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異様な原風景 安倍晋三と秘密保護法案(世論調査)更新10/30

2013-10-28 | Weblog

当時、中曽根康弘政権が成立を目指した国家秘密法(スパイ防止法)が議論されていたころはまだ「言論の封殺」を経験した人々がいた。「感覚的に『大変だ』と感じて、たくさんの人が反対の声を上げた」。結果、法案は廃案になった。

それから30年余。「戦時中の空気」を語れる人はほとんどいなくなった。

反対に、戦争の名残すら感じたことのない世代が増えた。「感覚というのは理屈に勝る。『戦争になる』と想像力に働きかけても、実感は湧きにくい。理屈で考えるのはとても難しい」

メディアの危機感も薄い、と憂う。「戦争の生々しい記憶が残っていたあのころと今とは、全く雰囲気が違う」

戦前戦中といまでは社会情勢は異なる。

でも、本当に違うだろうか。

〈公益及び公の秩序に反してはならない〉
自民党の改憲草案を読んでがく然とした。個よりも全体、つまり国を優先させることを強調している。

そして戦後レジーム(体制)の脱却を掲げ、憲法改正と集団的自衛権の行使容認に意欲を見せる安倍首相と、その政権は高い支持率を保つ。

「日本は安倍首相が望む一つの方向に向かっている」

戦争ができる国へ-。その流れの中に、特定秘密保護法案がある。

(フリージャーナリスト江川 紹子、1958年生)


 「なぜ、安倍政権は秘密保護法を急ぐのか。今でも国家公務員法に秘密保護の規定がある。現状でも秘密保持はできるのです。

裏を返せば、政府は今後、国の針路や国民の命運を大きく左右する重大な秘密が出てくると予想しているのでしょう。

そのために規制の網を大きくしておく必要がある。そう考えているとしか思えません。その手の秘密とはもちろん、軍事機密でしょうから、日本はこれから戦争をやる国になるのです。

安倍政権は今、その準備を進めようとしているのですよ」

(社会学者、法政大学大原社会問題研究所教授 五十嵐仁、1951年生)


 

更新

猛進 重なる姿 秘密保護法案 安倍政権 スパイ防止法案 中曽根政権

 

10/30 Tokyo: 安倍政権は、機密情報を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案を、今国会で成立させようという姿勢を強めている。与党が衆参両院で多数を占め、政権が安定した状況で国民の「知る権利」の制限につながる立法に走る姿は、一九八〇年代にスパイ防止法案の成立を目指した中曽根政権の時代と重なる。 (清水俊介)

スパイ防止法案は、八〇年に起きた自衛官の機密漏えい事件をきっかけに、自民党が法制化の議論に着手。中曽根政権誕生後の八五年に国会提出した。防衛と外交の機密情報を「国家機密」に指定し、公務員らが外国の勢力に漏らせば、罰則は最高で死刑という厳しい内容だった。

秘密保護法案も、政府が外交や防衛など四分野の情報を「特定秘密」に指定する内容。漏えいには最高で懲役十年の厳罰を科す点で似ている。政府側の裁量で際限なく秘密が広がる恐れがあることなど国民の「知る権利」を侵すのも同じだ。

スパイ防止法案は成立しなかった。世論や野党の反発に加え、自民党内の慎重論も強く、実質審議されずに廃案になった。

自民党は八六年の衆参同日選で圧勝したことを受け、最高刑を死刑から無期懲役に変更し、報道への配慮規定も追加した修正案の再提出を目指した。だが、若手議員だった谷垣禎一法相、大島理森(ただもり)前自民党副総裁ら十二人が反対の意見書を党に提出。谷垣氏は反対の論文も発表し、自民党は再提出を断念した。

秘密保護法案をめぐっては、多くの法学者が反対の声を上げたスパイ防止法案の時と同じように、世論の反対論は広がりつつある。二十八日には二百六十人を超える法学者が反対声明を発表。報道機関の世論調査でも反対が半数を超える。

しかし、自民党内に慎重論は広がらない。八六年の意見書に名を連ねた村上誠一郎衆院議員は党が法案を了承する際、反対を主張したが、谷垣氏は法案の閣議決定で署名。「当時は情報公開の仕組みが整備されていなかった。当時と変わってきた」と釈明した。

学習院大学の野中尚人教授(比較政治学)は「自民党は長く国民政党として、保守からリベラルまで国民の幅広い意見を受け止めていた。野党転落後は右傾化し、リベラル層の居場所がなくなっている。秘密保護法案の対応は党の現状を反映している」と指摘する。

◆谷垣論文の骨子

谷垣禎一現法相が「中央公論」一九八七年四月号に執筆した論文の骨子は次の通り。

▽自由と民主主義に基づく国家体制を前提とする限り、国民が防衛情報を含む国政の情報にアクセスすることは自由であるのが原則

▽刑罰で秘密を守る場合は、秘密を限定しないと人の活動を萎縮させる。萎縮効果の積み重ねこそが自由な社会にとって一番問題

▽情報収集は国民の自由な活動に属する。処罰は本来のスパイ活動に限定すべきだ

 

 


秘密保護法案、懸念鮮明に「慎重審議を」82%共同通信世論調査 

10/28 Kyodo: 共同通信社が二十六、二十七両日に実施した全国電話世論調査によると、政府が今国会に提出した特定秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超えた。賛成は35・9%だった。

慎重審議を求める意見は82・7%を占め、今国会で成立させるべきだとする12・9%を上回った。

東京電力福島第一原発の汚染水漏れに関し「全体として状況はコントロールされている」との安倍晋三首相の説明を「信頼できない」とした人は83・8%で「信頼できる」は11・7%だった。

機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案には国による情報統制が強まるとの批判がある。政府・与党は今国会での成立を目指しているが、調査結果は世論の根強い懸念を鮮明にした。

安倍政権の経済政策で景気が良くなったと実感している人は18・0%にとどまり、78・8%が実感していないと回答。「所得が増えると思う」は16・6%で、75・8%が「増えないと思う」と答えた。

武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の見直しを安倍政権が検討していることには47・3%が反対し、賛成は41・6%だった。

安倍内閣の支持率は60・7%で、十月初旬の前回63・3%から2・6ポイント減となった。不支持は前回比2・9ポイント増の27・0%だった。

「知る権利」制約 国民の疑念反映

共同通信社の世論調査で特定秘密保護法案に反対が半数を超えたのは、国民の「知る権利」が大幅に制約されかねないという国民の疑念を反映した結果だ。政府は「米国などとの情報共有には秘密保全のための法整備が不可欠」との立場だが、世論の理解が進んだとは言い難い。

今国会での成立にこだわらず、慎重な国会審議を求める声も82・7%に達した。

与党は十一月上旬に審議入りし中旬までに衆院を通過させたい考えだが、数の力に頼った「成立ありき」の国会運営は慎み、議論を尽くすことが求められる。

「特定秘密」の指定は第三者のチェックを受けず、政府が恣意(しい)的な運用をする懸念は消えない。特定秘密は三十年を超える場合でも内閣の承認があれば延長可能で、政策決定過程が「歴史の闇」に葬られて検証できない恐れもある。


自民、秘密保護法案 「首相の趣味」身内も批判

2013/10/24 mainichi

安全保障に関する国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、自民党衆院議員の村上誠一郎元行革担当相(61)が毎日新聞の取材に「財政、外交、エネルギー政策など先にやるべきことがあるのに、なぜ安倍晋三首相の趣味をやるのか」と述べ、今国会での成立を目指す安倍内閣の姿勢を痛烈に批判した。25日の閣議決定を前に、法案に身内から強い反発が出た形だ。

村上氏は特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案について「戦争のために準備をするのか。もっと平和を考えなければいけない」と懸念を表明。さらに「(特定秘密保護法案には)報道・取材の自由への配慮を明記したが、努力規定止まりだ。本当に国民の知るべき情報が隠されないか、私も自信がない。報道は萎縮する。基本的人権の根幹に関わる問題だ」と、国民の「知る権利」が侵害を受ける危険性に言及した。

村上氏は22日、自民党総務会を途中退席して法案了承に反対の意向を示した。村上氏は「党総務会は官邸の意向を振りかざし、熟議のないまま進んでいる。慎重な上にも慎重にしなければいけない」と合意を急いだ党運営を批判。退席者が自分一人だったことには「小選挙区制では党が公認、カネ、人事の権限を握る。政治家の良心として言わねばならないことも言えなくなっている」と話した。衆院本会議での採決については「懸念する点が解消される修正があるかどうかだ」と審議を見守る考えを示した。

村上氏は衆院政治倫理審査会長。愛媛2区選出で当選9回。新人時代の1986年11月、谷垣禎一氏(現法相)、大島理森氏(元党幹事長)ら自民党中堅・若手国会議員12人の一員として、中曽根康弘内閣の国家秘密法案への懸念を示す意見書を出した。【

日弁連、秘密保護法反対の意見書 「情報管理徹底で防げる」

2013/10/24 kyodo

 

特定秘密保護法案に反対する意見書を発表する日弁連秘密保全法制対策本部の江藤洋一本部長代行(左)=24日午前、東京・霞が関

日弁連は24日、記者会見し、重要な秘密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案に反対して「漏えい防止は厳罰化でなく、情報管理システムの適正化で実現すべきだ」と訴える意見書を公表した。国民への情報開示を充実させるため、公文書管理法や情報公開法の改正も求めている。

意見書は、過去の漏えい事件では組織内部の情報管理がずさんだったと指摘。情報の重要度に応じてランク分けした管理システムが実行されれば、漏えいを防ぐことができ、秘密保護法の制定は必要ないとしている。

秘密保護法案:検討過程「真っ黒塗り」 情報公開請求に

2013/10/3 mainichi 

タイトルや見出し以外は真っ黒に塗りつぶされた特定秘密保護法案に関する開示文書

政府が立案を進めている特定秘密保護法案の検討過程について、毎日新聞が関係省庁に情報公開請求をしたところ、法案の内容に触れる部分は「不当に国民の間に混乱を生じさせる恐れがある」として、ほとんどが黒塗りだった。官僚がどう法案を練り上げたかのプロセスが秘密にされており、主権者である国民が法案について十分に知り、深く議論することが難しい状況になっている。

情報公開請求は、法案を担当する内閣情報調査室(内調)のほか、防衛、外務両省や警察庁、内閣法制局など関係する13の政府組織に対して行った。

その結果、文書はそれぞれ開示されたものの、見出しなど一部を除き、法案の素案や法案の内容を解説した部分は全て黒塗りにされ、1ページ全部が真っ黒に塗りつぶされた文書も数多くあった。

不開示について内調は「公にすることにより、国民の間に未成熟な情報に基づく混乱を不当に生じさせる恐れがある」ことを第一の理由とし、他省庁も同様だった。これは情報公開法に定められた不開示理由の一つで、特定秘密保護法案以外でも国会提出前の法案については同様の扱いがなされている。

しかし、民主党政権が2011年4月に提出した情報公開法改正案では、この不開示理由は削除された。有識者会議で「(封建的な)『よらしむべし、知らしむべからず』を連想させる」などの意見が出たためだ。だが、改正案は昨年末の衆院解散で廃案となったため、当面は今の運用が続くとみられる。

秘密保護法案関連の公文書を数多く収集するNPO「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「法案の作成過程を国民が議論するのは当然であり、正当なこと。何が『不当』かを行政が主観的に決められる現行の規定は不適切だ」と指摘している。

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