◎2015年7月11日(土)
深沢入口駐車地(6:50)……枝尾根取付き(7:06)……南西尾根合流(8:02)……1325m付近(8:40)……赤倉山(9:10)……半月峠道(10:24)……1155.4m三角点(11:19)……駐車地(12:15)
赤倉山に用事があった。こんな暑いときに足尾の赤倉山というのも何だが、そのままになっている用事をさらに先送りというわけにもいかない。「賞味期限」はすでに切れている。用事を無視し、もっと涼しげな山に行くにしても、ロングになったら体力面での不安がつきまとう。咳き込みと熱中症で倒れでもしていたらどうしようもない。
実は、明日また足尾に行かねばならないことになっている。それを考えれば、ここしばらく離れていた足尾の空気になじんでおくのもいいだろう。まぁ、そんなおかしな理由をつけて、その用事を片づけることにした。
大したことでもないのだが、ここまで記して「用事」を明かさないのはおかしな話。もったいぶらずに記すと、つまりは「山名板」の設置。雪田爺氏が4月に赤倉山に行かれ、山名板がなくなっていたとのレポを拝見した。足尾の山でもことの他にお世話になっている赤倉山だ。早速、山名板を仕上げ、5月中にでも行こうと、裏面の日付は「2015.5」とした。ところが、なかなか行く機会に恵まれず、とうとう7月に入ってしまった。つまり「賞味期限切れ」。ニス仕上げをした後なので、日付を訂正するわけにもいかない。早いとこ取り付けて、時効にしてしまうしかあるまい。
問題はどのコースを歩くかだ。今回は赤倉山の山頂だけに用事があるので上りルートの取り方にちょっとばかり色を付けてみることにする。
赤倉山の南西に1325m標高点を通る尾根がある(「南西尾根」とでもする)。この尾根、その下の1004m標高点を経由するのが正当だろうが、下部は、見た目、自分には手が余る(末端脇から登った方の記事を拝見したことはあるが、自分には参考にもならなかった)。3年前、南東尾根を目指すべく、無料駐車場の裏手から小尾根を詰めたことがある。フェンスに引っかかったシカを助けて体力を消耗し、悪天も重なって1200m付近で撤退し、南西尾根に出ることはできなかった。南西尾根合流まで標高わずか60mほどの位置であった。
今回は、反対側、半月峠道877m付近から北西に向かい、1250mで南西尾根に合流という手はどうだろう。地形図を見る限り、1050m付近から尾根型は不明瞭になるが何とか行けやしまいか。そして、下りで余力があったら、かねてから歩いてみたかった対岸の1155.4m三角点のある尾根(「深沢左岸尾根」とでもしておく)に出て下るとしよう。
(参考まで。深沢入口の駐車地から。今回は手前の尾根から回り込んで南西尾根に出た)
ガタガタ道を深沢入口の駐車地まで入った。期待もしていなかったが、他に車はない。気温は15℃。車から置きっぱなしの山靴を引っ張り出す。あれっ、この靴、どこかで見た記憶がある。おかしな話だが、自分の靴に対してそう思った。すぐに思い出した。でんさんが最近新調された山靴と同じだ。自分がどんな山靴を履いているのかからきし興味はない。改めて自分の靴をまじまじと見る。靴はでんさんブログの写真と同じで、ASOLOと記されていた。足利だったか小山のXEBIOで安かったから買ったやつだが(つまり、これも型落ちというやつだろう)、自分には履きやすくて重宝している。
(深沢)
(半月峠道)
(ここから入る。手前側が半月峠方向になっている)
前置きはこれくらいにして出発。沢はすんなりとは渡れず、上流に行って何とか渡ったが、上過ぎたため、半月峠道に出るまでがやっかいだった。ズルズルと戻される。峠道は来るたびに荒れていくようで、そのうちに道型もわかりづらくなるのではないだろうか。
腐りかけの木橋を渡ってそろそろ877m地点だ。まてよ、地図を見ると、橋のある沢は真北に赤倉山にまで向かっている。ということは、尾根型ははっきりしていないが、この沢の手前から取り付かないといけないのでは。橋の先に何のマークかピンクテープがあって、ここからでも登れるようだが、これだと東寄りの尾根に出てしまい、赤倉山直登になってしまう。橋を戻って手前斜面を登る。
(取り付きの尾根。上から)
(右下に作業場らしき跡)
斜面は雨を含んで滑る。樹につかまりながら登ると明瞭な尾根型が出てきた。問題なく登れそうだ。ちょっとした尾根はどこでもそうだが、ここにも道型というほどのレベルではないが、動物か人間か知らないが、何かが歩いて付いたような跡はある。樹に巻かれたテープやら、そのうちに出てくるネットを見る限り、山林関係者がここしばらくは入っていない印象を受ける。ビン底が落ちている。破片は見あたらない。
植林を過ぎると自然林になる。展望はなく、緑が濃いため、余計に薄暗く感じる。たまに東側に視界が覗くことがあり、赤倉山に直登する尾根が見え、こちら側真下は古い伐採地跡のようだ。そのうちに、右手にフェンスが出てくる。風通しは悪く、汗がボタボタと落ちる。すでに手ぬぐいはしぼれるくらいになっている。
(大石というか岩場も出てくるがあまり影響はない)
(ヤブやヤブめいたところもある。今日は暑苦しいだけの世界)
尾根型は続いているが、広い斜面に吸収されつつある。地形図の通りだ。その分、視界は広がり、ところどころに、樹を切って集積しているところがあったり、荒れた作業道らしきものが東に向かっているのが見えたりする。フェンスは消えたり出てきたりだ。上に行くに連れ、大きな石が目につく。歩行に差し支えはなく、巻いたのは一か所だけ。やがて自然林と植林の混交になり、次第に明るくなるが、陽当たりに出ると無性に暑い。
唐突に木立のヤブになった。不鮮明ながらも踏み跡はあり、それを辿る。ちょっとの区間ではあったがくぐり抜けると、野放図といった感じの、植生の荒れた斜面に出た。踏み跡があちこちにあり、ずっと続いている尾根型はまだかろうじて判別できる。そろそろ南西尾根に合流だろう。
(南西尾根に合流する)
(中倉山)
南西尾根はひんやりとし、弱いながらも風も流れていた。風を吸い込んだ途端にむせるような咳き込みをした。タバコを吸って、しばらく休む。これが南西尾根かといったちょっとばかりの感慨もある。ここの上部は気持ち良さげな尾根といった風情だ。樹間からは中倉山が覗いている。
ケルンを積んで出発。手ごろな平たい石がなかったためか、しばらく歩くと、後ろでカラカラと石が崩れる音がした。すぐに左から細い尾根が上がってきた。あれが前回歩き損ねた尾根の延長だろう。
(静かで平和な尾根といった感じ。末端部からは想像がつかない)
(1325m付近)
(歩きやすい)
地形図のままに急斜面はなくなだらかな尾根だ。冬の時期なら展望もよかろうが、この時期ではそれは期待もできない。むしろ、茂った葉のおかげで直射日光も避けられると思った方がいいだろう。適当に風も入り込んでくる。
(大分、上に来た。ササが出てくる)
(横根山)
(社山と大平山)
(すでに西尾根とも合流している。間もなく山頂)
(松木川奥)
(皇海山アップ)
正直のところ、期待するほどの素晴らしい尾根といった感はないが、たまに視界が開け、右手に横根山、左手前方にちらっと社山と大平山が見えたりする。この時期に歩くよりも、むしろ紅葉から冬枯れの景色の中を歩くのに向いているといった感じの尾根だ。やがて、左手にベストスポットが出てくる。松木奥から皇海山も見えている。ここは過去に何回か訪ねているが、赤倉山の唯一の展望地ともいえるだろう。
(赤倉山山頂。三角点は奥のはずれにある)
(こんな感じで)
(行った際にはこの樹にご注意ください。高くは見えるが、せいぜい2m程度の高さ)
ササヤブになって、合い間の細い道を辿ると山頂に着いた。三角点は意識して探さないとわかりづらくなっている。確かに山名板は見あたらないが、今年の5月11日付けの山名テープはあった。白に黒マジックで書き込まれた文字はかすれつつある。では早速、仕事にとりかかる。2か月ごまかしの山名板だが、手作りの愛着だけはある。この山名板もいつまで持つだろうか。
しばらく休んで下山にかかる。このまま茨倉山まで行って半月峠道に出ようかとまで考えたが、これではきっと深沢左岸尾根を歩く気がしなくなるだろう。ここは余計な気持ちを持つまい。
峠道から左岸尾根に登り返すとなると、峠道での着地ポイントが赤倉山側にあって、登り返し部分が対岸側になっているのにこしたことはない。そうすれば沢を渡渉する必要もないはず。さらにそれらのポイントが接近していることが条件だ。となると、赤倉山から2つ目のコブを南東に下る尾根(1314m、1166m標高点経由)がいいだろう。
(男体山)
(お気に入り)
(入って行ってみたくなる)
(赤倉山を振り返る)
山頂を離れてからの景色が何とも好きだ。ササの原越しに男体山が見える。自然に出来た枯山水のような風景も混じり、自分には癒しの景色そのものだ。何度も立ち止まっては眺める。
(下り尾根の分岐)
(下り尾根)
(深沢に出る)
2つ目のコブにさしかかる。脇をイノシシがさっとかけて行った。こんなところにもいるんだなぁと、ズボンの裾を見ると、ダニらしきものは付いていなかった。
この尾根を利用するハイカーは少ないのだろうか。踏み跡は薄く、テープも古いのがいくつかあるだけ。ここも一部木立のヤブになったりしている。下に行くほどに尾根が分岐していくので、ちょっとばかり気をつかいながらも予定ポイントに下り立った。そのまま河原に出て、冷たい沢水で顔を洗い、しばらく休む。
さて、目算は外れた。峠道には橋でもあって、右岸道から自然に左岸道になるとばかり思っていた。何ということはない。渡渉しないと対岸に回った道には出られないことになっていた。ここで足を滑らせ、右足を腿までドボン。靴の中はびしょびしょ。酔狂に深沢左岸尾根を歩くのはやめようかと思ったが、左岸尾根なんて、ついでがなければ歩く気にもなれない代物だ。三角点があるから興味を引くだけのことで、何もなければ敢えて歩きの発想も浮かばない。ここは無理にも行くしかあるまい。靴下しぼりは面倒で省略。
(左岸尾根に向かう)
(登り返すと左岸尾根。左右に左岸尾根が通っている)
ヤブの斜面を滑りながら登った。ここには踏み跡なんてものはない。すぐに息が上がった。小ピークに出、登り返すようにして左岸尾根に出た。大きな石がゴロゴロしている。ここでも休憩。今日の休憩タイムはいつもよりも桁違いのロングである。ここも風があるからまだいい。
予想していたとおり、尾根には踏み跡が続いていた。この辺は山林関係者が入るのだろう。尾根下の東側斜面には伐採した木があちこちに転がっている。ただ、ここもまたしばらくはだれも入っていない気配がある。
(ほんのちょいヤセ気味なところもある)
出だしは普通の尾根だった。広くなったり狭くなったり、倒木があったりと。基本は左植林、右自然林といった構成だ。樹の根もはびこっている。踏み跡の脇になぜか広いスペースが続いている。かなり以前、車でも入ったのだろうか。右下に作業道が分岐している。どこに続く道かは知らないが、三角点まで行ってその先に進めなくなったらここに戻って、この作業道を下るとしよう。
(防火線)
(1155.4m三角点)
先ほどの広いスペースだが、次第に窪み状になりさらに広くなった。こうなると防火線以外の何ものでもないだろう。こんなところに防火線とは。尾根通しにずっと続いている。
防火線はやがてあやふやになり、1155.4m三角点に着いた。ここの三角点、登記上は基準点名「金山」、四等三角点となっている。周囲の標識も標柱もなく、ポツンと石標だけが置かれている。これで目的は達成した。
このままさっきの作業道分岐に戻ってもいいが、ちょっと距離があり過ぎる。ここは先に行ってみよう。ところが早速方向を間違えた。どんどん下って行く。コンパスを見ると北に下っていて、このままでは深沢直行になってしまい、場合によっては沢の真上で行き詰りになる可能性もある。戻る。50m近く下っていたのでかなりきつかった。
(また防火線が出てきたが、ちょっとしぼんできた感じがする)
方向を改めて進むと、防火線が復活していた。さて、このまま尾根伝いに下ってしまうと、地形図を見る限りは崩壊地やガケに出てしまう可能性があるし、踏み跡を辿ったとして、律儀に下ったら町内に出てしまうかもしれない。適当なところから林道に下りてしまいたい。すでに防火線は終了したようだ。あるいはまた復活しているのかもしれないが、それを確かめる必要もあるまい。
(左岸尾根から離れて適当に下る)
急斜面を西に下る。踏み跡はない。適当に歩きやすい所を選んで下るだけのことだが、ここも水を含んだ土は滑り、2回ほど尻もちをついてズボンは泥だらけになった。
そのうちに右下に堰堤のようなものが見え、その先に深沢のダムが見えてきた。何とか、予定スポットに下りられたようだ。堰堤の管理道だろうが車は入れそうにもない荒れた道に出た。駐車地はすぐそこだ。ここでまた休憩。えらく暑くなっている。無風。爽快感はなく、熱気で不快そのものだ。
(林道の延長部。これはまだマシな景色で、起点付近は石がごろごろで歩きづらい)
(駐車地)
駐車地に戻る。言うまでもなく無人だ。車載の気温計は30℃を超えている。着替え一式を持って沢に行く。全身を冷たい水で拭う。沢に淀みでもあったら浸かりたいところだ。
明日の足尾は沢遊び。今日は5時間ちょいの歩きだったが、ところどころで風はあったものの、やはり暑さの中の歩きは応えた。時間的にも今日のような5時間が限度だろう。明日は少しは気分的にも涼しいだろうか。
林道を下って行くと対向車と出会った。軽の四駆で待機していただいたが、この時間、まさか赤倉山ということはないだろうな。
深沢入口駐車地(6:50)……枝尾根取付き(7:06)……南西尾根合流(8:02)……1325m付近(8:40)……赤倉山(9:10)……半月峠道(10:24)……1155.4m三角点(11:19)……駐車地(12:15)
赤倉山に用事があった。こんな暑いときに足尾の赤倉山というのも何だが、そのままになっている用事をさらに先送りというわけにもいかない。「賞味期限」はすでに切れている。用事を無視し、もっと涼しげな山に行くにしても、ロングになったら体力面での不安がつきまとう。咳き込みと熱中症で倒れでもしていたらどうしようもない。
実は、明日また足尾に行かねばならないことになっている。それを考えれば、ここしばらく離れていた足尾の空気になじんでおくのもいいだろう。まぁ、そんなおかしな理由をつけて、その用事を片づけることにした。
大したことでもないのだが、ここまで記して「用事」を明かさないのはおかしな話。もったいぶらずに記すと、つまりは「山名板」の設置。雪田爺氏が4月に赤倉山に行かれ、山名板がなくなっていたとのレポを拝見した。足尾の山でもことの他にお世話になっている赤倉山だ。早速、山名板を仕上げ、5月中にでも行こうと、裏面の日付は「2015.5」とした。ところが、なかなか行く機会に恵まれず、とうとう7月に入ってしまった。つまり「賞味期限切れ」。ニス仕上げをした後なので、日付を訂正するわけにもいかない。早いとこ取り付けて、時効にしてしまうしかあるまい。
問題はどのコースを歩くかだ。今回は赤倉山の山頂だけに用事があるので上りルートの取り方にちょっとばかり色を付けてみることにする。
赤倉山の南西に1325m標高点を通る尾根がある(「南西尾根」とでもする)。この尾根、その下の1004m標高点を経由するのが正当だろうが、下部は、見た目、自分には手が余る(末端脇から登った方の記事を拝見したことはあるが、自分には参考にもならなかった)。3年前、南東尾根を目指すべく、無料駐車場の裏手から小尾根を詰めたことがある。フェンスに引っかかったシカを助けて体力を消耗し、悪天も重なって1200m付近で撤退し、南西尾根に出ることはできなかった。南西尾根合流まで標高わずか60mほどの位置であった。
今回は、反対側、半月峠道877m付近から北西に向かい、1250mで南西尾根に合流という手はどうだろう。地形図を見る限り、1050m付近から尾根型は不明瞭になるが何とか行けやしまいか。そして、下りで余力があったら、かねてから歩いてみたかった対岸の1155.4m三角点のある尾根(「深沢左岸尾根」とでもしておく)に出て下るとしよう。
(参考まで。深沢入口の駐車地から。今回は手前の尾根から回り込んで南西尾根に出た)
ガタガタ道を深沢入口の駐車地まで入った。期待もしていなかったが、他に車はない。気温は15℃。車から置きっぱなしの山靴を引っ張り出す。あれっ、この靴、どこかで見た記憶がある。おかしな話だが、自分の靴に対してそう思った。すぐに思い出した。でんさんが最近新調された山靴と同じだ。自分がどんな山靴を履いているのかからきし興味はない。改めて自分の靴をまじまじと見る。靴はでんさんブログの写真と同じで、ASOLOと記されていた。足利だったか小山のXEBIOで安かったから買ったやつだが(つまり、これも型落ちというやつだろう)、自分には履きやすくて重宝している。
(深沢)
(半月峠道)
(ここから入る。手前側が半月峠方向になっている)
前置きはこれくらいにして出発。沢はすんなりとは渡れず、上流に行って何とか渡ったが、上過ぎたため、半月峠道に出るまでがやっかいだった。ズルズルと戻される。峠道は来るたびに荒れていくようで、そのうちに道型もわかりづらくなるのではないだろうか。
腐りかけの木橋を渡ってそろそろ877m地点だ。まてよ、地図を見ると、橋のある沢は真北に赤倉山にまで向かっている。ということは、尾根型ははっきりしていないが、この沢の手前から取り付かないといけないのでは。橋の先に何のマークかピンクテープがあって、ここからでも登れるようだが、これだと東寄りの尾根に出てしまい、赤倉山直登になってしまう。橋を戻って手前斜面を登る。
(取り付きの尾根。上から)
(右下に作業場らしき跡)
斜面は雨を含んで滑る。樹につかまりながら登ると明瞭な尾根型が出てきた。問題なく登れそうだ。ちょっとした尾根はどこでもそうだが、ここにも道型というほどのレベルではないが、動物か人間か知らないが、何かが歩いて付いたような跡はある。樹に巻かれたテープやら、そのうちに出てくるネットを見る限り、山林関係者がここしばらくは入っていない印象を受ける。ビン底が落ちている。破片は見あたらない。
植林を過ぎると自然林になる。展望はなく、緑が濃いため、余計に薄暗く感じる。たまに東側に視界が覗くことがあり、赤倉山に直登する尾根が見え、こちら側真下は古い伐採地跡のようだ。そのうちに、右手にフェンスが出てくる。風通しは悪く、汗がボタボタと落ちる。すでに手ぬぐいはしぼれるくらいになっている。
(大石というか岩場も出てくるがあまり影響はない)
(ヤブやヤブめいたところもある。今日は暑苦しいだけの世界)
尾根型は続いているが、広い斜面に吸収されつつある。地形図の通りだ。その分、視界は広がり、ところどころに、樹を切って集積しているところがあったり、荒れた作業道らしきものが東に向かっているのが見えたりする。フェンスは消えたり出てきたりだ。上に行くに連れ、大きな石が目につく。歩行に差し支えはなく、巻いたのは一か所だけ。やがて自然林と植林の混交になり、次第に明るくなるが、陽当たりに出ると無性に暑い。
唐突に木立のヤブになった。不鮮明ながらも踏み跡はあり、それを辿る。ちょっとの区間ではあったがくぐり抜けると、野放図といった感じの、植生の荒れた斜面に出た。踏み跡があちこちにあり、ずっと続いている尾根型はまだかろうじて判別できる。そろそろ南西尾根に合流だろう。
(南西尾根に合流する)
(中倉山)
南西尾根はひんやりとし、弱いながらも風も流れていた。風を吸い込んだ途端にむせるような咳き込みをした。タバコを吸って、しばらく休む。これが南西尾根かといったちょっとばかりの感慨もある。ここの上部は気持ち良さげな尾根といった風情だ。樹間からは中倉山が覗いている。
ケルンを積んで出発。手ごろな平たい石がなかったためか、しばらく歩くと、後ろでカラカラと石が崩れる音がした。すぐに左から細い尾根が上がってきた。あれが前回歩き損ねた尾根の延長だろう。
(静かで平和な尾根といった感じ。末端部からは想像がつかない)
(1325m付近)
(歩きやすい)
地形図のままに急斜面はなくなだらかな尾根だ。冬の時期なら展望もよかろうが、この時期ではそれは期待もできない。むしろ、茂った葉のおかげで直射日光も避けられると思った方がいいだろう。適当に風も入り込んでくる。
(大分、上に来た。ササが出てくる)
(横根山)
(社山と大平山)
(すでに西尾根とも合流している。間もなく山頂)
(松木川奥)
(皇海山アップ)
正直のところ、期待するほどの素晴らしい尾根といった感はないが、たまに視界が開け、右手に横根山、左手前方にちらっと社山と大平山が見えたりする。この時期に歩くよりも、むしろ紅葉から冬枯れの景色の中を歩くのに向いているといった感じの尾根だ。やがて、左手にベストスポットが出てくる。松木奥から皇海山も見えている。ここは過去に何回か訪ねているが、赤倉山の唯一の展望地ともいえるだろう。
(赤倉山山頂。三角点は奥のはずれにある)
(こんな感じで)
(行った際にはこの樹にご注意ください。高くは見えるが、せいぜい2m程度の高さ)
ササヤブになって、合い間の細い道を辿ると山頂に着いた。三角点は意識して探さないとわかりづらくなっている。確かに山名板は見あたらないが、今年の5月11日付けの山名テープはあった。白に黒マジックで書き込まれた文字はかすれつつある。では早速、仕事にとりかかる。2か月ごまかしの山名板だが、手作りの愛着だけはある。この山名板もいつまで持つだろうか。
しばらく休んで下山にかかる。このまま茨倉山まで行って半月峠道に出ようかとまで考えたが、これではきっと深沢左岸尾根を歩く気がしなくなるだろう。ここは余計な気持ちを持つまい。
峠道から左岸尾根に登り返すとなると、峠道での着地ポイントが赤倉山側にあって、登り返し部分が対岸側になっているのにこしたことはない。そうすれば沢を渡渉する必要もないはず。さらにそれらのポイントが接近していることが条件だ。となると、赤倉山から2つ目のコブを南東に下る尾根(1314m、1166m標高点経由)がいいだろう。
(男体山)
(お気に入り)
(入って行ってみたくなる)
(赤倉山を振り返る)
山頂を離れてからの景色が何とも好きだ。ササの原越しに男体山が見える。自然に出来た枯山水のような風景も混じり、自分には癒しの景色そのものだ。何度も立ち止まっては眺める。
(下り尾根の分岐)
(下り尾根)
(深沢に出る)
2つ目のコブにさしかかる。脇をイノシシがさっとかけて行った。こんなところにもいるんだなぁと、ズボンの裾を見ると、ダニらしきものは付いていなかった。
この尾根を利用するハイカーは少ないのだろうか。踏み跡は薄く、テープも古いのがいくつかあるだけ。ここも一部木立のヤブになったりしている。下に行くほどに尾根が分岐していくので、ちょっとばかり気をつかいながらも予定ポイントに下り立った。そのまま河原に出て、冷たい沢水で顔を洗い、しばらく休む。
さて、目算は外れた。峠道には橋でもあって、右岸道から自然に左岸道になるとばかり思っていた。何ということはない。渡渉しないと対岸に回った道には出られないことになっていた。ここで足を滑らせ、右足を腿までドボン。靴の中はびしょびしょ。酔狂に深沢左岸尾根を歩くのはやめようかと思ったが、左岸尾根なんて、ついでがなければ歩く気にもなれない代物だ。三角点があるから興味を引くだけのことで、何もなければ敢えて歩きの発想も浮かばない。ここは無理にも行くしかあるまい。靴下しぼりは面倒で省略。
(左岸尾根に向かう)
(登り返すと左岸尾根。左右に左岸尾根が通っている)
ヤブの斜面を滑りながら登った。ここには踏み跡なんてものはない。すぐに息が上がった。小ピークに出、登り返すようにして左岸尾根に出た。大きな石がゴロゴロしている。ここでも休憩。今日の休憩タイムはいつもよりも桁違いのロングである。ここも風があるからまだいい。
予想していたとおり、尾根には踏み跡が続いていた。この辺は山林関係者が入るのだろう。尾根下の東側斜面には伐採した木があちこちに転がっている。ただ、ここもまたしばらくはだれも入っていない気配がある。
(ほんのちょいヤセ気味なところもある)
出だしは普通の尾根だった。広くなったり狭くなったり、倒木があったりと。基本は左植林、右自然林といった構成だ。樹の根もはびこっている。踏み跡の脇になぜか広いスペースが続いている。かなり以前、車でも入ったのだろうか。右下に作業道が分岐している。どこに続く道かは知らないが、三角点まで行ってその先に進めなくなったらここに戻って、この作業道を下るとしよう。
(防火線)
(1155.4m三角点)
先ほどの広いスペースだが、次第に窪み状になりさらに広くなった。こうなると防火線以外の何ものでもないだろう。こんなところに防火線とは。尾根通しにずっと続いている。
防火線はやがてあやふやになり、1155.4m三角点に着いた。ここの三角点、登記上は基準点名「金山」、四等三角点となっている。周囲の標識も標柱もなく、ポツンと石標だけが置かれている。これで目的は達成した。
このままさっきの作業道分岐に戻ってもいいが、ちょっと距離があり過ぎる。ここは先に行ってみよう。ところが早速方向を間違えた。どんどん下って行く。コンパスを見ると北に下っていて、このままでは深沢直行になってしまい、場合によっては沢の真上で行き詰りになる可能性もある。戻る。50m近く下っていたのでかなりきつかった。
(また防火線が出てきたが、ちょっとしぼんできた感じがする)
方向を改めて進むと、防火線が復活していた。さて、このまま尾根伝いに下ってしまうと、地形図を見る限りは崩壊地やガケに出てしまう可能性があるし、踏み跡を辿ったとして、律儀に下ったら町内に出てしまうかもしれない。適当なところから林道に下りてしまいたい。すでに防火線は終了したようだ。あるいはまた復活しているのかもしれないが、それを確かめる必要もあるまい。
(左岸尾根から離れて適当に下る)
急斜面を西に下る。踏み跡はない。適当に歩きやすい所を選んで下るだけのことだが、ここも水を含んだ土は滑り、2回ほど尻もちをついてズボンは泥だらけになった。
そのうちに右下に堰堤のようなものが見え、その先に深沢のダムが見えてきた。何とか、予定スポットに下りられたようだ。堰堤の管理道だろうが車は入れそうにもない荒れた道に出た。駐車地はすぐそこだ。ここでまた休憩。えらく暑くなっている。無風。爽快感はなく、熱気で不快そのものだ。
(林道の延長部。これはまだマシな景色で、起点付近は石がごろごろで歩きづらい)
(駐車地)
駐車地に戻る。言うまでもなく無人だ。車載の気温計は30℃を超えている。着替え一式を持って沢に行く。全身を冷たい水で拭う。沢に淀みでもあったら浸かりたいところだ。
明日の足尾は沢遊び。今日は5時間ちょいの歩きだったが、ところどころで風はあったものの、やはり暑さの中の歩きは応えた。時間的にも今日のような5時間が限度だろう。明日は少しは気分的にも涼しいだろうか。
林道を下って行くと対向車と出会った。軽の四駆で待機していただいたが、この時間、まさか赤倉山ということはないだろうな。
いつしか気づいたら網羅してるときがくるかもしれません・・・。
先日買った山靴が同じだったとはビックリです。
買ったところも同じ、きっと値段も同じだったのかもしれません(笑)
試し履きもまだなのですが履きやすいとのことで期待が持てます。
「例の尾根?ではありません」と聞いて,「ハテ?」と思いましたが,小法師岳や巣神山では無かったんですネ。
ところで,赤倉山の下山に使われた尾根,画像を見てピンときましたが,紅葉が綺麗な場所ですネ。
深沢左岸尾根といい,こういう歩き方もあるかと,紅葉の時季にでも参考にさせていただきますヨ。
ちなみに,この翌日は押溜沢あたりですかネ?
レポ楽しみにしておりますが,さらにTファミリーの皆さまにお勧めの一本を歩いてきたので,後日,アップいたしますネ。
いやいや、山名板に関しては、無いところに取り付けるといった控えめなやり方で徹底していますし、中倉山や庚申山といったメジャー系は遠慮していますので、足尾の山に私の山名板があふれることはないでしょう。ご心配なく。
せいぜい、「あれっ、こんなところに山名板が」といったところですよ。
山靴の件、でんさんの記事を拝見し、でんさんはいい靴を買われたなあ、自分もそういうの欲しいもんだと思っておったのですよ(笑)。それほどの無頓着さです。
いろいろと山靴はとっかえひっかえですが、やはり、今のが自分の足には向いているようです。
ということで赤倉山でした。巣神山に関してはいずれですが、は本当にないのか、見落としではないのかと思ったりしていますので、これは、どなたかの直近の山行記を確認してからということにいたします。
しかし、赤倉山だから行ったので、になると、この時期はしんどいですよ。
あの赤倉山の下り尾根、紅葉きれいですか?今回で2回目くらいの通過ですが、その時期にでも行ってみます。気づきませんでした。
深沢左岸尾根については、荒れた感じの尾根で、展望もよろしくはありません。気が向いたら程度でよろしいかと。
押溜沢、ばれましたか。結果的に瀑泉さんの後追いでしたけど、どういうわけか、瀑泉さんよりも3時間オーバーで、ゲートに着いた時には薄暗くなっていましたよ。記事のアップも気が重いものがありますけど。
瀑泉さんは土曜日は用事で、日曜日はゴミ拾いだったのではないですか。それはともかく、お勧めの一本、楽しみにしております。
コメントを拝見して咳込んでしまいました。
私の即物的な行動なんか、思慮分別のあるみー猫さんに比べたら、その足元にも及びませんよ。
今回は赤倉山だから行ったまでのことで、さらに時間のかかる山でしたら、月をごまかすどころか翌年にいたしますよ。
施主の方からの依頼は台石山で十分です。次回の依頼があった際には、考える時間をいただくことにいたしますよ。あるいはこちらまで取りに来ていただくか。
とにかく、お疲れ様でした.(今年秋か冬か)来年春にでも行って拝ませていただきます.
押溜沢とは、考えも及びませんでしたが、最近のたそがれさんは沢にも行かれてる様なので、この熱さに成る程と膝を打った次第です.
この時期、沢は最高でしょう(笑)
私は今回も東北でしたが、結構熱かったですよ.
この暑さも、一応、今日までのようですので、我慢してください。
しかし、沢はともかく、この時期、北関東の山を歩くというのは、やはり考えものですね。身体に悪いような気がいたしますよ。
私も東北の山をのんびりと歩きたいですよ。
翌日は確かに押溜沢でしたが、沢を歩いている限りは涼しくて最高でしたが、稜線に出ると、暑くて一気にバテバテになりましたよ。