あなたにもできる!ハーバード留学!!~アラフォーからのボストン留学体験記

アラフォー研究者のボストン留学体験ブログ。
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専門書はどこを読む?痛くない注射針を生んだ知恵

2013-01-23 22:56:17 | ものづくりのための研究ノート
                

 英語はきらいではないが、英語の文献となるとなかなか読む気にならないのが私の欠点である。特に文献をたくさん読んで情報を集めることは医療・医学を業とするものに必要とされる仕事である。

 この欠点をどうやって克服するか?というのが長年の課題である。先日本を読んでいるとよいヒントが見つかった。痛くない注射針を生んだ町工場の社長として高い評価をうけている岡野雅行さんの俺が、つくる! (中経の文庫)という著書である。

 いまでこそ誰にもできない技術をもった金型プレスの職人である岡野さんであるが、プレス技術は独学らしい。しかも岡野さんは小学校卒で外国語は全くできないにもかかわらず、洋書のプレス技術専門書をもとに勉強したのだとか。

 そのエピソードがおもしろい。

「なんのために本があるんだい。本を買ってべんきょうすればいいじゃないか」

「日本橋の丸善ってとこに行けば、洋書の専門書がある。そこにプレスの本があるから、それを買って勉強しなさい」

「でも洋書なんで。俺は英語も何もよめないんです」

「絵と図面を見ていればなんとなくわかるもんなんだ。お前も職人だろう。それを見ていればいいんだから、とにかく見て覚えなさい」(前述書より)

 そこで岡野さんは、丸善に行きドイツ書のプレス専門書を買い、図とか写真を20年くらい、来る日も来る日も眺めるようにしたらしい。当時のプレス技術はドイツが進んでいて、その本には基本的なことがしっかり書かれており、岡野さんの今の前人未到の技術はその図と写真がもとになっているという。今でも技術開発につまることがあると、その本をすっと開くとヒントを得ることがあるという。

 論文も同じかもしれない。本文よりは、FigやTableをみていることで、研究手法、テクノロジーやツールの開発、データーのまとめ方についてヒントをうることがよくある。左脳より右脳にアプローチして文献を読むことは文字を一字一句おっていくよりも有用かもしれない。そしてなにより文章をしっかり追っていくのだけが文献の勉強法でないという知恵は目からうろこである。


ブタとウシはネズミよりもヒトから遠い:遺伝的距離と不浄なぶた

2013-01-23 22:26:55 | ものづくりのための研究ノート
 ある方よりブタとウシとヒトの遺伝的距離についてご質問をうけた。イスラム教など一神教でブタを不浄の生き物として扱うことが多い理由がそこにあるのではないかという疑問だった。ブタとヒトは他の家畜と比べて遺伝的が近いから、病気が相互に感染しやすいため不浄とみなされやすいのではないかとの考えからである。

 そういえば別に一神教に限らず、ブタって日本語でもイメージが悪い。ブタ小屋とかいう言葉もあるくらいだし、最近では新型インフルエンザの媒体の一つがブタでもある。寄生虫や細菌の関係からもブタには汚いイメージがある。

 遺伝的距離が原因なのかわからないが、いろいろな生物の遺伝的距離は最近よく調べられているし、ゲノムシーケンスも家畜についても完備されてきた。何かよいデーターが転がっていないかし食べてみたが、ヒト、霊長類、イヌ、ネズミのような比較は多いもののなかなかウシとブタとの比較をした例はない。

 そもそも遺伝的距離をどうやってしらべるのか?

検索してみると、呼吸に必要な酵素のチトクロームCや血液に必要なヘモグロビンのタンパク質配列を各生物種間で比較すればよいとの記述が高校の教科書にでているらしい。
(http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_2/contents/bi-2/3-bu/3-1-3.htm)

最近の高校は進んでいる。そこでデーターベースにあるチトクロームCの遺伝子配列をもとに、検討してみると、驚くべきことにヒトからの遺伝的距離がブタとウシは同じくらいなのである。

よくよく調べてみるとウシとブタは、生物学的にもローラシア獣上目の鯨偶蹄目に属しているらしく、お仲間らしい。そいてマウスを仕事につかっていながら僕も今まで知らなかったのだが,
遺伝的にはマウスは,ウシよりも,ブタよりも,イヌよりも,ヒトに近いようだ。ヒト>サル>ウサギ>マウス>ウシ=ブタ=イヌといった感じの近さらしい。

ところでウシ、ブタ、クジラが同じ仲間ということから連想したのだが、この3種の生物種は宗教によって食べることが禁じられているものである。宗教的な理由は様々であるが、本当の理由はパーソナルスペースみたいに,遺伝子的に適度にはなれていることが,ヒトの食用にするかどうかの無意識的な基準であり(感情面とか人畜共通感染の面とか)、鯨偶蹄目は遺伝子的な距離がちょうどその境目にあるのかもしれない。

ウサギは例外かもしれないが,遺伝的に近いサル,ネズミは普通食べないけど,遺伝的にはなれたトリ,サカナは食べるし..


アラフォーからの海外留学初期編005:面接当日

2013-01-23 03:49:14 | アラフォーからのハーバード留学準備編
 面接当日、セミナーの練習をしてから、ラボに向かう!こうしたときに自分は否定的な考えが浮かびやすい。こんな人にはマーフィの法則がよいかもしれない(笑)。たとえば面接の旅行にこんな本を持っていくとよいかも。

成功者の告白 神田昌典著 (講談社)


 さて昨日見つけた入口に入る。電話をかけ、エレベーターのところで待つことになった。しかし待てど暮らせど案内してくれる事務員の人はこない。そのうち携帯に電話が、「どこにいるの?」「入口のエレベーターのとこ」「ん?」何回かやり取りするうちに今いるところは同じ施設の別部門の入口で、本の数十メートル先に本来の入口があることがわかる。やれやれ。

 面接は

 1)質疑応答込みで30分程度の研究発表(セミナー)
 2)ボスとの面談(いわゆるチョークトーク)
 3)ラボのメンバー数人との面談

 からなる。1)と2)が評価の対象らしい。

1)は十分に準備しているのでそこそこ興味をもって聞いてもらえる。逆に彼らにとっても世界各国からポスドクになるためにやってきてセミナーをしてくれるのだから、ある意味いい情報源。世界中の主たる研究の情報が研究室のセミナーで手に入れられるのだからうらやましい環境である。

 2)については研究内容をさらに突っ込んだことや将来やりたいことを聞かれたほか、またビックラボの特性かポスドク(研究員)の給料は原則でないこと、給料分は奨学金もしくはグラントをとってくることを言われる。

 日本での奨学金は数が少ないうえ、フルに給料をカバーするものでないこと、また初年度のみのものが多いことを話してみると、足りない部分はラボから援助できるかもしれないとの話である(この辺りはあとで念を押して確認してみることが必要であるが、結局自分が奨学金をとるまで具体的な援助額についての話はでなかった)。

 あとこのラボでは各ポスドクがindependentに研究することを求められるらしく、「一番大事な質問だけど、セミナーで発表した研究はどこまで自分が主体的にやったのか?」と聞かれる。これについては「今のボスのスーパーバイズの下、全て自分で考えておこなった」と答えておいた(事実そうなのであるが)。


3)はラボの実情を聞けるチャンスを提供してくれているようである。
研究内容やラボの実情について聞く。共通しているのはこのラボの弱点は、ボスが有名すぎて、忙しすぎるため、なかなかつかまらないことととか。大丈夫なのか?英語の苦手で押しの弱い日本人がこんなとこにきて。。

 給料については各ポスドクの状況をリサーチしてみるが、原則奨学金をとるというのはみな同じようである。ただ取れなかった人はラボから出してもらっているケースもあるとか。この出してもらえる人の条件はよくわからない感じであるが、何か方法があるのだろう。

 あとラボに日本人がいれば紹介してもらおうと思い聞いてみると、同じラボにはいないが、研究室がオープンラボシステム(最近できた山中先生の京大iPS研究所もこのシステムとか)になっておりそのスペースを共同利用している別のラボに日本人がいるという。

 その方は人の好い親切な方で、いろいろこの研究施設の実情やボストン生活のピットフォールなどについて教えてくださった。日本人の視点からみた情報もかなり有用なのでこうしたチャンスを生かして是非紹介してもらうべきである。ちなみにその先生とは意気投合して、その夜一緒に飲みに出たのであった。。