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先見の明 ノート型パソコンの父 死す

2016-09-01 | Weblog

ノート型PCの父、J・エレンビー氏死去 ARにも先見の明

今では当たり前の存在として職場や学校や家庭に普及したノート型パソコン。しかし1世代前までは、ふたを開けるとキーボードと画面が現れるコンピューターは超画期的だった。その製品を世に送り出し、ノート型パソコンの父と呼ばれたジョン・エレンビー氏が死去したことが29日までに分かった。

遺族によると、エレンビー氏は今月17日に亡くなった。75歳だった。

英国の技術者だったエレンビー氏の経営するグリッド・システムズは1982年、ノート型パソコン「コンパス」を発売した。本体は相当重く、背面にある折り畳み式の脚でマシンを支えて過熱を防ぐ構造だった。値段は8150ドル、現代の金額に換算すると2万324ドル(約200万円)。一般には手が届かなかったが、米航空宇宙局(NASA)のような政府機関で重宝された。

当時はまだ、デスクトップ型コンピューターさえ登場し始めたばかりだったが、エレンビー氏は既に先を見据えていた。

米アップルを創業した故スティーブ・ジョブズ氏が同社初のデスクトップ型コンピューター「マッキントッシュ」を披露したのは、コンパスの2年後だった。

2005年5月になってようやく、ノート型パソコンの販売台数がデスクトップ型を上回る。

エレンビー氏の先見性はノート型パソコンにとどまらない。

1990年代に創設したジオベクターは、現実世界にコンピューターの情報を重ね合わせる拡張現実(AR)の研究を手掛けた。

ARを活用したゲーム「ポケモンGO」はこの夏に公開されて大ヒット。エレンビー氏は、自身の先見の明が実証された世界を見届けて逝った。

 


Grid Compass:

クラムシェル型のデザインを採用した最初のポータブルコンピュータとして知られる。1982年に登場した。この端末以前にも、「ラガブルPC」などと呼ばれるポータブルコンピュータがわずかに存在したが、文字を読むことが可能なディスプレイと内蔵キーボード、クラムシェル型のヒンジを備えるとわれわれが認めた最初のPCはGrid Compass。そしてこの画期的なノートPCの誕生に貢献した主要人物の1人がジョン・エレンビー(John Ellenby)氏だ。

Grid Compass
Grid Compass
提供:Matt Flynn

https://collection.cooperhewitt.org/objects/18732295/


AR(拡張現実技術):

マートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の大ヒットで、現実空間にコンピューター映像を重ね合わせる「拡張現実(AR)」技術が注目を集めている。アップルやマイクロソフトなど米IT大手も今後の成長分野と位置付けており、関連サービスが続々と登場しそうだ。

ポケモンGOでは、スマホのカメラと位置情報機能を使ったAR技術により、街中に出現するキャラクターを捕まえるという斬新な手法が利用者の心を捉えた。

アップルのクック最高経営責任者(CEO)は、ポケモンGOのヒットに関し、「ARの大きな可能性を示している」と、この分野の投資を強化する方針を表明。フェイスブックのザッカーバーグCEOも、ARや仮想現実(VR)を「今後10年の成長分野」と重視する。

マイクロソフトは今年3月、AR技術を応用したメガネ型端末「ホロレンズ」を企業向けに発売。日本航空は旅客機の操縦席やエンジン部分をホロレンズで再現し、パイロットや整備士の訓練に活用する計画だ。

拡張現実(AR)機能を活用したスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の画面