晴、15度、86%
食器棚の片隅に小ぶりな片口ばかり重ねた場所があります。 片口という口のついた食器が好きです。始末の良い器だと思います。汁物を注ぐのに安心です。実際に汁はなくても私は小鉢がわりによく使います。大きな黒の片口は口を使うことはありません。
大きなものは煮物の盛り鉢として使います。長年使ってきた片口に数個母が使った片口が混じっています。口が先に飛び出ているので、口を欠くことがよくあります。小さいものは食卓のお醤油差しにも使います。
朱塗りの片口は別にしまっています。色といい形といい、もともと片口は酒注ぎとして使われていたそうです。主人が日本酒を嗜むときにはお銚子の代わりにこの片口を使います。お酒を入れて使っていたら塗りに艶が出てきました。私はよく焼きなすをのせて使います。
一人の食卓ではこの片口に残りものをのせて数個並べます。ガラスの片口はドレッシングも入れます。お盆の上が賑やかです。
深さのあるこの片口はすき焼きの割り下を入れるのに使います。でも時々、花が生けられることもあります。
食器が好きで若い頃から集めました。お高いものはありません。和食器、洋食器、いつももう十分と思うのですが、食器の売り場を覗きます。食事のたびに食器棚の前に立ち使う器を考えます。いえ、作りながら器を決めます。量加減、盛り具合がぴったりの時はたとえ焼きナスでも嬉しく思います。「あと何回ご飯を自分で調えることができるのかしら。」と考えると集めた器をあれこれと使いたいと思う楽しい毎日です。