晴れ、18度、79%
大航海時代の幕開けを飾った海運国オランダ、英国ほど永い繁栄を見なかったものの、それなりに当時にしては珍しいものが集まったのではないでしょうか。そうしたものと、17世紀の絵画とを納めたオランダ一大きい美術館がアムステルダム国立美術館です。
この美術館と、ゴッホ美術館はすぐ近くにあり、このふたつを訪れたいために、わざわざホテルをこの近くにとりました。それなのに、ふたつの美術館とも改装中。こういうこともあります。
アムステルダム国立美術館は、改装中、一番奥の棟に、入れ替わりで展示物の一部を展覧しています。もし、全館観覧できる状態だったら、半日以上割かなくてはならないほど大きな建物です。朝9時にはオープンします。日曜日ですので、混雑を避けて早めに美術館入りしました。 入り口にある所在地の掲示板です。本館だけでなく、周りの道路も工事中。前の晩からの雨で、ぬかるんでいるところをやって来ました。
チケットです。すんなり買えましたが、人ごみが予想される時は、ネットで予め買うことが出来るようです。
レンブラントのお膝元ですから、レンブラントの「夜警」が一番お勧めの絵のようです。確かに、サイズといい構図といい、幾つかのレンブラントの自画像と並んで見応えのある作品でした。以前何かで、ここにはレンブラントのエッチングや素描も収蔵されていると書かれたものを読んだことがありました。あいにく、今回の展示には、エッチングはありませんでした。それでも、素描の数々が随所に展示してありました。
今や世界中で人気のフェルメールです。チケットにもある、「牛乳を注ぐ女」を初め4点がこの美術館に所蔵品のようです。今回は、この「牛乳を注ぐ女」と「恋文」の2点が展示されていました。あと2点、「手紙を読む女」、「小路」はそれぞれ、他所の国の美術館に貸し出し中だと明示されているほどです。まばらな人なのに、この2点の前には日本人観光客が、団体で説明を受けていました。
私が、この「牛乳を注ぐ女」を見るのは3回目です。恥ずかしい話、絵を見るのは好きなんですが、絵の解説などを詳しく読んだりしない私です。それでも、この「牛乳を注ぐ女」の左上からの光の入り方、足元に描かれたデルフト焼きのタイルは、描き直されたものだと何かで読んだことがあります。この絵に限らず、フェルメールや同時代の室内画家と呼ばれる人たちの光の入り方が、しばしば話題になります。日本で、それらの話を聞いてもそうね、と納得するだけでした。ところがアムステルダムに着いて、重い重い空の色を見ているうちに、何故、こうも光の入り方を話題にするのかが、身に沁みて解ったように思います。
映画「真珠のイヤリングの女」でも、天井の明かり取り窓を開け閉めするシーンが、幾度となく映されていました。
アムステルダム、私がいたとき、朝が明けるのが8時30分、日が沈むのが4時30分。しかも、天井の高い石造建築です。室内の絵を描く人にとってはいかに採光をするかが、大きな問題だったのですね。どれほど書いてあることを読もうと、レクチャーを受けようと、この地に来て見て、ほんとに実感出来たように思います。きっと、これから、フェルメールの絵を見るときアムスの空の色を思い出すに違いありません。
アムステルダム国立美術館、建物も瀟洒な作りでいい景観を作っています。