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マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

政治と黒い金の作り方

2024-01-20 12:17:12 | 黒い金
【はじめに】
 前回は、黒い金を集める仕組みについて書きましたが、今回は「昔、ドンナニして企業が黒い金を作ったのか」、「何故、作るのが難しくなったのか」について書きます。

 今から・たったの三十数年前までは、官庁から『100億円』の工事や品物の注文を受けると→→『3億円』程の裏金を工面して→→政治家に届ける必要が有りました。営業マンの重要な仕事の一つが『裏金作り』だったのです!

【マルサの女】
 伊丹十三監督が『マルサの女』を公開したのは、1987年です。脱税で蓄財する悪党を、国税局調査部(マルサ)が懲らしめる話です。 政治の世界では、当時まだ巨額の黒い金が飛び交っていました。  伊丹氏は、「政治の世界の黒い金についても・ある程度は把握していたのでは?」と想像するのですが、政治の世界の黒い金の流れの実態を垣間見る事が出来なかったので、政治の世界は映像化しなかったのだと推察しています。

 なお、『マルサの女』が公開された頃、黒い金はピークに達していたと思われます。

【秘密の手帳】
 私が勤務していた会社では、国、都道府県、市町村向けの商売を『官庁商売』と呼んでいました。『官庁商売』には必ず黒い金が必要でした。官庁商売を担当する営業マンは小さな/嵩張(かさ)ばらない手帳に、黒い金の受け渡しについてメモして、スーツの内ポケットに入れていました。

 会社に検察の捜索が入っても、個人の持ち物を調べる為には、事前に調べる人間を特定して裁判所の許可を取って置く必要が有ります。その為、スーツまで調べられる事は殆ど無いのです。

【黒い金の川の水量が減少したのは?】
 1990年頃から黒い金の額は減少してきたと私は思います。 地検特捜部が活躍したからでは有りません。税務署が外堀を埋めてしまったからです。 税務署が民間企業の監査を厳しくする様になって→→領収書の無い支出を洗い出し→→使途不明金としました。 使途不明金が有ると→→同額の金を徴収する様になり→→更に、毎年・多額の使途不明金を計上する会社には「名前を公表する」と脅しました。

 某企業で、1,000万円の使途不明金が見付かると→→1,000万円税務署に納めなければなりません。 税務署が使途不明金を厳しく探す様になったので、裏金を作る手段がドンドン無くなってきたのです。

(余談 :税務調査) 1985年頃、私は研究所勤務でした。毎年1回、半日ほど税務署から二、三人来て税務調査をしました。一般に役人は『ノロノロ』と仕事をしますが、税務署の役人は一心不乱にテキパキと働きました。膨大な書類を、半日ほどでチェックして帰りました。(研究所では、不正な経理処理は見付からなかった様でした。)

《 手段❶ :空出張 》
 空出張で裏金を作るのは、昔から行われています。空出張で裏金を作るのは比較的簡単ですが、多額の裏金を作るのは難しいです。

 出張すると、(社員の誤魔化し防止だと思われますが、)乗車券、ホテル代、食事代等の領収書を清算時に要求する中小企業が有りました。こんな会社では、空出張で裏金を作るのは難しいです。

 私の勤務していた会社では、事前に、日時、出張目的と出張先及び前借金の額を書いた『出張申請書』を上司に出して、決済が得られたら→→直ぐに現金が貰えました。帰社後に、設計部署は出張報告書と清算書の提出が義務付けられていたので、空出張は出来ませんでした。

 営業部では、出張報告書は原則として提出しなかったので、空出張が可能でした。

 JRの在来線や新幹線の切符をチケットショップで、今でも売っていますが、多分・企業が多量に買って→→一部をチケットショップに売っているのだと思います。一種の空出張による裏金作りです。

《 手段❷ :裏金を作る商社 》
 東京は勿論、地方都市にも『裏金を作る商社』が有りました。 全て規模は小さく、『商社』としての商売をやっていました。『数百万円』単位の裏金が必要になると、営業が利用していました。 『600万円』の裏金が必要になったら、700万円の品物を注文した事にして→→700万円振り込んで→→600万円現金で返してもらうのです。 私は、営業活動をサポートする技術者だったので、『裏金を作る商社』は1社しか付合いが有りませんでしたが、官庁案件を受注すると→→必ず『裏金を作る商社』を利用していた様でした。

 『裏金を作る商社』が、「ドンナニして裏金を作っているのか?」色々考えて見ましたが、私の頭では裏金を作る方法は思い付きませんでした。

(余談) 1995年頃の話ですが、当時・私は小さな会社(N社)に出向していました。東南アジアの某国向け案件で。税務署が認めてくれない金『約300万円』が必要になりました。 時々仕事を依頼していた社員10人程の社長(T氏)が遊びに来た時、N社の社長が「領収書が貰えない金・300万円必要になって困っている」と話したら、T氏が「我が社が330万円の仕事をした事にして、現金で300万円お返しする案はどうですか?」と言うのです。

 T氏の会社の仕事の半分は『官庁商売』でした。こんな小さな会社でも、官庁商売をする為には『黒い金』が必要だったのです。

《 手段❸ :チケットショップ 》
 1980年頃、私は東京の八重洲に有った本社勤務で、土曜日は半ドンでした。「御徒町にデパートの商品券を売る店が開店した」と言う新聞記事を読みました。私は「裏金を作る店だ!」とピント来たので、土曜日に昼食後行ってみました。小さな店で、ショーケースの中に何店かのデパートの商品券を並べ、『5%引き』で売っていました。 (チケットショップの元祖だったと思います。)

 電柱の陰に隠れて、探偵の真似をしました。暫くすると、大きな風呂敷包みを持った男性が来店し、店員が奥から数百万円は有りそうな札束を持ってきました。十数分すると、アタッシュケースを持ったスーツ姿の男性が来店して、さっきの商品券を買って行きました。 (多分、店員がデパートに商品券が入荷したと電話連絡していたのでしょう。)

 この店は30分も経たない間に二、三十万円稼いだのです。「素晴らしい商売だ!」と感心しました。 少しずつ、チッケットショップは増えて来ました。 (近年は逆に、店仕舞いするチッケットショップが全国的に増えています。)

★★★ チケットショップの仕組み ★★★
 A社が『1,000万円』裏金が必要になったら、Bデパートで『1,100万円』の商品券を買います。A社はその商品券をCチケットショップ(C社)に『1,000万円』で売ります。C社が、Bデパートに『5%』引きで『1,045万円』で買い取って貰うと『45万円』儲けた事になります。Bデパートの儲けは『55万円』です。

 A社は、『1,000万円』の使途不明金を発生させると、税務署に『1,000万円』収めるなければなりません。つまり、A社は『900万円』節約出来た事になります。

(注記) 昔、デパートは繁盛していたので、値崩れ防止のために、商品券を買い戻ししていました。 然し、デパートの現在の問題は客の減少です。 チケットショップで商品券を買って→→デパートで買い物してくれたら、前金で買ってくれたのと同じですから、デパートは大歓迎だと思います。

 チケットショップでは、現在・デパートの商品券を2%~5%引きで売っています。

(余談) 一生お金に不自由しない方がおられるのですが、彼は電車に1時間程乗って→→デパートで買い物しています。必ずチケットショップに寄って商品券を買って、段ボール箱に入った下着を纏め買いしています。スーパー等で買った方が得だと思うのですが、彼は食品以外はスーパーでは買わない主義なのだそうです。

《 手段❹ :野球場の指定券 》
 どの球場でもバックネット裏などの一番良い席は、年間契約の指定席で、民間企業が殆ど買っています。 接待に使うのが建前ですが、「一部の企業は裏金作りに利用しているのでは?」と私は疑っています。

 年間契約の指定席を買うと、領収書が貰えるので、経費として落とせます。 そして、試合の有る全ての日の券を発行して貰える様です。その券をチケットショップに売ったら現金が得られ→→裏金が出来るはずです。

 私は甲子園球場の年間契約の指定席券を何回もチケットショップで買いました。 雨で試合が流れても払い戻しは有りません。『一か八か』の券です。

《 手段❺ :神保町の古本屋 》
 東京勤務だった時は勿論、関西勤務だった時も、私は東京の神保町の古本屋で古本を纏め買いしました。 印刷が追っつかないベストセラーが出ると、新品の本が20%~30%値引で数十冊も積まれているのを、何回か見掛けました。 機械工学便覧の新版が出た時、新品が十数冊店先に置いていた店で買った事が有ります。 裏金を作る為に古本屋を使うのも、昔から企業がやっている手段の一つなんです。

【黒い金を作るのが難しくなってきました!】
 昔の黒い金を作る手段を、上に5点書きましたが、現在は税務署が頑張るので→→これらの手段は通用しなくなっていると思います。

 新聞赤旗や週刊文春は今まで取り上げ無かったと思いますが、今でも一部の分野では『族議員』が暗躍しています。 国立の研究機関が、民間企業に研究開発費を支援する制度が幾つも有ります。 建前は『公募』ですが、実態は『族議員』達が話し合って支援する企業を決めているケースが多々有ります。

 『族議員』の一部は、今でも黒い金を要求している可能性が有ります。 「民間企業は、こんなに難しくなっても裏金作りをする必要があるのでは?」と想像しています。

【デジタル化とキャッシュレス化が必要です!】
 キャッシュレス化を進め→→クレジット決済と銀行振込に限るとしたら→→政治の世界に流れる黒い金を作るのが難しくなるだけで無く→→脱税して蓄財する輩や相続税を誤魔化そうとする輩にとっても困ったことになります。

 キャッシュレス化を進めるためには、種々の分野でデジタル化を進める必要が有ります。 日本のデジタル化は遅々として進みませんが、2020年以来、デジタル大臣を置く事になりました。 然し、歴代の3大臣はコンピューター・プログラムの知識/経験が全く無い不適任者でした。日本の発展に必要不可欠なデジタル化を進める為には、コンピューター・プログラムに精通した(高橋洋一先生の様な!)民間人を抜擢してデジタル大臣に据えるべきです。

・・・ 歴代デジタル大臣 ・・・ 三人とも文科系大学卒で、コンピューターの知識は乏しいと思われます。
★ 2020年 :平井卓也氏   65歳 上智大学外国語学部卒
★ 2021年 :牧島かれん氏 47歳 国際基督教大学教養学部社会科学科卒
★ 2022年~ :河野太郎氏  61歳 ジョージタウン大学国際学部比較政治学科

【古物商や質屋】
 古物商や質屋にはインボイス制度の特例が認められていますが、取引相手の氏名、住所、取引金額、日時等を記載した書類を作成し、7年間保存する事が義務付けられています。

 将来、書類をデジタル化して、取引相手のマンナンバー又は法人番号をインプットする事を義務化したら、裏金作りや相続税の脱税を大幅に減少させる事が出来ます。

 知り合いの高齢の方が、金とプラチナのインゴットを買って、子供に残そうとしています。多分、そんな方が全国には沢山おられると想像します。『税金の公平/公正化』の為に、古物商や質屋の取引に取引相手のマンナンバー又は法人番号の記載を義務化すべきです。

《 余談 :金のインゴット 》
 近年、『金(ゴールド)』の価格は想像を絶する程、高くなっています。現在の相場は『1kg≒1,000万円』です。一万円札の重さは『1g』です。現在では、1,000万円の金と1,000万円の一万札は同じ重さ『1kg』です。

 『1kg』の金の体積は、ほぼスマホと同じですから、『20kg≒2億円』の金はスマホ20台分になります。スマホ20台を隠すのは簡単で、健康な人間だったら誰でも運べます。 金持ちの老人が相続税対策に『金』を買い漁る理由が分かって頂けたと思います。

《 余談 :山崎50年 》
 私はウイスキーが好きで、親戚から沢山送って貰っていました。 2018年にサントリーの『山崎』とか『響』を10本ほど売りました。担当者(T氏)が車で買い取りに来てくれて、写真付きの身分証明書の提示を要求しました。マイナンバーカードの番号部分を隠して、写真を撮りました。そして、現金で支払ってくれました。

 「今まで一番高かったのは何ですか?」と聞いたら、T氏が「最近、『山崎50年』を買い取って、『3,000万円』で売った」と言うのです。『山崎50年』は3回、抽選で1本『100万円』で売ったのを知っていました。「いくら何でも」と思ったので、インターネットで調べたら、『3,500万円』程で売っていました。今日、調べたら相場は『8,800万円』になっていました。

 『裏金を作る商社』が『山崎50年』を『100万円』で買って保管していたとします。社員の名前を使って売ったら、『7,000万円』程で売れそうですから、7,000万円程の裏金が出来る事になります。 古物商や質屋の取引の記録にマンナンバー/法人番号を記載させるべきです。


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