雷雨、26度、97%
一見普通のニラに見えますが、実は、丈も太さも普通のニラの半分くらいの若いニラです。つまり、ニラを間引いた時に出る抜き菜。日本でもこんなニラが売られているのは見かけません。田舎の道沿いの穫れたて市場ならあるかもしれませんね。それとも、農家の方達ご自分で食べてしまうのかな?
このニラの抜き菜のおいしさは、黄ニラに似ています。黄ニラはお日様に当てないで作るもやしニラです。柔らかくニラ独特の匂いがありません。この抜き菜はちゃんとお日様に当たっているのに、若いので柔らかく臭みがないのです。
私の実家の周りも、小さかった頃は畑が拡がっていました。農家の方達は家の裏にニラや春菊を植えていました。間引くお手伝いなどすると、帰りには抜き菜を沢山持たせてくれました。私のニラの抜き菜好きは、その頃からです。
さっと湯がいただけでも、甘みがあります。卵とじにしても、柔らかでいい歯触りです。
この写真のニラの抜き菜、正真正銘の香港産。お隣中国からやって来た代物ではありません。香港だって中国との境に行くと畑が拡がっています。狭い土地ですので、目の前は海、山を背に小さな土地を耕しています。
まだ、香港にやって来たばかりのことです。狸の子供や小さな人参をかごに入れて、市場に売りに来るおじいさんがいました。お店はないので、道端で商売です。時には、魚の干したものも持ってきます。そのおじいさんが夏になるこの時期に持ってくるのが、ニラの抜き菜でした。ほんのひと月の間しか楽しめないニラの抜き菜でした。
考えてみると、あのおじいさんが来なくなってもう10年近くになります。ニラの抜き菜のことは、すっかり忘れていました。
最近香港、水耕栽培や有機栽培、そして地産地消に目覚めて来ています。セントラルの市場にも、北京からきた葉物に並んで、本地と書かれた香港産の葉物が売られています。その隅っこに、あらまあ!お久しぶり、ニラの抜き菜の束を見つけました。お店のおばさん、一生懸命香港の野菜だと説明します。
本当に久しぶりの若いニラです。まだ餃子に使ったことはありません、想像すると、インパクトに欠けた餃子になりそうです。お浸しにするか、吸い物にするか、柔らかさと甘みをいただきます。