っていました。 営業担当者個人名義の口座に貯めていましたが、魔が差して使い込んだ輩がいたのです。彼は返済して事なきを得たのですが、当時・私の隣の席に座っていた設計担当者が金を預かる事になりました。

 彼は、私と同じ貧しい家の出で、入社以来ずっと親に仕送りを続けており、『酸いも甘いも嚙み分ける』尊敬すべき人物でした。私同様に超多忙でしたが、毎日の様に持ってくる少額の裏金を、いちいち銀行に持って行っていました。 こんなに苦労して貯めた金が、「良からぬ人間に渡って、良からぬ事に使われる」と考えると、少し腹立たしかったです。