「知らなかった」「分からなかった」……。築地市場の移転予定地である豊洲市場の地下で、土壌汚染対策の「盛り土」がされていなかった問題。メディアの“犯人捜し”が連日続いているが、石原慎太郎元知事をはじめ当時の都幹部は小学生レベルの言い逃ればかり。こんな無責任な連中が、市場に関わる数百億~数千億円の血税を扱っていたのかと思うと怒り心頭だが、このまま逃げ切れると思ったら大間違いだ。
この問題で共産党都議団は、中央卸売市場を所管する都議会の「経済・港湾委員会」で集中審議を要求。「盛り土」問題に関わったとみられる歴代都幹部の参考人招致を求めている。真っ先に呼ぶべき“A級戦犯”は、石原氏だ。
「私は下から聞いたことを皆さんに報告しただけ」「(下は)市場長でしょ」。問題発覚時、こうトボケていたのに、当時の比留間英人・市場長から「石原知事から提案された」と反論されると態度を一転させ、「答えない」と言い出すヘタレである。だが、2011年8月30日付の「豊洲新市場土壌汚染対策工事」(333億4275万円)の契約書に押された印鑑は紛れもなく石原氏のものだ。「答えない」で済む話じゃない。
20日は、11年8月時点で市場長だった岡田至・都歴史文化財団副理事長が報道陣の質問に「(盛り土なしを)指示した記憶はない」と答えていたが、石原氏と同様、土壌汚染対策工事の仕様書にハンコを押した張本人である。それに仕様書といえば、細かな設計図といっていい。盛り土がないことに今更「ビックリした」なんて、都民を愚弄するにもホドがある。
他にも、一連の経緯を知るとされている都の幹部は、契約書を交わした当時の宮良真・新市場整備部長や、岡田氏の次に市場長に就いた中西充・副知事などワンサカいる。そろって都議会に参考人招致し、片っ端からギュウギュウ締め上げるべきだ。
盛り土問題が発覚し、豊洲移転の延期は先が見えなくなってきた。瑕疵は明らかに都側にあるのだから、業者への補償は必至で、その金額はどこまで膨らむか分からない。さらに、追加の土壌汚染対策工事や空洞にたまったたまり水の扱いなど、他にも費用が発生する可能性だってある。こうしたカネはどこから出すのか。都民の血税を使うのはおかしい。小池都知事は石原氏以下、歴代都幹部に損害賠償を請求すべきだ。
退職金の返還請求だっていい。石原氏は知事3期で約1億5000万円の退職金を手にしたといわれているし、他の幹部職員も3000万円は下らないだろう。民間企業なら不祥事を起こした役員の退職金没収は当たり前だ。都の調査に対し、土壌汚染対策が議論された07年以降の歴代市場長は全員、「地下空間の存在は知らなかった」と答えているようだが、無罪放免なんて許されるはずがない。
豊洲移転の問題を追及してきた「東京中央市場労組」の中澤誠・執行委員長はこう言う。
「この問題は『知らなかった』とかいう話ではなく、都の関係者は明らかに『隠蔽』していたのです。このまま公にされず、予定通り開場していたらと思うとゾッとしますよ。都議会は集中審議を開いて関係者を呼び、きっちりと説明させるべきです。退職金の没収? 当然でしょう」(文:ゲンダイ)
管理人の一言:
2012年9月3日、日経新聞に「尖閣の国有化、都「渡りに船」? 訴訟リスク回避」という記事が掲載された。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO45695450T00C12A9L83000/
引用:”石原知事が尖閣の購入計画を表明した4月以降、都庁内でひそかに検証されている住民訴訟がある。元京都市長に約26億円の賠償を命じた通称「ポンポン山住民訴訟」だ。同市が買い取ったゴルフ場予定地が不当に高額だと認定された。”
忘れもしない2012年4月、都知事石原慎太郎は突然に「尖閣購入」を宣言し、全国から寄附金約14億円を集めた。7月には、国も尖閣国有化にむけ参戦し、地権者・栗原家に20億円を提示した。そのため、石原と国との指値争いになった。
石原はまけずとばかり、寄付金14億円に6億円上乗せし、さらに手数料も加えた20億3千万円を提示。国もひかず、石原の指値に更に2千万円を上乗せし、20億5千万円を提示。この結果、地権者は国に尖閣諸島3島(魚釣島、南小島、北小島)を売り渡した。
だが、この時、疑問視されたのが、石原の指値だ。石原の手持ち金は寄付金14億円のみだった。なのに、どうやって6億3千万円を上乗せできたのだろうか? 答えは一つだ。石原は都民の貯金箱から6億3千万円を無断で引き出す魂胆だった。
本来、都が一件当たり2億円以上で2万平方メートル以上の土地を購入契約する場合、不動産鑑定、財産価格審議会の了承、そして都議会の議決が要求される。だが石原は無視した。このことからも、石原の魂胆が明らかだ。議会の議決などお構いなしで、自分の金のように、20億3千万円を使い込むつもりでいた。そして、使い込んだあとは、住民訴訟が起こされるリスクもわかっており、過去の住民訴訟の判例をあたらせ、万一の訴訟に備えていたわけで、極めて計画的な犯罪行為だった。前出の日経記事も住民訴訟に触れている。
引用:”国を上回る金額を提示するには、都税で上乗せしなくてはならない。その場合、都から遠く離れた尖閣取得費用は「『都民に必要な支出』という論理が通じにくい」(都幹部)。住民訴訟を起こされれば、敗訴の恐れもあるとみる都庁関係者は多い”
*
実は石原が、万一の住民訴訟に備えて用意していたという禁じ手があったという。
2002年、自治法が改定された。これによると、「損害賠償請求や不当利得返還請求」に関する4号請求と呼ばれる住民訴訟制度が大幅に変更になった。以前は、住民が首長(都知事石原)を直接訴訟できたができなくなった。
その代わりに、住民が第1次訴訟(原告住民 vs 被告自治体)で勝訴すると、負けた自治体が住民に代わって、第2次訴訟(原告自治体 vs 被告首長)をおこす仕組みに変更された。そしてこの仕組みのなかで、違法な財務行為に責任を有する首長に対して損害賠償請求等を請求することを、自治体に「義務」付ける訴えが規定された。
ところが、第1次の住民訴訟で敗訴し、判決で「違法な公金支出があり、首長に賠償を求めなければならない」と認定された自治体が、判決の確定前に首長に対して請求権を放棄する議案を議会に提案する自治体がでてきた。
その結果、「住民の代表である議会の議決により、請求権は消滅した」として、支出の違法性に踏み込まないまま、住民の敗訴が確定してしまうケースが増えていた。これは「自治体が権利を放棄する場合には、議会の同意が必要」と自治法に定めているためだが、これを逆手にとって、「請求権の放棄」を首長救済のために使われだしたのだ。すなわち議会の多数派議員と首長が馴れ合い工作(一種の談合)にでた結果だった。いわば、請求権の放棄は法の盲点をついた「禁じ手」だった。都知事石原は議会の多数派議員のドン(ボス)とつるんで、この禁じ手を使うつもりでいた。
いずれにしても、国が尖閣購入に参戦し成功したことで、石原の魂胆は未遂に帰した。だが完全に面子をつぶされた石原は、都知事の椅子を投げ出し、寄付金14億円を手に、国会に夜逃げしてしまったというわけだ。
在職中の石原は福祉行政などは後回しに、派手な大型プロジェクトに特化させたゼネコン・ハコモノ重視の土建屋行政だった。過去三期12年間で積み上げた連結負債総額は約17兆円で都民一人当たり約135万円の負債だ。
自らが発案した「臨海副都心開発事業」は、第三セクターの5社業すべてが数千億円規模の負債総額をのこして経営破産。国際貿易センター、東京臨海高速鉄道 東京都地下鉄建設なども追加支援の問題をかかえ、さらに石原が二期目で公約した「中小企業金融」のために設立した「新銀行東京」も巨額の融資が焦げ付き経営破綻の危機に追い込まれ、あげくに公的資金の導入には政官財の癒着政策で独占禁止法違反と批判された。それに一期目の公約「在日米軍横田基地返還」も、まったく手付かずに放置された。それにまた、首相田中角栄が築いた日中の友好関係も、石原の尖閣購入宣言で破壊され、その後の歴史修正主義者安倍政権の誕生で、まったく修復不可能な状態だ。
*
現在、盛り土の手抜き工事の問題とは別に、豊洲市場の用地取得について、石原の責任を問う裁判が進行中だ。都民41人が都を相手取り、東京ガス跡地の購入費用の返還を石原に請求するように求める住民訴訟を起こしている。原告は、土壌汚染が確認された用地なのに、汚染対策費を考慮せずに高額な金額で購入し、巨額の損害を都民に与えたと主張している。石原は豊洲の用地取得に1859億円を投じ、さらに汚染対策に849億円を負担するハメになった。なのに、東京ガスの売り主責任をたった78億円の「協議金」を払わせるだけで免責してしまったという。まさに皮肉なことに、石原が検証していたポンポン山住民訴訟の再来だ。
ポンポン山訴訟は、住民約3900人が京都市を相手取り公金返還を求めた事件で、最高裁は2005年、市が47億円で買い取ったポンポン山でのゴルフ場開発予定地が不当に高額であるとの住民側の訴えを認め、元京都市長田辺朋之(2002年没、元京都府医師会会長)に約26億円の賠償を命じ、住民側の勝訴が確定した。だが、提訴時から年5%の利息(年間約1億3千万円)が加算され、賠償額は元利合計約48億円まで膨れ上がった。元京都市長はすでに他界しており、親族が賠償を引き継いだ。この事件は、首長一個人への賠償請求は過去最高額であったばかりでなく、市議会の議決を含む手続きの違法性を糾弾し、違法な行為による損害に裁量権が入る余地がないことを明確にした画期的判決だった。
*
いずれにしても、管理人は豊洲汚染地購入賠償請求裁判に付、水谷和子一級建築士を含む原告メンバーの皆さんを支援いたします。そして石原の財産を差し押さえ、石原を裸一貫にして路上に放り出すまでがんばっていただきたい。以上
参考:豊洲汚染地購入賠償請求裁判:
平成28年9月8日(木)14時〜東京地方裁判所703号法廷
この裁判は2011年(H23)、東京都が膨大な汚染の残置を知りながら、豊洲市場用地を汚染地無しの価格で不正に購入し、汚染原因者東京ガスに処理費用の大半を免責した問題で、石原慎太郎(元)都知事に損害の賠償を求めるための裁判です
この不正な土地取得に関与した石原慎太郎氏や、東京ガスに天下りをした前川あきお氏(現練馬区長)他、都幹部の証人尋問を求めています。原告の要求する証人は採用されるか等、裁判は今山場を迎えています。
土壌汚染のある土地が、汚染無しの価格で売買される為には、少なくとも汚染が除去されたかどうかが問われます。2006年(H18)購入分で都は、財産価格審議会に「現在汚染物質は存在していない。」と虚偽の議案書を提出して、その関門を潜り抜けました。また2011年(H23)購入の場合は、汚染評価を都と東ガスの当事者間の「別途協議」に委ねるとして、財産価格審議会の方が逃げ出しました。どちらにしてもまともな話ではありません。
結局東京都は、東京ガスの汚染地37.3㌶土地の取得に、1859億円(1㎡当たり約50万円)を投じ、さらに汚染対策に849億円を負担する事となりました。市場施設の建設が進む現在でも土壌汚染問題は深刻です。東京都による豊洲市場用地の購入時の土壌汚染の隠ぺいが、最終的に土壌汚染対策法に反して必要な調査300区画、3㌶以上を怠るという、取り返しのつかない事態を引き起こしています。
土壌汚染問題については、都知事選挙を通じて築地移転問題が争点化されたため、多くの人が注目する事となりました。「これほどの汚染地になぜ市場用地が立地されたのか」という疑問を解くために、実態の解明とその責任の追及は不可欠です。この様な不正が再び行われる事を防ぐ意味においても、この裁判の重みは増していると思います。
引き続き移転問題にご注目いただき、裁判などへのご協力をお願いします。
汚染地購入賠償請求裁判 原告メンバー 水谷和子(一級建築士)
参考:2012 管理人ブログ「石原の責任論」(Hatenaに投稿)
石原の責任論
石原の責任論: ホワイト・エレファント :全国調査で、常に若者の住みたい街トップに選ばれている東京の武蔵野市吉祥寺。福祉資金貸付事業など先進的な取り組みを行っており、シニア市民からも愛されている福祉の街でもある。 ・この街の語源は、明暦3年(…
石原の責任論(1)
石原の責任論(1): 尖閣諸島購入宣言 :そのドラマの梗概を手短に説明すると、こうだ。 ・1967年、自民党佐藤政権は「沖縄返還」を公約に掲げ、国内世論はこの問題で沸騰していた。「戦争に負けても外交で勝つ」。彼は、尊敬する元総理吉田茂の言葉を引き…
石原の責任論(2): 都の尖閣上陸申請 :2012年8月、終戦から数えて67年目の夏。 ・広島や長崎で開かれた平和祈念式典には、米国の駐日大使ルース夫妻と共に、シカゴ在住の米国人が参列した。このダニエル氏は原爆投下を命じた第33代米国大統領トル…
石原の責任論(3): 負担付きの寄附) NHK-NewsWeb 「政府 尖閣購入で地権者と大筋合意」 9月3日 4時23分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120903/t10014727271000.html ・政府は、沖縄県の尖閣諸島について、より平穏かつ安定的に実効支配していくため、国…