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[核兵器不拡散条約] 安倍政権下の日本、「核の不使用」共同声明に唯一署名せず(更新10/11)

2013-10-11 | Weblog

更新10/11

核不使用:政府、国連声明に署名へ 「核の傘」依存は維持

ASAHI:

安倍政権は、国連総会第1委員会で来週発表される予定の核兵器の廃絶を求める共同声明に署名する方針を固めた。今年4月に発表された同様の声明には、米国の「核の傘」に頼る安全保障政策と整合性がとれないとして署名しなかったが、方針転換した。

日本が署名するのは、スイスやニュージーランドなど16カ国が参加する共同声明だ。核兵器使用が人道上、破壊的な結果を招くとして、廃絶を訴える内容になっている。11日にも署名の意向を表明する方向で調整している。

4月の声明は核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で発表され、スイスなど70カ国以上が署名した。日本は賛同の道を探ったが、「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことが人類存続の利益になる」との表現を問題視。核兵器の使用を完全排除した場合は米国の核抑止力に頼る政策と合わないと判断し、署名を見送った。

だが、被爆地などが強く反発したことから、政権は方針転換を模索。「こうしたテーマの声明に参加する可能性を探りたい」(菅義偉官房長官)と、安倍晋三首相が関係国と調整するよう外務省に指示した。その結果、今回の声明にも「いかなる状況でも」との趣旨は残るが、「全体として日本に配慮した表現になった」(日本政府関係者)と判断した。

MAINICHI:

岸田文雄外相は11日の記者会見で、国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)が来週中にもまとめる核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明に署名することを表明した。これまでは米国の核兵器の抑止力に依存する現状に支障があると判断した場合は署名を見送っており、被爆地から反発の声が上がっていた。核軍縮を進める理念をアピールする意味があるが、声明は日本の提案で核抑止力を完全には否定しない方向に修正される見通しで、「核の傘」への依存も維持される。

「被爆地の思いを世界に発信すべく、核軍縮・不拡散で強いリーダーシップを発揮していきたい」。岸田氏は記者会見で署名の意義をこう強調した。

核兵器不使用をめぐっては昨年5月以降、国連総会や核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会で同趣旨の共同声明が3回発出された。今年4月には「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことが人類存続の利益になる」との声明に80カ国が参加したが、日本政府は安全保障政策との整合性から署名せず、「世界の期待を裏切った」(田上富久長崎市長)との批判が出ていた。

今回の声明では基本線は変わらないが、修正によって「全体として核抑止力を否定しない内容」(外務省幹部)となる見通し。岸田氏も「現実の厳しい安全保障環境を踏まえて関係各国と協議を続け、適切な修正が行われた」と語った。

来年4月には広島で軍縮・核不拡散をテーマにした外相会合が開かれる。2015年は原爆投下から70年にも当たり、「唯一の被爆国」として核廃絶に取り組む姿勢を示す必要に迫られていた。広島選出の岸田氏は6月、起草国のニュージーランドを訪問し、マカリー外相に修正を働きかけるなど、下準備を主導した。岸田氏は11日、外務省で核廃絶に取り組む高校生と面会し「努力を積み重ね、核兵器のない社会を目指して頑張っていきたい」と語った。

右傾化懸念の払拭狙う

安倍政権に対しては、中韓両国が「右傾化」批判を高め、米国内の一部にも懸念がある。署名には、こうした懸念を払拭(ふっしょく)する狙いもあるとみられ、首相が掲げる「積極的平和主義」という主張にも沿うと判断した。首相に近い自民党議員は11日、「被爆国としてのアピールは他国に安心感を与えることにもなる」と語った。

ただ、日本周辺では核保有国の中国と沖縄県の尖閣諸島をめぐる緊張が続き、北朝鮮の核開発も「現実的な脅威」(ヘーゲル米国防長官)となっている。日米両国は3日の安全保障協議委員会(2プラス2)で、拡大抑止(核の傘)をめぐり「米国による日本防衛への関与」を確認しており、署名しても防衛政策の基本が変わるわけではない。声明という性格から日本の政策を縛る法的拘束力がないことなども考慮したとみられ、いわば「条件付き」の署名といえる。

署名に向けては、外務省も米国側に事前に連絡したとみられる。外務省幹部は「北朝鮮やイランなどの現状を考えれば核廃絶は現実的ではない」と指摘。防衛省関係者も「署名するかどうかは完全な国内問題だ」と述べ、日米同盟への影響を否定した。

〈核兵器に関する国際決議をめぐる日本の対応〉 1995年以降、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議が採択されているが、日本は一貫して棄権してきた。核兵器の「非人道性」を訴える共同声明は昨年、NPT再検討会議第1回準備委員会で初めて提案された。同年10月の国連総会第1委員会でも発表されたが、日本はいずれも賛同していない。


4/25

日本 NPTの核不使用声明に署名せず

NHK:
スイスのジュネーブで開かれているNPT=核拡散防止条約の会議で、核兵器は非人道的なものだとして、いかなる状況でも使用すべきではないなどとする共同声明が提出されましたが、唯一の被爆国の日本はこの声明に署名せず、NGOなどから批判の声が上がりました。

この共同声明は、ジュネーブで行われているNPTの再検討会議に向けた準備会合で24日、南アフリカの代表団が提出しました。

声明では「核兵器の使用によって、直接に人が死ぬだけでなく、社会や経済の発展は停止し、環境は破壊され、将来の世代は健康や食糧や水を失うことになる」として、核兵器の非人道性を強調しています。

そのうえで、「いかなる状況でも核兵器を二度と使わないことこそが人類生存の利益につながる」として、核兵器の不使用を訴えています。

共同声明には74か国が名前を連ねましたが、唯一の被爆国である日本は署名しませんでした。

これについて、軍縮会議日本政府代表部の天野万利大使は、記者団に対し、「核兵器が使用された場合の影響が非人道的なものだという点では賛同している」としたうえで、「いかなる状況でも使用しないとしている点が、日本の安全保障政策と相いれない」と述べました。

日本がアメリカのいわゆる「核の傘」で守られていることを、署名をしない理由の1つにしたものですが、会議に参加しているNGOなどからは批判の声が上がり、ジュネーブの軍縮会議日本政府代表部の建物の前で、およそ50人が抗議活動を行いました。

JNN NEWS:
開幕前、日本に対し、スイスが賛同を求めましたが、日本は回答を留保。一方で、「いかなる状況下でも」の文言を削るよう求めたということです。

「今回この部分が日本の安全保障の状況を考えたときにふさわしい表現かどうか、慎重に検討した結果、賛同することを見送った」(菅義偉官房長官)

菅官房長官は、核兵器の使用が将来にわたり耐えがたい損害をもたらすという声明の基本的な考え方を支持しつつも、賛同しなかった理由として「我が国を取り巻く厳しい安全保障の状況」を強調しました。アメリカのいわゆる「核の傘」への影響や、北朝鮮の核開発問題などを懸念したものと見られます。

一方、日本が声明に賛同しなかったことについて、広島の松井市長は、「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきた広島とすれば、到底納得できるものではない」とのコメントを出しました。また、長崎の被爆者団体は、次のように述べています。

「(声明に)書いてある内容は至極もっともなことだけなんです。ちょっと理解できない、政府の対応というのは。本当に腹が立ちました」(長崎被災協 山田拓民事務局長)

山田氏はこのように述べた上で、日本政府の今後の動きについても懸念を示しました。


参考 4月25日付投稿ブログから

1.

外務省NPTの概要

(1) 条約の成立及び締約国

(イ) 核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)は、1968年7月1日に署名開放され、70年3月5日に発効(我が国は1970年2月署名、1976年6月批准。)。
(ロ) 締約国は190か国(2010年6月現在)。非締約国はインド、パキスタン、イスラエル。
(2) 条約の目的と内容
(イ) 核不拡散:
 米、露、英、仏、中の5か国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散を防止
(参考)第9条3「この条約の適用上、「核兵器国」とは、1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国をいう。」
(ロ) 核軍縮:
 各締約国による誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定(第6条)。
(ハ) 原子力の平和的利用:
 締約国の「奪い得ない権利」と規定するととも(第4条1)、原子力の平和的利用の軍事技術への転用を防止するため、非核兵器国が国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受諾する義務を規定(第3条)。

2.

NHK「“核”を求めた日本」で報道された内容に関する外務省調査報告書

スペシャル番組「“核”を求めた日本」によれば,1969 年2月,日本と西独が箱根で「日本と西独との間の秘密会議(第1 回日独政策企画協議)」を開催した際,日本側出席者(団長 鈴木孝外務省国際資料部長、故人)が以下のような発言をしたとされる。

 「日本と西独は,米国からもっと自立する道を探るべきだ」

  「両国が連携することが超大国になるために重要だ」

 「10 年から15 年のうちに,(日本として)核保有を検討せざるを得ない『非常事態』が起こると考えている。中国が核を持つことをアメリ カが認めたり,インドが核保有国となるような事態だ」

 「日本は憲法9 条があることで平和利用の名の下に,誰にも止められることなく原子力の技術を手にした」

 「日本は核弾頭を作るための核物質を抽出することができる」

これに対し、外務省は2010年11月29日付調査報告書のなかで、NHK報道に部分的に符合する箇所もあったことを認めたうえで、調査結論を次のように結んでいる。

(引用)

以上に照らせば,同協議の期間中,日本側出席者から報道されたような内容に関連する発言が何らかの形でなされていた可能性を完全に排除することはできない。

この点に関し,我が国の核兵器保有論をめぐる当時の議論や時代背景等を明らかにする可能性の高い文書の探索・分析も行った。その結果,当時の時代状況として指摘し得る点は以下のとおりである。

第一に,1964 年に中国による核実験が行われていたこと。

第二に,当時はまだ米国による我が国への「核の傘」の提供が対外的に公表されていないという状況にあったこと。

第三に,中ソ両国の能力に照らし,核抑止力をわが国独自で保有することは不可能であるとの認識が存在していたこと。

第四に,これらを踏まえ,当時署名が開放されていたNPTへの加入を決定するに当たり,我が国の安全保障の観点から様々な選択肢に関する議論が行われていたこと。

なお,外務省が他国との間で実施する政策企画協議とは,実務者レベルで共通の関心事項につき自由に意見交換することで,中長期的な外交政策の企画立案に役立てることを目的とした協議であり,特定の政策をめぐる交渉や調整のために実施するものではない。こうした同協議の性格についても,十分に留意する必要がある。

かかる性格の協議である日独政策企画協議の後,政治レベルも含めて行われた外交政策全般に関する議論を経て,日本政府はNPT加入に際し,日米安全保障体制に基づく我が国の安全保障,我が国の国際的地位,原子力の平和的利用に関する国際協力の確保等の観点を踏まえ,総合的な判断を行い,非核兵器国としてNPTに加入する決断をした。

(引用おわり)

外務省調査報告書phd ファィルhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku_hokoku/pdfs/kaku_hokoku00.pdf

3.

映像 NHK「“核”を求めた日本」で報道された内容

唯一の被爆国・日本で、かつて密かに核兵器の保有が模索されていた-。ことし3月に亡くなった元外交官が生前明かしたのは、40年前、日本が核保有を求めて西ドイツと極秘協議を行っていたという事実だった。

さらに政府中枢の情報機関、内閣調査室は、核兵器をつくる具体的な方法まで調査していた。非核三原則を宣言した、佐藤栄作政権時代に行われていた核保有の模索。首相の主席秘書官が残した大量の秘密資料には、佐藤首相が自らは核をもたない代わりに、アメリカの核の力に頼る、「核の傘」に入った過程が記されていた。

核廃絶を掲げながら、核の力を求め続けていた日本。この矛盾と、私たちはどう向き合ってきたのか。独自に入手した極秘文書と、当事者たちの証言から検証し、核廃絶に向けて日本の果たすべき役割を問う。

 動画 http://www.pideo.net/video/pandora/7c29c035e3e6fff4/

 予備 ttp://video.fc2.com/content/20110830k6sWCG4T/

4.

出版本

“核”を求めた日本被爆国の知られざる真実「NHKスペシャル」取材班/著

核や安全保障に一定の関心を持っている方は「そんなの常識だ」とか「よく知られた話では」と思われるかもしれない。現に私も、番組の放送前、局内外の人から、同趣旨の話をされたことがある。しかし、その「常識」や「知られた話」を、どのようなファクトでもって語るのか。そう切り返すと、多くの人は黙り込んでしまった。
私たち報道の人間がよって立つべきは、理屈や抽象論ではなく「ファクト=事実」である。今回の番組に向けて、私たちが挑戦したのは、「核」をめぐる新事実をとにかく、かき集めることだった。幸いなことに、いや、国民にとっては本当に不幸なことだが、取材過程で、これまで全く明らかにされたことのない、驚くべき「特ダネ」が数多く集まり、番組に盛り込むこととなった。「まえがき」より

NHK番組スタッフは、当事者から引き出した証言と、入手した極秘文書から衝撃の真実に辿りついた!元高官、技術者、学者、そして被爆者たちの多角的視点から、わが国の本当の姿に迫るドキュメンタリー。

目次

第一章 明らかになった日独極秘協議
第二章 日本は“核保有”を考えていた!
第三章 佐藤栄作とノーベル平和賞の知られざる真実
第四章 「核の傘」にしがみつく日本
第五章 核廃絶 問われる日本の役割
第六章 被爆者は核密約をどう考えるか

著者紹介

「NHKスペシャル」取材班
2010年10月に放送された「NHKスペシャル スクープドキュメント・"核"を求めた日本~被爆国の知られざる真実~」の取材チーム。