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あなたにもできる!ハーバード留学!!~アラフォーからのボストン留学体験記

アラフォー研究者のボストン留学体験ブログ。
研究・生活・英語・ITを中心に留学ライフハックスをお教えします!

2番手の成功法則006:鉄と鋼の違い

2013-07-03 11:20:41 | 2番手の成功法則
                

 今日も宮本輝の「水のかたち」を読んでいる。

 ニューヨークに留学した苦労した際に支えになったたとえ話を主人公と同世代の50代の女性が語る場面にちょっと感情移入してしまう。

「鉄を叩いて鍛えると、いろんな不純物が表に出てくるんですって。それがあるあいだは、鉄は鋼にならない。そんな鉄で刀を造っても、ナマクラだ。鋼となった鉄でないと名刀にならないって。経済苦、病苦、人間関係における苦労、それが出て来たとき、人も鋼になるチャンスがおとづれる。

 それが出て来ないと永遠に鉄のままなんだ。だから、人は死を意識するような病気も経験しなければならない。商売に失敗して塗炭の苦しみにのたうつときもまた必要だ。

 何もかもうまくいかず、悲観に沈む時期も大切だ。だから、人間には、厳しく叱ってくれる師匠が必要なのだ。師匠は厳しく叱ることで、弟子のなかの不純物を叩きだしてくれる」(水のかたちより)


 アラフォーからの留学で、仕事面の新規まき直しであり、経済的にも楽ではない選択で、こちらの生活に慣れてきたこともあり、最近ちょっとネガティブになっている自分に気づく。このたとえ話ほどではないが、不純物なんだなと思う。アラフォーからの留学はたまにマインドの調整が必要である。

2番手の成功法則005:心は巧みなる画師の如し

2013-07-02 14:31:43 | 2番手の成功法則
                

 ひょんなことからこの4月からボストン生活がはじまったが、3か月たってもあいかわらず頭の中は日本語モードで、持ってきた日本語の本をよく読んでいる。特に、宮本輝さんの小説が疲れた頭ににちょうどいいので、筋は知っている話であるが気に入った本のいくつかを通勤時にぱらぱらとめくっている。彼の小説は、一つの根源的なテーマをくりかえし焼き直したものであるにもかかわらず、あらすじが毎回面白く、また特段凝った表現をつかっているのではないけれど、はっと何かを気づかせてくれる一節がところどころに挟まれいるのが魅力だ。知り合いの作家がいっていたけど、「テルテルは裏切らない」のである。

 それはさておき彼の最近の小説「水のかたち」で気になる一節がでてきた。

「心は画師の如し、じゃないのよ。巧みなる、っている言葉が付くのよ。つまり、心に描いたとおりになってくことなのよ。心には、そんな凄い力がある・・・・・。だから、不幸なことを思い描いちゃいけない。不吉なことを思い描いちゃいけない。楽しいこと、うれしいこと、幸福なことを、つねに心に思い描いていると、いつかそれが現実になる。お伽噺みたいだけど、これは不思議な現実だ・・・・・・。」(「水のかたち」より)

 これを子供にそして自身に言い聞かせる形で、50歳の女性に言わせているのがこの小説の設定の面白いところなんでしょうが、題の「水のかたち」とも呼応して作者の思いが入っている気がします。酸いも甘いもかみ分けたうえでのこんな言葉っていいですねー。50代もまだまだ、アラフォーはさらにまだまだ。

2番手の成功法則:iPSの山中先生も?

2013-01-26 01:37:57 | 2番手の成功法則
                


 この方のことを2番手というと今や語弊があるであろう。iPS細胞の一連の研究で2012年のノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生のことである。

 整形外科を目指されていた研修医時代に挫折を経験されたというのは有名な話であるが、研究分野に移られてからは最近の研究の成果が華々しくずっど一番であったのではないかとの印象がつよい。確かにiPS細胞の研究の前にも、奈良先端大学院大学でNature等の一流雑誌に掲載された研究を多数報告されており長年の間一線を走ってこられたのは間違いない。

 しかしながら37歳の時に奈良先端大学院大学の助教授になられるまでは、頑張っておられたのだろうが2番手であったのではないだろうか?山中先生の自伝的なインタビュー本「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」に赴任直後の状況をあらわした次のような記述がある。

 「それまで『ネイチャー』や『サイエンス』といった科学雑誌に論文を載せたこともありませんでしたし、研究費も少なかった。こういう無名の研究者の弱小ラボに、果たして学生さんが来てくれるだろうか」

 こうした状況から10数年後のノーベル賞。山中先生の軌跡には2番手の成功法則が隠れている。


2番手の成功法則:前田利家の場合

2013-01-22 03:28:03 | 2番手の成功法則
 ある本で前田利家と豊臣秀吉の比較がなされていた(城山三郎さんの本だった気もするのだが、
ついこの間なのに思い出せない)。両人とも織田信長の家来だったが、一番手はなんといっても豊臣秀吉!前田利家は2番手か、もしくは3番手くらいだった。一番手の豊臣秀吉は織田信長の跡目をついで天下をとったものの一代で滅びる。一方の前田利家は江戸末期まで加賀100万石という大藩の大名として残る。2番手の方が長期的なスパンでは有利なことを示す一例である。

大名だと前田利家どころか、徳川家康も織田信長、豊臣秀吉の家来であるいう2番手的な性格の大名でありながら最終的に天下をとる。

2番手である立ち位置を意識して先頭グループについていくこと、先頭グループの失敗から学び自身は同じ失敗をしないようになること、そして先頭グループが失速したタイミングを見計らって抜き去ること。


ウサギとカメのカメ、2番手の成功法則の神髄がそこにあるのかもしれない。

医薬品開発でも2番手が有利?

2013-01-20 00:22:20 | 2番手の成功法則
 

 技術開発では一番手になることが生き残りに重要で、それ以外は生き残れない。すなわりWinners take all. といのが常識とされる。「二位じゃだめなんですか?」という発言が白眼視されるのはこうした常識的な見方の影響が大きい。

 しかしながら最近の経営学の研究(Nat.Rev.Drug.DIscov,2,838-41, 2002)では、医薬品の開発において必ずしも一番手を目指すことが最終的な成功につながらないという結果がでている。

 医薬品の場合はブロックバスターとよばれるde facto標準になる条件として、一番最初(First in Class)であることは必ずしも必要条件でないためだ。
 
 予期せぬ副作用などが出現するリスクが考えられること、
 また効能、使いやすさ、安全性などの要素もde facto標準化にとって重要であると考えられるからである。逆に2番手、3番手であることを意識し安全性などの特性を伸ばした方がブロックバスターにつながっているようである。よく利用されている高血圧薬であるノルバスクは、安全性の特性が特徴なようだ。

 これは医薬品開発という高度な技術開発においてもフォロワーというポジションを自覚して有効な戦略をとることが、一番手になること以上に重要であることを意味している。

 最近最新鋭の飛行機であるB787が初期不良に苦しんでいるのをみるとあらためてFirst in Classの苦しさについて感じる。2番手からの成功法則という戦略も悪くないのかもしれない。