memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

成城の甘味処「櫻子」

2020-06-04 06:18:49 | グルメ
2020年6月4日、The New York Style Magazine TokyoのWEB記事で素敵なお店が紹介されていた。
全文は以下のサイトで。

https://www.tjapan.jp/food/17364139

1979年創業の甘味処「櫻子」
きりもりするのは1941年生まれの店主、森田享子さん。
陸軍将校の娘として45歳で生まれた娘を、ひとりで生きていくすべをお母様は大変厳しくしつけられたそう。
料理はその一環ですが、小豆の炊き方一つに細やかな工夫が。

本来、小豆は水に浸つけず、すぐにゆでるのだが、森田さんは小豆をひと晩水に浸ける。「水に浸ければ、ほら、こんなにふっくら膨らんでくるでしょう?」。なるほど、ふくふくに仕上げるコツは、ここに始まるのだ。次に、「しぶ抜き」という作業に入る。一般的には、小豆をゆでて、アク(=しぶ)が出たら煮汁をすぐに捨てるのだが、森田さんは、鍋を火にかけ続け、アクをどんどん出していく。全体にメレンゲのような泡(アク)がわいてきたら、上から水を注ぎ、小豆を決して空気に触れさせないようにしながら、アクを流す。「小豆が風にあたると皮が弾けてしまうから」。柔らかく煮上げた小豆には砂糖を直接加えず、糖蜜を作って小豆を浸け、さらに5時間火にかけて味を含ませる。
「5時間も、と言われますが、火にかけておくだけです。時間短縮もできますが、そのぶん、おいしく仕上げるテクニックが必要になります。時間はかかりますが、豆にご機嫌麗しくしていただくだけで、おいしくなります。そのほうが簡単なんです」
 森田さんは五感を総動員し、小豆と対話しながらこまやかに仕上げていく。「難しいことはひとつもありませんが、工程ひとつひとつを丁寧に。だから、お客さまの多い土曜日は小豆を煮ないのよ」。蜜を含んだ小豆はつやつや。このまま食べてもいいし、水分をきって練れば、あんこになる。

煮上げた小豆を糖蜜と合わせて、強火にかけ、沸いたら弱火にして5時間ほど煮る。水は足さない。塩も加えない。「あっさりとして、後口がよいので」と森田さん。ひと晩おくと、さらにおいしいとか。

「櫻子」のお昼には、限定13~15食の「おきまり」と呼ぶ定食がある。野菜が10種類ほども入るお味噌汁に季節のご飯、野菜中心の主菜、おひたし、小さな茶碗蒸し。ふりかけや漬け物まで、すべて手作り。
野菜は喜多見の直売所で。娘さんの運転で、7~8か所周り、新鮮な季節の野菜を調達。
森田さんの信頼する「永井農園」。「ここの畑はお母さんが丹精こめて野菜を育てています。野菜作りの名人なの」と、永井美代さんと。永井さんは、フランス菓子店、下高井戸「ノリエット」のオーナーパティシエ永井紀之さんのお母さま。このあたりは代々の農家が多く、住宅街なので農薬もほとんど使わずに育てているそう。

朝、掘り上げた筍はすぐにゆでて筍ご飯に。青菜をはじめ、なすやオクラ、トマトはおひたしに。にんじんや大根、ごぼう、さつまいも、里いもなどは小さく刻んでお味噌汁に。具材からうまみが出るので、味噌はほんの少し。「味を強くすると素材そのものの味が消えてしまうから」と、どれも調味料は最小限にとどめている。「ひと口めではなく、ごちそうさまのときにおいしかった、と思っていただけるように味を決めています」と森田さん。手を加えすぎないので、素材そのものの味が感じられる。

当然のごとく、常連客が多い。俳優の水谷豊さんはTV番組などでもたびたび紹介し,江國香織さんの小説には蜜白玉を楽しむ場面が出てくる。
お昼の定食は「お決まり」と呼ばれ¥1200.開店と同時に売り切れることもある人気。

 幅広い年代の人たちから愛されている理由は何だと思いますか、と森田さんに尋ねた。しばらく考えて、「うちの食事は、お母さんのごはんだからでしょうか。店でも家でも、同じ気持ちで作っています。私の意識の中で、お客さまは家族なんですね。だから、食材はなるべく安全なものを使っています。材料費をかけすぎ、と税理士さんに言われていますけど(笑)」

STAY HOME明けの最初の外食は、こんな優しい手料理が頂きたいなと思ったことでした。

櫻子(さくらこ)
住所:東京都世田谷区成城6-10-2 成城ハナビル 3階
営業時間:10:30〜18:00(現在は〜16:00)
定休日:日・月曜、祝日
電話:03(3483)5296




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