今日も宮本輝の「水のかたち
ニューヨークに留学した苦労した際に支えになったたとえ話を主人公と同世代の50代の女性が語る場面にちょっと感情移入してしまう。
「鉄を叩いて鍛えると、いろんな不純物が表に出てくるんですって。それがあるあいだは、鉄は鋼にならない。そんな鉄で刀を造っても、ナマクラだ。鋼となった鉄でないと名刀にならないって。経済苦、病苦、人間関係における苦労、それが出て来たとき、人も鋼になるチャンスがおとづれる。
それが出て来ないと永遠に鉄のままなんだ。だから、人は死を意識するような病気も経験しなければならない。商売に失敗して塗炭の苦しみにのたうつときもまた必要だ。
何もかもうまくいかず、悲観に沈む時期も大切だ。だから、人間には、厳しく叱ってくれる師匠が必要なのだ。師匠は厳しく叱ることで、弟子のなかの不純物を叩きだしてくれる」(水のかたち
アラフォーからの留学で、仕事面の新規まき直しであり、経済的にも楽ではない選択で、こちらの生活に慣れてきたこともあり、最近ちょっとネガティブになっている自分に気づく。このたとえ話ほどではないが、不純物なんだなと思う。アラフォーからの留学はたまにマインドの調整が必要である。