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安倍の戦争法案、アノ独裁国家そっくり?(毎日新聞)

2015-06-30 | Weblog

自民党改憲案 アノ独裁国家そっくり?

憲法学が専門の早稲田大の水島朝穂さんだが、安保問題も得意分野。研究室には古書店やオークションで集めた旧日本軍や自衛隊の機密資料すらある=東京都新宿区で、吉井理記撮影
憲法学が専門の早稲田大の水島朝穂さんだが、安保問題も得意分野。研究室には古書店やオークションで集めた旧日本軍や自衛隊の機密資料すらある
 

6/30:「独裁政治」とまで言われている。安全保障関連法案成立に突き進む安倍晋三政権のことだ。

最近も自民党の勉強会で「安保法制や安倍政権を批判するメディアを懲らしめろ」との声が上がったばかり。

どこの独裁国家か、と思うが、実は自民党が掲げている憲法改正草案からして、北朝鮮や共産党一党独裁の中国の憲法と似てきているのだ。

◇文化、歴史に特定の見方 「国民の義務」多く

まず、次の文章をお読みいただきたい。

 (1)「公民は国家の法および社会主義的生活規範を守り(中略)尊厳を守らなければならない」

 (2)「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」

 (3)「国民は憲法および法律を順守し(中略)社会の公徳を尊重しなければならない」

(1)は北朝鮮憲法82条、(2)は自民党憲法改正草案(2012年)102条、(3)は中国憲法53条だ。どれも国民の憲法尊重義務、つまり「国民は憲法を守れ」ということだ。

もっともらしく聞こえるが、今の憲法にこんな規定はないし、主要7カ国(G7)首脳会議参加国のうち米国、英国、フランス、カナダにもない。残り2カ国、ドイツ、イタリアはナチズムやファシズムへの反省という歴史的理由から、自由や民主主義をうたう憲法の擁護義務を国民に課している。

ちなみに韓国や豪州はもちろん、旧大日本帝国憲法にもない条文なのだ(ただし憲法発布時の「勅語」には「臣民は憲法に対し従順義務を負う」とある)。

「ここに自民党の目指す国家像が透けて見える」と指摘するのは、憲法学を専門とする早稲田大教授の水島朝穂さんだ。

「まず憲法は国家権力を縛る目的で制定するもので、国民を縛り、従わせるためのものではないのです。これが立憲主義、つまり近代国家の基本であり憲法を守る義務すら国民に押しつけてはならないという考えで、だからこそ米英仏などには規定がない。自民党の改憲案はそこを逆転させ国民を縛る、という。北朝鮮や中国に近い考え方です」

歴代政権や憲法学者が違憲とした集団的自衛権行使を「『限定的』なら合憲」と独自論理を展開し始めた安倍政権。

保守派で改憲派の慶大名誉教授の小林節さんも「法の支配を無視した独裁政治だ」(22日の衆院平和安全法制特別委など)と批判してきたのはご存じの通りだ。その「独裁政治」の最たる北朝鮮や中国そっくりの条文、自民党改憲案のあちこちにある。

水島さんが解説する。「改憲案の前文は『日本国は長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家であって……良き伝統と……』などとある。憲法に文化や歴史、伝統について特定の見方を書き込むのも北朝鮮や中国と同じです」

確かに中国の前文は「中国は世界で最も古い歴史を有する国の一つである。中国の諸民族人民は、ともに輝かしい文化を築き上げ、栄光ある革命の伝統をもっている」、北朝鮮も「(北朝鮮は)偉大な領袖(りょうしゅう)金日成同志と偉大な指導者金正日同志の思想と指導を具現した主体(チュチェ)の社会主義祖国である」とある。

自民党は「前文は、我が国の歴史・伝統・文化を踏まえた文章であるべきですが、現行憲法にはそうした点が現れていません」(党作成の問答集)と主張するのだが、水島さんは「何を根拠に言っているのでしょうか。少なくともG7(前文自体がない英国を除く)で歴史やら文化やらを書き込んだ国はありません。多様な意見を共生させていくのが立憲主義の基本であり、自由民主主義です。だからこそ、憲法は特定のモノの見方に踏み込むことに抑制的なんですが……」とため息をつく。

さらに改憲案の最たる特徴がある。水島さんは「義務や権利制限は、独裁国家、社会主義国の特徴です」とした上で、先ほどの憲法尊重義務のような「国民の義務」の多さを指摘するのだ。

数え方にもよるが、改憲草案は「国防」(前文)「国旗・国歌の尊重」(3条)「自由・権利に伴う責任・義務」(12条)「家族の助け合い」(24条)「地方自治体の役務の公平な負担」(92条)「緊急事態宣言下での国・自治体の指示への服従」(99条)「憲法尊重」(102条)と、新たに七つの規定を設けた。現在もある納税、勤労、教育の三つを加えると10になる。中国は11、北朝鮮は8だ。付け加えれば、改憲案は「国の領土・資源の保全」「環境保全」で「国民の協力」も書き込み、これを「事実上の義務」と見る識者もいる。

「自民党の問答集に『立憲主義は義務規定を設けることを否定しない』とあるが、疑問です。欧米の自由主義諸国では義務規定は極めて少なくかつ例外的。自民党案はこの点でも北朝鮮や中国と似るんです」(水島さん)

なぜこんな改憲案が出てくるのか。

小林さんは「今の自民党は世襲議員だらけ。子供のころから『若殿様』のように周囲から扱われ、エリート意識がある。だからこんな『上から目線』の憲法ができあがる」とあきれていた。

もちろん、そんな人ばかりでは決してないだろう。それでも「上から目線」傾向、タカ派として知られる清和会が自民党最大派閥になってから、より顕著になったらしい

ある自民党議員は「小泉純一郎、福田康夫、安倍と清和会出身首相は多くが世襲。あそこは血の派閥なんだ。強権的かは分からんが、ここ十数年で党全体がタカ派的な、風通しが悪くなったような印象を(国民は)受けるかもしれない。改憲は必要だとは思うが……」と言葉少な。

確かに今度の安保法制でも、声を上げて疑問をぶつけるのは元行革担当相の村上誠一郎衆院議員ぐらいだ。そう言えば村上さんも「今の党内は『物言えば唇寒し』。議員が固守すべき立憲主義の危機なのに、誰も声を上げない」と嘆いていた。

◇自由、ここにあったのに……

 

自民党結党14年にあたる1969年に制作した党のイメージソング「話しあいのマーチ」をご存じだろうか。

非売品で、関係者に配布されたレコードのようだ。水島さんがその貴重な1枚を持っていた。作詞は星野哲郎さん、水前寺清子さんが熱く歌いあげる。安倍首相、そして全自民党議員にぜひ聴かせたい。

♪云(い)いたいことはなんでも云える 自由がここにあるんだぜ(中略)心と心の 空間を みんなの意見で埋めよう 互いに一歩 近よるだけで 場面はぐっと 広くなる 話しあおうよ 隠さずに 話しあおうよ 恐れずに……

時の首相は佐藤栄作氏。安倍首相の大叔父である。より国民を縛る改憲案を作り、安保法案を批判する憲法学者ら各界の声を「学者は憲法9条の字面に拘泥し過ぎる」(高村正彦副総裁)と無視する自民党。まさか朝鮮労働党や中国共産党を手本にしているわけではなかろうが、これでは「自由民主」の名が泣くのではないか。


安倍オフレコ発言 「思い上がりと不安のせめぎ合い」(境界性人格障害か)

2015-06-30 | Weblog

戦争やる気満々安倍オフレコ発言ぜんぶ書く (週刊現代):

「仮想敵国は中国」
「橋下の本当の評価」
「慰安婦問題は3億円あれば解決できる」
 
 
 
思い上がりと不安が入り混じった、なんと正直な告白 
 
かつてない興奮と憂鬱のはざまで、総理の心はさながら上り下りを繰り返すジェットコースターのようだ。新聞やテレビが決して報じないところで、にわかには信じがたい言葉を連発していた。
 
あの橋下も驚いた
 
「国政進出、私は期待していますよ」
 
「(来年7月の)参院選には出ないということなら、衆参ダブルもありますから」
 
真剣な面持ちで身を乗り出す安倍晋三総理に、さすがの橋下徹・維新の党最高顧問も「いやあ……」と曖昧な笑みを浮かべるほかなかった。
 
今、日本一豪奢なホテルといわれる、虎ノ門ヒルズ高層階の「アンダーズ東京」。銀座、丸の内の夜景を一望する地上240mの個室に、安倍総理、菅義偉官房長官、橋下氏、そして松井一郎大阪府知事の4人だけが静かに座っていた。6月14日、日曜日の夜。番記者もシャットアウトした密室の会談は、3時間にも及んだ。
 
「もともとこの日は松井知事が単独で上京するから、菅さんと会おうという話だった。それが、橋下さんのたっての要請で『安倍・橋下会談を』ということになったんです。
 
橋下さんからは『安保法制、憲法改正で協力します』と。総理からは『橋下さんが国政に出るなら、バックアップする』と。そういう約束の場でした」(自民党閣僚経験者)
 
総理がそれほどオレを買っているとは。でも、あんなこと言って大丈夫か……。官邸との蜜月をアピールしようと目論んだ橋下氏にとっても、安倍総理の踏み込みぶりは想定外だったに違いない。
 
安倍総理の心身の状態は今、きわめて不安定になっている。上機嫌、饒舌で周囲を驚かせたかと思えば、官邸に詰めるスタッフに怒鳴り散らす。いきおい、危なっかしい「オフレコ発言」を頻発している。
 
総理がそれを言っちゃあ…
 
官邸記者クラブのキャップが集うオフレコの懇親会、いわゆる「オフ懇」。6月1日の午後7時すぎ、赤坂の老舗中華料理店「赤坂飯店」に到着した安倍総理は、乾杯してすぐ、注がれたビールを飲み干した。赤ワイン派の総理にしては珍しく、グイグイと杯を重ねてゆく。持病の潰瘍性大腸炎は大丈夫なのか。出席した記者たちが気を揉むほどの飲みっぷりである。
 
この日は、午後3時頃に町村信孝前衆院議長の訃報が飛び込んできたばかりで、夜には総理も目黒の町村邸を弔問に訪れる予定だった。町村氏は、安倍総理の出身派閥の元領袖。「今夜、本当にやるのかな」と記者たちは訝ったが、官邸からは夕方「予定通りで」という連絡が入った。
「町村さんは、お気の毒でしたね」
ひとりの記者が水を向ける。しかし安倍総理は、
「うん、そうだね」
「いい人だったよね」
と、まるで他人事のように返す。そして、無表情にいくつかの思い出話を語るのだった。
 
ところが、話題が安保のことに移ると、総理の口は一転してなめらかに回り始めた。自説をとうとうと述べたてて、こう周囲に同意を求める。
 
「野党の人は、何でオレに質問しないんだろうね」
 
「だいたい論点は出尽くしたでしょ。もう議論することなんかないのに」
 
「(民主党の)岡田(克也代表)さんなんて、いつも同じことばっかり言ってる。意味がないですよ」
 
「あんなのに答える必要はない。民主党はもう終わりだよ」……。
 
この4日前、総理は衆院平和安全法制特別委員会で、民主党の辻元清美議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばし、党内外から猛批判を受けたばかりだった。安保のことはオレが一番分かっている。野党の連中がやっていることは、所詮揚げ足取りにすぎない……酔いのまわった総理は、そんな憤りに身を任せていたのだろうか。
 
さらに安倍総理は、こうも言った。話題が集団的自衛権のことにさしかかった時である。
 
「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの。だから、やる(法案を通す)と言ったらやる」
 
要するに安倍総理は、中国を自衛隊と米軍の「仮想敵国」だと考えている。この「誰もがうすうす感じているけれど、決して口にはしてはならないこと」を、あろうことか、当の総理が認めてしまった。まさか本当に、戦争をやる気なのか。
 
「総理、そろそろ……」
 
安倍総理の信頼を一身に集める側近・今井尚哉総理首席秘書官が耳打ちし、総理はやおら立ち上がって店を出て行った。
 
その足で安倍総理は、町村氏の自宅へ向かった。時刻はすでに夜9時前。やや赤らんだ顔で弔問に訪れた総理の姿に、遺族や派閥関係者は驚きを隠せなかった。
 
「町村さんと安倍総理の関係がかなり悪かったことは皆知ってるけど、さすがにあれはないな……」
 
後日、細田派(旧町村派)所属のある議員は、そう言って溜息をついた。
 
バレたら国際問題になる
 
再び政権の座について以来「安倍一強」と言われ続けた総理は今、言うなれば「思い上がりと不安のせめぎ合い」に苛まれている。心身のストレスの針はとっくに振り切れ、それが「唯我独尊」の言動となって表れているのである。
 
事実、官邸では連日の国会審議の合間に、安倍総理の怒声が飛んでいる。
 
「どうにかならないのか!」
「何でもマジメに答えりゃいいってもんじゃない」
「ホントに、バカ正直だから困る」
 
この「安保国会」で野党がとっている戦略は、総理の足元をひたすら狙い撃つというもの。答弁がヘタな中谷元防衛大臣を徹底的に追及し、しどろもどろになったところで、ようやく安倍総理に振る。そうすれば、大将である総理は前衛が犯した答弁のミスを一手に引き受けざるを得ない。
 
ヘトヘトになった総理は、官邸に引き上げると、側近たちに向かって前述のように怒鳴っているというわけだ。「バカ正直」とはむろん、中谷氏のことである。自民党衆院議員が言う。
 
「野党のやり方はこたえていますよ。そもそも、身内から見ても自民党の安保法案はかなり無理筋。しかも、8月まで会期を延長すると言ったって、8月15日の『戦後70年談話』発表の時に国会が開いていたら、それこそ野党から猛攻撃に遭って収拾がつかなくなってしまう。ここは焦らずに、一度引いて仕切り直したほうがいいという声も党内では出始めています」
 
しかし、それでも安倍総理は「夏が終わるまでに押し切る」という構えを崩そうとしない。その理由を「ここにきて、またしても体調が悪化しているからだ」と明かすのは、ある自民党関係者だ。
 
「長年の悲願である憲法改正までたどり着けないのではないか、という懸念が総理の中で出てきているんですよ。
 
ここ最近官邸でよく言われているのは、トイレの回数がやたら増えている。30分に1回行く日も珍しくなくて、そんな時は『ちょっとヤバいね』と噂になっているんです。精神的にもかなり疲れていますからね」
 
内閣支持率はじりじりと下がり、第二次安倍政権が発足してから最低の41%となった(6月12~14日、NNNテレビによる世論調査)。このまま突き進んで、本当にうまくいくのか。不安が募れば募るほど、総理が漏らす「オフレコ発言」は過激になってゆく。
 
6月16日、TPP関連法案の採決で紛糾する米議会の混乱を見ていわく—。
 
オバマは何やってんだ!」 「まったく、アメリカは何やってんだ!
 
21日には、翌22日の日韓国交正常化50周年を機に韓国の尹炳世外相が来日、岸田文雄外相と会談した。その直前、日韓関係について「ホンネ」を吐露していわく—。
 
「ほら、待ってれば韓国のほうからアプローチしてくるんだよ」
 
「従軍慰安婦問題は3億円あれば解決できるんだ。でも、カネの問題じゃないからなあ」
 
海外のメディアで報じられれば、ほとんど外交問題モノの放言ばかりである。こうした「オフレコ発言」が一向に報じられないところを見る限り、大新聞とテレビ局をガッチリ握る安倍官邸の優秀な「危機管理」は、しっかり機能しているらしい。
 
この夏を何とか乗り切れば、9月下旬には自民党総裁選が待っている。党内では「まったくの無風。このままいけば、安倍さんの無投票再選になる」(ベテラン議員)という見方が大勢だ。
 
しかし一方で、「ポスト安倍」を意識した動きが水面下では加速しつつある。
 
安倍総理が最も警戒する存在が、二階俊博総務会長であることは、永田町では衆目の一致するところである。5月下旬に3000人を引き連れて北京を訪れ、習近平・中国国家主席と面会したことは記憶に新しい。
 
「二階氏はいち早く『安倍再選支持』を表明し、大阪都構想の住民投票が行われる前日の5月16日には、見返りとして総理に地元・和歌山の高野山まで足を延ばさせました。
 
しかしその一方、安倍政権下ですっかり弱体化した石原派を、自身の二階派に取り込もうとしていて、『石原(伸晃前環境相)氏をポスト安倍の候補に担ぐ』とも示唆している。表立って総理に反抗はしませんが、牽制も忘れていない」(全国紙政治部デスク)
 
「後継指名」も飛び出した
 
そんなことは気にしなくていい。オレが後見人になれば、安倍政権が事実上続くのだから……。それが総理の目算だ。安倍総理と二階氏は「どちらが院政を敷くか」をめぐって、すでにバトルを始めているというわけだ。 対する安倍総理は、「次は稲田(朋美政調会長)」とほのめかしている。9月の人事で稲田氏を幹事長に据え、「女性初の総理大臣」へ道筋をつける。総理の器じゃない?
 
面白くないのは、菅官房長官である。菅氏としては、身動きのとれない官房長官ポストは卒業して、党の実権を握る幹事長職に就きたい。しかし、あまりにも菅氏は安倍総理に尽くしすぎた嫌いがある。
 
「沖縄の普天間基地問題に、負け続けの地方選と、菅さんは『オレは地雷を踏んでも頑張っているのに』と思っている。ただ、頑張りすぎたせいで代わりがいない。このまま務めあげて、総理と一緒に退場するしかない」(前出と別の自民党関係者)
 
菅氏を解放しようとしない安倍総理の内心には、「菅ちゃんに幹事長をやらせると、どう転ぶか分からない」という警戒もある。何といっても菅氏は、政局のたびに変わり身を重ねて、政界を渡り歩いてきた人物なのだ。
 
その点を踏まえると、冒頭の安倍・菅・橋下・松井の「四者会談」には、安倍総理と菅氏の間で異なる意味合いを帯びていたことが分かる。
 
「橋下氏と個人的な結びつきがあるのは、総理ではなく菅氏です。橋下氏を抱き込むことに成功すれば、菅氏の立場は強くなる。安倍総理は、あくまで橋下氏を自分の駒として利用できると踏んでいるようですが……」(前出・全国紙政治部デスク)
 
第3コーナーをまわった安倍政権。ここから先、何が待ち受けているのか……。安倍総理の言動には、その心のうちの高揚と不安が、如実に表れている。 2015/6/29
 
 
 

 
参考:管理人が一押しする安倍の症状「境界性人格障害」

境界性人格障害の特徴を持っている人は、気分の波が激しく感情が極めて不安定なので、さっきまで理想化して褒めていたような人に対しても、何か自分に否定的な発言などがあると急に怒り出して、攻撃的な罵倒が止まらないほどに興奮してしまうこともあります。

(認知・思考のパターン)

:物事や人物を、“白(善)”か“黒(悪)”かの『二分法思考(二元論的思考)』で認識して判断しやすい。そのため、一人の人物の『良い部分』と『悪い部分』を現実的に認識することができず、『完全に良い人』か『完全に悪い人』かという両極端な評価になって、人間関係で衝突が起こりやすくなる。

:相手を『理想化』して褒め称えるか、『脱価値化(無価値化)』してこきおろすかといった極端な対人評価をしやすい。少し前まで相手のことを高く評価していたのに、少しでも自分の思い通りにならないことや相手の嫌いな部分が目につくと、途端に態度を急変させて攻撃したり罵倒したりするので、安定した人間関係がつくりにくい

:他人の『行動・発言・態度』を見た時に、自分にとっての『味方』か『敵』かという視点で相手を単純に分類してしまう。『味方』に分類した相手に対しては、好意的・誘惑的に接近して依存的な態度を取りやすく、『敵』と分類した相手に対しては、攻撃的・拒絶的な態度を取って怒りの感情を露わにすることもある。

(感情・気分のパターン)

:その時その時で、『気分(上機嫌-不機嫌,高揚・抑うつ)』が非常に変わりやすく、『感情(喜怒哀楽)』が極めて不安定である。数十分~数時間単位で気分・感情がコロコロと変化することがあるため、相手がどのような対応をすれば良いか分からなくなって困惑することがある。

:『怒り・イライラ・不快・悲しみ』などの感情が激しくて、周囲を振り回したり傷つけたりして、無意識的にコントロールしてしまうことがある。感情の発生・表現が急速であり激し過ぎて、自分でも自分の感情をほとんどコントロールできないと感じている。

:他人の注目や好意を求める『自己愛の欲求・承認欲求』が強いので、『無関心・無視』に対して過敏に反応しやすく、相手に対して敵対的になったり気分がどんよりと落ち込んだりする。誰かが自分の存在価値を認めて保証してくれないと気分が落ち着かず、基本的に『自分自身の価値』を自分ひとりだけで認識(実感)することができない。

:他人の愛情や承認を求める欲求は人並み以上に強いが、心のどこかで『どうせ自分は誰からも愛してもらえない・いつかは相手に見捨てられて孤独な状態になってしまう』というネガティブな感情を抱き続けている。人間関係に対する絶望的な寂しさ・分かり合うことの難しさを感じていて、『見捨てられ不安の増大』が『自己破壊的な衝動』と結びつきやすい。

(行動・対人関係のパターン)

:自分の思い通りにならない人間関係で、理不尽な怒りや癇癪(かんしゃく)を爆発させて、相手をこき下ろしたり、激しい口調で非難することがある。怒るだけの理由が見当たらないのに、一方的な怒りや憎悪を相手にぶつけることで、それまでの人間関係がダメになってしまうことがある。

:他者に対する評価・態度が『理想化(褒め殺し)』と『脱価値化(こき下ろし)』で極端な落差があり、『相手の内面・意図』を自分勝手に推測して、相手の考えや心情を一方的に決め付けてしまうことがある。相手の人格(性格)や行動を客観的に評価することができず、相手との適切な距離感や配慮を維持することも難しいので、対人関係における食い違いやトラブルが多くなってしまう。